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パラダイム検索 コンプレックス分析

コンピュータ屋さんに提案というかお願いがある

1.
コンプレックス分析
これは最初はユングが言い始めたもので、
自由連想をしていくと、連想に時間がかかり、
なかなか出て来ない言葉の一群がある。
それらの言葉は無意識下に抑圧したい言葉なのだろうと
見当を付ける。
そしてそうした言葉のグループをつなげて関係付けて考えれば、
意識が何を抑圧したいかが見えて来るのではないかというものだ。

これをコンピュータの辞書解析でやってみることはできないか。
各個人が自分の辞書を使っているので、だんだん辞書はその人の脳の特性を
映すようになる。

その人はどんな言葉を回避しているか、わかるかも知れない。
抑圧している言葉の一群は何かが分かるかも知れない。

逆に、好んで使う言葉の一群はかなりはっきり分かるだろう。

大多数の標準辞書というものを想定し、そこからのズレを測定すれば良い。

2.
各個人の辞書で
言葉と言葉の距離を測定することもできるだろう。実際にやろうとしている会社もあるようだ。
何に使うかということが問題で、心理学と治療に使いたいものだ。

どの言葉が出現したときに、どの距離にどの言葉が出現する確率はいくつくらいかと推定できるはずだ。これは、ただ計算すればいいだけで、難しくない。
その推定値は各個人の意識と無意識のどの部分かを反映しているのではないか。

無意識のうちの決め付けをしているとすれば、辞書と文章に反映されるだろう。
認知行動療法でいうスキームである。
否定形が多いとか、矛盾語法が多いとか、分析できそうで、
登録しておくと、その語法を使ったときに警報が出て、
訂正しないうちは先に進めないということに決めれば、
無意識の傾向が訂正されるだろう。
それは良い治療になるかもしれない。

3.
各個人ではなく、業界ごとの辞書を作ることができる。
業界ごとに抑圧している言葉の一群を探す。
また、極度に好んで用いる言葉を探す。
そうすることで、業界の集合的無意識と集合的意識を推定できる。

これは集団があれば必ず生じるズレ・歪みなので、
宗教ごととか国家、民族、地域ごととかで推定できる。
秋田県民と宮崎県民の集合的無意識に自殺に関係する何かが埋め込まれているかも知れない。

4.
これは違う話。
検索で、最近は「もしかして」とかで、近似する語彙を提示してくれる。
調べるときはそれを調べたいことが多いので、類似語提示はとてもありがたい。
できれば、これを大幅に拡張して、類似論理の提示をして欲しい。
かなり難しいし、どうしたらいいのか分からないが、
人間が何かを思いつくということはそんなことであることが多い。
何かについて、別の分野の何かと似ていると思い、
適応してみる。

都合の悪いことは抑圧して見ないようにするという話を、
別の場面で応用する。
ひらめくということの一部はそんなことだ。

精神医学という世界は哲学の後追いが多くて、
その時々の流行の哲学を語る流派がいつもいる。
またときには精神医学が哲学に影響を与える。

脳科学が進歩すれば、当然人間の思考は、脳の活動の範囲内なのだから、
脳科学で哲学は記述されることになる。
その意味で、精神医学は、哲学に優先する立場にある。
多分これから先はそういう流れになるだろう。

脳の中にある回路は有限なので、
新しい事象に古い回路を当てはめる。
そんな操作をサンスクリットの時代から繰り返しているような気もする。

そうであれば、それをデータベース化すれば良いのだろう。
名前もよく分からないがパラダイム検索とかそんなものだ。

もっと次元を下げて具体的に言えば、
短歌のデータベースが欲しい。
言葉で探すのではなく、イメージとか論理の類型で検索するようなもの。

たとえば、言語マップを何次元かで構成したとして、
ある語彙から、どの軸方向に、どれだけの距離のある語彙を
つなげて使っているかで検索するとか。

あるイメージとあるイメージのつなげ方、
つまり多いのは比喩であるが、
比喩の仕方を検索したい。

この感じを何に喩えたらいいのかとか、
どう表現したらいいのかとか、
思うことがある。

何を言っているのか自分でももどかしいのだが、そんなあたり。

こんなことを
もう充分に儲けて、あとは楽しみを探して暮らせばいいだけの
コンピュータ屋さんにお願いしたい。

タヒチの海岸の木陰で
湿った海風を浴びつつまどろみながら
アイディアが実現するよう祈りたい。
タヒチの女たちが笑いかけている。

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心も疲れることがある 「自殺防止」授業で訴え

これが必要な心理教育ですね。
学校で習う股とって、結局あとあとまで残っていることも多いと思います。

*****
心も疲れることがある 「自殺防止」授業で訴え 
 
記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社【2008年5月18日】

うつ:心も疲れることがある 「自殺防止」授業で訴え

 自殺者が年3万人を超す日本。うつ病を患っている人が多いとみられ、子どもも例外ではない。心の状態に早く気付くにはどうしたらいいのだろうか。

 「心も疲れることがある。自分がそうなったら、だれかに話してみて。元気のない友だちがいたら声をかけ話を聞いて。なくなっていい命など一つもない」。市立第二中の1年生の授業で夢ら丘さんはこう呼びかけた。

 授業後、子どもたちからは「つらいときは人に頼っていいし、自分もつらい人を救えるんだと思った」(男子)「自分もカーくんのような気持ちになる。親に話してみようと思った」(女子)--などの声が上がった。

