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ドラールとマイスリーのジェネリック薬

ホームページの検索語報告を見ると、
マイスリーのジェネリックを調べている人が案外多い。

ドラールはジェネリックが発売されていて、
薬価は以下のとおり。
あまり安くなっていない。

ドラール錠15 錠 132.5 - 田辺三菱
クアゼパム錠15mg「MNP」 錠 92.8 後発 日新
クアゼパム錠15mg「YD」 錠 92.8 後発 陽進堂
クアゼパム錠15mg「アメル」 錠 92.8 後発 共和薬品
クアゼパム錠15mg「トーワ」 錠 92.8 後発 東和薬品
クアゼパム錠15mg「日医工」 錠 92.8 後発 日医工
ドラール錠20 錠 157.4 - 田辺三菱
クアゼパム錠20mg「MNP」 錠 110.2 後発 日新
クアゼパム錠20mg「YD」 錠 110.2 後発 陽進堂
クアゼパム錠20mg「トーワ」 錠 110.2 後発 東和薬品

米国で2007年4月にAmbien®(マイスリー) IRの特許保護が満了し
と記事に見えるが、日本の特許期間また別。

ドラールとマイスリーは日本での発売時期はあまり変わらなかったので、
そろそろと思うが。
そんな期待があって、検索があるのだと思う。
こんどアステラスに聞いて、報告する。

*****
実際聞いてみたところ、マイスリーのジェネリックはしばらく予定はないだろうとのこと。
ドラールと発売時期は近いかもしれないが、承認申請してから認可まで、
マイスリーが早く、その分、特許保護期間は長いのではないかとのこと。
などでした。

*****
処方せんに2006年度新設された様式では、医師署名欄で「後発薬に変更可」の場合にサインすることになっている。
今度は、後発薬に変更するべきでないと判断した場合のみ「変更不可」にサインするよう見直す案だという。銘柄指定が「例外的」となり、患者は薬局窓口で希望すれば、後発薬に替えられる。

でも、そういうからには、後発薬の品質管理をきちんとしていないといけないが、現状ではどうだろうか?

明治、エーザイ、東和などはなんとなく大丈夫のような気がしている。

名前が混乱するのも、よくない。面倒くさいというのはまだ我慢するとしても、
偶然間違えてチェックがきかなかったら、どうしようもない。

ハルシオン0.125mg錠 錠 12.3 - ファイザー
ハルラック錠0.125mg 錠 6.4 後発 富士薬品
トリアゾラム錠0.125mg「EMEC」 錠 6.4 後発 サンノーバ
パルレオン錠0.125mg 錠 6.4 後発 大洋
ハルシオン0.25mg錠 錠 17.4 - ファイザー
アサシオン0.25mg錠 錠 7.4 後発 長生堂
アスコマーナ錠0.25 錠 6.4 後発 日新
カムリトン0.25mg錠 錠 6.4 後発 寿
トリアラム錠0.25mg 錠 6.4 後発 小林化工
ネスゲン錠「0.25」0.25mg 錠 6.4 後発 辰巳
ハルラック錠0.25mg 錠 7.4 後発 富士薬品
パルレオン錠0.25mg 錠 6.4 後発 大洋
トリアゾラム錠0.25mg「TSU」 錠 6.4 後発 鶴原
ミンザイン錠0.25mg 錠 6.4 後発 日医工
(この一覧表はちょっと古いと思う。インターネットは、情報の時間指定があいまいなことが多い。)

一般名+規格+メーカー名 で統一したらいいだろう。
トリアゾラム0.25mg日医工 でいい。

提案されているような、後発医薬品原則変更可能は、まだ早いと思う。
効き方が本当に同じか、確認しないといけない。

現状の方式であれば、メーカーごとのばらつきあったとして、
それを踏まえたうえで、お医者さんが選定できる。
ちょっと効きが早いやつとか、お腹を少しくだす傾向のあるやつとか、
注意して選ぶことができる。
(今のところそんなにひどいジェネリック薬にあたったことはないけれど。)
だから、患者さんに不利益は起こらない。



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精神症状と身体症状


この図で、矢印方向に症状が進行する。

一番下の矢印の場合には、最初身体症状があり、精神症状が出て、
再び身体症状を経て、治る。これが典型的。

真ん中の矢印の場合、精神症状の期間は短い。

一番上の矢印の場合、精神症状はなく、身体症状のみである。
そのような場合もある。

昔から有名な説。



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悩みの正体

悩んでいるとする。
答えが出ないから、考え続ける。
ぐるぐると回っている。
でも、決着がつかず、悩み続けている。

本を読んだりしてもますます問題が広がる。
昔の人も悩んでいたのだと分かるだけで、
解決はない。

そんなときは、悩みの正体を書きとめる。

手帳を開いて、今日のページに、いま抱えている悩みを全部書き出す。
どんな細かいことも、漏らさずに書く。

一週間に一回くらい、書く。

書いてみると、実はそんなに多くはないことが分かる。
あまり変化しないことも、分かる。

そして、それぞれの問題について、どうすればいいかも、ほぼ見えていることに気付く。
解決できることは解決する。そして、それはたいてい、解決している。
解決できないことは待つしかない。
その分類をしたら、あとは待つしかない。

待つ時間に、悩むのがいいだろうか?
いや、待つ時間も人生を生きた方がいい。

旅に出て、途中で電車が止まったら、
悩んでいないで、そのあたりを歩いて、
面白いものがないか、探してみればいい。
止まった電車を嘆いていても無駄というものだ。

*****
実は、
私は悩んでばかりいて、
悩み方を研究したから、
いまのような仕事になったようなところもある。
そのような悩み方もある。

悩むことを人生の内容そのものにしてしまう、
そのような解決もある。
おすすめはしない。

悩むのではなく、悩み方について研究することにして、乗りきったのだろう。



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とりあえずタフになる一点集中

タフになる方法を考えているが、
ひとつは、タフになる方法を考えている暇があるからいけないのであって、
目の前にあって、集中しなければならない課題をひとつ決めて、
取り組むのがよい。

どうしたらタフになれるだろうという悩みは、
目の前にある困難をどのようにして乗りきろうかと考える悩みとは、
次元がひとつ違う。

「メタ悩み」といってもよいような性質のものだ。
だいたいそんな悩みを悩んでいいことはない。

困難は、具体的に解決するしかない。
悩んでいる自分を悩まないように改造したところで、
仕事がはかどるわけではないのだ。

それよりも、具体的な、目の前の課題に取り組むことだ。
具体的なスキル。

その積み重ねが、タフネスにつながる。

いい職人は、言葉少なく、仕事に向かっているではないか。
黙々と仕事に向かうしかない。



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自分の疲れに無自覚または否認

うつになるひとつのメカニズム
(しかしあまり多くはないメカニズム)は、
自分の疲れに無自覚だということだ。

自分が疲れていると感覚できれば、
それ以上無理はしないですむだろう。

自覚できなければ、ますます疲れるだろう。

サーモスタットの壊れているこたつみたいなもので、
どんどん熱くなってしまう。

足の感覚神経に障害をもつ人が、
足をあちこちにぶつけて怪我が絶えないようなものだ。

ある種の性格障害の人が、
何度でも自分の心を傷つけてしまうようなものだ。

無理に休養をとってもらって、
やっと、自分がどんなに疲れていたか、納得する。

*****
あるいは、心理メカニズムとしては、否認もあるのだろう。
疲れていることを認めたくない、
疲れを認めたらもっと重大な心理的危機が待っている、
そんな場合もある。

*****
結局、疲れに無自覚な場合、心療内科には来ない。
自己啓発系の本を読む。
鍛え始める。
あるいは、医者に行くとしても、身体科に行く。

心療内科のお医者さんとしては、診察室に来たということは、
一応、自分の疲れを自覚しているのだから、
そこから話を始めればいい。

そうではない、周囲の人とか、身体科のお医者さんは、
かなり困るだろうと思う。



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内耳模型

人間の内耳の形を元にした、模型というか、デザインというか、そんなもの。
何年も前の雑誌サイエンスに載ったものだと記憶しています。




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部下・同僚の不調に気付くポイント

部下・同僚の不調に気付く方法

上司の目から見て、
次のようなことが見られたら、
まず声をかけること。

遅刻・早退
欠勤(特に休み明け)
能率低下・その結果の残業
ミス・事故
泣き言をいう
やめたいと言い出す

特に、
睡眠がとれているか、
休日に疲れがとれているか、
食事はとれているか、
声をかけてみましょう。



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The Right Brain vs Left Brain test

http://forum.4shared.com/viewtopic.php?t=6887
どうぞお試しを。
確かに、右回りのときと、左回りのときがあります。

I always seen clockwise.
sometime is anticlockwise.
how about you
と書いてありますが、私の場合は逆で、おおむね、anticlockwise、
そしてときに、clockwise

それが右脳、左脳とどう関係しているかは、
わたしには不明です?

