うつ病はどれだけ健康レベルを低下させるか
このような研究が、国家予算をどれだけうつ病研究に回せるか、根拠になるので、重要。
では、内容は?
以下、日経メディカル記事とLancet記事を比較して、以下に論評。
*****
うつ病はどれだけ健康レベルを低下させるか
WHOの大規模調査結果より
2007. 9. 27
うつ病は他の身体疾患に比べても健康レベルの低下に大きな影響をもたらしていることが、世界保健機関(WHO)の大規模調査で明らかになった。疾病負担を減らすためにも、うつ病対策が公衆衛生上取り組むべき課題の中で優先順位が高いことを示す結果だ。WHOのSaba Moussavi氏らの報告で、詳細はLancet誌2007年9月8日号に掲載された。
うつ病の有病率は2~15%と報告されている。WHOの推計では、うつ病は2000年には総DALYs (障害調整余命年数)の4.4%を占め、疾病負担の第4位になっていた。非致死的な疾病負担においては、うつ病が占める割合はさらに大きく、総YLDs(障害共存年数)の約12%だった。さらに2020年までに、うつ病は疾病負担の第2位になると予想されている。
著者らは、うつ病が単独で、また併存疾患となっている場合の健康全体に対する影響を明らかにするため、WHO世界保健調査(WHS)のデータを分析した。WHSは18歳以上の成人を対象に、健康状態、健康関連アウトカム、それらの決定要因について面接調査したものだ。対象は世界のすべての地域を網羅する60カ国の24万5404人。
分析の結果、うつ病と、身体的な慢性疾患(狭心症、関節炎、喘息、糖尿病)の有病率は、単独では糖尿病が最も低く2.0%、うつ病が3.2%。喘息3.3%、関節炎4.1%、狭心症が4.5%だった。慢性身体疾患とうつ病が併存する患者を調べたところ、喘息患者におけるうつ病併存率が最も高く18.1%だった。そのほか糖尿病患者の9.3%、関節炎患者の10.7%、狭心症患者の15.0%がうつ病だった。
なお、対象者の7.1%は2つ以上の慢性身体疾患を抱えており、うち23%がうつ病もあった。このように、身体疾患がある患者のうつ病有病率は、身体疾患がない患者(うつ病単独は3.2%)より有意に高かった(P<0.0001)。
質問に対する回答に基づいて0~100ポイントで示した健康スコアの平均は、疾患を持たない人々が90.6ポイントであるのに対し、喘息のみ80.3、狭心症のみ79.6、関節炎のみ79.3、糖尿病のみ78.9、うつ病のみ72.9となった。うつ病と関節炎が併存する患者では67.1、うつ病と狭心症では65.8、うつ病と喘息で65.4、うつ病と糖尿病は58.5。慢性身体疾患が2つ以上の場合には71.8、それらにうつ病が加わると56.1で、うつ病併存は健康状態を有意に低下させていた(P<0.0001)。この結果は、年齢、性別、社会人口学的特性、その他で調整しても維持された。
回帰モデルを用いて、全体的な健康と個々の独立変数(病気、社会人口学的特性、経済状態、結婚状態など)の関係を調べた。健康状態が低いことと関係していたのは、女性、高齢、低学歴、低所得、失業など。病気の影響は、人口統計学特性に比べ大きく、特にうつ病は、単独でも併存でも健康状態の低下と強く関係していた(P<0.0001)。
相関係数(このモデルでは相関係数が低いほど健康状態は低い)は、うつ病のみが-13.89、狭心症のみが-6.68、関節炎のみ-5.92、喘息のみ-6.54、糖尿病のみ-3.53。うつ病と狭心症が併存では-20.47、うつ病と関節炎で-16.77、うつ病と喘息-19.44、うつ病と糖尿病-23.43。身体疾患は複数あるがうつ病がない場合には-11.97で、そこにうつ病が併存すると-24.38となった。このように、うつ病の健康低下への影響は慢性身体疾患が及ぼす影響を上回った。
プライマリケア医も、慢性疾患患者のうつ病有病率は高いこと、併存により健康状態が大きく低下することを念頭に置く必要がある。
原題は「Depression worsens health more than angina, arthritis, asthma, and diabetes」、概要はこちらで閲覧できる。
*****
The Lancet
Articles
Depression, chronic diseases, and decrements in health: results from the World Health Surveys
Summary
Depression is an important public-health problem, and one of the leading causes of disease burden worldwide. Depression is often comorbid with other chronic diseases and can worsen their associated health outcomes. Few studies have explored the effect of depression, alone or as a comorbidity, on overall health status.
The WHO World Health Survey (WHS) studied adults aged 18 years and older to obtain data for health, health-related outcomes, and their determinants. Prevalence of depression in respondents based on ICD-10 criteria was estimated. Prevalence values for four chronic physical diseases—angina, arthritis, asthma, and diabetes—were also estimated using algorithms derived via a Diagnostic Item Probability Study. Mean health scores were constructed using factor analysis and compared across different disease states and demographic variables. The relation of these disease states to mean health scores was determined through regression modelling.
Observations were available for 245 404 participants from 60 countries in all regions of the world. Overall, 1-year prevalence for ICD-10 depressive episode alone was 3·2% (95% CI 3·0–3·5); for angina 4·5% (4·3–4·8); for arthritis 4·1% (3·8–4·3); for asthma 3·3% (2·9–3·6); and for diabetes 2·0% (1·8–2·2). An average of between 9·3% and 23·0% of participants with one or more chronic physical disease had comorbid depression. This result was significantly higher than the likelihood of having depression in the absence of a chronic physical disease (p<0·0001). After adjustment for socioeconomic factors and health conditions, depression had the largest effect on worsening mean health scores compared with the other chronic conditions. Consistently across countries and different demographic characteristics, respondents with depression comorbid with one or more chronic diseases had the worst health scores of all the disease states.