 志木市以外でも、子どもたちの感想文をきっかけに、担任や養護教諭が見守ったり、専門医の診察で改善につながった例もある。

 東海大医学部の保坂隆教授(精神医学)らが06年に厚生労働省の研究事業として中学1-3年生約550人を対象に行った調査では、約4人に1人の生徒がうつ状態。

 斎藤さんによると、「いのちの電話」で30年前2割を占めた青少年からの相談が、今は約3%。しかし、東京支部が2年前からメールでの相談を始めたところ、年間1500件のうち7割が未成年という。斎藤さんは「心を受け止める多様なチャンネルが必要」と話している。

 ◇身近な大人が変化に気付いて--東海大医学部・保坂隆教授

 保坂教授に対処のポイントを聞いた。

 元気がない、食欲不振、遊ばなくなるなど、うつ状態を示す子どもの中にはうつ病やその予備軍、統合失調症などいろいろなケースが含まれる。それらは服薬や環境を整えることでコントロールできるし、適切な手助けで改善するケースが圧倒的。それが正しく認識されていない。

 誤解されるのがいじめとの関係。「いじめ即自殺」、ではない。まず、うつ状態があり、そのおとなしい子がターゲットになりやすい面がある。

 大切なのは、親、教師、養護教諭など身近な大人が正しい知識で、子どもの心の状態に気付くこと。元気がない▽メールばかり見る▽食事をしない▽勉強しなくなる--などの状態が続いたら、安心して心を打ち明けられる環境を作り、その声に耳を傾けてほしい。理由を聞かずに頑張らせたり、しかったり、見て見ぬふりは禁物。本人や学校、他人に原因を求めようとするのもよくない。専門医に一緒に行く冷静さも必要だ。

……………………………………………………………………………

 ■うつ病の主な症状

▽抑うつ気分=悲しい、寂しい、憂うつ、孤立感、自責感、涙が出る、楽しめない

▽精神機能の抑制=集中力や持続力が無い、忘れっぽい、決断力がない、成績が悪くなる

▽運動の抑制=やる気が起きない、おっくう

▽身体症状=頭痛、頭重感、肩こり、食欲不振、体重減少、便秘、不眠



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私は、私のためにできることをする

私は、私のためにできることをする
「人からの支援など受けない」。かたくなに踏ん張っていても苦しいだけ。必要だと感じたら、自分の意思で求めてみましょう
2007年04月04日 12時03分 更新
ビジネスパーソンが常に向き合わなくてはいけない“ストレス”。

自立を望むSさんの苦痛
 誰からの力も借りずに自分の仕事をこなしていくこと。それが大人としての生き方、社会人としての姿勢。Sさんは、両親からそう教わってきました。それができていないと感じると、「自分は社会人として失格なのではないか」と思い、とても不安になるのです。そして何かしなければ、成果を挙げなければと追い立てられるような気持ちになってしまいます。

 仕事で上司から「この結果はどのようなプロセスで導き出されたのか」と質問されるだけで、Sさんは「何か間違いを犯してしまったのでは」と不安になり、説明するどころか頭が真っ白になってしまいます。思考がフリーズしてしまうのです。そうなると、上司と会話すること自体が苦痛になってしまいます。

 上司への報告を避けるようになり、ますますコミュニケーションが滞るため、誤解が生じ、状況を分かってもらえなくなります。そのうちこう思い始めるのです。「私がこんなに苦しんでいるのに、なぜ分かってくれないんだ。上司なんだから、部下に配慮するのは当たり前じゃないか。これだけ世の中で、管理職は部下のメンタルヘルスに配慮することが必要といわれているのだから」

 自立には「自分の力で独立すること。独り立ち」という意味があります。窮地に陥っても誰にも頼らず、自分の力で解決し乗り越えることを、Sさんは自分に課しています。それこそが自立だと考えていたSさんは、自立を目指せば目指すほど、自分に「できていない自分」のレッテルを貼ることになっていました。

 でも本当は、「できない自分」なんて認めたくない。「できない」というレッテルは上司に貼ってしまえ。そんな考えから、「部下のメンタルに配慮できない上司が悪い」と思うことでSさんは落ち着くことができたのです。でもそれが、本当の安定でしょうか。

2つの「ジリツ」
 ここでもう1つのジリツについて考えてみたいと思います。それは「自律」です。

 自律している人というのは、自分自身を自分で支配し、自分の運命を自分で決定し、自分の感情や、思考や、行動に責任を持ち、「今、ここ」に生きるのに意味のない、不適切な人生様式に固執しない人である。人は誰でもある程度の自立性を持つ能力を有している。しかし自立性は、その人の誕生と共に備わった権利であるにもかかわらず、これをきちんと達成する人は少ないのである。より自律することへのプロセスとして、気づき、自発性、親密さ(開放的になる)をより拡大してゆくことが大事になってくる。自律している人は「気づき」を大事にし、「自発的」であり「親密さ」を広めてゆく――より「開放的になる」――人であるということができる。

『カウンセリング辞典』(誠信書房刊)より引用

 この文中の「『今、ここ』に生きるのに意味のない、不適切な人生様式」とは何でしょう?

