パワハラで自殺「労災」 上司発言でうつ病
パワハラで自殺「労災」 東京地裁初の認定、上司発言でうつ病
2007年10月16日 中日新聞 朝刊
医薬品販売会社「日研化学」(現・興和創薬、東京)の営業担当社員の男性=当時(35)=が自殺したのは、上司からの暴言や叱責(しっせき)などのパワーハラスメント(職権を背景とした嫌がらせ)でうつ病になったことが原因として、妻が、労災と認めなかった静岡労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は十五日、自殺をパワハラによる労災と認め、処分を取り消した。
原告側代理人の川人博弁護士によると、自殺の原因が長時間労働とパワハラの双方にあるとして、労災を認めたケースはあったが、パワハラを主な原因として、労災認定した判決は初めて。
渡辺弘裁判長は判決理由で、「上司の発言は『存在が目障りだ』『肩にフケがベターと付いている』などとキャリアや人格までも否定する内容だった」と指摘。「過度に厳しく、嫌悪の感情も含まれ、通常想定される『上司とのトラブル』を大きく超える心理的負荷があった」と認めた。
国側は「上司としての指導や助言で、パワハラではなく、自殺との因果関係もない」と反論していた。 判決によると、男性は一九九〇年に入社。九七年から名古屋支店静岡営業所に所属し、静岡県東部で営業を担当していたが、二〇〇二年に赴任した係長から「お願いだから消えてくれ」「会社を食い物にしている」と言われたり、営業がうまくいかなかった際には「おまえは対人恐怖症やろ」などと言われた。忘年会の席上でも「給料泥棒」と叱責され、度重なるパワハラを受け、同年末ごろにうつ病となり、翌〇三年三月、自殺した。
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いたましく、かつ、むつかしい問題です。