文献検索 Treating DSM-IV depression with atypical features 非定型うつ病の薬
いい時代になったもので、手軽にできる。
たとえば、Akiskal先生が、
Atypical Depressive Symptoms や bipolar spectrum disorders
について、最近はどんなことを発表しているかと
思ったら、
MEDLINE 日本語ゲートウェイ
というところにいって、
Akiskal atypical
とか
akiskal bipolar
とか入れてみる。
日本の雑誌文献なら
http://www.meteo-intergate.com/index.html
たとえばこんな記事がみつかる。
Toward an integrative model of the spectrum of mood, behavioral and personality disorders based on fear and anger traits: I. Clinical implications.
Lara DR, Pinto O, Akiskal K, Akiskal HS.
Pontifícia Universidade Católica do Rio Grande do Sul, Porto Alegre, RS, Brazil. drlara@pucrs.br
Current formal psychiatric approaches to nosology are plagued by an unwieldy degree of heterogeneity with insufficient appreciation of the commonalities of emotional, personality, behavioral, and addictive disorders. We address this challenge by building a spectrum model that integrates the advantages of Cloninger's and Akiskalian approaches to personality and temperament while avoiding some of their limitations. We specifically propose that "fear" and "anger" traits--used in a broader connotation than in the conventional literature--provide an optimum basis for understanding how the spectra of anxiety, depressive, bipolar, ADHD, alcohol, substance use and other impulse-control, as well as cluster B and C personality disorders arise and relate to one another. By erecting a bidimensional approach, we attempt to resolve the paradox that apparently polar conditions (e.g. depression and mania, compulsivity and impulsivity, internalizing and externalizing disorders) can coexist without cancelling one another. The combination of excessive or deficient fear and anger traits produces 4 main quadrants corresponding to the main temperament types of hyperthymic, depressive, cyclothymic and labile individuals, which roughly correspond to bipolar I, unipolar depression, bipolar II and ADHD, respectively. Other affective temperaments resulting from excess or deficiency of only fear or anger include irritable, anxious, apathetic and hyperactive. Our model does not consider schizophrenia. We propose that "healthy" or euthymic individuals would have average or moderate fear and anger traits. We further propose that family history, course and comorbidity patterns can also be understood based on fear and anger traits. We finally discuss the implications of the new derived model for clinical diagnosis of the common psychiatric disorders, and for subtyping depression and anxiety as well as cognitive and behavioral styles. We submit this proposed schema represented herein as a heuristic attempt to build bridges between basic and clinical science.
読む根気がないときは、
Med-Transer に放り込む。
気分のスペクトル、恐怖に基づく行動およびパーソナリティ障害と怒り素質の統合するようなモデルの方へ:
i. Clinical暗示。
ララ博士、ピントO、AkiskalなK、AkiskalなHS。
Pontificia Universidade Catolicaは、リオグランデ・ド・スル、Porto Alegre、RS、ブラジルに役立つ。drlara@pucrs.br
疾病分類学に対する現在の形式的精神医学のアプローチは、共通性の不十分な認識で異質性の扱いにくい程度によって悩まされる情動の(人格)行動で習慣性の障害。