Depression produces the greatest decrement in health compared with the chronic diseases angina, arthritis, asthma, and diabetes. The comorbid state of depression incrementally worsens health compared with depression alone, with any of the chronic diseases alone, and with any combination of chronic diseases without depression. These results indicate the urgency of addressing depression as a public-health priority to reduce disease burden and disability, and to improve the overall health of populations.
a. Department of Measurement and Health Information Systems, World Health Organization, Geneva, Switzerland
b. Economics and Research Department, Asian Development Bank, Manila, Philippines
c. London School of Hygiene and Tropical Medicine, London, UK
*****
2020年までに、うつ病は疾病負担の第2位になると予想されている、という点は、最近あちらこちらで強調されていて、予算を振り分ける動機にもなっているようだ。
疾病負担というのは、Burden of Disease のこと。世界疾病負担(Global Burden of Disease:GBD)研究はWHOの得意芸である。
主に、疾病がどれだけ経済に影響しているかという観点で見たもの。病気になってどれだけ損をするか、予防すればどれだけ得をするということだ。
うつ病が経済に与える影響は実は大きい。
働き盛り、社会の中枢を支える人材、熟練労働者、組織のリーダー、几帳面、責任感強い、人望がある、組織・集団を大切にする、こんな人たちがうつ病になりやすいのだから、当然、社会の損失は大きいわけだ。
経済的損失だけではいけないだろうということで、最近では、QOLの観点からも数字が提出されている。各人の生活の質を合計したものが、社会の質のようなものになるだろうというのだ。
その観点からも、うつ病は大きな問題になる。うつ病であるということにより、QOLが低下するからだ。
統計で計算しやすいのは、寿命とか、そんなものだったけれど、疾病負担とか、生活の質とか、そうした観点が大切になってくる。
論文の中では、
decrements in health
associated health outcomes
overall health status
health, health-related outcomes
Mean health scores
the overall health of populations
などという言葉が並び、
訳出文の中では、
健康レベルの低下
健康状態、健康関連アウトカム
質問に対する回答に基づいて0~100ポイントで示した健康スコア
などが並んでいる。
Mean health scores were constructed using factor analysis
とのことで、この内容が健康レベルということらしい。でも、内容についてはよく分からない。
*****
このあたりは重要で、最近、抗うつ剤の効果を比較検討する研究は、
(1)どんな患者群に対して、つまり、診断をどのように細分化するか、が問題。
(2)改善度を測定するとして、何を測定するのか、が問題。
ということになっている。
改善度については、
普通はHAM-Dなどを用いるが、もっと他の試みもあり、
主観的評価と客観的評価のどちらが重要なのか、どう組み合わせるのか、
治療脱落度を調べなければ、意味がないのではないかとか、
うつの症状を比較するだけではなく、QOL評価の方がいいだろうとか、
評価尺度の問題がいろいろと議論されている。
そのような流れでいうと、健康レベルとは何のことなのかということになるだろう。
健康スコアの定義によって、うつ病の重要度も変わってしまう。
母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する?
以下、前半は日経メディカルからの引用です。
*****
母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する
安原こどもクリニック(大阪府寝屋川市)院長
注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子供を持つ母親は、喫煙率が高い傾向にあることが明らかになった。母親の喫煙と児のADHDの関連性について、海外では報告はあったが、わが国では初めて。調査を行った安原こどもクリニック(大阪府寝屋川市)院長の安原昭博氏に調査の結果と経緯について聞いた。
安原こどもクリニックの安原昭博氏
私は2006年1月に、ADHD、自閉症、広汎性発達障害をはじめとする小児神経科の専門的なクリニックを開業し、診察に当たっています。勤務医時代も含めると、これまでに600人以上のADHDの子供たちを診察してきました。
ADHDの原因については、これまでに遺伝、妊娠中の飲酒、喫煙、鉛の摂取などが指摘されています。中でも喫煙については、私自身、ADHDの児の母親や父親に喫煙者が多いという印象を持っていましたので、以前から注目していました。
そんなとき、縁あって子供の禁煙外来(卒煙外来)についての勉強会に参加し、当時、静岡県立こども病院にいらした加治正行先生(現在は静岡市保健福祉子ども局保健衛生部参与)とお話をする機会がありました。そのとき先生に「海外には、妊娠中の喫煙と子供のADHD発症に関する論文があるのに、日本には一つもない。一度調査をしてみてほしい」と要請され、調査を行うことになったのです。
妊娠判明後の禁煙では間に合わない
昨年12月に少数で予備調査を行ったのですが、その時の喫煙率は66%と非常に高い結果になりました。その後、改めて今年1~3月に当院に来院したADHDの児を持つ母親167人(平均年齢39.1歳)を対象に調査したところ、喫煙率は46.7%でした。中でも、出産時の年齢が20~24歳の母親だけで見ると、喫煙率は87.5%とさらに高率でした。2002年に実施された第1回21世紀出生児縦断調査(厚生労働省)によると、一般の母親の喫煙率は17.4%で、喫煙率が高いとされる若年齢の母親でも34.7%と報告されていますから、ADHD児を持つ母親の喫煙率の高さは際立っています。
