SSブログ

仕事でうつ病、解雇無効 東芝の元技術職社員が勝訴

仕事でうつ病、解雇無効 東芝の元技術職社員が勝訴 
 
記事:共同通信社 提供:共同通信社【2008年4月23日】

 過酷な勤務が原因でうつ病となったのに、休職期間終了を理由に解雇したのは不当として、東芝の技術職の元社員重光由美(しげみつ・ゆみ)さん(41)=埼玉県深谷市=が解雇無効の確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は22日、解雇は無効と認め、慰謝料など約835万円と未払い賃金を支払うよう命じた。

 鈴木拓児(すずき・たくじ)裁判官は「うつ病発症前の半年間の時間外労働は平均で月約90時間。業務も肉体的、精神的な負荷を生じさせるもので、うつ病との間には因果関係があり、解雇は無効」と判断した。

 原告側の代理人は「仕事が原因でうつ病となった労働者を一方的に解雇するケースは多い。ただ訴訟になる例は少なく、今回のように業務が原因でうつ病になったと認め、解雇を無効にした判決は珍しい」としている。

 判決によると、重光さんは埼玉県の深谷工場で2000年から液晶生産ラインの立ち上げなどを担当。長時間の過重な労働で01年4月にうつ病を発症し10月から欠勤していたが、会社は04年9月に解雇した。

 同じ工場で働いていた元技術職の社員も01年秋にうつ病を発症、同年12月に自殺し、熊谷労働基準監督署は労災と認めている。

 東芝広報室は「主張が認められず、大変遺憾。控訴の手続きを取った」としている。



共通テーマ:健康

SDA開発の流れ

クロザピンはD2、D1、D4遮断作用を持っていることがわかり、 セロトニン系ではセロトニン2受容体の拮抗作用があり、それが臨床的に何かよい意味で抗精神病作用の中に含まれているのではないかと推定された。

ハロペリドールとセロトニン2受容体拮抗作用のあるプロピタンを併用するとよいことが分かり、抗ドーパミン作用(D2受容体遮断作用)とセロトニン2受容体拮抗作用を持った薬をつくってやればよいのではないかと、2つの作用を持った薬剤としてリスペリドンができた。

SDAの中でリスペリドンはブチロフェノンからの流れで、オランザピンとクエチアピンは三環構造を持った薬でクロザピンの流れを含み、クロザピンの臨床効果を期待しながら、クロザピンの持っているような副作用がない薬をということから生まれた。

日本では2001年の2月にペロスピロンとクエチアピンが承認され、同じ頃にオランザピンが出てきた。リスペリドンは1996年に一番最初の非定型抗精神病薬として登場した。

陽性症状にも陰性症状にも効き、認知機能障害を改善させながら錐体外路症状を軽減させ、高プロラクチン血症などを呈しにくい。



共通テーマ:健康

器質性脳疾患や身体疾患の可能性

~救急医療のニアミスから学ぶ~
筆者の経験した事例を一つ紹介します。精神科救急の当直をしていたとき、一般救急病院の医師から電話がありました。「昼間、救急車で搬送され入院した50代の男性が、夜になって落ち着かず興奮し困っている。会話もちぐはぐで臥床させようとすると激しく対抗する」とのことで、「身体的には異常はなく精神障害と思われる。とりあえずハロペリドールを筋注したが、そちらで診て欲しい」という依頼でした。

しばらくして救急車で転送されてきました。到着時、本人はストレッチャーの上で傾眠状態にあり、すでに興奮することはありませんでした。同伴した妻に様子を聞くと、昼頃酔って転倒し頭を打ったため救急車を呼んだとのことです。精神科の治療歴はありません。ただ、飲酒の問題があったとのことで、アルコールの離脱症状の可能性などが考えられました。

本人を診察すると、問いかけにはわずかに応えるだけで閉眼したまま傾眠状態が続いています。ハロペリドールの筋注だけにしては良く効いているなという印象でした。バイタルサインには問題ありません。

ところが一応理学所見をとるために眼瞼を開いたところでぎょっとしました。顕著な瞳孔不同が見られたのです。半信半疑でしたが、腱反射に左右差があり、バビンスキー反射も強陽性となると、これは頭の中で何か異変が起きているとしか考えられず、すぐに頭部CT検査を依頼しました。すでに夜中の1時を回っています。CT室のモニターに映し出されたのは頭蓋内の大きな白い影と中心線の偏位でした。急性硬膜下血腫のようです。すぐに院内の救命救急センター当直医に電話し、CT写真を見てもらいセンターに入院となりました。