 手掛かりの1つとして、自律の反対の「依存」について考えてみようと思います。ここで取り上げたいのは「精神的依存」です。Xがないとどうもイライラして落ち着かない。不安になる。注意力が散漫になり、目の前で起きていることが「見えているけれど意識の中に入ってこない」状態になる。そんなXがありますか。自分の意思でコントロールができないようであれば、あなたはXに精神的に依存している可能性があります。

Sさんの「自律」と「依存」
 Sさんの状況を考えてみましょう。

 「『社会人たるもの、人に頼るべきではない』という教え(X)に依存していて、頼るか頼らないかを自分で決めることができない。人に頼らず自分ひとりで物事を達成している間は不安にならないが、人の援助を求める必要が生じたとき(Xを見失ったとき)、不安になり、イライラする」

 ここで大切なことは、SさんはXを持ち続けてもよいし、Xを手放してもよい、それを自分で選ぶことができるということです。もしSさんがXを手放し、「社会人だって人からの支援を受けてもよい」と教えを書き換えたとしたら、どのようなサポートを受けることができるでしょうか。考えてみましょう。

Sさんが受けられる4つのサポート道具的サポート 自分にとってのストレッサーを直接軽減するもの。仕事を手伝ってもらう。直接自分にプレッシャーをかけているものや人を取り除いてもらう

情緒的サポート ストレッサーは減らないが、自分の感情を和ませるもの。何が起こっているのか、話をよく聞いてもらう。どのように感じているかを共有してもらう

評価的サポート 文字どおり褒めてもらう。自分の仕事の意義を評価してもらう

情報的サポート ストレスを取り除くヒントを与えてもらう。自分が直面している問題を解決するため、その問題に詳しい人を教えてもらう。解決のためのツールを教えてもらう。リラクゼーションや気分転換の方法などを教えてもらうことも含まれる


自分は自分のためにできることをする
 他者からの援助を受けることが自分のために必要だと判断(自分の状況に気付いている)したなら、求めてみましょう(自発的、開放的行動)。いま、支援を受けずに頑張ることが自分の成長のために必要と判断(気付き)したなら、踏ん張ってみる(自発性)のもよいですね。

 その判断で進んではみたけれど、このまま耐えることがちょっと難しいと感じ(気付き)たら、そのポイントで援助を求めればよいのでは?「変更したってかまわない。だって状況が変わったのだから」。そう思えば、初めの一歩を踏み出せる可能性が高まるのではないでしょうか。

 逆に、自分が他者の力になることもできますね。相手を支援するかどうかを、あなたが決めることができます(自発性)。そんなつもりもないのに支援者にされてしまうのではなく、あなたの意思であなたができる範囲まで支援したら、あとは相手の問題と思ってみましょう。「これから先はあなたがやる範囲。私の責任範囲を超えています」というところまで、力になることができるのです。

 そんなふうに誰かの力になることができれば、「一度支援したらずっと頼られてしまい、重荷になる」と不安に思って始めから手を差し伸べないなどということは起こらないのではないでしょうか。

あなたの「自律」であるように
 あなたは、自分の「いまの状況」に気付き、必要な支援を他者や物や情報などに求めることができます。そして、あなたに求められた支援(例:「わが社の収益のために営業で数字を上げてくれ」「このプロジェクトを成功に導くためにマネジメント力をアップさせてくれ」)に応えることもできます。

 どんな形であっても、それがあなたの「自律」であるかどうかを考えてみてください。あなたの「自律」であれば、集中力、判断力、技術力、調整力が必要であっても、それを行うあなたには「覚悟」があり、どこかに心地良いものを感じることができるでしょう。

私は私のことをする、あなたはあなたのことをする
私はあなたの期待に沿うためにこの世にいるのではない
あなたは私の期待に沿うためにこの世にいるのではない
あなたはあなた、私は私
それでもしお互いが出会うなら、すばらしい
もし出会えないなら、しかたない

I do my thing, and you do your thing.
I am not in this world to live up to your expectations.
And you are not in this world to live up to mine.
You are you and I am I.
And if by chance we find each other, it’s beautiful.
If not, it can’t be helped.

*****
こんな感じの情報が溢れているわけですが、
人によっては、自分の知識や感性に不足があるのではないかと
不安になってしまうと思います。

とらわれることはありません。
みんな大体同じようなことのくり返しです。



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具体的なアクション

「あのときに戻れるとしたら」どうする?
ネガティブな感情を特定するステップ1、4W1Hで具体的な出来事を思い出すステップ2と解説してきました。今回はステップ3と4。具体的なアクションに落として不安を払拭します。

 今回は、ついにステップ3とステップ4です。ステップ1で、まずネガティブな感情を特定し、ステップ2として4W1Hで具体的な出来事を思い出し、不安を明確にすることでスッキリする方法を紹介しました。

ステップ3:あのときに戻れるとしたら、どんな行動をとるか

1人で行う、自分へのカウンセリング法 ステップ2で感情、思考、行動、結末を明確化すると、なんらかの気づきが現れます。Aさんの場合は「集中できることがあればいい」ということでした。

 ステップ3では、もし、あのときにもう一度戻ったとして、どんな風に過ごしたらネガティブ感情を持たずに過ごせるかを考えます。さらにそのことを踏まえ、ステップ4では、今後、似たような場面があったとしたら、どう過ごすかを考えます。

治療者 集中できることがあればいいと言ってましたが、そのときに戻ってやり直せるとして、どんな風に過ごしたとしたら、もうちょっとむなしさを感じず過ごせると思いますか? 

A 誰かに連絡して、人と一緒に何かをすればよかったんだろうと思います。

治療者 それは地元の?

A 地元でも、いつもの友達でも。一人でいると集中できないときがあるような感じがしますね。

治療者 なるほど。では、ここでの気づきは、「1人でいると集中できないときがあるから、もし戻れるとしたら、誰かに連絡する」ということですね。連絡したとしたら、どうなりますか?

A どこかに出かけると思います。

治療者 出かけたとしたら、どうなるでしょう。

A 買い物でもいいし、普通にご飯を食べるでもいいし、映画を見るでもいいんですが、しっかりそれに集中して行動できたんじゃないかと思います。

治療者 では、ステップ4、まとめです。今までは1人でつまんない、つまんないと思いながら、ちょっとずついろいろなことをやっては止めていましたが、今後、似たような場面があったとしたら、どう対処しますか?

