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動機づけ面接法 基礎・実践編

動機づけ面接法 基礎・実践編
ウイリアム・R.ミラー/著 ステファン・ロルニック/著 松島義博/訳 後藤恵/訳
2007年6月

[要旨]
クライアントがアンビバレントな状態にあるとき、あなたはどう援助しますか?
なぜ人は変わることができるのでしょうか?
その答えが…本書の中にあります。
依存症の治療に革命をもたらし、
精神科を越えてあらゆる領域で応用されている面接法。
世界標準の技法となった「Motivational Interviewing」の邦訳。 
 
[目次]
第1部 基礎理論編
 なぜ人は変わるのだろう?;アンビバレンス(両価性)変わることのジレンマ;変化を促進する
第2部 実践編 動機づけ面接法とは;変化と抵抗―硬貨の両面
 第1段階 変化への動機を構築する;チェインジ・トークへの応答;抵抗への応答;自信を深める
 第2段階 「変わる」決意を評価する;実際の症例;倫理的考察
第3部 動機づけ面接の学習編
 学習を振り返って;学習を促進する 



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モチベーショナル・インタヴューイング(動機付け面接)

モチベーショナル・インタヴューイング(動機付け面接) について
甲府住吉病院の院長先生のブログから収録。

*****
今日は「退院準備プログラム委員会」がありました。私たちの持っている退院準備プログラムには、(主に)長期入院されている方が地域生活に再参加するために必要なスキルのうち、どういったものを提供しているのかという分析をしてみました。

いくつかのスキルをあげていくうちに「退院についてのモチベーションをどうやってあげるか」という課題が残りました。

最近、モチベーションをあげる方法としては「モチベーショナル・インタヴューイング(動機付け面接)」というものを聞いたことがあります。

Motivational Intervewing(MI)は、困難な状況でにっちもさっちもいかない、”今のままで仕方がない,と考えている人と話し、変化する方向に向けていく”ためのスキルとされています。

人が行動を変えない理由は何でしょうか。

・今までのやり方をかえることと、今までのやり方を変える必要がない理由を証明すること、
 どちらかを自分で選びなさいと言われたら、ほとんどの人は証明の方を選ぶ
 (John Galbraith)

・ストレスが高まり、そしてその反応として何か変えようとするときに、人はいつも自分自身の
 行動レパートリーの中で最もよく使う問題解決法で必要を満たそうとする。
 たとえその方法が役立たないとしても。

これらを変化させていくためのスキルがMIというわけです。MIにはいくつかの原則やプリンシパルがありますが、その中のひとつに、OARSという面接者の手順が示されています。それは、

1.開かれた質問(Open-ended questions)
2.是認(Affirmations)
3.聞き返し(Reflections)
4.要約(Summaries)

です。開かれた質問は、クライエントが自由に自分自身の考えを述べ、その中から解決法を自分で探し出していけるように配慮した質問の方法です。したがって「はい/いいえ」で答えられる質問ではなく、「どうやって?」とか「どう思い/感じますか?」など、答えを引き出すような質問になっています。その質問によって、クライエント自身によって

1.問題の認識
2.気がかりな点
3.変化への意思
4.希望を持つこと

が構成されるように会話をつなげていくものです。クライエントの自由な考えを引き出していくためには、善悪の価値判断は避けるべきで、会話の冒頭に「しかし」「でも」は禁句です。「なるほど!」と感心したり、違った意見を述べる場合には「一方では」というようにすると良いようです。

カウンセリング・スキルとしてのMIも重要ですが、そのマインドは日常のかかわりの中でもいかされるべきものと思われます。

*****
Motivational Intervewingの領域
・MIに関するMillerの最初論文発表(1983)
・Motivational Intervewing初版(1989)
•著者:Miller,Rollnick(心理学者)
アルコール依存薬物依存などアディクションの治療
•MI訓練ネットワーキング(1995)設立
•MIビデオ出版(中国・伊・仏・独などで翻訳)
・Motivational Intervewing第2版(2002)
Motivational Intervewingの理論的基盤
実践における適用など25章から構成
アルコール依存・肥満・糖尿病・心疾患・禁煙・精神疾患

Motivational Intervewingの定義
クライエント中心技法であり、
アンビバレンス(反対感情の並存)
を探り、解決することによって、
変化への内的なモチベーションを高めるものである。
治療(Treatment)や療法(Therapy)とは本質的に異なる

