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局所多汗症 朝日新聞15日

局所多汗症の記事。
心療内科には精神性発汗の方がいらっしゃいます。
以前担当していたのはピアニストさん。
手のひらに汗をかいてしまうので、練習中にピアノの鍵盤が汗で濡れてしまいます。
生徒さんのレッスンのときにも、汗が出て、うまく行きません。
そんなことを思い出していました。



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アトモキセチン

日本イーライリリー、18歳以上にADHD薬の治験――年齢層拡大へ

 米系製薬企業の日本イーライリリー(神戸市、ニュートン・クレンショー社長)は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬「アトモキセチン」について、18歳以上を対象に薬の有効性を検証する臨床試験(治験)を始めたと発表した。同社は今年6月、この薬を小児・思春期のADHD治療薬として承認申請した。年齢層を拡大し、需要の上積みを狙う。

 この薬は米国で2003年1月、小児・思春期(6歳以上18歳未満)、および成人(18歳以上)のADHDの適応で発売した。現在は74カ国で承認。18歳以上については25カ国で承認されている。 (NIKKEI)

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アトモキセチンはノルアドレナリン再取り込み阻害剤。
トレドミンに似た部分もあるといわれる。
3年ぐらい前に米国で発売され、使用されている。
ADHD(注意欠陥多動障害)は子供の頃の話で、大人になると多動成分は消えることが多く、
ADDまたはAD(いずれも注意欠陥障害)と呼ぶ。



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ストレスと不眠

ストレスだらけの現代社会を生きるビジネスマンにとって、睡眠の質は重要です。
良い睡眠は心身の疲れを取り明日への活力を生み出します。

しかし最近、質の良い睡眠を十分に取っていない人が増えています。
現代では5人に1人が睡眠についての悩みを抱えています。
「寝付きが悪い」
「夜中に何度も目が醒めてしまう」
「夢をたくさん見て、寝た気がしない」
「明け方に目が覚めて、新聞配達の音を聞いていた」
「しっかり寝たはずなのに朝疲れが残っている」
「昼間、眠気が残る」
などの症状に心当たりのある人も多いでしょう。

といった具合に不眠の話は始まりますが、
現代人は睡眠を削って、仕事、付き合い、趣味、その他に
励んでいるわけですから、仕方がないのです。
せめて短い時間をぐっすり深く眠りましょう。



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テンプスタッフ、医師の開業支援・オリックスと組む

テンプスタッフ、医師の開業支援・オリックスと組む
 人材サービスのテンプスタッフはオリックスと組み、9月から医師の開業を支援する事業に乗り出す。物件探しから資金調達、職員の採用、開業後の経営指導まで一括して請け負う。労働環境が過酷な勤務医を辞めて開業する医師が増えており、診療所の開設数は増加傾向にある。勤務医としての業務と並行しながらの開業準備は負担が大きいため、一括代行の需要は大きいとみている。
 子会社のテンプスタッフ・メディカライズ(東京・渋谷)が看護師など職員の採用や研修、全体のコンサルティングを提供。オリックスが資金調達や物件の選定、医療機器のレンタルなどを担当する。
[2007年8月31日/日本経済新聞 朝刊]
*****
そうかな?

 



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国家公務員、「激務」や「いじめ」

国家公務員、「激務」や「いじめ」の苦情相談高止まり

 2006年度に国家公務員が人事院に寄せた仕事上の悩みや苦情の相談件数は1227件で、過去最多だった前年度より95件減ったものの依然高止まりしていることが14日、分かった。

 人事院は「定員削減や情報技術(IT)化の進展で仕事のやり方が急激に変化し、職員にゆとりがなくなっているのでは」と分析している。

 06年度の新規相談は713件。内訳は、休暇が取れないなどの勤務条件関係が169件(23.7%)、配置換えなど人事関係が161件(22.6%)、いじめや嫌がらせが109件(15.3%)など。セクハラ(性的嫌がらせ)も31件(4.3%)あった。

 内容は「同じ職場の職員が飲み会になると体に触ってくる」「上司から『おまえのやり方が悪い』などと大声で罵詈雑言を浴びせられる」など。

 省庁別の新規相談件数では、法務省が119件で最多。次いで国土交通省107件、厚生労働省99件の順だった。〔共同〕

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実際、そのようです。



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パワハラで自殺「労災」 上司発言でうつ病

パワハラで自殺「労災」 東京地裁初の認定、上司発言でうつ病

2007年10月16日 中日新聞 朝刊

 医薬品販売会社「日研化学」(現・興和創薬、東京)の営業担当社員の男性=当時(35)=が自殺したのは、上司からの暴言や叱責(しっせき)などのパワーハラスメント(職権を背景とした嫌がらせ)でうつ病になったことが原因として、妻が、労災と認めなかった静岡労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は十五日、自殺をパワハラによる労災と認め、処分を取り消した。

  原告側代理人の川人博弁護士によると、自殺の原因が長時間労働とパワハラの双方にあるとして、労災を認めたケースはあったが、パワハラを主な原因として、労災認定した判決は初めて。

 渡辺弘裁判長は判決理由で、「上司の発言は『存在が目障りだ』『肩にフケがベターと付いている』などとキャリアや人格までも否定する内容だった」と指摘。「過度に厳しく、嫌悪の感情も含まれ、通常想定される『上司とのトラブル』を大きく超える心理的負荷があった」と認めた。

  国側は「上司としての指導や助言で、パワハラではなく、自殺との因果関係もない」と反論していた。  判決によると、男性は一九九〇年に入社。九七年から名古屋支店静岡営業所に所属し、静岡県東部で営業を担当していたが、二〇〇二年に赴任した係長から「お願いだから消えてくれ」「会社を食い物にしている」と言われたり、営業がうまくいかなかった際には「おまえは対人恐怖症やろ」などと言われた。忘年会の席上でも「給料泥棒」と叱責され、度重なるパワハラを受け、同年末ごろにうつ病となり、翌〇三年三月、自殺した。