A とりあえず、誰かに連絡します。もしくは、そうなりそうなことを想定して、何も予定が入っていない日は、何かしらすることにしておく。約束をしておきます。

治療者 事前に、この日はボーっとしそうだから、約束をしておくと。

A ガッと空いちゃうとダメみたいですね。忙しい最中に本を読むというのはアリなんですが、丸一日時間があるから本を読もう、だと大抵ダメなんですよね。

治療者 では、今後はガッと空くようだったら、事前に予定を軽く入れておくと。でも、もし予定を入れてなかったとしたら、どの時点で連絡しますか? 朝、すぐ電話をかけるか、色々やってみて、そろそろヤバイと思ってかけるか。どうでしょう。

A いろいろやらないうちに、ですね。早目にです。

治療者 何か気づく合図はあるでしょうか? 朝起きて、そういえば何も予定がないなと思ってすぐかけるか、それとも雑誌を読むとか1つでもやってみて、これヤバそうだと思ったらかけるのか。

A 何か1個やってみて、それがすぐ飽きちゃうようだったら危険ですね。たぶん、何をやってもそうなっちゃう感じです。「なんてくだらないことをオレはやっているんだろう」と思い始めちゃうと続きますね。

治療者 じゃあ、今後はこうしましょう。ガッと空いているときは、事前に予定を入れる。そうできないときももちろんありますから、朝、起きて何か1つやってみて、これは面白くないなと思ったら、それを合図に直ちに誰かに連絡して、買い物でもなんでもする。

A そうですね。


 以上が簡易カウンセリングです。自分1人でもできますね。

 繰り返しになりますが、特に大事なのはステップ2で、その感情が出始めた、その瞬間をつかむことです。

 出来事を特定して、感情、思考、行動、結末を延々と聞いていくと、たいていの場合は、「ああ、あれが原因だ」と気づきます。

 そして、ステップ3で、もし戻れたとしたら、どうするか? を考えます。「戻れたとしたら、友達に連絡する」「戻れたとしたら、女房にあんな風に言ってしまう前に、ちゃんと自分で計算しておく」「戻れたとしたら、友達に、お前はたぶん悪気はないと思うけれど、やっぱりお前に無理だと言われるとショックだと冷静に言う」などです。

 最後にステップ4で、今後、そういう場面があったら、どうするかを考えます。今後、面白くないなと感じたら、すぐに人に連絡するとか、今後、そういうことを言われたら、もうちょっと反論するとか、相手にちょっと言っておきたいと思ったら、電話をして冷静に伝える、とかですね。

自分に関する知識の質と量を高めよう
 不安やうつは悪いものだと思わずに、信号だと思ってほしいですね。不安やうつのアラームが鳴り出したら、方向をよく見て、こっちでいいのかなと考えて修正する必要があるということです。赤信号というのは、それ自体が悪いのではなく、今、進むとぶつかるよ、ということを教えてくれているわけです。

 同じように、Aさんがむなしいと感じるのは、むなしいのが悪いわけではなくて、休日の過ごし方が能率的ではないよ、ということをAさんに教えてくれているのです。集中できないまま次々やることを変えても、自分にとって結局はあまり役に立たないということを教えてくれている。じゃあ、今度から事前に予定を入れるとか、1個やってダメだったらすぐ連絡するなどの対処法が分かります。

 対処法が分かったら、今度からこれをやれば全部OKになるかもしれませんが、OKにならなかったら、もう一度同じことをやります

 「治療者さんに言われて、ああいう風にやってはみたものの、やっぱりむなしくなる。どうも、友だちと過ごすだけではダメみたいだ」となったら、また別の対処法が出てきますね。例えばですが、「友だちと過ごせば楽しいと思ってやってみたけれど、コイツといてもつまんないな」とか(笑) そう思ったら、「そうか。予定を入れればいいだけじゃないんだ。人を選ばないと」みたいなことが分かるわけです。夏場はアウトドアが好きなB君がいいとか、冬場はCさんがいいとか、自分にとってのよりいい過ごし方のバリエーションが出てきます。それは自分にとっての知識となります。

 著名なコーチのアンソニー・ロビンズが言っていることですが、「知性とは、違った状況でどれだけいろいろな反応ができるかの、選択肢の質と量」だそうです。

 例えば、エスキモーは雪に80種類の名前を持っているらしいです。北極やアラスカで、私たち日本人とエスキモーと、どちらが知性を持っているといえるでしょうか。明らかに彼らの方が知性を持っていますね。食べていい雪、危険な雪、解けやすい雪、歩いていい雪、乗ってもいい雪みたいに、違った状況に対して、どれだけ質と量のある選択肢が出せるかといったら、絶対エスキモーです。ところが、エスキモーが日本に来たら、今度は私たちの方が知性があります。絶対的な知性というものはなくて、その地域や生活環境、仕事の中で、自分がどれだけ知性的になれるかなんですね。

 例えば、普通の人は、飛行機に関してそれほど知性がなくてもいいわけです。ところが、パイロットが、発進、上昇、降下、左右に旋回、だけの知性しか持っていないとしたら、かなり困りますね。乱気流ならこうする、雪ならこうする、風ならこうすると、できるだけたくさんの数と質の良い知識がないとダメです。

 普通の人は、飛行機に関して知性はそんなになくてもいい。けれど、自分の仕事では知性があるほうがいい。その知性が、休みの日に必要なのも同じことです。3日くらい休みが取れたときに、それに対する自分の知性がなくてはいけない。仕事をしているときには選択肢の質と量が十分あるのに、時間が空いた瞬間、お手上げみたいになっちゃうと、むなしい3日になりますね。