Motivational Intervewingの基盤となるスピリット
•協働(Collaboration)
•実践者と対象者との関係は同じ水平的立場
•実践者は、肯定的な人間関係的環境を創る
•喚起(Evocation):呼び起こす
•協働する時の実践者の姿勢や声の調子は
•何かを他者に授けるというものではない
•自律(Autonomy)
•変化に対する個人の能力を信じること
•What  do you want to do?
•変容を促す会話(Change Talk)

行動変化を促すための動機づけ質問技法の進め方
•課題の設定
•重要性を認識する(Identify Personal Values)
•不協和状態を作る(Create Dissonance)
•個人の価値と最近の行動を比較する
•目標をたてる(Set Goals)
•計画を立てて実行する(Develop Plan and Implement)
From G.Welch

課題の設定ー扉を開ける
(協働的関係を作り出す)
・患者が変えたいと思う部分について、十分に話し合う機会を提供する
・緊急の課題
・医療職者にとって、重要な課題
ドアをノックするようなもの
「個人的な事柄についてお聞きしてよいでしょうか」
「もしよろしければ、計画について説明しようと思いますが・・・」

重要性を認識する・・・20の項目の中から、5選ぶ
•心丈夫・安全・生活力や他への影響力
•友情・人生を楽しむことや挑戦
•良好な健康状態・退職後の満足
•配偶者や子どもとの関係・長寿
•他の家族との関係・旅行の機会
•仕事や昇格・他人からの尊敬を得る
•有意義な職場環境・精神的な達成感
•経済力・社会の役に立つ
•地域環境での生活・自由な時間がある
•自信に満ちた外見や容貌
・名声や社会からの尊敬

最も価値のある(Highest)ものを明確にすることが、行動変容への動機づけにつながる

Set Goals目標を立てる
•可能性のある解決策は、その個人から生まれる。
•自分自身をささえるために、責任を自分自身がもつ。
•患者自身が、障碍にうまく対処できるようになる。
•解決策は、医療職者の処方から生まれるのではない。
•医療職者は、患者のたてた解決策が、科学的根拠にもとづくか?判断する役割を担う。

*****
概略このような感じ。
アルコールをやめるとか、糖尿病でカロリーコントロールするとか、
そのあたりのことらしい。

「今のままでは仕方がない」と思いつつ、
「どうすればいいか分からない」と思う人は多いので、
このような方法を技法として意識すれば、
「何をすればいいか」がはっきりしてくると思います。



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睡眠導入抗ヒスタミン剤 ドリエル ナイトール

日本では睡眠導入薬と名づけられた店頭販売医薬品(OTC)が、半年で100万個も売れたそうです。よく眠れない、良い睡眠が欲しいという程度の人を加えれば、不眠に悩む人は日本だけでも2千万人を超えるのではないかといわれていますから、快眠を求める市場は非常に大きいといえます。
睡眠薬の多くはベンゾジアゼピン系誘導体であり、最も普及しているのがトリアゾラムを配合したハルシオン(注1)ですが、ハルシオンは医師が処方する医薬品であり、OTCではありません。

エスエス製薬が2003年4月1日に売り出した、店頭販売医薬品(OTC)ドリエルの成分はヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン剤)の塩酸ジフェンヒドラミン(注2)です。グラクソのナイトールも主成分は塩酸ジフェンヒドラミン。

簡単に言えば、アレルギー性鼻炎の昔の薬の副作用で眠くなることを利用している。
医療用でいえば、ポララミンとかヒベルナ、アタラックスがそれにあたる。

風邪薬や鼻炎カプセルなどに配合される抗ヒスタミン剤に、催眠効果のあることはよく知られています(注5)が、ドリエルはその作用を利用した抗ヒスタミン剤であり、ハルシオンや米国ではOTCで販売されているメラトニン(Melatonin (N-acetyl-5-methoxytryptamine) とは作用が異なります。
したがって睡眠導入抗ヒスタミン剤は精神神経に関する疾病や、不眠症を治療するものではありません。

米国では、塩酸ジフェンヒドラミンは、主として、枯れ草病hay fever、花粉症、風邪などの鼻炎、涙目などのアレルギー症状や、虫さされのかゆみ止めに使用されている成分です。
塩酸ジフェンヒドラミンを配合した抗アレルギー薬品ではワーナーランバート社 Warner-Lambert CompanyのベナドリルBenadrylが最も著名といえます。(2000年にファイザー社Pfizer Incと合併したため、現在はファイザー社が販売しています)