我々は、それらの限界の一部を避ける間、人格と気質にCloningerのものとAkiskalianアプローチの長所を統合するスペクトル・モデルを構築することによってこのチャレンジに宛名を書く。
我々は、特に、その「恐怖」と「怒り」素質(従来の文献の中の広い含蓄で使われる)が方法を理解することの最適根拠に双極性不安(鬱病患者)(ADHD)のスペクトルを提供すると提案するアルコール、物質用途と、クラスタBとC人格異常が起こって、お互いに関連があるのと、同程度よく、他の衝動制御。
bidimensionalなアプローチを立てることによって、我々は明らかに極条件(例えば内面化して、具体化することは乱すうつ病と躁病(compulsivityとimpulsivity))がお互いをキャンセルすることなく共存することができるパラドックスを分解しようとする。
過度であるか不十分な恐怖と怒り素質の組み合わせは主な気質型と一致している4つの主な四分円を生産する気分高揚、抑うつ性(循環気質者と移動しやすい個人)、粗く一致するために双極性私、単極性うつ病、双極性II、そして、それぞれ、ADHD。
恐怖だけまたは怒りだけの過剰または欠失から生じている他の感情の気質は、含む易刺激的、願っている、無欲、そして、ハイパーアクティヴな。
我々のモデルは、精神分裂病を考慮しない。
我々は、その「健康である」かeuthymicな個人が平均であるか中等度の恐怖と怒り素質を持っていると提案する。
我々は、更に、その家族歴、経過とcomorbidityパターンがまた、恐怖と怒り素質に基づくのを理解されることができると提案する。
我々は、最終的に一般の精神障害の臨床診断のための、そして、認識で行動スタイルと同様にうつ病と不安をsubtypingするための新しい引き出されたモデルの暗示を議論する。
我々は、ここで基本的で臨床科学の間で橋を建てる発見的な試みであると述べられるこの提唱されたスキーマを提出する。
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ぜんぜん分からないが、慣れてくると、英文を斜め読みするよりは少しは早い。
本当は、こんなずるをしていないで、英文をどんどん読むべきだが、そんな元気はない。
たとえば、最初、
疾病分類学に対する現在の形式的精神医学のアプローチ
なんていうが、形式的はおかしい。formalなら公式のかなと見当がうっすらとついて、
しかし本筋には関係ないようだから、飛ばす。
人格と気質にCloningerのものとAkiskalianアプローチの長所を統合するスペクトル・モデルを構築する とあるので、
だいたい、どんな方面の話なのか分かって、必要なら、詳しくチェックすればいい。
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このページに医学関係の情報の集め方が書いてある。
http://www.medical-tribune.co.jp/
参考になる。
東邦大学医学部の http://www.mnc.toho-u.ac.jp/mmc/pubmed/ は親切。
そのほか、PubMed またはMedlineで検索すると最新情報がある。
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専門家が自分の専門分野についてこんなことをしているようなら、
もうあまり見込みはないけれど、
うつ病の専門家の人が、隣の専門くらいの、たとえば自己愛人格障害について
最近のものをまとめて検索したいというようなときに便利だ。
こうしてみると、英語が読めない人は何もできないことになる。
信用できるかどうか分からない人の解説を読んでみるしかない。
肩書きや有名度に頼ると、そもそもいい加減だったり、秘書にやらせていたりする。
本人はダメだけど、秘書は有能だったりもする。
それが現実である。
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というわけで、こんな記事。
Treating DSM-IV depression with atypical features.
Department of Psychiatry, Columbia University College of Physicians and Surgeons, New York, NY, USA.
Depression with atypical features is characterized by mood reactivity and 2 or more symptoms of vegetative reversal (including overeating, oversleeping, severe fatigue or leaden paralysis, and a history of rejection sensitivity). Another important feature of atypical depression is its preferential response to monoamine oxidase inhibitor (MAOI) treatment, especially phenelzine, relative to tricyclic antidepressants (TCAs). The efficacy of newer agents relative to MAOIs and TCAs is unclear. This presentation reviews currently available treatments for DSM-IV depression with atypical features, focusing specifically on placebo-controlled trials. Although phenelzine shows the most efficacy in this population, treatment with TCAs, selective serotonin reuptake inhibitors, cognitive-behavioral therapy, MAOIs other than phenelzine, and other agents are discussed. Following this presentation is a discussion on the treatment of depression with atypical features by experts in this subject area.