でも、不思議です。

*****
I always seen clockwise.
sometime is anticlockwise.
って、
変な英語ですが、分かりますよね。
分かるのが、私には、不思議です。

文法に反していても、分かるということは、
文法よりも深い、人間の脳の普遍的な規則にしたがっているということだろう。
だとすれば、何故、それが文法そのものにならないのだろうか?
そのような、「普遍文法」こそが、文法となるべきではないのだろうか?



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あたらしいページ

クリニック解説のページが、縦にスクロールするものだから、
一覧性に乏しく、何がどこにあるかますます分からなくなり、不満だった。
縦スクロールを使わずに、小さな画面を切り替えていくタイプのものを作りたくなって、
試作してみた。

http://www17.ocn.ne.jp/~ssn1121/2007/index.html

結局、うまくはできないものだ。
微妙な色加減とか、
丸いボタンを使ったり、
マウスを載せるときれいに変化したり、
理解はしていても、自分なりに作ると、
こんな程度でいいじゃないかと思ってしまう。

Flashも使えば楽しいけれど、
動かして楽しい写真もないから、
やめた。本質的な情報が増えるわけではないし。

使っているブラウザによって違いもあるようだが、
素人なのだから、そんなものには対応できない。
SEO対策なんか、どうしようもない。
土台、独自ドメインを用意することさえしないのだから、
論外のようだ。



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アロマオイルについて

アロマセラピーもすっかり定着してきた。
むかしクリニックでアロマオイルを使い始めた頃は珍しがられたものだった。

困ったことに香りにはだんだん慣れてしまうもので、
毎日一日中診察室にいると、香りを感じなくなる。
知らないうちにだんだんきつい香りになってしまうようだった。

ラベンダーが基本だけれど、
ときにシトラス系を加えて、気分を変える。

最近は無印良品でだしている、
「ティートリー」とラベンダーを交互に使う。

個人的には、お香の香りが好きで、自宅ではよく使う。
白檀。アロマオイルよりは高価。
しかし、クリニックでは、なんだかお寺さんみたいで、
よくないかと気にして、使っていない。

ラベンダーは栽培がとても簡単でよく増える。
富良野のラベンダーをもらい受けて、
ずっと増え続けている。
葉っぱをこするといい香りがする。

自分で使うには慣れの問題があるのだが、
お客さんをおもてなしするにはいいかなと、
最近は思っている。

香水の香りの複雑さが好きだ。
時間が経つに連れて変わる。

香水も、軽くオリエンタルな系統がいいのだけれど、
自分では使わない。

新橋サラリーマンの定番、アラミスは、
実は好きだ。
アラミスの石鹸を使うと、ちょうどいい。

最近はラルフローレンの定番ものが好きだ。
昔のジャガーが好きだったけれど、最近は見かけない。
瓶が変わって、中身も変わったようだ。

カルティエはデクラレーションが好きだった。
ブルガリのオムは残ったまま。

インターネット通販で安く買えるので驚いてしまう。



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コラーゲンと類感呪術

混合診療解禁反対の話の中で、
コラーゲンなどに高いお金を出す人もいるのだから、
なんていうことを書いて、
コラーゲンを食べている人を批判したような形になったが、
その説明。

*****
まずコラーゲンの構造 Wikipedia でお勉強。

コラーゲン蛋白質のペプチド鎖を構成するアミノ酸は、"―(グリシン)―(アミノ酸X)―(アミノ酸Y)―" と、グリシンが3残基ごとに繰り返す一次構造を有する。この配列は、コラーゲン様配列と呼ばれ、コラーゲン蛋白質の特徴である。例えば、I型コラーゲンでは、この "―(グリシン)―(アミノ酸X)―(アミノ酸Y)―" が1014アミノ酸残基繰返す配列を持っている。(アミノ酸X) としてプロリン、(アミノ酸Y) として、4(R)ヒドロキシプロリン(プロリンが酵素によって修飾されたもの)が多く存在する。この1本のペプチド鎖はα鎖と呼ばれ、分子量は10万程度である。

多くの型のコラーゲンでは、このペプチド鎖が3本集まり、縄をなうようにお互いに巻きついて、らせん構造を形成する。これがコラーゲンの構成単位であり、トロポコラーゲンと呼ばれる。トロポコラーゲンを作る際、1本1本のペプチド鎖は、左巻きのポリプロリンII型様の二次構造をとり、3本のペプチド鎖は、お互いに1残基分ずつずれて、グリシンが中央に来るようなゆるい右巻きのらせん構造を形成する。I型コラーゲンの場合、その長さはおよそ300nm、太さは1.5 nmほどである。

このトロポコラーゲンが、少しずつずれてたくさん集まり、より太く長い線維を作る場合があり、これはコラーゲン細線維 (collagen fibril) と呼ばれる。例えば、骨や軟骨の中のコラーゲンは、このコラーゲン細線維をつくっており、骨基質軟骨基質にびっしりと詰まっている。コラーゲン細線維は透過型電子顕微鏡で観察することができる。コラーゲン細線維には、ほぼ65 nm周期の縞模様が観察される。コラーゲン細線維の太さは通常、数十~百数十 nm程度である。この太さは、そのコラーゲン細線維を作っているコラ-ゲンの各型の割合などによって決まることがわかっている。

コラーゲン細線維は、更に多くが寄り集まって、結合組織内で強大な線維を形成する場合がある。これがコラーゲン線維(膠原線維;こうげんせんい、collagen fiber)である。コラーゲン線維の太さは数μm~数十μm程度で、適切な染色をおこなうと、光学顕微鏡でも観察することができる。コラーゲン線維は皮膚の真皮や腱などにはびっしりとつまっている。

*****
顕微鏡で覗いて、スケッチを描かされます。大学には染色標本作成の名人がいます。
まあ、要点は、コラーゲンは、たんぱく質だということだ。とすれば、アミノ酸に分解されるわけで、その内容は?

*****
アミノ酸組成
コラーゲンのアミノ酸組成はグリシンが約半分を占め、プロリン及びヒドロキシプロリンが21%、アラニンが11%とかなり偏った構成となっている。またコラーゲンに特有のアミノ酸としてヒドロキシプロリン・ヒドロキシリジンなどがある。これらは通常のプロリン・リジンに対して水酸基が1つ付加した構造のアミノ酸で、他のタンパク中にはほとんど含まれない。これらは水素結合によってタンパク鎖同士を結び、3重らせん構造を保つ働きがある。

*****
まあ、そういうことです。

*****
機能
コラーゲンは、様々な結合組織に、力学的な強度を与えるのに役立っている。若干の弾力性もある。特に、腱の主成分は上述のコラーゲン線維がきちんとすきまなく配列したもので非常に強い力に耐える。腱には、筋肉が発生した引っ張り力を骨などに伝え、運動を起こす際に非常に強い力がかかる。また、骨や軟骨の内部では、びっしりと詰め込まれたコラーゲン細線維が、骨や軟骨の弾力性を増すのに役立っており、衝撃で骨折などが起こることから守っている。また、皮膚の弾力性や強度に役立っている、などである。

一方、こうした従来から知られている機能とは別に、コラーゲンが、それに接する細胞に対して、増殖、分化シグナルを与える、情報伝達の働きも担っていることがわかってきている。

*****
学生の頃は、エラスティク・ファイバーという名前のものを習いました。コラーゲン・ファイバーは固い成分、エラスティック・ファイバーは、伸縮性に富む成分で、皮膚繊維の中でのこの比率が、皮膚の伸縮性や弾力を決定していると、山田英知先生が美しいスライドを提示しながら解説したように思います。最近は包括して、コラーゲンファイバーと呼んでいるのかな。

*****
種類と分布
2004年までに、ヒトのコラーゲン蛋白質は30種類以上あることが報告されている。
I型、II型のようにローマ数字を使って区別される。例えば、真皮靱帯などではI型コラーゲンが、関節軟骨ではII型コラーゲンが主成分である。また、すべての上皮組織の裏打ち構造である基底膜にはIV型コラーゲンが主に含まれている。体内で最も豊富に存在しているのはI型コラーゲンである。

*****
なるほど、それで、エラスティック・ファイバーという言い方はしないようになったわけだ。もっと精密に言うようになった。
でも、大雑把にいうと、エラスティック成分が失われるから、歳をとると、皮膚を指でつまんだら、そのまま皮膚が立っている、なんていうことが起こる。