*****
いたましく、かつ、むつかしい問題です。



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レコーディング 睡眠日誌の実例

眠れない人がいる。

どうして眠れないんだろう。

どうしたら眠れるんだろう。

 

そんなときはまず、レコーディング。

睡眠日誌をつける。

 

一ページに時間軸を一本引く。

そして、ベッドに入った時間、実際に寝た時間、ベッドから出た時間、

途中で目が覚めたらそれも記録、

夢でうなされたらそれも記録、

昼寝も記録、

アルコールも記録、

隣の人のいびきも記録、

朝起きたときの気分も記録、

関係のありそうなことは全部書く。

 

その後で何かパターンがないか、

考えてみる。

 

土日で睡眠リズムが崩れているとか。

生理前にリズムが崩れるとか。

仕事が立て込んでくると寝つきが悪いとか。

寝る前にゲームをしているとか。

 

その上で、必要なら、お医者さんに行って相談。

そのときも、睡眠日誌を持って行けばいい。

話が早い。 

というわけで、下がその実例。

この書き方だと、睡眠の時間帯が、一週間でどのように変化しているのか、

分かりやすい。





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EAP 従業員支援プログラム 概論

目次
1.EAPとはなにか?
2.歴史
3.背景
4.目的
5.組織
6.方法-1 啓蒙
7.方法-2 予防教育
8.方法-3 問題発見・評価
9.方法-4 医学的診断、治療
10.方法-5 コンサルテーション・カウンセリング・個別配慮
11.方法-6 休職者周辺関係者について、二次的リスクの防止
12.方法-7 制度の整備と法的リスクマネジメント

1.EAPとはなにか?

Employee Assistance Program の略で、従業員支援プログラムのことです。
EPA会社(EPAプロバイダー)があり、会社と契約します。従業員とその家族がメンタルの不調の場合、会社には秘密のままで、カウンセリングを受けることができます。必要ならば、医療サービスを紹介してもらえます。必要に応じて休職、復職が必要になりますが、その間の合理的なプログラムを提案します。

以上は治療的介入の部点ありであり、活動の中核となりますが、一方、メンタルヘルスの啓蒙、障害予防、職場環境の改善の提案、制度整備、法的リスク回避などの諸側面にわたって指導・助言します。

Company Assistance Program:CAP:会社支援プログラムと称して、会社の利益にもなることを明示する場合もあります。

2.歴史

EAPは戦後、米国で大企業の社員がアルコール依存症や薬物依存症になったときの対策として誕生しました。それが会社の業績、収益を著しく損ねたからです。
現在は、日本の社会的および文化的な特徴にあわせた現代型・日本型のEAPが研究されています。

3.背景

まず現代日本において、比較的大規模な企業における労働者は、どのような背景のもとで仕事をしているでしようか。

3-1.
終身雇用制度・年功序列型賃金が見直され、成果主義に移行する会社が多くあります。新しい働き方が求められる点では、かつての公社の民営化も同じでしたが、成果主義に移行して、社員へのプレッシャーが高まり、精神疾患へのリスクが高まることが統計により示されています。

3-2.
経営陣は、人員削減を行うことで、利益と株価の維持を図ることがありますが、残った社員の業務量が増加します。また、いつ自分もリストラされるかもしれないわけですから、不安を原因として、精神疾患のリスクが高まります。社員の精神的健康状態を積極的に把握する手段が必要と考えられ、また、そうした予防的対策が実際に収益を改善させています。

3-3.
CSR(企業の社会的責任)の観点から必要であることも論じられます。経営陣は株主や取引先だけに責任を負っているのではありません。従業員に対しても責任を果たすことが、これまで以上に社会から求められています。労働基準法などは雇用に関する最低ラインの水準ですが、それを満たすだけでなく、積極的に、従業員の精神疾患を予防し、早期発見し、早期解決することで、企業イメージを向上させることができます。そのことが企業価値を高めると考えられます。

3-4.
訴訟リスクを軽減できます。過労自殺や業務に起因すると考えられる疾病により死亡した場合、遺族が賠償責任を求める例が増加しています。最近では、うつ病に罹患したことに対し、社員自ら会社を訴えるケースも発生しています。会社は管理責任(安全配慮義務)を果たすことが必要になっています。

3-5.
ぎりぎりの人員で業務を負担している場合、うつ病に罹患した社員が発生すると、業務上の損害がどうしても発生します。しかし、余剰人員を抱え込むのは無駄です。人員を増やさず、精神健康管理をきめ細かく積極的に行なうことが合理的です。

3-6.
病気が発生したら、個人の問題として個別特殊例外的に対処していたのでは、会社の損失が大きくなります。そこで、精神疾患を予防したいと考えると、組織的取り組みが必要になります。

3-7.
セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント、新人の退職願望、時間後の付き合いの減少など、労務管理の新しい流れにも対応する必要があります。

3-8.
メンタルヘルス問題は個人問題にとどまらず、チームとプロジェクトひいては企業経営に悪影響を及ぼす組織の課題であることが認識されています。したがって、メンタルヘルス問題は会社の制度の問題でもあるのです。

たとえば、超長時間勤務を考えてみましょう。長時間残業、徹夜や休日出勤にいたるまでさまざまありますが、1ヶ月の残業時間が200時間超という場合もあります。そのような長時間残業を前提として、生活していけるだけの給与が維持できる場合があるわけです。サービス残業の問題、持ち帰りの問題もあります。発症前2~6か月で月平均80時間を超えた場合は、業務との関連性が強く、さらに、発症前1か月間で、おおむね100時間を超えた場合、業務との関連性が強いとされています。

さらに、不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交替制勤務、深夜勤務、日常的に精神的緊張を伴う業務など、これらは制度の問題と考えられます。