一方、妊娠時点で見ると、ADHDの児を持つ母親167人のうち58人(34.7%)が喫煙をしていましたが、そのうち約半数に当たる26人は、妊娠が分かった時点(平均妊娠2.5カ月)で禁煙していたことも分かりました。また、父親についての喫煙率も調べましたが、ADHDの児を持つ父親では70.1%、厚労省の調査で一般の父親は63.2%で、大きな差はありませんでした。
今回は、自施設での少数の調査ですし、厳密にADHDの発症リスクを算出したわけではありませんが、少なくとも、ADHD児の母親の喫煙率が高いことは明らかになったと考えています。ぜひ日本でも全国的な調査を行って、母親の喫煙(特に妊娠中の喫煙)とADHD児出生の関連性を調べ、母親が喫煙することのリスクを把握するべきだと思います。
また今回の調査では、妊娠後の禁煙は平均2.5カ月後に行われていましたが、大脳は妊娠3カ月くらいまでに形成されますから、妊娠初期の喫煙とADHDの発症に因果関係があるとすれば、このタイミングでの禁煙では間に合いません。「妊娠したらタバコをやめる」ではなく、「妊娠適齢期の女性はタバコは吸わない」が、あるべき姿ということになります。
これは私の印象ですが、最近ADHDの子供が増えているように思います。その原因の一端は、若年女性の喫煙率の上昇にある、というのが私の考えです。そして、日本では少年少女が簡単にタバコを買えてしまったり、いまだに国がタバコの宣伝を許しているといったことが、大きな問題だと考えています。
今回のような調査は、既にADHD児を持つ母親にとっては酷かもしれません。もちろん、そうした母親を責めることが目的ではありませんが、ADHDを発症した子供の治療法はいまだ確立されていないのが現状です。だからこそ、調査を行って喫煙とADHD児発生の関係を明らかにし、そうしたデータに基づいて、若年女性に強く禁煙を勧めなくてはならないと私は思うのです。
*****引用終わり
たしかに、私の印象でも、ADHDの子供は増えているように思います。
母親の喫煙と関係があるかといわれれば、統計的な実証はできないものの、何となく、そのような傾向があるのかもしれないとは思います。
ですから、上の文章は、そういった漠然とした印象を肯定してくれているわけです。
しかし、科学的論証としては、
「母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する」ではなく、
「母親の喫煙と子供のADHD発症は、相関がある」という命題になると思います。
「母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する」という命題を主張するならば、具体的なメカニズムの解明が必要です。
たとえばの話ですが、
「母親がテレビを一日3時間以上見ることが、本当の原因で、
母親が喫煙することもその結果であり、
子供のADHD発症もその結果である」というメカニズムを想定しても、
母親の喫煙と子供のADHD発症についてデータをとれば、同じ結果が出るのです。
それができない段階では、メカニズムを抜きにして、
「母親の喫煙と子供のADHD発症は、相関がある」という命題を検証する作業になります。
だとすれば、喫煙は別の原因の結果かもしれないのです。
極端に言えば、
「母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する」という命題を逆転させて、
「子供のADHD発症は母親の喫煙に影響する」という命題を立ててもいいはずです。
メカニズムとしては、
ADHDである子供は、胎内で特別な物質を分泌し、
その結果、母親はタバコを吸いたくなる、と考えてもいいわけです。
実際は、それは極端すぎるというもので、
タバコの成分のなかで、たとえばニコチンは、身体の細血管を収縮させるので、子宮へ血液を送る血管も、また、胎児の血管も、収縮させて、……という因果関係は当然推定されるわけで、まあ、胎児にいろいろな影響が出そうだということは漠然と推定できるところではあります。
しかし、実際の科学的思考としては留保が必要だということになります。
タフな人のセルフアサーション
タフな人の一面は、自分を主張できることである。
アメリカ流のセルフ・アサーションはたとえばこんな感じ。
出典不明。
堂々と自己主張するための15の実践法
1. お伺いを立てる代わりに、言い渡せ
2. 相手の目をまっすぐに見て話せ
3. 背すじをシャキッと伸ばし、どっしりとした声で
4. 「あのー」「えー」はもう口にするな
5. 「私は便利屋ではない」と自分に言い聞かせよ
6. タバコの煙がいやならいやとはっきり言って
7. ドキドキ、イライラするならむしろ怒れ
8. 「あなたの上司と話がしたい」と言ってみよ
9. 人生の勝ち負けをときには"ゲーム"のような感覚で見よ
10. 「できると思います」を「できます」に言い換えよ
11. 「生身の自分」をさらけ出すのをためらうな
12. 不当な請求は断固ことわれ
13. 納品の遅いセールスマンは相手にするな
14. 欠陥商品、不快なサービスには一円も払うな
15. むやみに"他人"を自分の上にまつり上げることはやめよ
他人との比較に泣き寝入りしない実践テクニック
1. 「他人と私は何の関係もない」と告げる
2. 「あなたは私が他人のようになるべきだと思っているのか」と問いただす
3. 「無視」という返事をする
4. こちらも"比較のお返し"をする
5. 自分は相手の手口をお見通しであるとアピールする
6. いつまでもズルズルつづけず話を打ち切る
7. 「この人と会って何の得があるか」と自問する
8. とりあえず、その場は相手の顔を立ててやる
9. 「太陽と北風」の心理を活用する
10. 微笑みを忘れず、驚いて注意を促す
11. 自分がソンをしないよう、"演技"する
12. 自分も"他人との比較"グセがついていないかをチェックする
13. 何か「お手本」にすがって生きるのはやめる
14. 肩の力を抜いて、気をラクにする
自分を犠牲にしない「スタンス」の取りかた
1. "どうでもいいこと"は大目に見る
2. 不快なことにいちいち過剰反応しない
3. 「違い」に目くじらを立てるのではなく、"共通項"を大切にする
4. 不毛な論争ほどエネルギーを浪費する
5. "上手なウソ"が人間の幅を広げる
"精神的殺人"を許さない戦術
1. いつもみんなに理解される必要はない
2. "雑音"にはラジオのスイッチを切る要領で
3. 相手に「相手の行動」を説明させてみる
*****
いかがでしょうか?
