うつ休業者続出企業はここでわかる
再度雑誌記事を紹介。
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こんな会社が危ない!うつ休業者続出企業はここでわかる
この春、転職したシステムエンジニアAさん。出勤初日、自分の部署がある一角に案内されて驚いた。なんと全員、ダークスーツにネクタイ姿。だが、髪は乱れているし、あごにはうっすら無精ひげが・・・。あきらかに寝不足が見て取れる顔と、びしっと締めたネクタイはなんだか妙な組み合わせに思えた。
「うちの社員はエンジニアも含めて、みんな身だしなみがいいんですよ」
課長の誇らしげな言葉に、Aさんの頭の中は疑問符でいっぱいになった。
『ネクタイをして、スーツを着たままここで徹夜するのか? お客さんに会うわけでもないのに? いったいなんのために!?』
うつ休業者が多いあぶない会社のサインとは
SEがネクタイをしている会社は、うつ休業者が多い──と書けば、語弊があるかもしれない。だが、企業のメンタルヘルスに詳しいライフバランスマネジメント 渡部卓代表取締役社長は、「社員の服装には、会社側の姿勢が反映されていることがある」と指摘する。
べつにネクタイをすること自体が悪いわけではないが、そうした些細なところに、トップの考え方がいやおうなくにじみ出るのである。
冒頭のように、顧客と接するわけでもない社員が、きっちりとした服装を強いられているような会社は要注意だ。「会社とは、社員とはかくあるべし」という精神論が浸透しており、トップの“ガンバリズム”に従業員が振り回されている可能性がある。うつを発症し、休業する社員が多いのはこうしたタイプの会社だ。
服装だけではない。社員や社長の様子、オフィスになんとなく漂うネガティブな空気──。こうしたところにも、働き方やメンタルヘルスに対する会社の姿勢はあらわれる。逆に言えば、「ネガティブムードが社内に濃厚に漂いだすと、うつの発症リスクが高まる」ということになるのかもしれない。たとえば、こんな会社は明日にでもうつ休業者が現れる可能性が高い!
社員同士が朝や帰りなどに挨拶をしない。
→社員同士のコミュニケーションが円滑ではない。人間関係のトラブルが起きていたり、仕事に支障が出ていたりする可能性も。
全体的にデスク周りが非常に乱雑。
→デスクを片付ける暇もないほど、仕事に追われている社員が多い。しかも散らかっているため、必要なものがなくなったり、情報漏えいが起こったりと、トラブル続出。
トイレの洗面台が汚れている。
→過重労働や人間関係の悪化などでストレスがたまり、心がすさんでいる人が多い。
社員飲み会などがやけに盛り上がる。
→過重労働でストレスがたまっている。宴会中、セクハラ行為に走る人が現れたりする。
私語や雑談が少なく、しんと静まり返っている。
→怖い上司がいるために、みんなが萎縮している。あるいは、仕事が極端に忙しい。
その逆に上司不在中は私語が非常に多い。しかもたいていは上司や会社、顧客への陰口。
→働き方や人間関係の不満がたまりにたまっている状態。
特定の人物が現れると、ぴたりと私語がやむ。
→この人物の権力はかなり大きく、しかもパワハラなどのトラブルを日常的に行っている可能性がある。
社員間における社長の噂が芳しくない。「連日ゴルフで不在」「経費に細かい」「数字ばかり引き合いに出す」などなど。
→トップの理念を社員が共有できない状態。会社と信頼関係を結ぶことができない。
コネ入社や学歴偏重が多い。
→仕事の能力がばらついている可能性がある。いわゆる「できる社員」に業務が集中しがち。
若手の中間管理職が圧倒的に多い。
→プレイングマネージャーが多く、新人のメンタルヘルスケアがおざなりになっている可能性がある。
女性が同僚男性のためのお茶汲みなどをさせられている。
→女性蔑視の社風が強い。こうした会社では、有能な女性が男性社員のパワハラを受けやすい。
プライベートの生活相談までサポートしてくれる会社も
情報システム会社。創業37年という老舗企業だが、社員のほとんどがSEだ。一般的にSEやプログラマーは、納期のストレスやテクノストレス(コンピュータへの過剰適応による心身の不調)にさらされやすく、うつが多いといわれる職業だ。それだけに同社では、社員のメンタルヘルスケアについてはとくにきめ細かな配慮をしている。たとえば、社員の服装はまったく自由。一人一人がリラックスして働ける職場作りを心がけているそうだ。
さらにユニークなのは「ブラザー・シスター制度」。これは、いわゆるOJT(職場内訓練)を目的としたメンター制度ではなく、なんとプライベートな生活をサポートするための制度だという。
「地方出身の新人は、近くに友達もいないため、ひたすら独身寮と会社の往復生活に陥りがち。気分転換でもできず、ストレスをためこみやすい。そのうち、心のバランスを崩してしまう人もいます。マンツーマンで相談に乗ったり、食事や映画に連れ出したりする同年輩の先輩がいれば、孤独もまぎれるのでは」
ちなみに社内にはカウンセリングルームもあり、会社を通さず自由に専門カウンセラーに相談ができる。メール相談も可能だ。
もちろん制度や設備さえ整っていれば、うつ休業者が出ないというわけではない。だが、少なくとも会社がうつに理解を示しており、社員間のコミュニケーションがよければ、事態の深刻化は食い止められる。早期発見が可能になったり、復職がよりスムーズになったりするからだ。
トップ層を交えたランチォンミーティングや社員旅行の復活、服装自由化、居心地のよい休憩コーナーの設置――これらの取り組みは、一見、メンタルヘルスと直接、関係がなさそうだ。だが、やってみれば、社内の雰囲気はぐっと向上するかもしれない。
社員がトップの意識を変えることは難しいが、制度やイベントの提案ならできる。あなたの会社でも、ぜひ始めてみてはどうだろうか。
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あくまでも、このような一面もあるというだけである。
うつ病は心身の疲労が関係するけれども、それだけではない。
200時間残業すれば、うつ病になるわけでもない。
骨なら、200キロの負荷をかければ折れるといえるだろうけれど。
昇進状況でうつになる人もいるし、昇進を認められなくてうつになる人もいるし、
同じ状況が心理的には逆に出たりして、
簡単ではない。
あくまでも、個別の事例研究が大切だと思う。
全体に、高度経済成長期には職場不適応は少なく、
成長が鈍り、民営化、成果主義、合併、などが要因となり、
大量のうつ病者を生み出している印象がある。
会社の個性とともに、社会全体の空気が大切なのだろうと思われる。
これは個別企業の特殊事情を抽出するのではなく、
社会全体を覆う、傾向を認識するということになるだろう。
その中で、うつ病が増加しているのだから。
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うつ病者続出というのも問題だが、
それを解決している立派な会社と、
続出までも行かない、もっと、低レベルの会社もあるのではないかと思う。
またうつ病を解決している立派な会社の中で、なおもうつ病になってしまったら、
一体どうすればいいのだろう。