3-9.
生産性管理をぎりぎりまで高めたとしても、精神疾患の発生をプログラミングしていない計画は、脆弱なものです。病気のために開発チームが崩壊し、プロジェクトが大幅に遅延したり頓挫したりするのは経営上の大きな損失となります。発病までいかなくても、限度を超えた長時間労働のために重症の寝不足になり、集中力や判断力が低下して、ケアレスミスが起こりやすくなります。限度を超えた慢性的持続的なストレスにさらされると、誰もが我慢しつづけられるわけでなく、転職や独立を考えだすようになり人材の喪失を招きかねないのです。つまり、生産性を上げることの一方で、精神衛生管理をきめ細かく行なうことではじめて、強い組織になるのです。

3-10.プライバシーと守秘義務
個人のプライバシーに充分配慮し、決定の事業主義務(記録保管等)遂行ならびに周囲への危害等の危険性がある場合を除き、この仕組みの中で個人情報が会社に通知される事はありません。 『個人のプライバシーについて一切開示しない(産業医も含め)』契約です。ただし、本人の合意がある場合に限っては、会社へ情報開示します。また、産業医と会社間にも医師の守秘義務があります。


4.目的

社員の精神疾患によって企業が被る損失を予防すること。また、休職に至る疾病の場合、企業が安定した利益を生み出すために不可欠であるから職場復帰を早期に確実にすること。

5.組織

昔は、会社内の人事の一部門と、医務室精神担当医師または外部精神科医療機関が連絡を取り合って素朴に、投薬、休職、復職の相談に乗っていたものでした。しばしば退職に終わることもありました。
もっと合理的な解決はないかと提案されたのが、EAPプロバイダーです。

EAPを大別すると、「メディカル系」と「ノンメディカル系(あるいはビジネス系)」の二つがあります。
うつ病などの悩みは医療系EAP機関の得意とする分野です。
一方、「上司と性格が合わない」、「昨年異動してきたが新しい環境になじめない」といったような、企業の職場の特性が原因となる悩みについては、非医療系EAP機関が適しています。

両者を統合した形の、「統合型EAP」は今後の姿でしょう。

6.方法-1 啓蒙
外部講師が主に参加型社員研修を行ないます。項目を列挙すると、次のようになります。

A.メンタルヘルス研修
メンタルヘルスマネジメント、気づきと声かけ、セルフケア、ストレス耐性向上、傾聴実習、不調者対応・復職者対応、認知療法のエッセンスによるセルフケア

B.CSR(企業の社会的責任)・リスク管理系研修
ワークライフバランス、パワハラ・セクハラ防止など各種ハラスメント研修、リスクマネジメントとメンタルヘルス

C.ビジネス・コミュニケーション研修
新入社員研修:内定者・新人・フォロー、職場活性化プログラム、コーチング、リーダーシップ

啓蒙の効果として、個人的な問題とパフォーマンス問題の関係に気付くことで、自分の精神衛生管理が、会社のためにもなるのだと考え、メンタルヘルス意識を高めることができます。

労働組合としても、個人の健康と会社の成長の両者を実現できるわけですから、肯定的に取り組みます。会社が新しいコンセプトで最新の健康管理体制をスタートさせる事は、モラルを高めます。

7.方法-2 予防教育

A.不眠、B.食欲減退、C.憂鬱、興味減退、億劫、だるい、からだが重い、この三点はうつの始まりですから、これを予防する意味で、A.よく眠る、B.よく食べる、C.リフレッシュして楽しむ、の三点を心がけます。

まずは、「睡眠、食欲、リフレッシュ」です。

そのほか、予防に大切な点を列挙しましょう。以下の点が見られたら、「睡眠、食欲、リフレッシュ」の原点に戻ってください。

(1)欠勤および遅刻・早退
月曜日や連休などの休み明けに、体調不良を理由に欠勤や遅刻・早退しがちになります。

(2)泣き言をいう
これに対しては、おだやかな、真摯な姿勢で、「どうした、何があったの」とメンバーにまず声をかけて話を聴くのがメンタルヘルス対策の基本です。傾聴です。
「もうだめだ」「お先真っ暗だ」などと言う場合は、たとえ小さなつぶやきでも深刻です。まれに自殺の前ぶれのこともあり、安易な激励や批判、無視は危険です。


(3)能率低下
スキルや経験はあるのに仕事に集中できない。判断や決断が鈍った状態です。本来の自分なら問題なく処理できる業務にやたらと時間がかかるようになります。いつもの仕事のペースが大幅にダウンした時は要注意です。

 次のような例があげられます。

集中できない。
頭に入ってこなく
時間がかかるボーッとしたり、
イライラ・ソワソワする。
集中力の低下のため忘れている。
何回読み直しても先に進まない

うつ病による能率の低下が起こると、人間はそれをカバーしようとして、さらに長時間取り組むという悪循環が起こってしまいます。その点でも、勤務時間の把握が重要になります

(4)ミスやトラブルが増える
安易に叱責したり、無視したりするのではなく、リーダーは部下の仕事全体を注意深く観察し、普段と比べて評価する姿勢が大切です。
早期に発見するための目安は能率の低下とミスです。

従ってリーダーは、メンバーの普段からの能力を具体的に知っておく必要があります。プロジェクトのリーダーがはじめて仕事を共にするメンバーについては、元の職場の上司などから聞いておくことがポイントです。

(5)やめたいと言い出す
そんなにつらい場面ではないはずなのに、「仕事を辞めたい」「プロジェクトから降ろしてほしい」などというのは、危険なサインです。うつによるモチベーションの低下や、時には「この世から消えたい」気持ち、つまり自殺、の間接表現の場合もあるからです。
ビジネスマンは、勤務中はもとより、通帰宅しても仕事のことを考えていることが多いものです。つまり「仕事が日々の人生」なので、仕事やプロジェクトを辞めたいともらすときは、「人生から降りたい」気分にあるといえるのです。ある訴訟事例では、部下から突然に退職願が提出され、上司はそれを無視しましたが、その後自殺が起こり、問題視されました。

以上のようなポイントがあるのですが、何といってもまず睡眠が大切です。ここで睡眠の重要性について再論しましょう。

適度な睡眠時間は、個人差はあるものの、おおむね6~8時間程度とされています。そして睡眠時間が6時間未満の状態を続けている人は、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高いという統計が報告されています。メンタルヘルスへの悪影響も知られています。