私の感覚では、やはり、ちょっと違う。
仕事が本当にできて、静かに黙々と、本業に励み、回りに評価される。
それが本道だ。
それ以外は考えなくても、自動的にうまく行くように思う。
こんな感じのリストをたまに見直して、自己チェックしてみるのは、とてもいいと思う。
でも、日頃研究すべきは、やはり、仕事の中身そのものだ。
メンタルタフネス
どうすればタフになれるのか、
そんな本を読んだり、
タフそうな人に聞いたり、
タフでなさそうな人に聞いたり、
タフそうな人の近くで仕事している人、
タフそうな人のパートナーなど、
いろいろ聞いている。
簡単な結論は今のところ、ない。
しかし
「タフな人は、実力があって、自信がある人だ」
という、
当たり前のことが浮かび上がってくる。
びっくりするくらい当たり前のことで、
こんなことを書いている自分にびっくりしている。
実力のない人はタフにはなれない。
から元気というものだ。
タフになる工夫を考えるよりは、
仕事の実力、人間関係の実力をつけた方がいい。
自信があって、かつ、謙虚という人が一番、いい。
本当に自信があれば、
から威張りする必要もなくなる。
実力があれば、成功体験がついてくる。
それは人間にゆとりを与える。
実力があれば、他人からの肯定メッセージを受け取る。
そのことが自己肯定感につながる。
何といっても、仕事の実力をつけること。
ポイントは、そういうことのようだ。
当たり前のことができなくて苦しいから、
いろんな変なことが言われているだけだ。
真実はありきたりだ。
召使いに英雄なし
いくつかの会社で秘書の経験もあり、顔が広い。
メンタルがタフであることの中心点はどのあたりか、興味があるので、
秘書さんの知り合いを招いて、
社長さん会長さんやその周辺の人たちの性格や行動について、
教えてもらったりする。
秘書仲間でそれとなく分かってしまう話はあるらしく、
あの話は実はこういう事だろうと解説してもらったりもする。
無論、秘密厳守だけれど、結構面白い。
どこも似たようなものだと思うと同時に、
召使いに英雄なしとはよくいったものだと思う。
秘書さんが召使いという事ではない、
英雄でも、至近距離で見ていれば、いろいろと問題があるということだ。
秘書さんが何を見ているか、気をつけることです、社長さん。
それによれば、結局、どの人もあまりタフではないらしい。
みんなと同じようにくよくよしているようだ。
頻尿の薬
同時に啓蒙もさかんである。
年をとれば夜間尿も当たり前になる。
その場合に、皆さんなら、泌尿器科に行くだろうか、心療内科に行くだろうか。
泌尿器科に行けば、多分、過活動性膀胱ですと言われて、
デシリトールトかベシケアその他、またはバップフォー、
あるいは、前立腺肥大のことを考えて、αブロッカー、
たとえばハルナール、アビショット、フリバスがでるだろう。
年をとれば肥大しているわけですから。
一方、心療内科・精神科に行けば、まず、
睡眠導入剤を使ってみてくださいといわれるかもしれない。
これは、眠れないからトイレに行くのだと診断されていることになる。
泌尿器科なら、トイレに行きたくなるから眠れないのだと診断されている。
どっちがいいのだろう、正解なのだろう。
両方試してみればいいですけれどね。
長期的副作用などについては、
睡眠系の薬のほうが、歴史は古いので、確認されている有利さがある。
泌尿器関係の薬は、精神的な方面に効く薬ではないという安心感があるだろう。精神関係の薬に関しての心理的抵抗感は根強いものがある。なくなって欲しいが。
どちらを使うか、微妙なところです。
精神に効く薬は危ないという思いこみを治す精神系薬剤もあるのですが、原理的に、使用は難しいわけです。
整形外科と心療内科
JA長野厚生連安芸総合病院整形外科の谷川浩隆先生によれば、
*****
患者の反応が、精神科と整形外科の場合で違う。たとえば、
腰痛の原因が心理的なものであると推察された症例について、心理学的な問診を行った場合。
精神科の診察室の時は、問診がきっかけで痛みの心理的原因が明らかになり治療がスムーズになった。
整形外科の診察室の時は、「整形外科の医師になぜ家族のことを聞かれるのか」と拒否的な反応が返ってきた
整形外科を受診する患者には、
(1)心理的原因への気づきができない(ことさら気づきを拒絶している)
(2)心理的原因についての訴えには自ら触れない
(3)心理的な原因を探るための問診に対して、拒否的である(時には医師に対する不信感を露にする)
(4)身体的治療への期待感が非常に強い
(5)私的生活への言及は痛みに対するもののみ
(6)医師に対する人間的なかかわりへの期待度は低い(痛みだけを治してくれればいいという姿勢)
などの特徴がある。
*****
なるほどそうですね。心理的なことが原因で腰痛が起こっているとなると、自分は精神的に弱い人間だと認めることになり、それは受け入れられないということのようです。
心療内科を受診するということ自体、そのレベルはすでにクリアしたということなので、むしろ、その先の話ができて、治療も進むわけです。
本当は心理的原因があるのに、「腰が痛いだけなんだから、薬とか理学療法でなんとかしてください」と言う患者さんの場合、難しいものがあります。だって原因療法を拒絶しているわけですから。
睡眠薬服用時の睡眠時異常行動
driving, making phone calls, and preparing and eating food (while asleep).