頭蓋内出血を見落とし、精神科で救急入院させたままでしたら、あるいは生命に危険がおよんだかも知れません。ハロペリドールの筋注が良く効いていると疑いもせず、瞳孔不同に気づかなかったらと思うとぞっとします。

精神科救急の実践について話をするとき、必ず強調することは、「一般救急病院からの“身体的異常なし”の紹介を鵜呑みにしてはならない」ということです。筆者自身も何度か冷汗をかかされる思いをしたことがあります。本当に幸いなことに医療事故につながったことはありませんでしたが、ニアミスの怖さは身に染みています。そういったニアミス例のほとんどが、実は一般救急病院から「身体的に問題なく精神症状だ」として転送されてきたケースなのです。多忙を極める一般救急病院の医師は、対応の困難な興奮患者に対して十分に診察できない場合が多いのかも知れません。

精神科救急医療では、誤診が深刻な結果となる危険性が極めて高いのです。どんな場合でも常に器質性脳疾患や身体疾患の可能性を頭の片隅に置き、重篤な身体疾患を見落とさないこと。そしてそのためには、基本的な理学的診察を怠らないことがもっとも重要なポイントとなるのです。
(飛鳥井)



共通テーマ:健康

精神科救急

1.なぜ夜間24条通報事例が増加したのか

核家族化や親世代の高齢化等により、家族の危機的事態への対応能力が乏しくなったこと、そのような家族や近親者により普段は援助されているものの、地域生活を支える各機関との関係が希薄な精神障害者が増えたこと。さらに家族や近親者は、危機的事態において、親族や近隣あるいは他の援助者の助力を期待できるケースが少なく、ことに通常の相談機関が機能していない夜間・休日では、結局警察の力に頼らざるを得ない状況に置かれていることなどが原因。

2.精神科救急でもっとも多い疾患は統合失調症である

すべての施設の救急受診者数を合計し、受診形態によって4群に分け(緊急措置診察群、その他の警察官関与群、警察官関与のない入院群、警察官関与のない外来群)、それぞれ比較検討した。その結果、「緊急措置診察群」や「その他の警察官関与群」などの公的強制力を要するハードな救急において、およそ6割ともっとも多くを占めたのは統合失調症を中心とする精神病圏で、次いでアルコール・薬物性精神障害がおよそ2割だった。一方、ソフトな救急としての外来群では精神病圏の割合はより少なくなっていたが、それでも約4割だった。

日本の精神科救急医療でもっとも多い疾患は統合失調症である。



共通テーマ:健康

限界まで食べ、吐く 摂食障害と向き合う

限界まで食べ、吐く 摂食障害と向き合う/1 
 
記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社【2008年4月22日】

摂食障害と向き合う:/1 限界まで食べ、吐く

 ◇「毎日が生き地獄だった」??体が壊れる…でも太るのは恐怖

 「細くはないな」。片思いしていた男の子が、足を見て何気なく言った一言。それが引き金だった。「もっと、やせよう」。神奈川県三浦市の女性(38)は高3で始めたダイエットを機に、17年間、摂食障害に苦しんだ。

 食事の量を減らしたり絶食をするなどの食事制限を続けたが、一時体重は減っても、すぐ元に戻ってしまう。20歳の時、友人に「食べた後に吐いている」と打ち明けられた。

 「食べたいだけ食べても、吐けば太らない。こんなおいしい話はない」。目標体重の45キロになるまでと、軽い気持ちで自分も始めた。太るのが怖く、やがて吐かずには食べられなくなった。仕事のストレスもあり、過食と嘔吐(おうと)を繰り返すようになった。

 28歳で思いを寄せていた男性と別れると、悲しみと喪失感から過食がエスカレートした。毎晩、スーパーで見切り品の食物を買いあさり、おなかが膨れ上がるまで食べ続ける。食後、吐く汚物は一日バケツ3杯にもなり、父親が裏山へ捨てに行った。体重34キロ。心も体も限界だった。仕事は辞めた。

 「毎日が生き地獄だった。でも、吐くのを前提に食べると、本当に自由な気分になれる。過食の時間を待ちこがれ、そのために生きていた」と振り返る。体が壊れていくのを感じてはいたが「命に代えても太りたくなかった。やせることが人生のすべてだった」と話す。

    *

 食事を拒否することは、不仲な両親に対する無言の抵抗だった。大阪市の女性(34)は高校卒業直前から、食事を拒むようになった。食卓越しに両親の口論が始まると、黙ってはしを置き、自室にこもった。やせ細っていく彼女を、周囲は心配したが「スリムでカッコよくなったのに」と不思議だった。

