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現代社会における2人の寝室と性生活に関する調査結果

現代社会における2人の寝室と性生活に関する調査結果

■調査概要■
目的: 現代社会における日本人夫婦の寝室と性生活に関する実態を調査し、男女のコミュニケーションに関する考察を深めるため
対象: 全国の30-69歳の既婚男女(各年代103人、男性40-49歳のみ102人)
方法: インターネット調査
時期: 2006年6月9日〜6月12日


*****
パートナーとしてセックスは大切だけれど、
ストレスと忙しさで、後回しになる、
そんな実態のようです。

一人で食事するのをいちいち寂しいとか言ってられません。
聞かれれば、寂しいと答えます。
だからといって、どうすることもできません。

たとえばこんな感じだろう。



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うつの重症化と慢性化

 
一見すると、慢性化すれば重症化するように思えますが、
理屈の上からは、慢性化と重症化は別のものです。

むしろ、疾病は一般に、軽症のもののほうが慢性化して持続する傾向があるという一面もあります。
逆に、重症化を防ぐメカニズムがあるから、
致命的でない程度の症状が慢性化していると考えることもできるでしょう。
重症の場合は、生体の防御反応としても、人間の意識的治療としても、
何とか対処しようと努力するものです。
重症であれば、仕事をやめたり、生活を変えたり、
かなりの犠牲を払ってでも、治療しようとするかもしれません。
もちろん、慢性かつ重症ということは多いのですが。

上は一般論ですが、
うつ病の場合には、慢性化と重症化のあいだには関係があると思います。
一般に、うつ病は、器質性の変化を残さず、完全に元に戻るといわれています。
私見では、慢性化して反復しているあいだに、
脳神経細胞の変質が起こり、
これが重症化につながるのではないかと思います。

再発・再燃を反復しているあいだに、
脳神経細胞に、修復不可能なダメージを与えるのではないかと、
昔から言われているところです。



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うつのときゆっくり休むために 都心のホテルを

うつの時は休息が一番大切です
そしてストレスの原因から離れることです

会社から離れて休むことです。
だから、休職をお勧めします。

でも、家庭の主婦はどうすればいいでしようか?
また、自営業の人はどうすればいいでしようか?

最近、二例ほど、奥様がうつになって、
ひと組みは第一ホテルに、ひと組みは汐留のコンラッドホテルに、
夫婦で連泊し、薬剤を毎日調整しました。

まず家事から解放されます。
電話に元気そうに出る必要がありません。
訪問客もありません。
近所を歩いて誰かに会って、世間話をする必要もありません。

最初のうち毎日でも来ていただければ、治療には大変好都合なのです。
薬剤は最初のうちに副作用が出やすいので、対処がすばやくできます。
そして、状態に合わせて小刻みに薬剤を調整して、早めに標準量まで投与します。
カウンセリングも、一番つらい時期にできますから、好都合です。