をすることがあるという話について。
最近分かってきたことではなく、もうずっと昔から観察され、言われていること。
朝、テーブルの上に、夜中に何か食べたあとの皿を見つけて、驚いたりする。
お医者さんは驚かないし、対策もいろいろあるので、相談してください。
*****
FDA Requests Label Change for All Sleep Disorder Drug Products
The U.S. Food and Drug Administration (FDA) has requested that all manufacturers of sedative-hypnotic drug products, a class of drugs used to induce and/or maintain sleep, strengthen their product labeling to include stronger language concerning potential risks. These risks include severe allergic reactions and complex sleep-related behaviors, which may include sleep-driving. Sleep driving is defined as driving while not fully awake after ingestion of a sedative-hypnotic product, with no memory of the event.
"There are a number of prescription sleep aids available that are well-tolerated and effective for many people," said Steven Galson, M.D., MPH, director of FDA’s Center for Drug Evaluation and Research. "However, after reviewing the available post-marketing adverse event information for these products, FDA concluded that labeling changes are necessary to inform health care providers and consumers about risks."
In December 2006, FDA sent letters to manufacturers of products approved for the treatment of sleep disorders requesting that the whole class of drugs revise product labeling to include warnings about the following potential adverse events:
- Anaphylaxis (severe allergic reaction) and angioedema (severe facial swelling), which can occur as early as the first time the product is taken.
- Complex sleep-related behaviors which may include sleep-driving, making phone calls, and preparing and eating food (while asleep).
FDA has been working with the product manufacturers over the past three months to update labeling, notify health care providers and inform consumers of these risks.
Along with the labeling revisions, FDA has requested that each product manufacturer send letters to health care providers to notify them about the new warnings. Manufacturers will begin sending these letters to providers starting this week.
In addition, FDA has requested that manufacturers of sedative-hypnotic products develop Patient Medication Guides for the products to inform consumers about risks and advise them of potential precautions that can be taken. Patient Medication Guides are handouts given to patients, families and caregivers when a medicine is dispensed. The guides will contain FDA-approved information such as proper use and the recommendation to avoid ingesting alcohol and/or other central nervous system depressants. When these Medication Guides are available, patients being treated with sleep medications should read the information before taking the product and talk to their doctors if they have questions or concerns. Patients should not discontinue the use of these medications without first consulting their health care provider.
Although all sedative-hypnotic products have these risks, there may be differences among products in how often they occur. For this reason, FDA has recommended that the drug manufacturers conduct clinical studies to investigate the frequency with which sleep-driving and other complex behaviors occur in association with individual drug products.
The medications that are the focus of the revised labeling include the following 13 products:
Ambien/Ambien CR (Sanofi Aventis)
Butisol Sodium (Medpointe Pharm HLC)
Carbrital (Parke-Davis)
Dalmane (Valeant Pharm)
Doral (Questcor Pharms)
Halcion (Pharmacia & Upjohn)
Lunesta (Sepracor)
Placidyl (Abbott)
Prosom (Abbott)
Restoril (Tyco Healthcare)
Rozerem (Takeda)
Seconal (Lilly)
Sonata (King Pharmaceuticals)
For more information on the sedative hypnotic products and sleep disorders, visit http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/sedative_hypnotics/default.htm;