ところで、一般企業における「過労」の基準をご存知でしょうか。基準の一つは、「月あたりの残業時間が2~6ヶ月連続して80時間オーバー」です。1ヶ月に平均20日働くとして、1日4時間残業したら月あたり80時間の残業になります。その場合、退社するのが21時で、通勤時間が片道1時間かかるとして、帰宅して食事して入浴して余暇の時間があって、翌朝7時に起きるとして、「月に80時間以上残業していると、平均睡眠時間が6時間を割ってしまう」ということになります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高まりますので、「月80時間以上の残業」→「過労(死)」という図式が出来上がるのです。そして、過労によるうつ病の発症、過労自殺にもつながっていきます。

残業時間が月100時間を超えると、1ヶ月でも「過労」とみなされます。その場合も、重症化のリスクが高くなります。

21時退社なら早いほうだというなら、すでに危険なのです。睡眠の質はどうでしようか?仕事が忙しくて帰りが遅くなった日、なんとなく神経が張り詰めてしまい、深夜3時まで眠れない。翌朝とても辛い。休日は「寝だめ」する。寝不足はうつ病のリスクファクターです、充分注意しましょう。

管理職の方は、部下の睡眠時間を確保するのも役目です。

食欲について一言。
ストレス時には、食欲不振にもなり、過食にもなります。偏食にもなり、場合によっては、アルコールの問題が重なります。ダイエットしているのかな?と思っていたら実はうつ状態だったということもあるのです。

8.方法-3 問題発見・評価
従来は、欠勤、遅刻、仕事のミスなどが顕在化してから、ケアシステムが動き出しました。問題が顕在化していない場合は、こころの中のことはプライベートな問題であり、会社には関係がない、仕事さえきちんとやっていればいいはずだとの考えがあったのです。そうなると、メンタルヘルス担当者は受身にならざるを得ません。しかし、顕在化してからでは、遅すぎることが多かったのです。つまり、受動的では手遅れでした。
そこで、本人の自覚に任せるのでもなく、上司の観察に頼るだけでもなく、専門医師による、より能動的で早期の発見を目指すようになっています。

精神衛生検診により、従来は手当てできていなかったタイプの軽度のこころの変調について、早期に発見して、ケアを勧めます。ストレスは本人の気づかないところで溜まっていたりするものなので、定期的に“心の健康診断”を行ないます。早期に発見すれば、休職は必要がないことも多く、休職が必要な場合も、早期に回復するケースが増加しています。

米国では、うつは誰でもなり得るものと考えられ、しかも、教会での告解の習慣も基礎にあり、カウンセリングを受けることの抵抗も少なく、受け身型の窓口で充分に効果が期待できるでしょう。さらに、宗教的な背景から、自殺を罪と考えることが自殺の抑止要因となっているようです。ところが日本の状況は大きく異なります。日本でも、『心の病』に対する理解は進んできましたが、カウンセリングという無形のものに価値を見出さない人もいるようです。また死生観の点でも、たとえば、葬式仏教と揶揄されるように、宗教による抑止要因は薄いと考えられます。
したがって、日本では、『心の病』を早期に発見し、医療が積極的に介入し自殺を防ぐ必要があります。

日本では積極的早期発見をめざしますから、職場や上司が果たす役割は米国に比べて大きいでしよう。企業の積極的な関与が大切です。これは日本の社会的・文化的な特徴にあわせた『日本型のEAP』の一例といえるでしょう。

メンタルヘルス対策や過労死予防でいえば、上司は部下の労働時間と心身の健康状態を積極的に把握し、必要に応じて勤務軽減措置をする義務があります。

職場の全員を対象にメンタルチェックを定期的に行い、対応が必要な可能性のある人にはカウンセリングや薬剤治療開始を促すという、のが現在のサービスの原型ですが、これは体の健康診断とその後の介入の流れと殆ど同じでした。そこで、このメンタルチェックを精神衛生検診として実施し、そのなかで、個人の性格の特徴とストレス状態を診断します。

9.方法-4 医学的診断、治療

A.医療機関受診まで

問題を早期発見したら、医療的介入を必要とするかどうか、判断します。たとえば、セクハラで悩んでいる人も、うつ状態を呈していたなら、医学的治療を受けるべきですし、そうでなければ、非医学的介入でよいと思います。

まず、医療的介入が必要なのかどうかの判断が難しいものです。したがって、慎重に考えるとすれば、明白に非医療的レベルのケース以外は、受診を勧めたほうがよいでしょう。医療が必要なケースと判断したとして、周囲の人は、まず受診を勧めるという大切な仕事に直面します。これがなかなかデリケートな問題です。

たとえば、仕事のミスがあり、能率も落ちている場合、眠れているならば、まず過労の可能性があり、一ヵ月ほど業務量を減らし、新しい仕事を控えるなどで対処します。本人のプライドなどの問題もあるので難しいものです。

仕事のミスがあり、能率も落ちていて、眠れないばあい、心療内科または精神科の医師への受診を勧めます。「眠れないのは不眠症かもしれないから、専門家に判断してもらおう。

病気なら治せばよいし、病気でなければそれでよい」などと話しかけ、精神病の可能性については特に言及しなくてもいいでしょう。

会社には安全配慮義務がありますから、部下に病気の可能性がある場合、受診を勧める責任は会社や管理職にあります。

心の病気、特にうつ病では最悪、自殺が起こりうるので、損害賠償請求訴訟が起こった場合、会社や管理職が、どのように安全配慮義務を履行したかが問われます。

一般論として、体の病気が疑われる場合でも、家族や友人は専門家ではありませんが、医療機関への受診を勧めます。「うつ病」もこれと同じと考えると良いでしょう。

メンタルヘルスの問題を抱える社員に対して心配している気持ちを伝えることは大切なことですが、人によっては、そのような上司からの言葉がけに対して「悪い評価につながるのではないだろうか」などと考えて警戒することもあります。また、うつ症状によって自己評価が下がっているような場合は、「余計な心配をかけてしまって、自分は何てダメなんだろう」と考えて、かえって症状を悪化させてしまったり、負担を感じてしまうこともあります。