 一人でゲームをして過ごすのも選択肢の1つですが、選択肢がこれしかないということでは知性として不十分です。電話するというのも知性、事前に約束するのも知性です。同じ予定を入れるにしても、誰彼なしに約束するのではなくて、こんなときはこの人がいい、あんなときはあの人がいい、あいつがダメならこいつと、選択肢は数がたくさんあって質が高いほどいい過ごし方ができます。このように、知性とは、どれだけ違った状況の中で選択肢の質と量を発揮できるかです。

 仕事だったら、ある情報があったら、これは○○に関する数字、これは××に関する数字といった具合に、必ず分類できますね。仕事に関してはちゃんと分類できるのに、なぜ自分の考えや感情、行動をちゃんと分類しないのでしょう。してしまえば、楽になるはずです。

「感情」を意識的に出せる人は、意識的に止められる カウンセリングをしているときに感じることですが、最近、なかなか「感情」が出てこない人が多くなりました。感情の代わりに、「考えていること」ばかり出てきます。例えば、どんな風に感じましたか? と聞くと、「がんばらなきゃって感じました」という風に答えます。「がんばらなきゃ」「がんばりたい」というのは「思考」なんです。でも、そういう人が多くなっています。

 感情が出にくい人は、過去の楽しかった場面を思い出す練習してほしいですね。そのときの場面で、目に見えるもの、聞こえるもの、身体で感じるものをありありと思い出しながら、どんな気持ちだったかも思い出してください。うれしいってこんな感じだな、とか、安心感はこうだな、という練習をしてほしいです。

 ポジティブな感情で練習できたら、次はネガティブな感情も練習してほしいですね。あんなことを言われて悔しいとか、コンペで負けてがっくりしたとか、母親が亡くなったときは悲しかった、みたいな感じで、ネガティブな感情を思い出す練習もしてください。でも必ず、前後にポジティブな感情を思い出してください。ネガティブなことだけを思い出すと、むなしくなりますから。

 意識的に感情を思い出せるようになると、意識的にやめられます。なぜわざわざネガティブな方も練習するかというと、ネガティブな感情を意識的に思い出せる人は、意識的に止められるからです。自分で「さあ、父親が亡くなった場面を思い出すぞ」と思い出して悲しい気持ちになれる人は、自分の意志で、その悲しい気持ちを止めることができます。ところが、亡くなった父だけは思い出さないように、思い出さないようにしながら、つい悲しくなってしまう人は、その悲しい気持ちから抜け出せません。

 感情が出ない人でも、感情を感じていないわけではないのです。多くの人は、感情を感じていながら、気づいていないだけなのです。

 感情に気づかないことは、かなり危険で、信号を無視して、バンバンぶつかりながら車を走らせているようなものです。特に、自分の人生のバランスを取るためには、感情に気づくことは非常に大切です。これに気づかないようだと、ストレスで押しつぶされて、過労死も想定内ということになりますよ(笑)。「そろそろヤバイなあ」と気づくことができるなら、自分でペースダウンしたり、ちょっと休みを入れたり、マッサージに行ったりと、リフレッシュすることができますが、気づかないと、「まだ行ける行ける」とやってしまって、突然コテンと倒れてしまいます。

 感情に気づくことの重要性を再認識してもらいたいと思います。

 カウンセリングに限らず、コミュニケーションの上でも、どの部分でその感情が生まれたのかに気づくことは大切です。そしてそれは、ほんのちょっとしたことがきっかけである場合もあるのです。

 例えば、夫の何から何までが嫌になって、絶対離婚するといっていた妻が、実は食事のときの夫の実に些細な行動がネガティブ感情の根本になっていることに気づき、それを止めてもらったことであっさり円満になった、というケースがあります。

 人間とはそんなもので、ほんのちょっとしたことが嫌な気持ちを引き起こし、小さなトラブルに発展し、売り言葉に買い言葉がだんだんエスカレートして大事になる──ということがあります。しかし、実は原因はほんの小さなことである場合が多いのです。例えば、「あの上司が嫌い」というのも、もしかしたら、話すとき最初に言う「えーっと」が嫌なだけかもしれません。「リポートのこの3行を必ず開けろ」と言った、あの言ったときから嫌だったのかもしれません。そんな、ちょっとしたことなんですよ。

 そうすると、逆にいえば、自分でそのことに気をつければいいということです。この上司には、リポートの3行を開けることだけ気をつけよう、と思った瞬間、ほかのことは気にならなくなるわけです。

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すごいですね。悩んでいるときにこんな風にいわれると、圧倒されますね。
でも、具体的で現実的なアクションというのは、確かに方法だと思います。



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不安を解消する

“不安”と“恐怖”を明確にして、不安を解消する
落ち込んだ時や不安を感じたときに行うセルフカウンセリング。何が不安の原因なのかを明確にするだけで解決する場合も多いものです。今回は、“不安”とはいったい何なのかを考えてみます。

 前回は「1人でできるセルフカウンセリング」ということで、まずネガティブな感情を特定し(ステップ1)、4W1Hで具体的な出来事を思い出し(ステップ2)、不安を明確にすることでスッキリする方法を紹介しました。

 今回はステップ3に入る前に、“不安”と“恐怖”の違いについて考えてみます。

対象がはっきりしていると“恐怖”、はっきりしないと“不安”
 例えば、こんな場合もあるでしょう。

 先週くらいから、気持ちが不安定で心配だ。具体的にいつぐらいからかな。先週の土曜日くらい。何をしていたか。女房と話しているときだ。

 もっと具体的に、4W1Hで思い出します。

 土曜日の午後に女房とスターバックスに行って、楽しく話をしていたんだけど、その後からだ。その後、家に帰って貯金通帳を見せられて、「給料がこの感じだと、ローンがキツイと思うんだけど」みたいに言われた。「あなた、7年後にこれだけ貯まるって言ってたのに、私が計算してみたら無理よ」と言われた。あのあたりから気持ちが滅入ってきている。