www.fda.gov/womens/getthefacts/sleep.html and www.nhlbi.nih.gov/health/dci/Diseases/inso/inso_whatis.html.
パキシルの妊娠初期服用
妊娠関係でもう一つ紹介。やはり日経メディカル。2005. 10. 1の記事。元の記事である米GSK社の医療従事者向けリリース と比較してみていただきたい。
*****
パロキセチンの妊娠初期服用は、他の抗うつ薬に比べ先天性奇形リスクが約2倍に
パロキセチン(商品名:パキシルなど)を妊娠初期に服用すると、他の抗うつ薬を服用した場合に比べ、先天性奇形の発生リスクが約2倍に増える可能性があるようだ。これは、発売元の米GlaxoSmithKline(GSK)社が行った調査で明らかになったもの。同社はこのほど、この結果に基づき、米国で販売するパキシルとパキシルCRについて、妊娠に関する注意書きを変更した。ただし、現時点でパロキセチンと先天性奇形の因果関係を明らかにできる、ヒトを対象にした信頼性の高い試験はなく、妊婦への投与は、潜在的リスクと効用のバランスを考慮した上で行うという、これまで通りの基準になっている。
米GSK社は、妊娠初期に抗うつ薬を服用していた3581人の妊婦を対象に、主な先天性奇形について、後ろ向き疫学調査を行った。その結果、妊娠初期にパロキセチンを服用した母親から生まれた子供が先天性奇形であるオッズ比は、同様の条件で他の抗うつ薬を服用した場合に対し、2.20(95%信頼区間:1.34~3.63)だった。また、心血管奇形の同オッズ比は、2.08(同:1.03~4.23)だった。なお、心血管奇形の見られた14人の乳児のうち10人が心室中隔欠損症だった。
一方、同社によると、妊娠初期に選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を服用した母親から生まれた、4291人の乳児について調べた別の研究「Swedish Medical Birth Registry」の結果では、パロキセチンを母親が服用した708人の乳児に、主な先天性奇形のリスク増加は見られなかったと付け加えている。
詳しくは、米GSK社の医療従事者向けリリース [http://www.fda.gov/medwatch/safety/2005/Paxil_dearhcp_letter.pdf]まで。(當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)
*****
これに関する、元の記事は、次のようなもの。
*****
Vol.3(2005) No.19(1006)R5
【 米FDA 】
• [‘Paxil’](paroxetine),[‘Paxil CR’](paroxetine 徐放錠):催奇形性に関して処方情報の改訂を通知
Important Prescribing Information:[‘Paxil’],[‘Paxil CR’](paroxetine HCl)
通知日:2005/09
http://www.fda.gov/medwatch/safety/2005/Paxil_dearhcp_letter.pdf
(Web 掲載日:2005/09/27)
GlaxoSmithKline(GSK)社とFDAから,[‘Paxil’]および[‘Paxil CR’]徐放錠の処方情報,妊娠/処方上の注意の項目を改訂して,先天性奇形に関する記載を追加することが医療従事者に通知された。この改訂はGSK 自身による後ろ向き疫学研究においてparoxetine の先天性奇形のリスクが他の抗うつ剤に比較して高く算出された結果に基づくもので,妊婦へ投与する場合は潜在的なリスクとベネフィットを慎重に検討し,治療法の変更も含めて患者と話し合うよう助言している。
◆背景
GSK 社は妊娠第1 三半期に抗うつ剤を服用する女性から生まれた子供の重大な先天性奇形について,後ろ向きの疫学的研究を行った。最近の予備解析の結果から,データベースでは他の抗うつ剤と比較してparoxetine で,先天性奇形全体に対する調整オッズ比は2.20〔95%CI[1.34~3.63]〕,心血管系の先天性奇形単独の調整オッズ比(OR)は2.08〔95%CI[1.03~4.23]〕であった。先天性奇形全体の発生率は約4%,心血管系の先天性奇形単独の発生率は約2%であった。Paroxetine を投与された母親の乳児で報告された心血管系の先天性奇形のうち最も多かったのは心室中隔欠損症であった。
GSK 社の研究は,抗うつ剤を服用した女性から生まれた乳児の先天性奇形の抗うつ剤間の相対リスク評価を目的にデザインされたため,抗うつ剤に曝露されていない乳児との比較は行われていないことに注意すべきである。したがって,これらのデータは一般の母集団における先天性奇形の全般的な発生率と関連して検討すべきである。米国において,先天性奇形は約3%,心血管系の先天性奇形単独では約1%であると推定されている(Honein 1999)。
従来のparoxetine を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に第1 三半期に曝露された場合の妊娠の転帰に関する疫学研究では,SSRI に対して重大な先天性奇形のリスクの増加のエビデンスは示されていなかった。Swedish Medical Birth Registry による最新の論文は(Hallberg2005),上記のGSK 社の研究と異なり,抗うつ剤に曝露されていない乳児との比較を含んでいる。
妊娠初期にSSRI に曝露された母親から生まれた4,291 人の乳児のデータから,全体で2.9%の先天性奇形が示されている。著者らは,抗うつ剤に曝露されていない乳児に予測された3.5%の発生率と差がないと結論付けている。この登録データ内のparoxetine に曝露された708 人で,先天性奇形の発生率は3.4%であった。
さらに最近になって,Alwan らは1997~2001 年に生まれた乳児のNational Birth Defects Prevention Study から得たデータを報告している(2005)。調整した解析により,SSRI を服用した女性は服用しなかった女性と比較して,臍帯ヘルニアの子供が生まれやすいことが示されている(n=161)〔OR 3.0,95%CI[1.4~6.1]〕。最も影響が強いのはparoxetine であり,すべてのSSRI 曝露の36%を占めると報告されている〔OR 6.3,95%CI[2.0~19.6]〕。著者らはまた,SSRI への曝露と頭蓋骨癒合症との関連も指摘している(n=372)〔OR 1.8,95%CI[1.0~3.2]〕。
Wogelius らによる the 21st International Conference on Pharmacoepidemiology and Therapeutic Risk Management(2005年8月21~24日)での発表の要旨には,妊娠の30日前から第1三半期の終わりまでにSSRIを処方されなかった女性に比較して,この期間にSSRIを処方された女性において,調整ORが先天性奇形全体で1.4〔95%CI[1.1~1.9]〕,先天性心奇形で1.6〔95%CI[1.0~2.6]〕であることが報告されている。
公表された研究結果が異なることや最近報告された異常が多様であることから,paroxetine に関連する特定の先天性異常の因果関係を断定することは困難である。GSK 社はこれらの予備的な知見を十分に理解するためさらに疫学的な研究を継続中である。
◇関連情報
・医薬品安全性情報Vol.3 No.18
・Caution over antidepressant paroxetine during pregnancy〔Vol.3 No.18 に要約掲載〕
http://www.tga.health.gov.au/media/2005/050907-paroxetine.htm
◎パロキセチン(paroxetine,SSRI)国内:発売済 海外:発売済
*****
というわけである。
後ろ向き疫学研究とは何か、調整オッズ比は2.20〔95%CI[1.34~3.63]〕とは、何を意味するのか、興味のある人は勉強してください。
・妊娠初期にSSRI に曝露された母親から生まれた4,291 人の乳児のデータから,全体で2.9%の先天性奇形が示されている。
・抗うつ剤に曝露されていない乳児に予測された3.5%の発生率
・paroxetine に曝露された708 人で,先天性奇形の発生率は3.4%であった。
2.9、3.5、3.4という数字の間に有意な差はないとの報告。なるほど。……結論1。
でも一方で、抗うつ剤を使った人の中で比較すると、パキシルを使った人の場合に、先天性奇形の割合が高かったという報告。なるほど。……結論2。
すると、どう?