*****
健康食品としての意義
コラーゲンを多く含む健康食品が、皮膚の張りを保つ、関節の痛みを改善するなどと宣伝されていることがある。一部の症状に有効性が認められたという論文は多いが、相反する結果を示す論文も報告されており、その有効性について科学的に十分に証明されているとは言い難い。

*****
それはそうだ。だって、食べたたんぱく質は、アミノ酸単体か、二つつながったくらいまで分解される。もとがコラーゲンか何かなんて分からなくなっている。

*****
コラーゲンはタンパク質の一種だが、アミノ酸まで分解されなくとも小さなペプチド(分子量500-15,000)まで分解されれば消化管から体内にとりこまれる。しかし、取り込まれたコラーゲンペプチドは皮膚、肝臓、腎臓、脾臓、筋肉、軟骨など全身に分配され、必ずしも目的の部位にだけ届くわけではない。そもそもタンパク質をはじめとした栄養を含む食品類をバランスよく摂っていれば摂取量が不足することはないので、健康食品で補う意義は乏しいと考えられる。

*****
そうですね。当然です。高校の生物で習いました。

*****
コラーゲンを単なるタンパク質供給源としてみた場合、グリシンを非常に多く含む反面、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンをまったく含まないなど、アミノ酸組成が著しく偏っており、アミノ酸スコアの観点から考えてもそれ単体での栄養学的価値は低い。

*****
そういうことです。

*****
なお、コラーゲンを配合した化粧品が数多く販売されているが、コラーゲンは主に保湿剤の目的で使用されている。

*****
直接皮膚に塗るなら、コラーゲンのままです。でも、それが自分の皮膚に吸収されるわけでもないのです。実際は、ワセリンを塗ったのと変わりないと、皮膚科の先生は言っています。

*****
とんこつラーメン屋でコラーゲンが入っていると書いてある店があるが、動物性コラーゲンの分解温度は40度であるため、とんこつを出すような煮方をした場合には分解されてしまい、栄養成分としての価値はまるでない。

*****
つまり、成分であるアミノ酸になっているということです。旨みにはなるはず。

コラーゲンたっぷりの食事を続けたら、膝関節が楽になったという証言は、どうなるのでしょう。

わたしはこのような分野については、「類感呪術」という用語で説明しています。

ふたたびWikipedia から

*****
類感呪術 (るいかんじゅじゅつ) は、文化人類学者ジェームズ・フレイザーが定義した、民俗学における呪術の性質を表す言葉である。類似したもの同士は互いに影響しあうという発想(「類似の法則」)に則った呪術で、広くさまざまな文化圏で類感呪術の応用が見られる。

フレイザーによると、呪術の要素は、この類感呪術と感染呪術の二つに分類できるとされる。

 類感呪術の例
海草を食べると髪が黒くなる」という迷信。

実際に海草に髪の色を決定するメラニン色素を増やすような化学物質は含まれていないのだが、海から引き上げられた海草が髪の毛のように見えることからこのような誤解が生まれた。

****
これは人間の古層の思考類型の一つであり、たとえば、中国の古典、「詩経」に収められている詩を読解するときに役立った。
そのように古い思考形式が現在もなお生きていて、高校の生物で習ったことなど全く無視させる強い力を発揮していることに、驚くのである。

そして、そのような人たちが、限られた情報をもとに投票したり世論調査に答えたり、そして世の中が回っていくのかと思うと、かなりのめまいを感じるのだ。

合理的判断ができない集団に、操作した情報を与え、一体何をしているのか、何をしたいのか。コラーゲンを売っている人、買っている人だけがどうというのではなく、まったくユビキタスな現象なのだ。



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マゴワヤサシイ 食事の基本

身体に必要な栄養素を過不足なく摂るようにするには、さまざまな食品を選んで摂ることが重要です。
その基本になるのが
「マゴワヤサシイ」
という言葉です。
マゴワヤサシイ食のメインは和食です。日本食の基本となる7食品群を表す言葉が「マゴワヤサシイ」なのです。
日本食は低脂肪で、エネルギー源の炭水化物と代謝に必要なビタミン・ミネラル、食物繊維などがたっぷり摂れます。


● マメ
豆類、豆腐、味噌、納豆。 タンパク質とマグネシウムが豊富。
大豆製品には、脳にいい適量の不飽和脂肪酸とレシチンが含まれます。


● ゴマ
ゴマ、ナッツ類。 不飽和脂肪酸やビタミンE、レシチン、タンパク質が含まれます。
抗酸化栄養素が豊富。


● ワカメ
海藻類はカルシウムが豊富。貴重なヨードの摂取源です。

● ヤサイ
野菜には、ベータカロチン、ビタミンCが豊富。
野菜類にはカロリー栄養素はほとんど含まれていませんが、体をきれいにしたり、免疫力を高める物質が豊富に含まれています。


● サカナ
魚と貝類は、すべての必須アミノ酸を含む良質のタンパク質です。
青魚や鮭、貝類は不飽和脂肪酸のオメガ3が豊富。


● シイタケ

ビタミンDが豊富。キノコに含まれる多糖体には、免疫を高めたり、ガン細胞の増殖を制御する働きがあります。

● イモ
ジャガイモ、サツマイモは腸内環境を整える食物繊維が豊富。

*****
というわけですが、確かに、現在長生きしているおじいちゃんおばあちゃんのライフスタイルを調査すると、こんな結果のようです。
しかし実を言えば、それ以外に食べるものはなかったのですし、早く死んだ人も、同じものを食べていたはずです。
自分と似たDNAの人がどのようにして長生きしたか調べて、まねをしてみようというのは、まあ、比較的、いい作戦だと思います。

でも、並べられた項目を見ると、カテゴリー・エラーがあります。レベルの違うカテゴリーが並列されています。
語呂合わせの都合で仕方なかったのでしょう。

これを7群と呼ぶとしたら、自分でものを考える人には笑われるでしょう。
でも、和食系のものを満遍なく、多様に摂取すると心がけることと、読み替えましょう。



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概日リズム睡眠障害 CRSDs の管理に関するガイドライン

概日リズム睡眠障害 CRSDs の管理に関するガイドライン

概日リズム睡眠障害には外因性と内因性があり、
実際には、内因性因子と外因性因子との組み合わせが各障害を発現させている。

  1. 「外因性」CRSDs
      交代勤務睡眠障害
      時差症候群
  2. 「内因性」CRSDs
      睡眠相前進症候群
      睡眠相後退症候群
      不規則睡眠覚醒リズム
      非24時間睡眠覚醒症候群 [非同調型] または自由継続型

CRSDが疑われる患者の評価には、睡眠記録または睡眠日記が使用される。

利用できる治療法には、計画的睡眠スケジュール(planned sleep schedules)、定時の光照射、定時のメラトニン投与、睡眠剤がある。

* 計画的または処方された睡眠スケジュールは、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、不規則睡眠覚醒リズム、自由継続型睡眠障害に使用される。

* 特別に指示された定時の光照射は概日障害のそれぞれに使用されるが、奏効度は各診断によって様々である。

* 定時のメラトニン投与は、交代勤務睡眠障害、睡眠相前進障害、自由継続型睡眠障害に用いられる。

* 夜間勤務者における日中の睡眠を促進または改善するためには、睡眠剤を用いることができる。

* 時差による不眠の治療には、睡眠薬を用いることもできる。



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混合診療解禁問題-2

2004年11月、経済財政諮問会議、規制改革推進会議で混合診療解禁を決定。
しかし、保険医の団体である日本医師会が反対したため、頓挫。

2005年12月7日、米国政府は日本政府に対する要望書で
「加算ルール」つまり「混合診療全面解禁」を強く指示。

2006年6月、政府は強行採決により、医療法改正案を通し、混合診療の幅を広げた。

流れは、混合診療解禁のようで、そうなれば、お医者さんの技術料の部分も、経験・技術に応じて設定するようになるのかもしれない。

実際、全国どこでも同じ診察料、技術料というのは、おかしいとは思う。
都会の家賃は高いわけだし、人件費もかかる。田舎でおじいちゃんおばあちゃんを診察していた方が、
経済的には報われるかもしれない。

単純な話、看護士さんや事務員さんをたくさん雇用しているなら、
クリニックに施設基準加算はないけれど、
その分上乗せしてもいいくらいなのだ。

自由診療的な裁量部分が増えれば、
自分の技術に値段を付けることができるように思えるが、
多分、保険会社が介入して、技術料を決定すると思う。

自分は診療報酬分以上に働いていると感じているお医者さん達は、
むしろ、その分を混合診療分として請求できるので、いいのかもしれない。
書類代とか、いろいろ、診療報酬で評価されない雑務は実は多い。