 21歳で看護師に。命に向き合う現場の責任は重く、仕事に不慣れな新人に対する先輩らの風当たりはきつかった。重圧と劣等感に押しつぶされ、疲弊して家に帰ると、両親の怒号が飛び交っている。安息の場はどこにもなかった。はけ口を求めるように、過食が始まった。

 仕事帰りに大量に買い込み、家族が寝静まるのを待って、手当たり次第に口に詰め込んだ。食パン4斤、特大弁当2個、スナック菓子4袋、ケーキ、ご飯は櫃(ひつ)ごと……。それでも太るのが怖く、食べ終わると全部吐いた。「消えてしまいたい」。後悔と自己嫌悪でその度、涙が出た。「それでも、つらい日常の中で、過食だけが私を癒やしてくれた。あの時、過食がなければ自殺していたかもしれません」

    *

 長期にわたり心身をむしばむ摂食障害。自分が病んだ時、身近な人が発症した時、どうすればいいのか。摂食障害と向き合う人々を追った。【川久保美紀】=つづく

 ◇患者数は近年急増--死亡率高く影響深刻

 ストレスなど種々の心理的問題が原因となって食行動に異常をきたす摂食障害は、心の病だ。患者数はここ数年で急増している。

 厚生労働省研究班が98年にまとめた摂食障害の全国調査によると、80年の患者数推計値は人口10万人当たり1・5-1・8人。それが93年には4・9人、98年には18・5人と約10倍に増加。摂食障害の中でも、過食症の増加は著しく、93年には人口10万人当たり1・2人だったのが、99年には約6-7倍に。受診しない実際の患者数はもっと多いと推定される。10-30代を中心に女性の患者が9割以上を占めるが、男性にも一定の割合でみられる。

 低年齢化も進んでいる。国立精神・神経センター精神保健研究所(東京都小平市)の小牧元・心身医学研究部長が02潤オ03年に、全国8府県で全中学高校の養護教諭を対象に実施した調査では「摂食障害の生徒を持った経験がある」と答えた教諭は、中学で62%、高校で87%に上った。小牧部長は「高齢で発症するケースも目立ち、年齢層が広がっている」と話す。

 若い女性の「やせたい願望」や過激なダイエットと結びつけられ、軽くとらえられがちな摂食障害。だが、その影響は深刻だ。拒食症患者の死亡率は7%とも言われ、食べ吐き型では長期的な経過調査で死亡率が17-18%に上った報告もある。小牧部長は「思春期にみられる心身疾患の中では死亡率が極めて高い」と警告する。

……………………………………………………………………………

 ◇摂食障害

 大きく「拒食症」と「過食症」の二つに分けられる。拒食は食事量が減って極端にやせてしまう症状で、体重増加への恐怖や不安が強い。過食は食事の量や内容をコントロールできず、衝動的に大量の食べ物を食べてしまう。拒食は、食事を拒む「制限型」と、過食後に太らないよう嘔吐したり下剤などを使う「むちゃ食い・排出型」に分けられる。過食も「排出型」と「非排出型」がある。



共通テーマ:健康

自殺企図患者への精神科救急対応

自殺企図患者への精神科救急対応

精神科救急で頻度が高い受診者は、自殺企図や企図を未然に防がれた場合、ないし深刻な自殺念慮などである。また一般救急や救命救急から精神科コンサルテーションを要請される場合においても、もっとも多いのは自殺未遂である。中でも初期救急や二次救急で、ことに目立つのは過量服薬と手首自傷(リストカット)である。

自殺未遂が疑われたら、まず本人ないし家族に事実関係を単刀直入に確かめる。「いたずらに刺激してしまうのでは」といった心配は無用である。

受傷機転に関しては得られた情報を鵜呑みにせず、一つの手段に目を奪われないようにすること。例えば手首自傷の前に鎮痛剤を大量服用していたなど、複合的な手段を見逃さぬようにすることが身体治療上重要である。