抗うつ剤を使っても先天性奇形の割合は高くなることはないが、他の抗うつ剤よりもパキシルが高い、これはどう解釈する?
こんな場合は、データの詳細をさらに確認しないといけない。
そして、多分だけれど、この場合、抗うつ剤を使った患者さんの病状にかなり差があるだろうと考えられる。
先日も書いたが、うつ病の診断がついたら、シタロプラムから始めようという雰囲気があれば、ゾロフトもパキシルも、シタロプラムでは反応が悪かった群ということになり、薬剤の影響もあるだろうが、それ以外の影響もありそうだ。
簡単に言うと、シタロプラムでは自殺してしまうかもしれない場合に、ゾロフトやパキシルを使っているので、結果として、ゾロフトやパキシル使用例で自殺や先天性奇形が増えるのは当然かもしれない。
たとえば、東大病院は難しい患者さんが紹介されて来るわけだから、当然死亡率は高くなるだろう。でもそれは東大病院が悪い病院ということではなくて、難しい症例にもチャレンジしているとも解釈できる。それと同じことだ。
各抗うつ剤を無作為に割り付けるというプロセスはないようで、あまり意味のある疫学調査とは言えないのだろう。
疫学調査というものは、本質的メカニズムを解明する前段階のようなもので、本当は、薬剤が生体内でどのように機能して、効果と有害作用が生じるのか、解明されるまで、事の本質については留保されるべきものだ。
しかし何といっても人命は大切だから、何か怪しいと疫学調査がでた時点で対策を考えるのが正しい。
従って、疫学調査に敏感であるべきだ。
しかし、調査の方法、内容について、もっと厳密に論評されるべきだと思う。
そしてそれをかみ砕いてレポートする場合に、うっかりすると、「ためしてガッテン」レベルになってしまう危険があることも承知しておこう。
人工妊娠中絶
中絶前の相談、中絶後の相談も多いものですが、
次のような記事がありますので、紹介します。
日経メディカルより。
*****
全世界の年間中絶件数は4200万件
うち48%が危険な中絶
人工妊娠中絶の発生率に関する情報は、望まぬ妊娠を減らすため、そして、危険な中絶を減らすための対策の構築において極めて重要だ。米国Guttmacher研究所のGilda Sedgh氏らは、世界の各地域の人工妊娠中絶の件数を調べて1995年と比較した結果をLancet誌2007年10月13日号に報告した。
全世界が協力して2015年までに達成すべき8つの目標を掲げた「ミレニアム開発目標」の5番目が、「妊産婦の健康の改善」だ。妊産婦の死亡率を1990年の4分の1に減らすことを目指しているが、その達成に向けた監視においても、中絶率の把握は重要だ。しかし中絶は公になりにくい側面を持つため、データソースは限られており、正確な情報を入手することは難しい。著者らは、世界的な中絶率とその傾向をより正確に分析しようと試みた。
2003年の世界的、地域的な中絶の発生率は、公式な国別報告システム、国民を代表する集団を対象とする調査、病院の医療記録、論文発表された研究などから抽出したデータを基に推計した。また危険な中絶は、術者の技術が未熟、または、環境が最低限の基準を満たしていない(中絶は非合法といったの要因も含まれる)場合とした。
解析の結果、2003年には全世界で4200万件の中絶が行われたと推計され、95年の4600万件よりも少なかった。15~44歳の女性1000人当たりにすると、2003年には年間29件で、1995年の35件より少なかった。
2003年の1000人当たりの中絶率を地域別で見ると、アフリカ29件、アジア29件、欧州28件、南米とカリブ海沿岸地域31件で、ほぼ同様だった。北米は21件、オセアニアは17件と少なかった。
中絶率が最も低かったのは西欧で、1000人当たり12件。北欧は17件、南欧では18件。これらの地域は中絶が合法化されており、発生率は低いまま維持されていた。反対に最も高かったのは東欧の44件だった。ただし東欧は、95年の90件から急激に減少した。
全世界の5分の1に相当する860万件の中絶が行われた中国では、20%超も減少した。
2003年の時点で、全体の48%が危険な中絶だった。先進国では92%が安全な中絶であるのに、途上国では全体の55%が危険な中絶で、すべての危険な中絶の97%超が発展途上国で行われていた。危険な中絶が最も多かったのはアフリカ(98%が危険な中絶)で、2番目が南米とカリブ海沿岸諸国(94%)だった。アジアは34%だった。
危険な中絶が途上国に集中していることから、避妊技術の幅広い利用を可能にし、すべての中絶が安全に行われるようにする世界的な努力の継続が必要だ。
原題は「Induced abortion: estimated rates and trends worldwide」、概要はこちらで閲覧できる。
(大西 淳子=医学ジャーナリスト)
*****
日本での状況はまた別であるが、いろいろと考えさせられる。
母体にとって危険な中絶を安全なものにしていこうという趣旨は当然賛成である。
具体的な数字がLancet誌に掲載されたことに意味があるだろう。
日本では、お金を出せば、安全である。
お金が用意できなければ、危険なこともしているらしい。
医療機関で処置するには男性の同意が必要で、どんな男性が同意しているのか、
問題な部分もある。
たとえば、既婚女性の場合は、法律上の夫の同意が必要とのことだった。
何しろ、結婚している限り、妊娠した場合には、夫の子供だと推定するという法律の国である。