多分、都会のサラリーマンは、天引きされている健康保険料を払わずに、
自費診療クリニックに行った方が、安くあがる。
年をとって、いろいろと不安な年頃になったら、保険を利用すればいいことになる。

一方、保険会社は医療費のかからない人から保険料を取りたいわけだから、工夫をする。
その工夫にまんまと乗っているのがアメリカ人だし、その商売ノウハウについては、自信満々なのだろう。
洪水のような、保険のテレビコマーシャル。

郵政民営化、弁護士大量生産、混合診療、民間保険の導入と、
米国の年次改革要望書の通りである。
中医協に米国製薬会社の人間を加えることも、要求しているのだそうだ。
もうその路線で国民洗脳が始まったということなのだろう。

国民にふさわしい政治があり、
国民にふさわしい医療がある、
そのような、当たり前のことが起こるだけである。



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混合診療禁止の法的根拠

「混合診療について、保険が受け取れないと解釈できる法律上の根拠はない」
と裁判官が判決で述べたそうだ。

混合診療禁止が憲法違反だとか、そんな話ではないから、
特段話題にもならないだろうと思っていたが、
いろいろと話題になっているようだ。

結論としていえば、混合診療は禁止するとの法律を作ればいいだけだと思う。

*****
混合診療禁止が、国民の生存権か何かを侵害していて、
従って、混合診療は全面的に解禁されるべきで、
混合診療を導入し、民間医療保険が自費分をまかなう、
そのような方向が考えられているらしい。
ここでも、いわゆるグローバルに、アメリカみたいにという流れ。
予想では、民間医療保険は10兆円を越える規模の市場とのことで、
しかも、アメリカでノウハウは充分にあり、
いつでもスタンバイオーケーなわけだ。

財務省は混合診療が解禁され、民間保険市場が出来上がったなら、
「必要最低限の医療ライン」を徐々に切り下げ、
医療費削減するだろう。

なにしろ、アメリカからの対日年次要求らしいから。

予定では、平成22年に混合診療解禁のプログラムがあり、
財務省は混合診療導入を希望しているといわれ、
政府のお抱え審議会でも混合診療解禁の方向である。

規制改革会議メンバー

議長 草刈 隆郎 日本郵船株式会社代表取締役会長
議長代理 八田 達夫 政策研究大学院大学学長
委員 有富 慶二 ヤマトホールディングス株式会社取締役会長
安念 潤司 成蹊大学法科大学院教授
翁 百合 株式会社日本総合研究所理事
小田原 榮 東京都八王子市教育委員長
川上 康男 株式会社長府製作所取締役社長
木場 弘子 キャスター・千葉大学特命教授
白石 真澄 関西大学政策創造学部教授
中条 潮 慶応義塾大学商学部教授
福井 秀夫 政策研究大学院大学教授
本田 桂子 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン プリンシパル
松井 道夫 松井証券株式会社代表取締役社長
松本 洋 アドベントインターナショナル日本代表兼マネジングパートナー
米田 雅子 慶應義塾大学理工学部教授 NPO法人建築技術支援協会常務理事

そんな時代になったら、またお医者さんの仕事が増える。
公的保険では保険対象の治療が何か、
その患者さんが加入している民間医療保険はどんな治療をどの期間許容しているか、
調査して、さらに、自費分はどれだけ発生すると計算の上で告げることになるだろう。

そうなると、アメリカの場合のように、加入している医療保険のレベルが、
実質的にその人が受けることができる医療レベルになってしまう。

自動車保険がどの範囲の修理を対象にしているか、みたいな発想。
大切な車ならいい保険をかけるし、
そうでないならそれなりに。

アメリカの短期(brief)精神療法は、保険会社の決まりに合わせて開発されたものだ。
薬剤も、保険会社の決めた範囲で。
メディケアが医療と命を支配しているのだ。
保険会社は基本的に健康で病気になりそうもない人を集めて、保証する。
公的保険は、民間保険会社に加入できないような、
医療費のかさむ人を引き受けるといった事態になるかもしれない。
すると結局、税金の持ち出しである。

以上は制度の問題。

医療にお金をかけたくない人は、
命以上に大事なものがあるのか、
あるいは、他人の命ならそれなりでいいのか。

しかしもう一つ、その手前の問題があって、
現在保険診療の対象になっていないが、本当は必要な治療がどれだけあるのかという問題。
活性化自己リンパ球移入療法とか書いてあったが、
裁判の申し立て方として、
活性化自己リンパ球移入療法を保険診療にして欲しいと申し立て、
その医学的な有効性を立証する方法があったはずで、
その方がずっと意味のある裁判だったかもしれない。

論点が混合診療の是非になっているのは納得できない点がある。

さて、他方、
世の中はいろいろで、銀座の酸素バーのそばを通りかかるが、利用者は一定数いるようだ。
点滴バーではビタミン点滴を自費で受けているのだろう。
獣医学の分野では保険がきかないので、かなりの高額を支払っている。
民間療法の健康被害、金銭被害はともにあとを絶たない。

自費分を認めるとして、その効果や副作用の検討や、そんなことはどうするのだろう。
自己責任というのだろうか。
コラーゲンだ、何だと、支払いをしている人たちをも、自己責任だというように?
命に関しては、そんなわけにはいかないだろう。
細かなところで問題はあるとしても、混合診療禁止は全体としては、良心的に機能してきたと思う。

一般国民にとっての利益は、混合診療解禁ではなく、
個別の特殊療法について、不可欠ならば保険に組み入れることだろう。

それが今回のような話の流れになるところが、どうも怪しい。

精神科・心療内科では、たとえば、ある種の注射やサプリメント、アメリカで使われている抗うつ剤を使う、保険適用のない漢方薬を使うなど、いろいろな分野がある。アメリカには東洋人も住んでいるし、薬も飲んでいるわけだし、また、アジア諸国で認可されている薬もあるのだから、アメリカの薬を自費で使っても、特に問題はないと感じている。
臨床心理士によるカウンセリングは保険適用がないので、自費の扱いになる。この場合は、クリニックとは別組織にして会計も別立てにしないといけない。これは臨床心理士の専門性を確立する上でも必要な要素だと思う。



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バイアグラを与えて養殖した牡蠣

牡蠣は精力がつくものだけれど、
その牡蠣を、バイアグラを与えて養殖したのだそうだ。
牡蠣の育ちはよかったらしいが、
その牡蠣を食べた結果についてはまだ報告がない。

牡蠣がその内部でどれだけバイアグラ成分を代謝するかということだが。
あるいは、中間代謝産物も有効かもしれないし。
食べてみないと分からない。

という、真面目でない話。



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乗馬クラブとうつ

町田に乗馬クラブがあって、
前から会員だった人が、
うつ病で療養していたときに、何度かいってみて、
なんとなく慰めになったと語っていた。
その人は乗馬はベテランらしく、
馬との付き合いも長いようだった。

アニマルセラピーとか動物介在療法 Animal Assisted Therapy=AAT とよばれるものの、
一種と考えてよいと思う。
馬とかイルカとかは、誰でもというわけにはいかないが、
考えてみてもよいと思う。

ひとつには、乗馬クラブの雰囲気がなかなか宜しく、
気分転換になったらしい。



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患者が望む悪い知らせの伝えられ方

国立がんセンター東病院の藤森麻衣子氏らの研究で、
がんなどの、悪い知らせを、どのように伝えたらよいかという報告。

日本人患者は、悪い知らせを受けるときに、
1)家族を含めた情緒的サポート、
2)医学的情報、
3)明確な説明、
4)質問の奨励、
5)場の設定
の5つの項目を考慮して欲しいと思っている。

米国人患者を対象とした同様の調査では、考慮して欲しい主な項目は、
1)情緒的サポート、
2)内容と伝え方、
3)場の設定
の3項目であった。

藤森氏は、
「日本人患者は、治療法の選択肢のみでなく、医師が推奨する治療法まで示して欲しいと考えている。
また、治療法の選択は患者のみでなく、医師や自分の家族と共同で行いたいと考えている」と分析している。

医師に望むこととして
「患者の質問に答える」、
「わかりやすく伝える」、
「今後の治療方針も伝える」、
「主治医として責任を持つことを伝える」

意見が分かれる項目の主なものは、
「余命について知らせる」
「悪い知らせを淡々と知らせる」
「悪い知らせを少しずつ段階的に知らせる」
「伝える内容が不確実な段階でも知らせる」
「断定的な口調で伝える」など。