メンタルヘルスの問題が心配な社員に対しては、まず声をかけてみることが大切ですが、声をかけたときの本人の反応はどうだったか気をつけてみることで、直接聞き出さなくてもより多くの情報を得ることができます。「大丈夫です」といったときの本人の表情はどうだったか。笑顔でうれしそうにいったのか。表情が堅く警戒した様子なのか。表情がなくなっていたのか。また、何か話したい様子なのに、なかなか言葉が出てこない感じはなかったか。(うつ症状のひとつに思考力の低下があり、頭がうまく働かず言葉がうまく出てこないことがあります)

このように、声をかけるときは言葉だけでなく言葉以外の部分に注意を払うことがとても重要になります。そして、うつ病などの心配があるなら受診を勧めつつ、本人がこちらからの声がけに負担を感じているようであれば、無理強いせず「必要なときはいつでも話を聞くから」という気持ちを伝えておくことが大切です。

B.医療機関受診後

まず、医師はどのような役割を果たすでしょうか。メンタルの場合には、産業医とは別に外部にメンタル主治医がいる場合が多いのですが、その間の役割分担と連携も大切です。以下では、利用者の役割を総合して、医師としておきます。

うつ病は薬の進歩で入院せず治るようになりましたが、多くは月単位(多くは3ヶ月以上)で休業しなければなりません。休業さらには失業という危険が生じます。医師を受診して、診断を受け、場合によっては、休職の指示をもらいます。その後、医師は復職の判定、過重労働面談を含むメンタル相談役にもあたります。実際の休職・復職に際し、家庭状況、会社の環境や制度もふまえて、医学的見地から判断するという重要な役割を果たします。職場での対応における専門的なアドバイスや、休職者・通院者の主治医が別にいる場合には、診断内容の確認や状況確認も担当します。就業上の措置として、残業の制限・仕事の変更・配置替え・休職などを助言します。厚生労務・人事グループへの助言もしごとになります。衛生委員会、健康増進施策等の取り組みの徹底にも取り組みます。

医師は社内制度や社風、社内環境を充分に理解し、従業員の休職復職判断に際して、さまざまな要件を勘案し、個々のケースに合わせた判断を下します。医師の休職復職の判断と主治医の診断を総合することで、より客観的で正確な判断が可能になります。

復職支援プログラムは、メンタル疾患による休職者の復帰を包括的にサポートします。休職者をとりまく家族や職場の上司など、サポーター同士の橋渡しとなり、円滑な職場復帰ができるように環境を整えます。
A、休職開始期
B、休職期間
C、復職開始期
D、復職後フォロー期
の4つの期間ごとに必要となる支援を考えます。
休職した社員ばかりでなく、関係者全般について、調整します。

厚生労働省による『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』をベースに従業員支援プログラムは作られています。休職者と、その人を支援する職場の関係者及び主治医、産業医等、さらに産業保健婦などパラメディカルとのネットワークづくりが大切です。

10.方法-5 コンサルテーション・カウンセリング・個別配慮

服薬と通院は一定期間で終了します。その後はメンタル主治医、産業医、EAPスタッフ、臨床心理士、産業カウンセラー、産業保健婦、厚生労務および人事スタッフが連携します。これらのスタッフで仕事を分担し情報を共有し、共通の目的に向かうようアレンジします。

関係部署間の連携がスムーズになれば、健康管理体制全般の再構築を実施し、専門的なノウハウをもとに、現状のレビューや問題点の整理、新しい基準作りのためのコンサルテーションがなされ、運用体制を整備します。既存のメンタル主治医、産業医、EAPスタッフ、臨床心理士、産業カウンセラー、産業保健婦、厚生労務および人事スタッフの連携がスムーズに行える体制になります。 結果として、早期ケアが可能になり、休職期間の短縮が実現できます。要請されるサービスに適合した、組織の再構築が必要です。

11.方法-6 休職者周辺関係者について、二次的リスクの防止

職場でも、家庭でも、二次的な影響が出ることがあります。これにも積極的に対処します。

12.方法-7 制度の整備と法的リスクマネジメント

社内の制度を整備して、医療、カウンセリング、リハビリを使いやすいものにしておく必要があります。さらにメンタルヘルスを啓蒙して、制度を有効なものにする必要があります。ここで、福利厚生にとどまらず「法的リスクマネジメント」の観点からとらえる必要もあります。精神障害での労災認定や訴訟件数の爆発的な増加、過労自殺、過労うつ病についての訴訟例からみても、対策が必要です。

厚生労働省は、心の健康問題で休業していた労働者の職場復帰支援に関する手引きを2004年10月14 日に発表しています。本手引きは実際の職場復帰に当たり、事業者が行う職場復帰支援の内容について総合的に示しており、事業者は本手引きを参考にしながら衛生委員会等において調査審議し、産業医等の助言を受けながら個々の事業場の実態に即した形で、事業場の職場復帰支援プログラムを策定し、それが組織的かつ計画的に行われるよう積極的に取り組むことが必要であるとしています。さらに、職場復帰支援に関する体制や規程の整備を行い、定められた体制や規程については、教育等の実施により労働者への周知を図る必要があるとしています。

労働安全衛生法改正では2006年4月に残業時間が月100時間を超える社員に対し医師による面談指導が義務付けられました。

*****
以上が概論です。



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三寒四温

病状は一直線に良くなるわけではありません。
一歩後退二歩前進、
三寒四温ですよ、と言われます。


しばしば、このような図で説明されます。


こんなふうに赤い線を補助線として引いても分かりやすいと思います。
赤い線が、体の中で治っていく様子、
黄色い線が、症状として現れている部分です。




こちらは別の人が作った図のようですが、
下の図を作った人は、上の図を作った人に比較して、
症状を微細にとらえようとしているわけです。
カーブがちょっと違います。
前の山の高さまで戻らないうちに低下していく局面も描かれています。
また、いったん低下して、急激に上昇している曲線で、
微分係数を論じると不連続になるような点があります。
私見では、これは体内の反応ではなく、
症状観察の都合で生じている不連続なのだと推定できます。
つまりアーチファクトです。

上の図は「一進一退」、
下の図は「三寒四温」、となるでしょう。
ん、そうかな?