夫の他に恋人がいて、妊娠したから離婚して、出産しても、
その子は自動的に夫の子供と推定される。
しかしそれは実態にそぐわないので、何日にするとか、議論があった。
無責任な男性の子供の場合、親切な別の男性がついて行って、同意書にサインする場合もあるらしい。
そんなこんなで、心理的にも、深い傷になる場合がある。
場合があるというより、多くは深く傷つくと言った方がいいだろう。
中絶前の悩みは深い。
中絶後の悩みも深い。
普段は気にしていないような、人間のこころの奥底の価値観があぶり出されるような、そんな場面である。
キリスト教保守派の主張する、中絶禁止も、一理あると思ってしまうのである。
当然、中絶禁止反対派の言う、「かえってよくないことが多いのだ」ということも実際そうであって、中絶禁止反対派にも一理ある。
難しい世の中である。
QIDS-SR 自己評価するうつ尺度の例
使い方は STAR*D の記事の中にあります。
1.寝つき
A 寝付くまでに30分以上はかからない
B 最低30分はかかる。1週間の半分くらいはその状態である。
C 最低30分はかかる。1週間の半分以上はその状態である。
D 1時間はかかる。1週間の半分以上はその状態である。
2.寝ている最中
A 夜中に起きない
B 休んだ感じがしない。毎晩浅い眠りで時々目が覚める夜がある
C 一晩に1回は必ず目が覚める。でも簡単にまた眠り始める
D 一晩に1回以上目が覚める。再び寝付くのに20分以上かかる。
それが1週間に半分くらいの割合で起こる
3.目覚めが極端に早すぎる
A 通常、起きる時間の30分以内に目覚める
B 1週間の半分は起きる時間の30分以内に目覚める
C 起きる時間の1時間前に目覚め、又眠ってしまう。
D 起きる時間の1時間前に目覚め、再び眠ることは出来ない
4.寝過ぎ
A 昼寝しないで、一日7~8時間の睡眠
B 昼寝を含めて一日10時間以上は眠らない
C 昼寝を含めて一日12時間以上は眠らない
D 昼寝を含めて一日12時間以上眠る
5.悲しい感情
A 悲しい感情ではない
B 1週間の半分は悲しい感情ではない
C 1週間の半分以上は悲しい感情である
D ほとんどいつも悲しい感情である
6.食欲の減退
A いつもの食欲と変りがない
B いつもより少ない量を時々食べる
C 通常の食事量よりかなり減っていて、自分で努力して食べている
D 一日の中であまり食べない。多大な努力を払って食べるようにし、又は人から食べるように言われた時に食べる
7.食欲の増進
A いつもの食欲と変りがない
B いつもよりもっと頻繁に食べる必要があると思う
C 定期的に普段より多く食べたり、食べる回数も増えた
D 食べ過ぎな程食事量も食事回数もかなり増えている
8.体重の減少(過去2週間以内)
A 体重に変りがない
B 少し痩せた感じがする
C 2ポンドか、それ以上痩せた
D 5ポンドか、それ以上痩せた
9.体重の増加(過去2週間以内)
A 体重に変りがない
B 少し太った感じがする
C 2ポンドか、それ以上太った
D 5ポンドか、それ以上太った
10.集中力/決断力
A 集中力と決断力の自分の能力に変りはない
B 時々決断力の鈍りを感じ、注意散漫になっていることを感じる
C ほとんどの時に決断すること、集中することに困難を感じている
D 読む時に集中できない。又は小さなことも決められない。
11.自分自身への視点
A 他人の価値を認めると同様に自分の価値も見られる
B いつもより自分を責めることが多い
C 自分が他の人の問題の原因になっていると、かなり信じている
D 大きなことでも小さな事でもいつも逃避しようと考えている
12.死や自殺の考え
A 死や自殺のことは考えない
B 人生は空虚だ、生きる価値があるのだろうかと感じる
C 1週間のうち数回は、死や自殺を数分間考える
D 一日の内で数回、死や自殺を考え、その方法やプランの詳細も考えたり、自殺を実際に試みたことがある
13.一般的な興味
A 他の人々又は活動に対する興味はいつもと変わらない
B 自分が、他の人々又は活動に対する興味が薄れたことに気づいている
C 自分は以前からしていた1~2つの活動以外に興味がないと分かった
D 以前していた活動に事実上もはや何も興味もない
14.活力(エネルギー)のレベル
A いつもの活力のレベルと変りない
B いつもより疲れ易い
C 日常の活動(例:買い物、宿題、料理、仕事に行く)を始める、又は終わらせるのに大きな努力をしなければならない
D 活力が無くなって、日常の活動をやり遂げることがほんとうに出来ない。
15.物事、動作が遅くなった感じ
A 話す、動作のスピードはいつもと同じだと思う
B 思考が遅くなって、声がだるく平坦になった
C ほとんどの質問の応答に数分かかり、思考が遅くなったことは確実
D かなりの努力をしないと質問に答えることができないことがしばしば起きる
16.休んだ感じ
A 休んだ感じがしないという気分はない
B しばしばせかせかしたり、手をよじったり、座る腰の位置を変えたりする
C 衝動的な動きがあり、休んだ感じがしない
D 時々座り続けることが出来ないと感じ、歩き回る必要がある
© 2000, A. John Rush, M.D., Quick Inventory of Depressive Symptomatology (Self Report) (QIDS-SR)