ーーーーー
たしかに一般的にはこのようなことになるでしょう。
しかし実際には、まず、患者さんの状態とパーソナリティーの把握が第一です。
一般論は大切ですが、それを守っていればうまく行くものでもありません。

精神科医のリエゾン業務で大切な領域ですが、実際には難しいものです。



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症状をジャクソニスム的に解釈する

ドネペジルはアルツハイマー病患者の興奮を改善しないとの記事があった。
当然だと思うが、解説する。

精神症状を解釈するとき、有力な手段として、ジャクソニスム的解釈がある。

1.
脳の構造は、層的であり、上位階層に位置する回路は、下位階層回路を、コンピュータプログラムでいうサブルーチンのように使いながら支配している場合がある。また、上位階層回路は、下位階層回路を、抑制的に制御している場合がある。

2.
上位と下位がメインルーチンとサブルーチンの関係にある場合、メインルーチンが機能停止すると、「まとまりのない」状態になる。統合が失調するとは、まさにこれを指す。

3.
抑制的に制御している上位階層回路が機能停止(A)した場合、抑制されていた下位階層回路機能が突出(B)する。さらに生体は、こうした異常事態に対して反応する(C)。
結局、目の前に症状として現れているものは、A+B+Cの複合であるということができる。

4.
Bの例としてあげられるのは、膝蓋腱反射である。
Aとしての、上位抑制が、脳血管障害などのために機能停止する。
ここで、Bだけを症状とするのではなく、一体のものではあるが、Aを症状として意識し、記載することが、症状の分析となる。

5.
統合失調症において、陽性症状、陰性症状と呼ばれているものは、用語の定義によるのであるが、理論的には、上記、BとAに相当するとしてよい。私見では、統合失調症において、その他に、Cの要素を見るべきである。

6.
たとえば、妄想に支配されている人の場合。
A……現実と内的想念の比較照合訂正機能の脱失。
B……内的想念の、無訂正の突出。
C……辻褄を合わせるための、妄想体系の構築。

上記三要素の併存として、症状は成り立っている。

7.
たとえば、うつ病の場合。
A……抑うつを訂正する上位回路の機能停止。
B……抑うつ回路の突出。
C……反応性に出現する不安焦燥。

うつ病の中に、上記三要素の併存を見る。

8.
たとえば、アルツハイマー病の場合。
A……上位機能の停止、たとえば、記憶障害。
B……下位機能の突出、たとえば、興奮。
C……辻褄を合わせて状況を解釈するために妄想の構築。

こう考えることを基本とすれば、ドネペジルは、Aのプロセスを遅らせるものであるから、興奮を改善しないのは当然である。興奮を改善するには、上位からの抑制的な制御を補助するような薬剤か精神療法的な働きかけが有効なはずである。

9.
上記は、理念型であって、実際に三要素を「機械的に」切り出して記述解釈することは現状では難しい。
しかし、脳の構造に由来する当然の機能解釈であり、根本的に有効であると考える。

10.
機能には、それを可能にする構造がある。脳の場合、上位構造は下位構造を抑制的・統合的に修飾している。この二つの原則から、以上のすべてを演繹することができるのである。ジャクソニスムは偉大である。

11.
もちろん、脳の構造の原則にはこれ以外にも多くの要素がある。しかし、これが、根本原則のひとつだという議論である。



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「発作」反復でシナプス減少

脳障害のメカニズム解明 てんかんでシナプス減少
記事:共同通信社 提供:共同通信社
【2007年11月8日】
 慢性脳疾患のてんかんの中でも、薬を服用しても発作が治まらない「難治性てんかん」の患者が記憶や学習に障害をきたす場合の脳のメカニズムを、東京都神経科学総合研究所(東京都府中市)や大阪大などのチームがラットなどで解明し7日、米科学誌ニューロン電子版に発表した。
 重度の患者に脳機能障害が起こるのを予防する薬剤の開発につながる可能性があるという。
 チームによると、てんかんの強いけいれん発作が繰り返し起きると、脳で情報がやりとりされる、神経細胞の接合部「シナプス」の数が減り、記憶障害などを引き起こす場合がある。
 チームは、発作が起きたときに、神経細胞内でタンパク質「アルカドリン」が大量に作られていることを発見。詳しく解析したところ、アルカドリンが、シナプス間を接着している神経細胞の表面のタンパク質を減らす働きをすることを突き止めた。
 難治性てんかんでは、アルカドリンが過剰になった結果、シナプス間の接着が切れてシナプスが消失、数が減るらしい。
 チームの山形要人(やまがた・かなと)・同研究所副参事研究員(神経薬理学)は「アルカドリンの働きにかかわる酵素を抑える物質が薬の候補になり得る」と話している。

*****
従来から、てんかん発作をくり返すタイプの場合、一部は、脳神経細胞そのものが失われ、剖検すると脳体積の減少が知られ、また、CT、MRIなどの所見で、萎縮に相当する所見があると知られている。一部の違法薬物後遺症でも、同様の萎縮所見が見られることが知られている。

CTを撮影したら、まるでアルツハイマーのように、脳が萎縮しているので、驚いたものだった。

今回の研究は、そのような肉眼的萎縮所見ではなく、シナプスの数が減ること、そしてその原因は、アルカドリンというたんぱく質がつくられ、これが多くなると、「アルカドリンが、シナプス間を接着している神経細胞の表面のタンパク質を減らす」「シナプス間の接着が切れてシナプスが消失する」と書いてある。
細かいところはとにかくとして、てんかん発作をくり返しているうちに、神経細胞同士の結合が切れて、孤立した細胞になるようだ。孤立すると、細胞は死に易くなる。結果として、萎縮の所見になるのだろう。アルドカリンを増やさなければいいというなら、何とかできるのだろうか。

うつ病で使う電気ショックのときも似たようなことが起こるのだから、アルドカリンが増えないような処置をしておけばいいわけだ。まあ、そんなに何度も行なうものでもないけれど。

先日、アンジオテンシンIIを除去する抗体を誘導する高血圧ワクチンという話題を読んだが、同じような手法は使えるのかもしれない。

そういえば、アンジオテンシンIIを除去する抗体は大変有用だと思うのだが、多すぎても少なすぎてもいけないわけで、そのあたりの調整はどうするのだろう?
結核菌を攻撃する抗体ならば、どんなにたくさんあってもいいようなものだが。
血圧コントロール系はアンジオテンシンIIが関係する系だけではないということで、アンジオテンシンIIが全部除去されてしまっても問題ないと言うのだろうか?そうなれば、ネガティブフィードバックで、ややこしいことになるはずだ。

*****
話を元に戻すと、「発作」によって、細胞が失われる、または、細胞の機能が失われる、または、細胞間の接合が失われる、または、レセプターが破壊される、そのような、一般化して言って、細胞に不可逆のダメージを与えるケースとして、てんかん発作と、違法薬物摂取があげられるのだが、大勢に支持されているわけではない説として、統合失調症の陽性症状が急性に発現している時期には、同じようなことが起こっているのではないかとの推定があり、また、躁状態の場合にも起こっているだろうとの推定があり、さらに、うつ状態の一部の場合にも、同じ事態が起こっているのではないかとの説がある。
これは、CTやMRIで確認している所見ではないので、細胞脱失については不確か、むしろネガティブなのだが、統合失調症でも、躁病、うつ病でも、くり返しているうちに、次第に精神機能として、ディフェクト状態となることは古くから知られているところだ。
この観察は、final common pathway という言葉でよく示されているのだが、精神病というものは、始まりはよく似た状態があり、統合失調症、そううつ病、うつ病、性格障害、その他、よく似ていて、たとえば不眠とか、不安とか、そんな症状から始まり、(わたしは initial common pathway と呼んでいるのだが)、次第に、各病気の特殊な病像をとり、しかし、時間が経った後に、最後にはfinal common pathway に至り、一言で言えば、defect 状態になるとする説がある。というか、あったというか、私はいまだにそんなことも考えているというか、そんなところだ。
単一精神病観(Einheit)の脆弱な一種といえるだろう。強力な単一精神病観は柴田先生などのもので、これは本物の少数有力説である。
何故単一かといえば、理由は様々であっても、細胞が機能停止するという点では同一であるということだ。電気系統の故障は様々であっても、われわれが知るのは、要するに、「テレビが映らない」ということだというのに似ている。
現在の精神薬理学を単純化すれば、(単純化しすぎていてほとんど嘘なのだが)、統合失調症はおもにドーパミン系のシナプス部分で障害が起こり、うつ病はセロトニン系で、不安はGABA系で、それぞれおもに障害が起こるといわれている。そうだととすれば、最初はそれぞれの系で小規模に障害が起こり、小規模であるゆえに、それを補償する回路も作働して、結局、不眠などの似たような症状が起こり、その後、極期に至れば、それぞれの系に特有の症状を呈し、最後には、細胞機能停止による、共通症状を呈するのだろうと推定できる。
従って、アルドカリン増加を抑制できれば、てんかんのみでなく、統合失調症急性期、そううつ病急性期にも、脳神経細胞を保護する薬剤として有用ではないかと予想する。もしそうであれば、統合失調症における、陰性症状に対する抑止対策になり得るだろう。ジャクソニスムの観点から、それは同時に、陽性症状の抑止につながるものと推定できるのである。そして、よく言われるように、陽性症状に先んじて、陰性症状が起こるものならば、アルドカリン増加抑制でもよいし、何か他のものでもよいから、細胞のダメージを予防することで、統合失調症の進行プロセスを抑制することができるだろうと考える。