PMID: 17474800 [PubMed - indexed for MEDLINE]
機械翻訳は以下のようである。
DSM-IVうつ病を非定型features.Stewart JW(Thase ME)で処理すること。
精神医学、内科医と外科医のコロンビア大学カレッジ、ニューヨーク、NY、USA省。
非定型特徴によるうつ病は、気分反応性と休止期の逆転(厳しい過食(寝すごすこと)を含むことは、麻痺と拒絶敏感度の既往歴を疲労させるか、鈍くする)の2つ以上の徴候によって特徴づけられる。
非定型うつ病の重要なもう一つの特徴は、三環系抗うつ薬(TCAs)と関連してモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)治療(特にフェネルジン)に対するその優先の応答である。
MAOIsとTCAsと関連してより新しい医薬品の有効性は、不明である。
この供覧は非定型特徴でDSM-IVうつ病の現在利用できる治療をチェックする。そして、特に偽薬対照試験に集中する。
フェネルジンがこの人口において最も多くの有効性を示すけれども、TCAsでの治療、選択的なセロトニン再摂取抑制薬、認識行動治療法、フェネルジン以外のMAOIsと他の医薬品は議論される。
この供覧に続くことは、この被検者域の鑑定人による非定型特集記事によるうつ病の治療に関する議論である。
PMID:
17474800 [ PubMed(直接医学情報提供システムのためにインデックスを付けられる)]
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この人のいう非定型の特徴と、効く薬剤を述べていることが分かる。
過食とか過眠とかが非定型の特徴という、いつもの話だなと思いつつ、
英語をちょっとだけ読む。
そのような目で見てみると、
mood reactivity , overeating, oversleeping, severe fatigue or leaden paralysis, and a history of rejection sensitivity
といったような特徴を示すうつ病の人は結構いるものだ。治療も工夫を要する。
phenelzine だそうです。
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このStewart氏の書いた非定型うつ病についての論文(2007)について下記の解説があるので紹介。
とても刺激的です。
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DSMで診断される非定型うつ病を、臨床経過により1)若年発症で慢性経過をとる群と2)遅発で非慢性経過をとる群に分けて非定型うつ病の概念を洗練したものにしようとする観点は、異質な病態から構成されるこの概念をできるだけ均一にしようとする問題意識によって立案されたと考えられる。そして、imipramine反応性の有無を生物学的に重要な指標に据えている著者らの方法から、遅発―非慢性経過の非定型うつ病群は、メランコリー型、ないしその他のうつ病との区別がつかず、境界が不鮮明なのに対し、若年発症-慢性経過群は明確な輪郭をもち、非定型うつ病はこの群に限定すべきであるという結論を導く。
非定型うつ病の臨床単位を、メランコリー型とは対照的な生物学的な所見をもとに規定できたとするなら、それは画期的なことであろう。興味深いのは、著者Stewartらが重視する若年発症-慢性経過群では、imipramineはプラセボに対し有意な効果を出せず、しかもプラセボは認知療法や対人関係療法と同等の効果であったという知見である。非定型うつ病を診断するうえで必須の事項とされる、何かよい出来事があったり、誰かが元気づけてくれたりすると、一時的に気分が明るくなるという気分反応性(mood reactivity)は、うつ病の重症度でいえば軽症で、一定の社会状況依存性をもつうつ病を指し示していると思われる。プラセボ効果が認められること、対人場面で他者との関係に過敏になることなども、その傍証となるかもしれない。
この論考の研究展望の項で述べられているように、非定型うつ病の治療薬としてSSRIが効果的であるという報告がいくつかなされている。(例えば、Joyce PR、Mulder RT、Luty SE et al:Patterns and Predictors of remission ,response and recovery in major depression with fluoxetine or nortryptyline. Aust NZ J Psychiatry 2002) 本論考の結果をふまえると、SSRIが奏効する非定型うつ病はStewartらが言うプラセボ反応性の若年発症-慢性群なのか、あるいはimipramine反応性の遅発-非慢性群なのかどちらにより有効なのか正確に知りたいところである。評者の予想を述べさせていただくと、多分、前者なのではないだろうか。MAO阻害剤について言うと、Stewartらが狭く限定する非定型うつ病でもMAO阻害剤が選択的に効果を示すというエビデンスは得られなかったようで、非定型うつ病の概念を提唱する上での決定的な「発見」はいまだに実証されず、したがって診断基準にもりこまれるには至らない。