以下は自殺未遂者の特徴と対応上のポイントである。

1.自殺未遂者の特徴
A.生命的危険性の乏しい軽症自殺未遂者
  • 20代若年女性層が突出して多い。
  • 手段は、少~中等量の過量服薬、浅い手首自傷が大多数。
  • 神経症、軽症うつ病、パーソナリティ障害、通院中の精神障害者に見られる
    (非精神病群>精神病群)。
B.生命的危険性を伴った重症自殺未遂者
  • 男性、中高年層に多い。
  • 手段は、飛び降り、電車飛び込み、大量服薬、服毒、刃物、縊首、焼身、家庭用ガスないし排気ガスなど。
  • 精神病圏、重症うつ病、アルコール症の割合が60%以上
    (精神病群>非精神病群)。
2.自殺未遂者への対応
A.良好例-簡単な精神的援助で帰宅させることも可能。
  • 言葉や表情が和らいで、自然な感情交流ができる。
  • 診察や処置に協力的。
  • 「もうしない」「助かって良かった」などの肯定的表現をしている。
  • 家族は患者の行動を共感的にとらえている。
B.不良例-救急入院を含め向精神薬投与
  • 言葉や表情に緊張が強く、自然な感情交流が見られない。おし黙っている、興奮が強い、不自然に冷静で他人事のよう、など。
    あるいは幻覚妄想状態、強いうつ状態を認める場合。
  • 診察や処置に拒否的、ないし言葉や行動がまとまらない。
  • 助かったことへの肯定的表現が出てこない。
  • 家族は患者に対して拒否的、批判的態度が強い。


共通テーマ:健康

現実との多彩なふれあいを

患者の回復
~現実との多彩なふれあいを

かつて診ていた統合失調症患者の話である。母親と二人だけの密着した生活を送っていた彼女は、完全寛解と思われた約10年間の後、母親の死をきっかけに急性の幻覚妄想状態に陥り、その後は一進一退を繰り返し、容易には回復しなかった。彼女は妄想上のフィアンセが自分を迎えに来ると信じ、来るはずのないその彼のために毎晩夕食を作り続けたのである。

遅ればせながら私は、現実との多彩なふれあいが病気からの真の回復を促すことを感じ、患者・家族の方には、表2のようなポイントを示して、一つでも多くこれを満たすと、病気に対する「免疫力がつく」などと話すようになった。

表2 回復に向かう人のイメージ
 病名を知っている。
 自分なりの人生設計を持っている。
 家の中で役割を持っている。
 病院以外に定期的に通うところがある。
 話せる友だちが2人以上いる。
 親や兄弟姉妹と仲が良い。
 主治医等に信頼感を持っている。
 自分の貯金を持っている。
 自分のことを悪く言わない。

(白石先生)

共通テーマ:健康

疾患へのアプローチ、 障害へのアプローチ

疾患へのアプローチ、 障害へのアプローチ 蜂矢英彦

地域リハビリ推進には、疾病と障害の概念自体の変革も必要であった。以前は「障害とは医学の力で治る可能性のないもので、医学の責任の範囲外にある」といった考え方があり、疾患と障害との共存という捉え方も理解されないことが多かった。良心的な医療者にも、患者を福祉施設に送るのは間違いだとか、彼らを障害者と捉えるのは、「医療の敗北」と考える向きもあった。

統合失調症の場合、陰性症状であれ陽性症状であれ、その症状の存在によって日常生活に困難・不自由・不利益が生じているのであれば、それは「障害」と捉えるべきである。そこでは、疾病に対するアプローチとしての「医学モデル」と同時に、障害に対するアプローチとしての「障害モデル」がなければならない(図1)。この「障害モデル」の実践、つまり障害によって生じた生活上の困難・不自由・不利益を軽減することを目的として、障害された機能の回復あるいは障害に対する援助と保障を行うのがリハビリである。精神障害においては、疾患と障害が共存しているのだから、治療開始とともに障害に対するリハビリを始めなければならないのである。

WHOの国際障害分類(ICIDH)以来、一般に障害はImpairment(機能障害)、Disability(能力障害)、Handicap(社会的不利)の3つのレベル、つまり生物学的レベル、個人レベル、社会的レベルで捉えられる(図2)。精神障害の場合には、精神疾患を経験したという経歴だけでも、就職、求職、結婚などに支障を来すなどの「社会的不利」は明らかであり、また職業上、日常生活上のさまざまな対応能力、処理能力に障害を来すこともしばしば経験する。これに対して、精神疾患の生物学的メカニズムが未だに不明であるため、機能障害については、身体疾患ほど明確にはなっていない。