私見では、統合失調症急性期に、低体温療法によって、脳神経細胞が蒙るダメージを抑制できるのではないかと予想している。しかし、低体温療法そのものにリスクがあり、もっと洗練された手法になってから、応用すべきである。



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病識と病感と無感覚と失認と離人症その周辺

1.病識
自分が病気であるという認識。

1-1.病識が失われる病気
たとえば統合失調症にみられる。
たとえば、隣の奥さんはCIAのスパイだと確信し、その確信を病気の結果だと思わない。

1-2.病識喪失のメカニズム
病気を認識する中枢が壊れる。しかし、自分の病気でないとすれば、隣の奥さんの言動は何なのかと考えて、妄想体系が構築される。

1-3.病識欠如のたとえ
自分を映す鏡の欠如。自分以外の全ては見えるのに、自分の姿は見えない。鏡が欠如している。
あるいは、ゆがんだ鏡を見ている。ゆがんだ像を解釈するために、自分が病気であるという解釈を捨て、外界を妄想的に解釈する。自分の生の感覚は訂正できないからである。

1-4.メタ視点
周囲を観測する視点を普通の視点とすれば、自分を反省的に見るメタ視点が欠如しているといえる。
感覚情報はその人にとって訂正不可能であり、訂正できるのは解釈であるから、結局、解釈が変更されて現実と乖離し妄想形成にいたる。

2.病感
病気であると認識はしないが、疲れている、普段と違う、という程度の感覚はある状態。ある種の内部感覚。

2-1.病感が失われる状態
ある種のうつ病。
「周囲の誰にも、最近疲れているようだし、無理をしないようにといわれる。しかし、自分では、疲れているとは感じないし、休養が必要とも思わない、仕事で成果が出ないのは確かだけれど、それは能力に比較して仕事が難しいからだ。」

2-2.病感欠如の結果
病感があれば、休養をとることができるのだが、病感が欠如しているため、どんなに疲れても、仕事を続ける。その結果、ますます疲れて能率は低下する。結果としてうつ病が悪化する。
病感は、サーモスタットのようなもので、ある種のネガティブ・フィードバック回路である。病感が発生した時点で、これ以上無理してはいけないと感じる。

2-2-1.病感欠如は離人症の部分症状と考えることもできる。

2-3.病感欠如の発見
周囲は容易に気付くし、インタビュー、心理テストで、発見できる。

3.無感覚・感覚欠如
知覚神経障害のため、温痛覚に障害があり、怪我をしても、やけどをしても、気がつかない。傷だらけになり、血まみれになる。

4.これはある種の失認
病識欠如、病感欠如、感覚欠如は、いずれも、自分または他人に被害をもたらす。他人ら被害をもたらしてもなお、自分の考えを訂正できない。これはある種の失認である。

5.疾病否認
これは脳の局所的損傷により生じる。自分には運動麻痺はないと言い張る。

6.家族による疾病否認
これは否認の防衛機制を用いるもの。臨床の場ではこれもなかなか難しい問題。

7.本人による疾病否認
脳梗塞などの局所的器質的疾患が原因でなくても、恐怖感や現実的利益のために、自分の疾病を否認することはよくある。ニコチン依存症の否認。アルコール症の否認。しかしメカニズムとしては否認なので分かり易い。了解可能である。3.のたとえで言えば、やけどするのは痛くていやだけど、それを承知で、やけどしているのである。現実的利益のために。だから了解可能である。



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高血圧ワクチン

アンジオテンシンIIを除去する抗体を誘導する高血圧ワクチンCYT006-AngQbに、早朝と昼間の血圧を下げる効果が確認された。

そうか!そういう手があったのか!
と、今頃になって驚いている。



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精神病とは何か

朝青龍とかいろんな有名人の精神疾患らしいものについて、
いろいろといわれたりして、
一体精神病とは何なのかと思う人もいるだろう。

1.そもそも病気とは何か。
生体の機能が異常を呈したとき、その機能の異常を説明する構造の異常が発見される。そのとき、疾患として確定する。

そんなに簡単なのかと言われそうだが、これが本流の医学である。
生体の正常機能を研究するのが生理学。
正常機能の裏付けとなる構造を研究するのが解剖学。
生体の機能異常を研究するのが一般の臨床医学。
そうした機能異常の裏付けとなる構造異常を研究するのが病理学。

2.原因不明の病気がある。
機能異常として観察される症状や検査結果は確かにあるが、今のところ、それを裏付ける構造異常は解明されていない場合がある。これはいずれ科学が進歩すれば構造異常が解明されるだろうという見込みの上で、病気と呼んでいるだけである。たとえば、ベーチェット病。見込みの疾患単位。明確な構造異常が確定されない限り、本当の疾患単位とは呼べない。呼んでいるとしても、暫定的なものである。将来、解体されるかもしれない。

病気の原因として、伝統的に、先天性異常、感染症、外傷、感染症、腫瘍、炎症、などが分けられるが、現代では、もっと厳密に詳細に記述できるので、これらの用語・分類にこだわらない。DNAの異常なのか、たんぱく質の異常なのか、細胞表面のレセプターの異常なのか、外来物質によるものなのか、免疫システムの異常なのか、これらの中の二つあるいは三つの複合なのか、精密に記述したほうがよい。

3.構造異常にもレベルがある。
これはどのレベルで調べれば構造異常が分かるのか、違いがあるということだ。
骨折や虫歯なら、肉眼で分かる。
腎臓細胞異常や血管壁の粥状硬化や白血病は光学顕微鏡で分かる。
電子顕微鏡ではじめて診断確定する疾患もそのうちでてくるだろう。
さらに微細に、細胞の代謝異常の問題もあり、これは、いまだに構造を解明できていないが、模式図で、化学物質が分解されたり合成されたりしている様子が提示される。これは、状況証拠を積み重ねて、こうに違いないといっているわけだ。
もっと微細には、細胞内骨格の問題で、細胞内の物質運搬システムの異常が病気に関係していないかなどもある。これは神経細胞について研究されていて、アルツハイマーの場合にどうか、検討されていた。

従って、現在の構造研究手段で異常が見つからないからといって、異常がないとはいえない。
また、電気や磁気は、肉眼で見えない。可視化するには工夫が必要である。そのような、人間の五感では感覚しにくいタイプの構造異常があるのかも知れず、そのような可能性も含めると、ある状態を病気ではない、つまり構造異常がないと言い切るのも難しい。つねに留保がついてしまう。

構造異常というものも、実は決めがたいことがある。正常構造からの変異は常に多様に存在する。それがダーウィンの説であり、現実にそのとおりである。したがって、どこまでを正常とし、どこからを異常とするか、実は、恣意的である。

癌細胞と正常細胞の中間に無限の中間変異を観察することができる。しかし難しいことを言わなければ、青空は青いし、夕焼けは赤い。明白なことだ。

4.精神異常は存在するか
精神異常は存在するかといわれれば、確実に存在すると思う。昔、反精神医学という思想があり、鋭い指摘を含んだものであった。しかしながら、精神病院に二十年も勤めた医者の話を信用してもらいたい。精神の機能異常は確かに存在する。

5.どのような精神異常が存在するか
それはよく分かっていない。とりあえず、本人が苦しむか周囲が苦しむか、単純に言って、苦しい人がいるということだ。いろいろな分類があり、分類の歴史があり、分類の背景となった思想がある。どうすればいいのか、まだよく分かっていない。それは、上の論を援用すれば、構造異常の種類が分かっていないからだ。

6.構造異常はあるか
現在精神病といわれるものは、精神の機能の異常と考えられるが、大部分はその裏付けとなる構造の異常がわかっていない。
MRIで観察して、肉眼的に分かる程度の脳の異常を論じることもある。脳神経細胞の変性を観察して論じることができる。しかしそれでは構造異常を指摘できない病態のほうがずっと多い。
ということは、将来、疾患として認定されるかどうか、未定だということだ。