Stewartらは、非定型うつ病の診断は大うつ病性障害の診断基準を満たした上で、現行のDSM診断基準をゆるめる形で、1)顕著な気分反応性(significant mood reactivity)と2)過食、過眠、鉛様麻痺、病的な拒絶的敏感さ(pathologic rejection sensitivity)のうちの1項目のみの存在によってなされることを提唱している。この診断基準からわかるように、現在、非定型うつ病の臨床単位はごく単純な臨床記述的な事項のみによって構想されており、当初の狙いとはだいぶ様相を異にしてきている。この診断基準に照らすなら、わが国でも非定型うつ病と診断される患者はかなり多いことは間違いない。その際、1軸診断、ないし(人格障害の傾向も含め)2軸診断でコモビデテイが認められる事例が多いことが考えられ、いずれが主たる病態なのか臨床実践のみならず、研究面でも見極める必要があるだろう。
内因性概念を重要な柱にするドイツ-日本の伝統的精神医学の視座からするなら、Stewartらが限定しようとするプラセボ反応性の非定型うつ病は、若年者における(広義の)神経症性うつ病の非内因性軽症群を包括し、他方、現行の非定型うつ病から除外されるべきだとするimipramine反応性の非定型うつ病は、DSMでは検知できない内因性うつ病軽症群を包括していることが考えられる。
いずれにせよ、非定型うつ病は、DSM-IV Sourcebook(vol 2,1994)の中での「非定型うつ病はDSM-IVに含められるべきか?」という論考で述べられているように、さしあたり臨床的有用性(clinical utility)があることからDSM-IVに採用され、その内実の生物学的な規定が残された課題として残されていたわけだが、本研究はこの課題に答えようとする貴重なものと考えられる。
この論文を読み、臨床知見の束により導かれた臨床記述的エビデンスを生物学的エビデンスにより裏打ちして、より信頼性と妥当性のある臨床単位を練り上げていこうとする、アメリカ精神医学の地道で謙虚な姿勢を感じた。その一方で、アメリカ精神医学はあるときには、きわめて大胆な理論的展開をすることを忘れてはならないだろう。DSM-Vの改訂作業の途上のある現在、その予兆があることに是非触れておきたい。あくまでAPAのホームぺージで知る作業委員会報告からの情報の範囲だが、「精神病を脱構築する」(Deconstructing Psychosis)という大変、刺激的かつ大胆なタイトルがつけられている報告では、統合失調症、双極性障害、分裂感情障害、短期精神病障害、精神病性うつ病などを包括する「全般性精神病障害」(general psychosis syndrome)の概念が提唱されている。この考え方はネオ・クレペリニズムの終焉、それに代わるネオ・グリージンガリズムの浮上を示唆することからして、もしもこの提言をDSM-Vが採用するなら、精神医学は1大革命を迎えることになるだろう。カテゴリー診断を放棄、ないし一旦括弧にいれ、ディメンジョン診断を優先させようとする、DSMの大きな方向転換のなかで、近い将来、非定型うつ病がいかなる形で新たに位置づけられるのか興味のあるところである。
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文中の、rejection sensitivityは、
たとえば、
「日本語版拒否に対する感受性測定尺度の作成
Development of Japanese version of rejection sensitivity questionnaire」
なんていう論文があるように、熟した言葉で、「拒否に対する感受性」と書いたほうが分かり易いが、本職の人は「拒絶的敏感さ」と訳す。
interpersonal rejection sensitivityは 「対人拒否感受性」
DSMの翻訳は「些細な事で長期間、人とかかわることを拒む」となっているようだ。
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非定型うつ病はパニック障害といわないまでも、軽いパニック発作を体験する人が多いと観察されていて、内因性うつ病に近縁で、薬物が効くとの観察がある。パロキセチンのほかに、ノルアドレナリンブロッカーを使ったり、SSRIをべ一スにしながら、さらに軽くレボメプロマジン少量を上乗せするとの意見がある。
→新しい抗うつ薬 特にパロキセチンについて
要点は、以下。
不安うつ病の概念とその治療 福居 いま軽症うつ病の話が出ましたが、どのあたりまでを含んで考えればいいのかがあります。lCD-10でいうと軽症うつ病エピソードのほかに、例えば身体症状が前面にでている仮面うつ病は、「その他のうつ病エピソード」のところに入ります。従来の神経症性うつ病は気分変調症の項目に入り、気分障害以外の項目の適応障害のなかの混合性不安抗うつ反応なども軽症うつ病として考えられます。
貝谷先生がおっしゃった気分反応性のあるタイプのうつは、まわりの環境や性格的な背景はほとんどないのかどうか、たしかに、非定型うつ病といわれるこうした症例が現在ふえてきているように思いますので、教えていただきたいのですが。