ご年配の方は、銀座や日比谷にはいい思い出が多いらしく、
最近のつらいことを忘れられるようです。

第一ホテルや帝国ホテルはすこしクラシックにタイプですが、
汐留地域のホテル、また、丸の内の新しいホテルには、新しい楽しみがあります。

うつのときに夫婦でホテルに泊まるというのは、
誰にでもできることではありませんが、
日常のストレスから離れるという点では有効だと思います。

一日何もしないで泊まるということも、かなり休養になります。
どうしてホテルではぐっすり眠れるのか、よく分かりませんが、
気分転換にいいものです。

わたしはスパやリラクゼーション・スペースを使うより、
ひたすら眠りたい方ですが、
宿泊客には割引もあると思います。

何かの会員だったりすると
宿泊の割引があるようですが、
詳しくありません。
一休というサイトでも、割引で出ています。



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全般性不安障害チェックリスト

全般性不安障害 Pen State Worry Questionnaire PSWQ
 
*****
それぞれの項目があなたの性格や特徴をどの程度当てはまるかを数字で答えてください。
1 まったく当てはまらない

3 いくらか当てはまる

5 ぴったりあてはまる

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 1. もし,全部のことをするには時間が足りない場合でも,私は心配することはない。
 2. 心配に圧倒されている。
 3. 私は心配性ではない。
 4. 多くの状況で私は心配になる。
 5. 心配する必要がないと分かっていることでも,どうしても気になってしまう。
 6. 困難な状況では,私はとても心配になる。
 7. 私はいつも何かについて心配している。
 8. 心配事があっても,考えを切り替えるのは容易である。
 9. ひとつの仕事を終えるとすぐに,他のやらなくてはならないこと全部について心配しはじめてしまう。
 10. 何事についても心配することは決してない。
 11. 気がかりなことについて,これ以上何もできないとわかったら,それ以上そのことについて心配することはしない。
 12. 物心ついたころからずっと私は心配性である。
 13. ふと気がつくと,私は何かについて心配している。
 14. 一度心配をし始めると,とめられない。
 15. 私は一日中心配している。
 16. 私は,計画や仕事が全部終わるまでは安心できない。
  (1, 3, 8, 10, 11は逆転項目である。16項目の点数を合計する。)



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仮面高血圧

本当は高血圧で治療を要するのだけれど、
仮面をつけているので高血圧が分からない、
そんなネーミングです。

お医者さんが診察室で血圧を測定すると問題ないのに、
夜間や早朝に、危険な程度の高血圧になっています。

白衣高血圧は、診察室で緊張して、血圧が高くなるので、
ちょうど白衣高血圧の反対です。
ですから、仮面高血圧は、逆白衣高血圧とも言われます。

ヘビースモーカー、ハードワーカー、仕事を持つ多忙な主婦、ストレスを感じやすい人等の場合、診察の待ち時間にリラクゼーション効果があり、診察時の血圧が低くでると説明されています。

仮面うつ病は、本当はうつ病だけれど、頭痛がするだけとか、不眠があるだけとか、身体症状があるだけで、うつ病とは気付かない場合をいいます。Masked depression。身体症状が仮面です。

仮面高血圧では、診察室の正常血圧が仮面です。






 



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受動喫煙と副流煙



 

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最近のメンタル研修の一例

いろいろあります。
多分、無駄なものもたくさん。

*****
薬を使わなくても精神病が治療できて、
人間関係がよくて業績がよくて、
究極の経営クオリティカンパニーを創り、
最強のコミュニケーションができて、
子供といい関係にある、

そんな人が、誰でも参加の講演会で90分汗をかく?
考えにくい。

まあ、何もしなくてもネットで月収100万円という人が、
わざわざネットに広告を出してなにか宣伝している世の中だから、
驚きはしない。

ウルトラマンが、空の飛び方を教えるといって、講演会を開いたら、
行きますか?
ウルトラマンにはもっと大事な仕事がありそうだな。

*****
■医療ではなく公衆衛生としてのメンタルヘルス
料金:5,250円(税込)
対象:人事担当者・経営者・その他
内容:病理がなくても精神病と診断してしまう精神医療の実態 その他
   薬を使わない。カウンセリングによる精神病治療
   医学モデルではなく公衆衛生モデルとしてのメンタルヘルス

■究極の経営クオリティカンパニーを創る極意
料金:52,500円(税込・食事付)
対象:代表権をもつ法人経営者・決裁権のある法人役員・その他
内容:良好な人間関係のなかで好業績を残す方法
   険悪な人間関係や社内環境を作らない方法
   選択理論を用いたマネジメント

■最強のコミュニケーション術
料金:6,300円(税込)
対象:コミュニケーション能力を高めたい方
内容:身近な人と良好な関係を作るコミュニケーション方法
   より良い人間関係を築く法則
   コミュニケーションの質を高める方法

■親子コミュニケーション
料金:5,250円(税込)
対象:子供とより良い関係を築きたい方 
内容:子供との信頼関係を構築する方法
   どのような言葉を選ぶべきか
   どのような態度をとるべきか