7.疾病単位が揺らぐ例
たとえば、同性愛。昔は病気といわれたものだが、現在は病気とは言われない。本当は、その裏付けてとして、構造異常があるかないかを論じるべきなのだが、そのような動きではなく、もっぱら政治的な動きで決定された。
たとえば、極端な例として、ある種の微分方程式を解けない人は、知能発達遅滞であるとか、100メートルを走って、12秒以上かかる人は、運動機能異常であるとか、「決める」ことだってできる。そんなことは、社会の側の多数決による決定であって、真実の機能異常というべきかどうか、疑わしい。ここで、疑わしいというのは、実は、微分方程式が解けないのは、ある種の構造異常があるからかもしれず、そのことを見込んで、人類の大部分を精神異常者と定義することも不可能ではない。まあ、誰も、そんなことはしない。
これは法律と似ていて、たとえば、姦通罪が時代により地域により、定義されるのと似ている。精神病の定義は、刑法の定義とは違い、構造異常を持つかどうかによるのだと、わたしは言いたい。
しかし、現状では、このくらい、不確定なものなのだ。

8.やはり、病気だというからには、構造異常の証拠を提出すべきだ。
したがって、わたしは、やはり、病気だというからには、構造異常の証拠を提出すべきだと思う。
それを前提として、暫定的に、長年の経験を生かして、ある種の状態を病気と認定しても、大きな間違いではないだろうと感じる。

9.ではうつ病とか気分変調症はどうか
それを言われると大変困る。
DSMという研究用の暫定診断基準や、ICDという保険統計用の暫定基準を、本物の診断基準と思っている人がいる。
そうではない。
現実に、ここまで、紹介してきたように、「うつ病」には、雑多な状態が混入している。うつ病と診断しても、治療は同じではない。
「気分変調症」には、双極性障害から、身体疾患によるもの、性格障害によるもの、反応性のものなど、いろいろと混入していると、Akiskal先生が言っているにもかかわらず、「神経症」を解体したい都合もあり、項目として立ててしまった。したがって、気分変調症と診断されても、治療は同じではない。
一方で、「PTSD」の扱いは特別である。これだけは原因を推定して、障害を診断している。
こうした現状はすべて、精神の機能異常の裏付けとなる構造異常が特定されて分類される日まで続くだろう。そして、その日は、遥かに遠い日だろう。

その遠い日、あなたは統合失調症ですという代わりに、××という指標が5.6ですというだろう。多分、単一ではないだろうが。血糖値がいくつ、血圧がいくつというように。高血圧という状態が先天的に孤立してあるのではなく、いろいろな血圧の状態がいろいろな事情で生じているに過ぎない。それを正確に記述すればいいだけなのである。どのような状態を高血圧と定義するかは、しばしば社会の要請による。

10.刑法とのかかわり
当然、ある。



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「ALWAYS 三丁目の夕陽」でテレビを分解した小説家

話によれば、日本映画「ALWAYS 三丁目の夕陽」にこんな場面があるとのことだ。

町工場を経営している一家のところに、待ちに待ったテレビがやってきた。
近所の人に集まってもらって、お披露目をした。
力道山の空手チョップで一同興奮しているとき、
突然が面が消えた。
困惑していると、近所に住む小説家が、
俺の任せろ、ねじ回しを持って来いと命じ、
分解してしまった。
結局直らず、電気屋を呼んだら、
「コンセントが外れただけですよ」と言った。

これって、見事に、精神科のいかさま療法のことじゃないですか、
と、一同納得した。

知ったかぶりで分解してしまって、あと責任も取らずに放り出すのが、
小説家だというのだから、全く実に正確な設定である。

皆さん、変に分解しないで、
来てくださいね。
コンセントが外れているだけかもしれませんから!



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乳児の先天性心疾患と妊娠中の母体の尿路感染症という意外すぎる関係

 乳児の先天性心疾患は、妊娠中の母体の尿路感染症と関連しているらしい。

全米先天異常予防研究(National Birth Defects Prevention Study)の分析による。
米アーカンソー州立大医学部(UAMS)の人が、米国心臓協会・学術集会のポスターセッションで発表した。

妊娠中の尿路感染症と先天性心疾患の関係を明らかにするため、全米先天異常予防研究の結果をもとに分析を行った。この研究には、非症候性先天性心疾患の乳児を持つ3690人の女性と先天性心疾患のない乳児を持つ女性4760人が登録されていた。

 分析では、妊娠前1カ月から妊娠第1三半期の間に、一度でも尿路感染症を発症したことがある母親に焦点を当て、感染しなかった母親と比較した。なお、易感染性である糖尿病の女性は除外し、また先天性心疾患は、治療が可能な肺静脈還流異常あるいは房室系中隔欠陥、右側あるいは左側心臓欠陥などのうち一つ以上の異常とした。

 先天性疾患群と非先天性疾患群を比べたところ、患者背景では、先天性疾患群の方で男児が多く、また妊娠性糖尿病の発症も多く、母親の年齢が高いという特徴があった。

 分析の結果、左心低形成症候群(HLHS)の乳児を持つ母親の場合で、尿路感染症の発症率は対照群の1.7倍と有意に高いことが分かった(p<0.01)。また、この先天性心疾患と尿路感染症との関連性は、他の交絡因子とは独立していた。

 この結果から、「妊娠前1カ月から妊娠第1三半期の間に一度でも尿路感染症を発症したことがある母親では、左心低形成症候群の乳児を持つリスクが高まる可能性がある」と結論した。その上で、妊娠における尿路感染症への対策を進めることが、先天性心疾患のリスクを下げることにつながるだろうと指摘した。

*****
良くぞ着目したものだ。
そして、メカニズムには一切言及せず、集会でポスターを貼っただけだ。
でも、すごい人数の症例を集めたものだ。集めさえすれば、あとは秘書か大学院生にやらせればいいのだから、楽なものだ。

非症候性先天性心疾患の乳児を持つ3690人の女性とか、先天性疾患群と非先天性疾患群を比べたところとか、意味というか背景がいまひとつよく分からないが。

左心低形成症候群(HLHS)の乳児を持つ母親の場合で、尿路感染症の発症率は対照群の1.7倍と有意に高い、しかも、妊娠前1カ月から妊娠第1三半期の間にと期間の指定もついている。

いかにもありそうな話である。妊娠第1三半期はいいとして、「妊娠前一ヶ月」に注目である。示唆に富む。

それと、尿路感染症がいけないのか、その治療に使った薬剤がいけないのか、両方なのか知りたいところだ。
これは、もう結果は出ていても、二回に分ければ、二本論文ができるので、わざわざ分けて発表するのだろう。だって、もう数字は出ているに決まっているから。あるいは製薬会社と交渉中か?



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ネガティブ・リスト

自分がどんなにつらい人生を生きているのか、
たまに確認してください。

*****
いつも忙しいので、肉体的に疲れる。
いつも明るい気持ちで行動できない。
いつも落ち着いていたいが、ちょっとしたことに動揺してしまう事がある。
いろいろな面で神経をすり減らしている。
しなければならない事がたまっているが、やりたくないと思うことがある。
たばこの香りは好きではない。
たばこは好きと言うわけではないが止められない。
つい悪い結果を考えてため息が出てしまう。
なぜか分からないが不安で困ることがある。
もう何年も病気したことが無い。
やりたい事も積極的にできない。
人と雑談がうまくできない。
愛している気持ちが伝わらない。
一度風邪をひいたりすると、なかなか回復しない。
横になるとすぐ眠たくなる。
何かをしていると他の事が気になってくる。
覚えたはずが50%も記憶していない。
休みがちなので、よく今の仕事が辞めたくなる。
決めたこともなかなか実行できない。
肩こりが気になる。
肩や首筋が痛く仕事にも気になる。
今の仕事が嫌いだ。
今よりもさらに頭の良い人間になりたい。
最近、憂うつな日が多くなった。
思った事、やりたい事などがあるのに億劫だ。
私の心はいつも不安定だ。
私の心は動揺している。
自分では良いと考えている事を、ほかの人に良くないと言われるとそう思ってしまう。
若いころの方が良かったと思う時がある。
集中して勉強、または仕事ができないので苦労する。
少しぐらい無理をしても、仕事をある程度終わらせてから帰宅する。
寝ても疲れが取れない。
寝付くのにいつも苦労している。
心が安定せず、暗い感じがして気がめいる。
心に余裕のない生活をしている。
人と話をしていると疲れて、楽しめない。
人にあまり好まれていないと思う。
人にはたいした事ではないのに、緊張してしまう事がある。
人より記憶するのが苦手だし、遅い。
人より健康なエネルギーが弱いほうだ。
人間関係にまいってしまって、肉体的にも疲れてきた。
人前で平常心を保てない。
人前で自分の考えをうまく伝えられる人がうらやましい。
太っていると思うが、つい多く食べてしまう。
長時間座ってする仕事をしているので、疲労がたまっている。
難関、難問が得意になりたい。
必ずうまくいくはずが、心の弱さにより失敗してしまう。
不安な面があっても注意して進んで行く勇気はない。
普段の生活でもドキドキすることがある。
勉強しなければと、思うと憂うつになる。
慢性的に疲労が溜まっている気がする。
無意識のうちに結構食べていることがある。
落ち込みから回復したい。
恋愛がにがてだ。