10分でできる簡易セルフカウンセリング
バックナンバー
「あのときに戻れるとしたら」どうする?
“不安”と“恐怖”を明確にして、不安を解消する
1人で行う、自分へのカウンセリング法 そこで、「感情」「思考」「行動」「結末」です。

どう感じたか? 「うわッ、とがっかりした。申し訳ないと思った。自分の計算が違っていたのか、ちょっとヤバイなと思った」
行動は? 「いいよ、そんなの別に気にしなくても、みたいに女房に言っちゃった」
結末は? 「女房は余計カチンとしてプリプリしていた」
 あのあたりから不安なのだと、それに気がつくだけで落ち着く人と、やっぱりこれはちょっとマズイと思い、何ができるかを考えてアクションを起こす場合とがあります。この場合だと、実際に計算をしてみるべきですね。今の給料や経費から、7年間でいくらくらい必要かを計算して、おおよその予算を出してみて、だいたいどれくらい残るかをはっきりさせます。すると、たとえその金額が思ったほど多くなくても、人間は安心するものです。「あ、そうか。これだけしかないんだ」と思っても、はっきりすると落ち着きます。

 恐怖と不安の違いは、対象がはっきりしているか、していないかです。対象がはっきりしないときに不安になります。恐怖は対象がはっきりしているときの感情です。借金取りが来ると分かっていたら恐怖だし、あの社長が来ると分かっていたら恐怖です。

 不安は、分からないから不安になるのです。いくらかかるか、分からないと不安になるので、いくらでお金が尽きると分かったときは、不安は減ります。そして、それに対して、ちょっと交際費を削ろうとか、もう少し給料を上げるようにがんばろうなどと対策を取ればいいのです。

 漠然としているから不安なんですね。将来の経済的な不安を感じるとよくいいますけれど、実際に計算してみればいいのです。自分のだいたいの生涯の収入を計算します。あと30年間働き、余生が20年間。給料を単純に計算し、60歳まで働いたら退職金がいくらで、年金はひどく低く見積もってこれくらいで、と全部書き出してみてください。そうすると、不安は減るはずです。

 そして大抵の場合、金額は不安に思うほど低くないはずですよ。低かったとしたら、タバコを減らそうかなとか、こういう無駄遣いは止めようとか、無駄に飲むのは止めよう、などと対策を考えるでしょう。

治療者 何か、不安に感じていること、気が滅入っていることがありますか?

A 僕は長期で休みを取っているときなど、何をする気にもなれずに、むなしく感じるときがあります。

治療者 休んでいるとき?

A はい。この土日もありましたね。

治療者 今、この会話はステップ1です。ネガティブな感情を特定しましたね。では、ステップ2。それを感じ始めた具体的な場面や出来事を特定していきます。いつくらいですか?

A 先週の日曜日です。

治療者 朝、起きたときから、そんな気分でしたか?

A 夕方くらいです。

治療者 朝、起きたときは普通の気分でしたね。その後、何をしましたか? ご飯を食べたとか、掃除をしたとか……

A ご飯は食べたのかな。で、本を読んだり、テレビを見たり、細々と何かをやろうとするんですが、全然集中できなくて、すぐ止めてしまうんですよね。

治療者 そのあたりから、むなしさは感じていましたか? それとも、まだないですか?

A そのあたりが、まさにむなしい気持ちです。

治療者 じゃあ、朝からですね。


 ここではまず、気になる感情を1つ特定して、その特定した感情を感じ始めた場面をありありと思い出しています。大事なのは、何月何日の何時くらいから、と具体的に特定することです。

 コツは、「だいたい先週の水曜日」とか「だいたい20日くらい」と分かったら、その日の朝からの出来事を聞く(問いかける)ことです。朝、何時に起きて、そのときの気分はどうだったか、から聞くのです。朝は普通だったとなったら、むなしさを感じ始めたのは、朝以降ということになります。要するに、感情がピュンと出てくる瞬間を捕まえたいわけです。Aさんは最初に、むなしさを感じたのは「夕方くらいです」とおっしゃっていたんですが、よく思い出すとお昼くらいから感じていましたね。ここは見過ごしてやすい部分です。

 朝、起きたときどうだったかと問いかけて、朝起きたときから、もうむなしい気持ちだったのなら、今度は前日から思い出してください。朝からむなしさを感じていたのだったら、「前の晩、何をしていたか?」と問いかけます。例えば、「前の晩、飲みに行っていた」。そのときの気分は? 「最初は結構良かったけれど……」となると、その飲み始めてから寝るまでのどこかで、ピュンとむなしさを感じた瞬間が来ます。そこをつかんでほしいのです。これを掴めるかどうかが、すごく重要です。

 実は、これを自分でつかめるようになったら、ほとんどカウンセリングは必要なくなります。落ち込まない人間はいません。私も落ち込んだり不安になったりします。ただ、私はどこで落ち込んだかをパッと捕まえられるから、すぐ抜けられるのです。

治療者 では、そのときをありありと思い出してください。「感情」「思考」「行動」「結末」を問いかけていきます。朝、起きた瞬間は平気でした? 起きて、まっさきに何をしましたか?

A 起きて、顔を洗って、トイレに行って……。

治療者 そのときは? むなしいと思いましたか?