リハビリのアプローチも、これら3つのレベルに応じて組み立てられる。すなわち、(1)機能障害には治療的アプローチが、(2)能力障害には適応的アプローチ(SST;Social Skills Training ;生活技能訓練、職業訓練など)が、(3)社会的不利には環境を改善する福祉的アプローチ(職業・所得・住居などの保障)が必要となる。また、治療とリハビリは並行して行わなければならないため、「障害の受容」をめぐっては心理的アプローチも必要となる。

 fig01.gif

fig02.gif



共通テーマ:健康

ES細胞 iPS細胞 ゆめの臓器 初期化因子

ES細胞 Embryonic Stem Cell、胚幹細胞
iPS細胞 induced pluripotent stem cell 人工多能性幹細胞

*****
精子と卵子が受精した直後の受精卵は、
単細胞ですが、それはいずれ細胞分裂して分化して、
人体のすべてを形成するに至ります。

成人の細胞をとってきて代々分裂増殖させたとしても、
無限に分裂するわけではありません。
老化が関与してきます。そして分裂能はなくなってしまいます。

ですから、受精卵は、すべての細胞になる能力をもつつともに、
老化の観点では、年齢カウンターをゼロにリセットしているのだと思います。

臓器移植するよりも、細胞培養によって臓器を形成し、
それを植えつけた方が良いだろうとの考えでした。

*****
そのような中で、ES細胞の開発が行われました。Embryonic Stem Cell、胚幹細胞です。

ES細胞は人体を形づくるあらゆる細胞にへと変ぼうすることのできるおおもとの細胞であるとともに、変ぼうする前の状態のまま自らをいくらでも分裂させて増やすことができる特性を持っています。
ES細胞を上手に誘導してやれば目的とする必要な細胞、組織、器官を意図的に作り出し、さまざまな治療に生かせる可能性が大いに広がったということを意味します

しかし、ES細胞はヒト受精卵から作製するために
患者へ移植すると拒絶反応が起ってしまいます

*****
ヒトの皮膚細胞から胚性幹細胞(ES細胞)と遜色のない能力を持った人工多能性幹細胞(iPS細胞 induced pluripotent stem cell)の開発に成功しました。
患者自身の体細胞から直接、ES細胞と同じ能力を持った幹細胞を作成するので免疫拒絶反応は起こらず、倫理的にも問題がありません。

ヒトES細胞と形態、増殖能、遺伝子発現、分化能力などにおいて類似したヒトiPS細胞

*****
初期化因子

体細胞を卵子に移植したり、ES細胞と融合させたりすると初期化が誘導されます。したがって、卵子やES細胞には初期化因子が存在していると考えられます。初期化因子の候補として24因子を選出しました。24因子を同時に線維芽細胞に導入すると、ES類似細胞が樹立できました。さらに因子の絞り込みを行った結果、Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4の4因子が必要であるとわかりました。こうやってできた細胞は、胚を使用していないのでES細胞ではなく、iPS細胞と命名しました。
何を導入したらiPS細胞ができるのか、最低限必要なのは何か、ここで国際的な競争が起こっていたわけです。

これまで体細胞から万能細胞を作るためには、卵子への核移植やES細胞との融合が必要でした。iPS細胞は、卵子や胚に由来するES細胞を利用する必要がありません。バチカンからのメッセージも好意的です。

しかしまた、そのようにしてできた細胞を累代培養した場合にどうなるかも問題です。



共通テーマ:健康

精神科診療所現況

全国の診療所数は推計ですが約2,500~3,000施設の間で、1診療所の平均患者数が556人です。施設状況は約3/4がビル診、常勤医師が1施設平均1.12人、事務員が約2人。医師1人のビル診が主流です。平均約2割が統合失調症の患者さんですから、1診療所の平均患者数556人のうち約100人、したがって全国では約30万人となり、いかに多くの統合失調症の患者さんが地域の精神科診療所に通っているかわかります。

東京都内には約400の診療所がありますから、約4万人になります。ちなみに都内には社会復帰施設(生活支援センター、授産施設など)が多数できましたが、そこでケアされている方々は多く見積もっても約9,000人です。

地域生活支援センターでは、統合失調症の方が今のところはメインではあるんですが、いわゆる境界型人格障害(Borderline Personality Disorder;BPD)の方が結構増えてきています。ICD-10やDSM-IVなど既存の診断基準を、診療所やカウンセリングルームでフォローしている人たちに適用しようとすると、どこか無理があるように感じるのです。対人緊張、リストカット、過食、キレやすさ、引きこもりなどのケースを既成の診断基準に当てはめようとしても、難しいものがかなりあったのです。

「機能分化」が進むと、そのシステムからはみ出さざるを得ない患者さんたちが一層出現する危険性があるわけです。

 



共通テーマ:健康

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。