貝谷 そういう人たちの多くは、パニック障害といわないまでも、軽いパニック発作を体験する人たちです。そうした病像をたくさん診てきた経験から申しますと、私は内因性だとはっきり思います。内因性であると考える根拠の1つは、その症状からです。まず日内変動が顕著である。ほとんどが夕方以降にうつになる。それから他の植物神経症状、たとえば過食とか、鉛様麻痺といった症状がはっきり出てくる。さらに、睡眠障害も過眠が多く早朝覚醒ではなくて夜間覚醒のタイプが多い。したがって、単なる反応性とは決して思えない。もう1つは、家族性の集積がみられることです。ですから、これを性格反応ととらえてしまうとなかなかよくならない。やはり徹底的に薬物療法をしなければならないというのが私の基本的な考え方です。
久保木 これは従来からの貝谷先生の主張ですね。この考え方が正しいかどうかは、いま貝谷先生自身がデータをまとめている最中なので、その結果をはやくみたいと思います。
福居 夕方以降に調子が悪くなるという点からみると、従来より言われている内因性うつ病とは違うように思います。アキスカル(Akiskal)のいう気分変調症では朝型抑うつといわれていますが。
貝谷 日内変動があり、かつ植物神経症状も過食、過眠という、メランコリー型の逆が全部出ているということです。
福居 非定型としての内因性の要素があるのだから、もっときちんとした薬物療法を行う必要があるのだというご主張ですね。
久保木 これまでの内因性うつとは意味合いがちょっと違いますね。貝谷先生にはぜひ、症例を重ねてデータをとっていただきたいと思います。もし貝谷先生の仮説が正しければ、薬物がよく効くことによって患者さんが非常に助かることになります。パニック障害でも夜間だけに発作が起こる睡眠時発作型パニックがありますね。
井出 うつ病の話と結びつくかどうかは別にして、sleep panic attackはかなり生物学的要因によって起こると言われています。sleep panic attackには薬がよく効くことは確かです。不安と抑うつは厳密に分けられないところがあって、ひとりでいると調子が悪くなったり、夕方になると調子が悪くなるのは、べ一スにうつがあるのか、不安がべ一スでうつになるのか、どちらかに決めるのはなかなかむずかしいようです。
貝谷 従来の抗うつ剤はあまり効果がはっきりしませんが、軽症・中等症に対しては、パロキセチンがよく効くという印象をもっています。私の場合は、それ以上になると、ノルアドレナリンブロッカーを併用することが多いです。ただ、ノルアドレナリンブロッカーは副作用の関係でなかをか患者さんが飲んでくれません。これが飲めるとかなりよくなります。私は、夜間の覚醒、過眠、鉛様麻痺には、セロトニン系ももちろん絡んでいるだろうが、やはりノルアドレナリン性の機能異常も絡んでいると考えています。
久保木 貝谷先生は、こういう状態の患者さんにはレボメプロマジンを主に使うのですか。
貝谷 やはりべ一スはSSRIです。SSRIをべ一スにしながら、さらに軽くレボメプロマジン少量を上乗せします。
一般に不安うつ病は難治性で、特に若い女性の場合は社会的な障害度が高い。2年も3年も、病気がぐずぐずとつづくことが海外のデータからもいわれており、われわれの経験でもそういうことがいえます。それをなんとか克服したいと考えて、この数年間診療してきて、最近やっとレボメプロマジンを上手に使えばなんとかなるという確信が持てるようになりました。
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不安と抑うつを分けるのがDSM流である。
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貝谷先生は次のようにも述べている。
この症例のパニック性不安うつ病は、気分反応性がみられ、さらには鉛様麻痺、過眠、過食(体重増加)といった逆自律神経症状と、母親の些細な非難に対する過敏な反応(rejection sensitivity)がみられ、非定型うつ病の診断が可能である。著者は、このような気分反応性うつ病にみられる過眠、中途覚醒、覚醒障害といった睡眠障害だけでなく、自発性減退を主症状とする精神運動退化にレボメプロマジンが奏効することを見出した。このレボメプロマジンの気分反応性うつ病における、睡眠覚醒リズムの障害に対する効果発現機序を研究することは、今後の大きな課題であると考える。
逆自律神経症状 というのは、うつ病とは逆の自律神経症状のことだろう。
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というわけで、パキシル+レボトミン が議論されている。だいぶ昔だけれど。
PhenelzineはMAO inhibitor。MAO inhibitor はモノアミン酸化酵素阻害剤だから、Phenelzineはアドレナリンやノルアドレナリンを増やす。
ノルアドレナリンブロッカーを使うことと、phenelzineを使うことはどう関係しているか、よく分からない。
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DSM-IVによる非定型うつ病の診断基準。
- 大うつ病の診断基準を満たす
- 1の条件を満たし、かつ以下の条件A、B共に満たす
A. | 気分反応性がある(うつ状態だけでなく楽しい事があれば気分も上を向く) |
B. | 下の4つのうち2つ以上に当てはまる (1)著しい体重増加または食欲の増加がある (2)過眠 (3)身体が鉛のように重くなる (4)些細な事で長期間、人とかかわることを拒む |