A いえ何も。普通でした。

治療者 トイレのあとは?

A ご飯を食べたのかな。

治療者 そのときの気分は?

A 普通でしたね。

治療者 ご飯を食べた後、どうしましたか?

A ご飯を食べた後、ベランダに行ってタバコを吸って、そのへんにあった本を取って、本を読み始めました。

治療者 そのときの感情は?

A う~ん……特にそのときはどうということはなかったですが、本があまり面白くなくて、数ページ読んで閉じちゃいました。じゃあテレビでも見ようか、みたいになって、テレビの前に行って、つけて、でも面白くなくて。

治療者 そのときの感情は?

A だんだんと「何をやっているんだろう、オレは」みたいな感じ。

治療者 そのとき、何を考えていました? 本もつまらない、テレビもつまらないで。

A 「今日は何をやってもつまらないなあ」みたいな感じです。

気持ちと考えを分けて考えよう治療者 「今日はつまらない」と思いながら、気持ちはどんなでしたか?

A 「何をやっているんだろう、僕は」という感じ。

治療者 それは“考え”ですね。気持ちは? 落ち込むのか、イライラするのか、むなしいのか。

A すごくむなしい感じです。

治療者 で、どうしました?

A で、「買い物に行こう!」と思い立って、玄関を開けて、近くのスーパーまで買い物に行ったんですが……。

治療者 行って、どう感じました?

A 「いろいろ買うものはあるなあ、楽しそうだなあ」と思ったんですが……

治療者 ですが、結末は?

A 買うとなったら、欲しいものもなく……。

治療者 なくて、どう感じました?

A 「何をしに、ここに来たんだろう」と。

治療者 「何をしに、ここに来たんだろう」と考えて、どういう行動を取りました?

A 家に帰りました(笑)

治療者 帰るとき、どんな気持ちで帰りました?

A 「オレは何をしているんだ、今日」

治療者 気持ちでいうと?

A まさに「むなしい。やりがいがない」という気持ちです

治療者 で、どうしました?

A 今度はパソコンでWebでも見ようと思って。でも、やっぱり読んでもつまらないんですよね。

治療者 読んでいて、どんな気持ちですか?

A 「また時間を無駄にしちゃったなあ」と。

治療者 「無駄にしちゃったなあ」と“考えた”。気持ちは? 落ち込んだのか、腹が立ったのか、イライラしたか、がっかりしたか、むなしいか。

A がっかりとむなしいの間くらいですね。ふがいない、かな。

治療者 ふがいない。そしてパソコンの後、どうしました?

A その日は結局寝ちゃいましたね。「何をやってたんだろう、オレは」と思いつつ。

治療者 「何をやっていたんだろうと思いながら」そういう結末だったという1日ですね。

A はい。たまに、そうなるんです。

治療者 以上のように、「思考」「感情」「行動」「結末」を行き来して振り返りました。今のように明確化してみて、どんな気持ちですか?

A すごく集中できることがあると楽しいみたいですね。集中するとむなしさは感じないようです。

治療者 なるほど、集中できることだと。

 このように、ネガティブ感情を特定して、出来事を特定し、感情、思考、行動、結末を明確にしました。その結果、集中できるとむなしさは感じないようだ、という気づきが得られました。

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1人で行う、自分へのカウンセリング法

1人で行う、自分へのカウンセリング法
ストレスの多い毎日。自分で自分の感情をコントロールできれば、と思うことはないだろうか。今回は、落ち込んだときや、ちょっとした不安を感じたときに、自分できっかけを探ってリカバリーすることができる、簡単なカウンセリング方法を紹介します。
2007年12月10日 15時51分 更新
10分でできる簡易セルフカウンセリング
バックナンバー
「あのときに戻れるとしたら」どうする?
“不安”と“恐怖”を明確にして、不安を解消する
1人で行う、自分へのカウンセリング法 

うつなど、精神的な病の症状には、出来事が引き金となっている場合、その症状で何かを得ている場合、考え過ぎて症状が出る場合の3パターンがあります。これは非常に高度な話なのでここでは述べませんが、症状が出る前後に何があったかを明確にするだけで、多くの場合は落ち着きを取り戻します。

 同じように、落ち込んだときや、ちょっとした不安を感じるときでも、そのネガティブな感情を特定し、そのときの出来事を詳しく思い出し、自分の感情、思考、行動、そして結末を明確化することで、大抵の場合は落ち着くことができます。今回は、そのやり方を紹介しましょう。

ステップ1:不安なこと、落ち込んでいることを特定する
 まず、最近感じるネガティブな感情を特定します。なんか落ち込んでいるなぁ」とか、「不安な感じがする」だとか、「ちょっとしたことなんだけど昨日から気が滅入る」、「なんだか気分が乗らない」「心配だ」「なんだか悲しい気分だ」──などです。それほど深刻じゃなくても、むなしいなと感じる時って、誰しもあるものですよね。一生懸命営業してバンバン取っていたけれど、フッとむなしくなっているときなど、そういう感情を特定してみてください。

ステップ2:4W1Hで具体的な出来事を思い出す
 次に、それを感じ始めた具体的な出来事に遡ります。あれは先週の金曜日の朝、休み明け月曜日の午前中──それくらい具体的に特定してください。そうしたら、4W1Hで、具体的な内容を思い出してください。

いつから? 「先週の火曜日の午後くらい」
どこで? 「会社の会議室で」
誰と? 「○○課長と」
何をしていた? 「ミーティングをしていた。そのとき、課長がすごい剣幕で怒っていた」
 といった感じです。