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精神分析と精神総合

精神分析は大好きで、小此木先生や狩野、岩崎、舘のセミナーなどに通ったものです。
しかしまた一方で、精神総合はもっと好きで、ケン・ウイルバーが好きです。

The Integral Vision: A Very Short Introduction to the Revolutionary Integral Approach to Life, God, the Universe, and Everything

A Theory of Everything: An Integral Vision for Business, Politics, Science and Spirituality

The Atman Project: A Transpersonal View of Human Development

The Yoga Tradition: Its History, Literature, Philosophy and Practice

The Eye of Spirit: An Integral Vision for a World Gone Slightly Mad  
 
No Boundary: Eastern and Western Approaches to Personal Growth

The Spectrum of Consciousness

翻訳もいろいろでていまして、おおむね読みやすいものです。

エデンから―超意識への道
アートマン・プロジェクト―精神発達のトランスパーソナル理論
意識のスペクトル
このあたりが古いもので、私が昔出会ったものです。

統合心理学への道―「知」の眼から「観想」の眼へ
万物の理論-ビジネス・政治・科学からスピリチュアリティまで

異色の作としては、

ワン・テイスト―ケン・ウィルバーの日記
グレース&グリット―愛と魂の軌跡
があります。

賛否はあると思いますし、読み方もさまざまだと思います。
表面的に読むならば、徹底的に批判されると思います。
あるいは、批評にも値しないと片づけられてお終いだと思います。
アカデミズムとはそういうものです。

しかし、学問のためにではなく、自分の生きる糧として、
深い真意を感じながら読めば、
ケン・ウイルバーはすばらしい到達点です。

このような人間と同時代を生きているということに感動します。
わたしはアカデミズムよりも、深く生きる時間を大切に思います。

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ネットにおける中傷による精神的被害への具体的対策

ブログに中傷、中3男子うつ病に──京都の市立中、同級の女子らから

2007/11/01配信
 京都市の市立中学校に10月上旬に転校してきた3年の男子生徒が、同級生の女子生徒ら3人から携帯電話に開設のブログに「キモイ(気持ち悪い)」などと中傷の書き込みをされ、学校を休んでいることが1日分かった。病院でうつ病と診断されたという。

 京都市教委によると、同級生の女子生徒ら3人は「死ね」「150万円要求する」といった書き込みもしていた。家族が10月22日に学校に連絡して発覚。3人は生徒の自宅を訪れ謝罪した。

 市教委は「ネットいじめの問題などを指導していきたい」としている。(共同)

*****
日本の法律では、不特定多数が見られる場での誹謗中傷は禁止されていて、
名誉毀損罪にあたります。
公開されていて、誰でも見られるホームページ上や掲示板で
誹謗中傷を書くことは禁止なのです。

しかし、どの程度までは良いのか、と思う人も多いでしょう。
これは、「本人が中傷だと受け止めたら中傷文」ということが原則です。

セクハラでも、パワハラでも、世間の常識というものが一方でありますが、
本人が苦痛を受けたということが大事なポイントです。

書いた人の言い訳は意味がないのです。
実際は、ある程度は許容されとなり、公益を考慮するわけですが、
原則は、書かれた当人が不愉快に思うような内容はいけないのです。
総理大臣の悪口をいうときにも、公益の程度が考慮されます。

たとえば、「それは中傷だから削除して下さい」と本人から苦情がきたとします。
書いた人は「真実だから消さない」と言ったとします。
その場合も、
書かれた本人が中傷と思えばそれは中傷文であり、書いた人の言い訳は無効です。
真実だろうが嘘だろうが、いかなる理由があろうとも無関係です。
真実だから書かなければならない理由があるのであれば、
それを立証しなければなりませんし、
それ以外の方法がないこととも立証しなければなりません。

裁判になれば、結果としては、賠償金を支払う判決がでます。
もし裁判を起こされたら、
賠償金以前に、裁判に当たって、弁護士への着手金を支払うだけでも、大きなダメージでしよう。

しかし、日本の個人は、裁判というものが身近ではなく、
めったに裁判手続きに訴えることはないので、
ネットや携帯での悪口やイジメが続きます。

本当のことだから犯罪ではないと言う人がいますが、法律はちがいます。
本当のことを世間に訴えたいなら、そのための正しい方法があるのです。

もし書かれた人が中傷文を気にして抑うつになり、自殺してしまったとしたら、
遺族は損害賠償を請求する権利があります。

掲示板で誹謗中傷が書かれ削除要請がきた場合、
サイトの運営者はすみやかに削除しなければなりません。
他人の悪口をおもしろがるひともいて、掲示板の人気のひとつでもあるようですが、
サイト運営者は速やかに対処することを義務付けられており、実際に、
速やかに対処しています。

ですから、泣き寝入りする必要はありません。

もしあなたが不愉快な思いをしていたら、
http://www.isplaw.jp/p_form.pdf

ここに書式がありますから、
これを埋めて、発送して下さい。
あるいは、この書類を持って、警察か法務局に行きましょう。

精神的被害に関してはカウンセラーに相談しましょう。
いじめっ子には、毅然とした態度で対処することです。
ひとりでくよくよするのは、もう終りにしましょう。

誹謗中傷だけではなく、自殺サイト、裏サイト、犯罪の温床となったサイトなど、
問題が噴出しているのですから、
行政としても、そろそろ根本的に対策を考える必要があるのではないでしょうか。

報道でも分かるように、書いた本人は匿名のつもりで行動していても、捜査すれば分かるようです。
ですから、諦めないで対処してください。
大人はみんな応援します。



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ダイエットしたい人のために

体重を記録して、それをWebで公開したらいいじゃないかというわけです。
ナイス!
「はかるだけダイエット」です。
http://hakatter.com/



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津田均「気分変調症」

精神科治療学2005年10月vol20 p.144-145
勉強になったので、メモしておく。

1.
DSMとICDで定義している気分変調症は、様々な病態が混合した診断カテゴリーである。
細分化した診断が必要。

2.感情病圏に属する気分変調章

 2-1 診断のてがかり 
感情病圏の抑うつの質的特徴に着目。思考、行動の推進力が生命的水準で弱まっている、外界の活気に同調することができず、逆にそれを負担に感じる。

 2-2 生命リズムの障害という、内因性の標識
季節変動、日内変動、抑うつが悪化したときの抵抗し難い多眠。

 2-3 非定型の特徴(Akiskal 2001)
若年発症、多眠、潜在的に双極性であり、その不全型。気分変調症が大うつ病エピソードをともなうとき、ダブルデプレッション。

 2-4 薬物治療
SSRI、三環系、スルピリド。ただし潜在していた双極性障害を顕在化させる危険がある。薬剤コンプライアンスは不良のこともある。
 
 2-5 精神療法
否定的認知傾向には認知療法。
他人の期待や社会規範に沿う代わりに自律性を放棄して依存するとき、対人関係療法。
若年患者には社会的役割が得られるよう援助する。

3.非感情病圏

 3-1 身体疾患にともなう二次的抑うつ
慢性疲労症候群は、患者の表出に特徴があり、鑑別を試みる。

 3-2 反応性抑うつ
心理的外傷。
素質と環境要因。
統合失調質の人の反応性抑うつが遷延することは多い。
不安神経症、対人恐怖、心気症がある場合、原疾患の治療。

4 パーソナリティ障害圏

 4-1 さまざまな類型
境界型人格障害
「ひきこもり」
受身-攻撃的態度

*****
「思考、行動の推進力が生命的水準で弱まっている」というあたりは、Vitale という議論。
外界の活気に同調することができず、逆にそれを負担に感じるというあたりはRemanenzの話。

ここまで分解されると、つまり、気分変調症解体論ですね。ひとまとめにしておく理由があまりないみたいです。

Akiskal先生の年来の主張を骨格にして、双極性部分に肉付けしているのですが、賛成です。



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