米国にはレム睡眠(注4)を防ぎ、睡眠援助sleep aidというような表現で、睡眠導入効果を謳う店頭販売医薬品(OTC)が数多くあり、ほとんどがドリエルと同じ抗ヒスタミン剤ですが、使用されている成分は、やや異なります。 米国で最も著名な睡眠導入抗ヒスタミン剤は、ベナドリルを販売しているファイザー社のユニサムUnisomです。
抗ヒスタミン剤には大別して15種類の成分があります(注6)が、ユニサムはコハク酸ドキシラミン(注3)を配合しています。この他、ユニサムに競合する睡眠導入抗ヒスタミン剤にはマレイン酸クロフェニラミンChlorpheniramineやフマル酸クレマスチンClemastineを配合した商品があります。(これら抗ヒスタミン剤は日本の大衆風邪薬や目薬にも配合されています)

抗ヒスタミン剤類は副作用もありますから、連用することや、妊婦、幼児、アレルギー体質の方は避けることが賢明です。またドーピング禁止剤に指定されている成分もあります。胃腸疾患や代謝異常も不眠の原因になりますから、その治療も必要です。 軽度の不眠は食生活など生活習慣の変換により解消することが多いと言われていますから、生活習慣を再度チェックなさることをお奨めいたします。

ドリエルのサイトはよくできている。睡眠についてちょっとチェックしたいときに参考になる。
http://www.ssp.co.jp/drewell/05-01.html
http://www.ssp.co.jp/drewell/05-02.html
http://www.ssp.co.jp/drewell/05-03.html
http://www.ssp.co.jp/drewell/06.html

ナイトールのサイトはこちら
http://nytol.jp/pc/nebusoku/index.html
http://nytol.jp/pc/hint/index.html

注1)ハルシオンHalcion 成分名トリアゾラム triazolam C17H12Cl2N4 ベンゾジアゼピン系誘導体 benzodiazepine
ファルマシア株式会社Pharmacia& Upjohn Company (ファルマシア社は 2003.8.1ファイザー社Pfizer Incと合併)
注2)塩酸ジフェンヒドラミン Diphenhydramine hydrochloride、Antihistaminic, H 1 -receptor  2-(Diphenylmethoxy)-N,N-dimethylethylamine  C17H21NO・HCl.
 塩酸ジフェンヒドラミンは厚生労働省の作用別分類ガイドラインでは、抗炎症と鎮痛剤に分類されています。抗炎症と鎮痛剤は5種類に分類されていますが、塩酸ジフェンヒドラミンは、その内のヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン剤)に分類されます(注6)。
注3)コハク酸ドキシラミンDoxylamine Succinate Antihistaminic, H 1 -receptor  2-[alpha-(2-dimethylaminoethoxy)-alpha-methylbenzyl] pyridine, succinate C17H22N2O.C4H6O4
注4)レム睡眠 REM(Rapid Eye Movement)急速眼球運動
レム睡眠とは肉体が睡眠状態でも、眼球が動いたりする状態を指します。反語としてノンレム睡眠がありますが、これは脳が眠る状態です。一般的には、一回の睡眠中にレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されるようです。お酒に強い方は、深酒時にはレム睡眠時間が長くなり、すっきりした目覚めが無いことを感じているでしょう。
注5)脳の睡眠・覚醒に関係が深い視床下部の後部には、興奮性ニューロンといわれるヒスタミンニューロンが多く存在しています。その末端から放出されるヒスタミンは、大脳皮質をはじめ脳の様々な部位の神経細胞を興奮させることによって覚醒の維持・調節をしています。塩酸ジフェンヒドラミンは、このヒスタミンの作用を抑制して、睡眠鎮静作用をあらわすと考えられています(エスエス製薬)。
注6)ヒスタミンH1受容体拮抗薬成分 Antihistaminic, H 1 -receptor
アザタディンAzatadine
ブロムフェニラミンBrompheniramine
セティラジンCetirizine
クロフェニラミンChlorpheniramine
クレマスティンClemastine
シプロヘプタディンCyproheptadine
デスロラタディンDesloratadine
デクスクロフェニラミンDexchlorpheniramine
ディメンヒドリネイトDimenhydrinate
ディフェンヒドラミンDiphenhydramine
ドキシラミンDoxylamine
フェクソフェナディンFexofenadine
ヒドロキシジンHydroxyzine
ロラタディンLoratadine
フェニンダミンPhenindamine:



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