 この後、その出来事に対しての自分の「感情」「思考」「行動」、そして「結末」を延々と自分に聞き続けます。これは1回だけではなく、気が済むまでやってください。聞く順番もバラバラでいいですが、「感情」→「思考」→「行動」→「結末」の順番で聞くのが比較的思い出しやすいとは思います。例えば、下記のようにやります。

問 怒鳴られて、どう感じた?(感情)

「すごく、ビクビクした気持ちになった」

問 どう考えた?(思考)

「なんでこんなに怒られなきゃいけないんだ、と思った」

問 どうした?(行動)

「黙って泣き寝入りした」

問 その結果、どうなった?(結末)

「課長が余計、怒った」

問 その結果?(結末)

「ちょっと落ちついてきた」

問 それで、どう感じた?(感情)

「むしゃくしゃしてたけれど、もうこのままでいいや、と思った」

問 どう考えた?(思考)

「もう、がまんしようと思った」

問 そしてどうした?(行動)

「そのまま書き直した」


 というような感じです。順番はバラバラでいいので、自分の気が済むまで、その出来事があったときの「感情」「思考」「行動」「結末」を問いかけていきます。

 やり方としては3パターンあります。一番簡単なのは、下の表を指やペンで指しながらやる方法です。

 例えば、こんな感じです。

無題20080520.PNG


 というようにやっていきます。表を指やペンで指しながら、1人でブツブツとやってみてください。

 2つ目は書き出す方法です。紙に大きく、感情の「感」、思考の「思」、行動の「行」、結末の「結」と書いて、それぞれの部分に出来事を、順序を問わず書き出していきます。そのうちにスッキリしてきます。

 実際に私がカウンセリングをするときは、椅子を3つか4つ用意して、移動しながらしゃべる方法をとります。正直、これが一番効果があります。

「なんかやってらんないよな。まあ、スーパーでも行ってみようか」(椅子を変わる)
スーパーに行きながら「本当に楽しいのかな」と感じて(椅子を変わる)
結局何も買わずに帰った。
 という感じです。

不安を引き起こした出来事に対してアクションを起こす
 ほとんどの場合は、ステップ2をやって、自分を落ち込ませていた出来事や感情に気づいただけで楽になります。しかし、2~3割は、「これをやらなきゃスッキリしない」という行動が出てきます。

 例えば、私が20代のころの例を紹介しましょう。

 どうも昨日から気持ちが滅入る。具体的に、いつから滅入っているのだろうと考えてみよう。今朝、起きたときにはもう滅入っていた。昨日の朝はなんともなかった。昨日の午後も滅入っていなかった。

 いつからかな、昨日、寝るあたりからだ。何があったかな。そういえば昨日、友だちと久しぶりに電話で話した。電話を始めたときはどうだったか。いや、滅入ってなかった。途中から、電話を切るあたりから気持ちが滅入ってきた。切る前、どんな話をしていたかな。

 4W1Hで自分自身に聞いていきます。昨日の夜、1時間、友達と電話で楽しく話していたんだけど、切る前に、「バカじゃん、お前。お前にできっこないよ。はっはっはっ」みたいに笑われた。そのあたりから気が滅入りだした。

 そして、「感情」「思考」「行動」「結末」を問いかけていきます。

(どう考えた?)いや、彼には悪気がないし、本当はできると思ってくれている。悪気はないと分かっているから、別に言い返す必要もない。
(結末は?)でも、電話を切ったあともなんとなく後味が悪かった。
(それで、どう考えた?)昨日、寝るときは、まあ気にしなくていいや、と思った。
(そのときの感情は?)感情はなんかモヤモヤしていた。
(行動は?)そのまま、何もしなかった。
(結末は?)朝、起きても気分が晴れなかった。


 ここで、「なんだ、あんな風に言われたから気が滅入っていたんだ」と分かって楽になる場合と、「やっぱり、友だちとはいえ、あんなふうに言われると、冗談だとは分かっていても嫌な感じする」となる場合とがあります。このように楽にならない場合はどうするか。この私の例では、「今日もう一度電話をして、責めるのではなくて、自分の気持ちを伝えておこう」ということになりました。そこで、相手を責めずに、冷静に話をしました。

 「昨日、電話でいろいろ楽しかったね。ちょっと1つだけ気になることがあったんで、言っていいかな」

 「何?」

 「いや。絶対、悪気がないってわかっているんだけど、『バカだな◯、お前にできっこないよ』って言われたときさ、ちょっとショックでさ。お前にはもうちょっとサポートしてほしかったんだ。でも、そんな言われ方したのが、ちょっとね、気になっちゃったから、一応、伝えたいと思って電話したんだ」

 と冷静に伝えます。そうすると向こうも「ごめん、ごめん。悪気はなかったんだよ、ホント。オレはお前が絶対できると思ったから、冗談で反対に言っちゃったんだよ」


 こう言ってくれると、「ああ、やっぱりそうだよね。ありがとう」ということで、スッと楽になります。

 ほとんどの場合は気が付いて終わりますが、2~3割は、それに対してアクションを起こします。そのアクションが、「テメー! あんな言い方しやがって!」というのではダメですね。そんなことをすると、向こうも「オレだって、悪気はなかったんだよっ!(怒)」みたいになっちゃうので、その言い方はコミュニケーションスキルを活用して、冷静で相手を傷つけないアサーティブな言い方にすることが必要です。

 人間は思考、感情、行動ですごく気持ちが振り回されるので、これを明確化していくだけで簡単なセルフカウンセリングができます。この方法で、たいていの小さな不安感は解消されます。もちろん、病気のうつ病には対応できませんが、一般的な軽い不安感だったら、これを1人でやっても楽になれます。実際、私も自分でやっています。

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