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うつにつながりやすい考え方のクセ



わたしもこんなマンガが描けたらいいのになあ。

だれか、ボランティアでマンガを描いてくれませんか?

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前駆期・極期・回復期

寛解と回復に加えて、うつ状態にになる前からの図を描くとどうでしょうか?



この図では、二つの特徴があります。

まず、回復期に、波が描かれていることです。
これはKupfer先生の元の図にはなかった情報です。
寛解に向けても、回復に向けても、さらに回復してからも、
波はあるという教えです。
(でも、極期はつるんとしていますね。わたしなら、ここも波を加えます。)

次に、うつ状態の前の時期を描いていることです。
うつ状態の前の時期に、「がんばりすぎの時期」があるのではないかとの意見は、
昔からあり、現在も大切な考え方だとわたしは思います。
(わたしの説は有力説ではありませんが、「前駆期軽躁状態」を理論の必然として要請しています。
Liが有効なのは、この前駆期軽躁状態を抑制するからだとわたしの説では考えます。)
そうした伝統的な知恵が、この図では、控えめに表現されています。
ナイスです。


寛解と回復の図-2


Kupferさんが1991年に発表した論文の図が元で、それを少しずつ皆さんが改良して論文やサイトに載せています。 この図はきれいにまとまっていると思います。

寛解と回復の図


こういう感じの絵が
よく紹介されています。
期間にはかなり幅があるものです。

「症状の消失」のところは、「寛解」とも呼ばれます。
「症状のぶり返し」は「再燃」とも呼ばれます。
寛解、再燃がセットで、
回復、再発がセットです。

回復という言葉と、治癒、完治などの言葉との間には微妙な差があります。
虫歯や骨折は完治します。
うつは回復します。

疾病概念と障害概念の違いに通じています。

また、「寛解」の用語を用いる分野を考えてみます。
たとえば、白血病は「寛解」します。
白血病が「完全寛解」したという言い方もします。
とりあえず急性期を乗り切って、「寛解導入療法」が成功すれば、
症状は消失して「寛解」に至り、
顕微鏡で見て、白血病細胞が消失すれば、 「完全寛解」です。
しかしそれは、検査の段階では白血病細胞が見られないというだけで、
「完治」とは異なると考えられます。
症状もない、白血病細胞も見られない、それでも、「完治」ではないわけです。
そこから「強化療法」「維持療法」が始まり、しばらく続きます。

こうしてみると、やはり「感冒」と「うつ」は違うところもあると考えた方がいいようです。

ダイビング講習でパニック

ニュースから
*****
ダイビング中の男性、パニックで死亡 大島の遊泳場
10月7日8時41分配信 産経新聞

 6日午後8時ごろ、東京都大島町泉津秋の秋の浜遊泳場で、ダイビング講習を受けていた男性が、海中でパニックに陥った。男性はすぐにインストラクターの男性(40)に救助されたが、呼吸困難を訴えて病院に運ばれ、まもなく死亡した。警視庁大島署で詳しい死因を調べている。
 調べでは、死亡した男性は埼玉県三郷市の会社員(42)とみられる。6日早朝、大島に到着し、インストラクターらとともに海にもぐり始めた直後に、パニックに陥ったという。

*****
パニック障害をかかえながら、
ダイビングも、サーフィンも、どんどんやっている人たちがいます。
でも、お亡くなりになってしまうことがあるとすれば、
やはり大変ですね。
しかし、「ダイビング講習中に、パニック、呼吸困難、死亡」、と書いているこの記事の
ストーリーに関しては、慎重な検証が必要だと思われます。


感覚の能動性と離人症 超音波を発射できなくなったイルカは、世界のなまなましさが失われたと泣くだろう。

わたしたちは、感覚は受動的で、運動は能動的だと、漠然と思っている。
確かに、能動的にならなくても、
音は耳に聞こえるし、
光は目に見える。
注意を凝らすかどうかは別にして、
鼓膜を振動させられているし、網膜を刺激されている。

超音波を利用して外界を知覚する動物がある。
コウモリやイルカである。
自分で探索のための超音波を発し、その反射波を受信しているのだから、
能動的と言っていいと思う。

さて、人間の場合に、本当に、感覚の能動性はないのか、
検討してみる。

カクテルパーティ効果として知られる現象がある。
ざわついたパーティの会場にあっても、
自分の関心のある話、言葉、声には敏感に反応して、
情報を拾う現象である。

耳の近くにマイクをつけて、パーティ会場の音を録音したとする。
あとでスピーカーで再生して、パーティの時に聞いたはずの話を確認しようとするが、
雑音の中に紛れて、聞き取れなくなっている。

感覚と知覚の違いについては、
感覚が元の情報そのものに近く、たとえば、マイクで録音した音である。
知覚は、感覚に一段階だけ脳で処理を加えたものと考えられる。
一段階というその中身が問題であるが、とにかく、脳が何かの処理を加えたものが知覚である。

カクテルパーティ効果は、雑音の中から、注目する情報を選択して、ラインマーカーで色を付けた状態と
たとえられる。

ここに、感覚の能動性が関与していると思われる。

人間の耳は二つしかない。
空間の二点からの距離を記述するだけでは、音の発生点を特定することができないはずである。
視覚や経験を加えなければ、片方の耳で感覚できるのは、音の周波数と大きさだけで、
「距離」については特定できない。
運動している音については、ドップラー効果が起こり、体験から、運動の方向については推定できるが、
しかしそれも、運動をベクトルで示すとして、自分向きの成分があるのかどうかを判定できるだけで、
実際の方向については、特定できない。
耳が二つあることの利点として、左右の耳に感じる音の差を脳の中で演算して、
情報を得ることができる。ステレオはそうしているのだし、イヤホンもそのようにして、
左右の広がりを感覚させている。
右から左に動く音については、よく分かる。
しかし上から下に動く音は、どのようにして感じているのか?

