境界性人格障害の心理教育
原田 誠一先生(原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所)の論文から。
境界性人格障害の心理教育
境界性人格障害(BPD)の心理教育。図「BPDの悪循環」を参照。
・中心となる基本テーマに、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
の三つがある。
・基本テーマから「落ち込み」「空しさ」などの感情が生まれ、対人関係の特徴(たとえば、傷つきやすさ)につながる。
・日常生活の「行き違い」などで「見捨てられた」などと極端に受け止めて、行動化を起こしてしまいがち。
・行動化が「周囲との軋轢」の増大、本人の「後悔」などをもたらし、不安・抑うつ症状や基本テーマが、いっそう悪化する。
・以上をふまえて「典型的なうつ病との違い」や「精神科での治療の内容や限界」を理解してもらう。
・本人の試行錯誤・自助努力で「行動化」を減らし、基本テーマを変えていくことが治療の本質であると伝える。
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中心葛藤課題といった感じの3つテーマを抽出、そこから症状を説明する。
必要なのは症状をかえることではなく、
「基本テーマを変えることだ」と目標設定する。
なるほど。
治療者も患者も多大のエネルギーを要する作業である。
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それにしても、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
こうして3つ並べてみると、程度の差はあっても、当てはまるという人も多いだろう。
悪循環にしても、程度の差はあっても、当てはまるなあと思う人も多いのではないか。
そういった意味では、病的というよりも、普遍的に存在している基本テーマであるし、普遍的に悪循環であるという気がする。
ただ、健康な人は、そのような心の側面を、場面に応じて、一時的に、軽度に、露出させる。病的な場合には、むしろ、そのような側面に、圧倒される。そのような違いがあるのだと思う。
「適度に、一時的に」、自信喪失し、傷つき、嘆き、行動化し、後悔もしようではないか。それが人生だ。