左右の耳で音の差を感じるとして、音源の場所について特定できるわけではない。
感覚した音の差を生じるはずの空間の点は、無限にあるはずで、
座標で考えて、左耳を(0,0,0)とし、右耳を(a,0,0)、音源をP(x,y,z)として、
音速は一定として、距離の差がkであるようなPを記述できる。
なにも決められない。
理屈の上からは、音が自分の前にあるのか、後ろにあるのかさえ、あやしいのである。
上と下についてもあやしい。
左右ならば、かろうじて納得できる。

人間の耳は前後上下対称ではないから、
そこから情報の歪みは発生するが、
そのことで音源についてたくさんのことが言えるわけではない。

右耳と左耳にマイクをつけて録音する。
それをイヤホンで再生して聞けば、
世界が再現されるだろうか?
そんなことはないのだ。

骨伝導音という要素もあるが、それは抜きにしておこう。

結局、微妙に頭を運動させて、様子を探る、そのあたりで情報が飛躍的に増えているだろうと思う。
そして経験と推定が大きく補う。これは脳による演算である。

二つの耳しかない人間が、このように複雑微妙に音の世界を感覚しているのは、
何か秘密があるに違いないと研究が進められた。
そして、カクテルパーティ効果をも再現することが試みられた。
微細な音を「拡大」して感覚する方法の研究といってもいいだろう。
その延長上に、特別な録音再生システムが提案もされた。
しかしその研究は、軍事的に大切な研究となってしまい、民生用には制限された。
レーダーよりも有効な探知機の開発である。

人間の感覚は、注意を向けるものを拡大してとらえる力がある。
それが「能動性」と関与しているだろうと思う。
「注意を向ける」ことが、超音波を発射することに対応している。

イルカで言えば、
1.超音波を発信する
2.受信する
3.発信と受信のタイミングなどを脳の中で演算して、位置や速度の情報を割り出す。
こうしたプロセスになっている。

人間は、視覚で言えば、光を発して、その反射光を感覚することはない。
しかし、知覚の場面で、体全体を動かす、頭を動かす、眼球を動かす、
などの能動性は伴っている。
そこで、
1.体動しつつ
2.受信する
3.体動と受信内容を脳内で演算して、対象の位置や速度の情報を割り出す。

つまり、イルカでは、「超音波を発信する」の部分が、
人間では、「自然光を利用して、体動を加える」と置き換わっている。
ここに知覚の能動性が生じている。
脳内の演算回路はイルカと人間で特に変わらないはずである。

たとえば、生まれたばかりの猫の、頭部、眼球を固定したままで育てる。
すると正常な視覚は発達しない。
また、正常に発達した視覚機能を持つ猫について、
頭部、眼球を麻酔して固定してしまえば、
正常知覚はできなくなってしまう。

知覚の能動性を奪われるからである。

運動や思考の能動性を奪われる状態は、よく知られている。
では、知覚の能動性を失う病気があるだろうか?
そのときはどんな症状になるだろうか?

このようにして、離人症症状が発生するのだとわたしは考えている。

本当の景色と
窓ガラスを通してみた景色と、
絵葉書の景色と、
違いが気になる人とならない人がいるのだろう。

あるいは違いが気になるという妄想なのか。

超音波を発射できなくなったイルカは、
世界のなまなましさが失われたと泣くだろう。

※ 以上は「自発参照音」および「ホロフォニクス」、あるいは「耳音響放射」(Otoacoustic emissions : OAEs)の話です。
たとえば、以下のサイト。
http://www.23net.tv/xfsection+article.articleid+70.htm
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic000/frontier/frontier_1_j.html
http://blogs.yahoo.co.jp/sizukana_kohan2006/10054523.html

※ リファレンス・トーン
ホロフォニクスの開発者ヒューズ・ズッカレリが主張する「自発参照音」.人間は単に音を一方的に伝達関数的に受容するのではなく,身体からある種の周波が空間に自発され,それが音源との間に干渉を生じさせる結果,私たちは音の空間位相を確認できるとするもの.

*****
近縁のこととして、人間の感覚情報は、
脳内で、情動・記憶系と、現実対処系の二つの経路に別れるはずで、
最終的にその二つが統合されて、人間の感覚経験は完結するとの説がある。
(「脳のなかの幽霊、ふたたび 」V.S.ラマチャンドラン著、角川書店に略述。)

たとえば、情動・記憶系が機能障害になり、現実対処系は機能保持されている場合、
「これが自分の机であることは分かる、しかし、愛着も感じられないし、机の机らしさがない」などと感想を述べることになる。

たとえば、「この人はわたしの母親だ、しかし、私の母親らしさがちっともない」と語る。
さらに、「この人は私の母親そっくりだが、にせ者だ」と語る人もいる。
この両者の場合、程度の違いなのか、表現方法の違いなのか、別の現象なのか、問題がある。



共通テーマ:健康

躁とうつについての再検討 *一般向けではない項目です

躁状態とうつ状態は「反対のもの」と考えるのが、
日本語の言語使用に当たっての常識だと思います。

その常識に従えば、
垂直な線を引いて、ゼロ点を定め、
それよりも上ならば、躁状態、下ならば、うつ状態と表現できるはずです。

「前駆期・極期・回復期」の図は、そのような常識に従って、描かれています。

こうした思考の延長として、
躁状態では「何かが過剰」であり、
うつ状態では「何かが欠如」している、
との考え方が出てきます。
ここ数年の趨勢では、「何か」はセロトニンのことだろうと
思う人もいるでしょう。

そのように考えをすすめていくと、
常識の訂正が必要になります。

日本語の自然な常識として、
元気がない傾向をうつ状態、元気がありすぎる傾向を躁状態とするのはいいのですが、
精神状態を医学的に観察して記述する用語として、
そうとうつを使う場合には、数直線のプラス側とマイナス側にそれぞれを置いてしまうのは、
適切ではありません。

実は、そうとうつは同時に起こることがあります。
どういうことかといえば、
まず、人間の心身の状態を記述する要素として、
覚醒程度、意欲、認知機能、気分、睡眠、食欲、などなど細分化して調べます。
多くの場合は、うつ状態としてセットが作られ、一方では躁状態としてセットがつくられます。
ところが、詳細に検討すると、
部分的にうつ状態であるが、他の部分では躁状態という場合があります。
「躁うつ混合状態」として、最初はドイツ語で記載された状態です。
つまり、躁とうつは反対の状態ではないのです。

人間の全体を表現する言葉としての、つまり、セットとしての躁状態、うつ状態という言葉と、
機能の各要素の状態を表現する言葉の、躁状態、うつ状態という言葉とを、
まず分離させたいのです。

躁とうつは、ある程度は、相反する状態ではあるが、ときには並存する状態である、
そのことを前提として考えなければなりません。
さらに、実際の臨床場面では、
躁、うつの軸とは独立させて、不安、焦燥を観察する必要があります。
個人的には、気分障害を、「躁うつの対立する二軸でみる」方式ではなく、
「躁、うつ、不安、焦燥という、互いに緩やかに関連はするが、ときに独立する四軸でみる」方式に賛成です。
横軸を時間にして、縦軸を、四つの要素のそれぞれの「強度」として、
四本の曲線を描くことができます。
従来の、モノポーラー、バイポーラーという呼び方ではなく、
テトラポーラー・ディスオーダーとしてとらえたいわけです。

すると、治療としては、
うつ軸の安定のためにSSRI、SNRI、
躁軸の安定のために、SDA、Li、VPA、
不安軸の安定のために、BDZ、SDA、
焦燥軸の安定のために、SDA、BDZ、
これらそれぞれの薬剤は、相反する効果を示すこともあります。
たとえば、従来、薬剤による躁転として記述されていたものがそうですし、
最近の、SSRIによるactivationもその例と思われます。
ある軸を安定させる薬が、別の軸の不安定を招いているのです。
調節しながら、サンドイッチのようにして、上と下から挟み込みながら、四要素を安定させていきます。

もちろん、単一薬剤で四軸がそろって安定するなら、一番いいのです。
そのような薬剤が見つかったときにはじめて、
原因についても、推定することが可能になります。

こんな少数意見は立派なサイトでは書けませんから、
こうした集合的個人サイトの役割ともいえるでしょう。

しかし、これまでの臨床経験を否定するものではないですし、
現在の標準的治療アルゴリズムを否定するものでもありません。


サイトの脱構築

文書の量がある程度多くなってきたので、
整理したいと考えた。
ヘッダー部分を固定してあるように見せて、タブで選択してジャンプする。
スクロールはしないようにする。
文書内の検索ができるようにする。
「はてな」みたいに、文書内の用語にリンクを張っておいて、
気ままに飛んでいつまでもさまよえるようにする。

当然、目次のようなものを作って、整理整頓する。
何か必要が生じたら、
まず目次にあたり、見当をつける。
あるいは、索引を調べて、要領よく情報をつかむ。
目的に応じたボタンをいくつも作っておいて、ワンタッチで、
必要な項目を拾い集めて一覧させるのもよい。

昔なら、項目ごとにカードにして、KJ法なんていうもので、全体を構築していったものだ。
多分、今でも、コンピュータ上で操作するだけで、原理としては、そうしている。

でもそれは、なかなか知恵にならないし、出会いにならないのではないか。

昔の書物の世界に育った脳から見れば、
ネットの世界というものは、体系性が欠如している。システムじゃない。
いつも、「これで全部なのか?」と気にしていないといけない。
網羅する快感に欠ける。

でも、人生はそんなものなのだと、今は思うのだ。
たとえば、将来の職業を考えるとき、誰も、徹底的に網羅的に検索して、決定するわけではない。
偶然の要素が大きい。
また、たとえば、配偶者の選択。これも、誰も、システマティックに探すわけではない。
偶然の要素が大きいのだ。
出会って影響される人物を自分で選んでいるわけではない。
どんなパン屋さんの近くに住むか、
それは偶然だ。

何かを調べて、実用的な知識がほしいなら、
そのようなシステムを提供している先行者がいくつもある。

わたしは、人生と同じように、つまらないものに偶然ひっかかって、未来が変わってしまう、
そんな出会いがあったほうがいいと思う。

だから、総索引は置かない。
コンピュータで検索するには、用語の統一と表記の統一が必要である。
しかしそんなものも、いらない。
自分なりの感性で、あちこち行ってみて、自分なりに意味のあると思うものを心にとどめておく。
それがいい。
連想が連想を呼んで、思わぬものが結合し、事物の内的関連を直感する。
そんな体験が本質的に重要だ。
知らないからお勉強しましょうではなく、世界の手触りを楽しむ体験がしたい。

下調べをして完璧な予定表を組み、その通りに体験してきた旅、
皆さんも多分、経験があると思う。
それもいいけれど、しかし、それは人生に似ていない。
テレビや映画を見ているようなものだ。
映画はすでに確定された未来としてDVDに記録されている。
そのようなものでも、脳は、ドキドキしたり、感動したりしているのだから、
予定通りの旅でも、いいのだろうが。

しかし、目次も索引もない世界を、さ迷い歩いてみたくないか?
誰とも共有していない、自分だけの経験はどうか?

他人の書いたものを読むということは、
脳と脳が接続される経験だ。
そのとき、垂直にではなく、水平に、接続したいのだ。
垂直接続は、システムであり、権威であり、この世での利益であり、成長である。
水平接続は、経験であり、成熟である。

というような理屈をつけて、
全体を脱構築したままに放置しておくことに決めた。

でも本当は、
誰か几帳面な人がいたら、喜んで任せるので、整理してほしい。
そうすれば、本にもできるだろう。
ついでに挿絵も描いてほしい。


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