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EAP Q&A 2007-11-3

EAP Q&A 2007-11-3

1.健康な社員は、創造性が豊かで、生産性も高い、だから、社員の健康を守る、という言葉は、正しい気もするが、病気になってしまった人にとっては、厳しすぎる言葉のように思える。

健康な社員だけが創造的で生産性が高いとは限らない。人間はそれほど単純ではなく、仕事もそれほど単純ではない。単純肉体作業は、健康な人がいいと簡単に言えるが、創造的で複雑で対人折衝もある仕事では、単純ではない。休職中にいいアイディアがひらめいたりもするものだし、休職中にパソコンに向かって、新しいデザインをプールした人もいる。しかしながら、こうした議論は、総合値や平均点で語るしかないわけで、平均的に言えば、やはり健康な人のほうが仕事ができる。だから、会社も社員も健康に配慮したほうがいい。

2.メンタルの病気になったとして、職場環境の問題と、個人の体質や考えたかの問題と、どう判定されるのか。

そこが問題。客観的に公平にを厳密に心がけている。
一つ考えたいのは、お金がどこから出ているかである。最終的には、お金を出している人の味方だと思っていいわけだ。お金を出している側は、気に入らなければ、契約先を変更する自由がある。
企業に甘いEAP機関と契約したほうが企業としては都合がいいと誰でも思う。
医療機関は企業との契約はないから、患者の立場で一貫できる。しかし、患者さんの復職後の処遇を考えると、企業とけんか腰というのは、よくない。

3.社員研修プログラムにはどんなものがあるか?

管理職向け
メンタルヘルス研修
ハラスメント防止研修
コミュニケーション研修
性格分析研修(リーダーシップスタイル研修)

一般社員向け
メンタルヘルス研修
ストレスマネジメント研修
EQ研修

その他
メールカウンセリング
セクハラ相談窓口の設置(メール対応)
ハラスメント相談窓口の設置(メール対応)

4.ストレス耐性を高める方法

「気持ちを切り替えよう」「前向きに考えよう」「ポジティブ思考」などが提案される。ストレスは「認知(考え方)」の問題であり、「認知」を変えればストレスは解消できる。しかし簡単ではない。認知を変えるのはこの先でいい。仕事の場面で行動を変える。具体的な行動を変えれば気持ちも変わる。考えはそのあとで自然に変わる。

5.各種サポート

メンタル相談というと、自己啓発的な、あるいは、支持的カウンセリング的なイメージがある。
しかしそればかりではない。
(1)問題を現実的に解決するサポート。借金をどうするか、たまった仕事をどうするか、現実を解決する。
(2)役立つ情報、道具を提供する。相談機関を紹介、詳しい人を紹介、本やサイトを紹介。
(3)慰め、励ましなど、本来の心理的サポート。

6.なぜメンタル強化?

会社の環境を変えればいいと分かっていても、時間も費用もかかる。ストレス要因の改善よりも、メンタル能力=ストレス耐性のほうが早く対応できる。その人は、会社生活だけでなく、人生全般にわたり、ストレスに強くなる。その一方で、他社との競争に勝ち抜くためには、長期的な視野で会社風土を改善すべきだとの提言を続ける。

7.社内システムの変更は有効か

簡単ではない。軋轢もある。他の人が発症してしまうこともある。しかし長い目で見て有益なら、アドバイスする。

8.集中できないのはなぜか。

もちろん、うつ病で「やる気がないから」という場合がある。
性格として「根性が足りないから」という場合もある。
しかし、朝食を抜いているため、頭のスタミナとなるブドウ糖が脳に届いていないのかもしれない。
不眠で頭が働かないのかもしれない。
極端な冷え性かも知れない。
何か病気かもしれません。
家族の病気が気になっているかもしれません。
内容不明のサプリを使っているのかもしれない。

9.より生産性の高い組織

個人の自己啓発を求めているだけでは、社員のモラルは高まらない。会社として、職場環境を整備し、制度を進んで整えていくこと。できることはいくつもあるはずである。

10.社員のプライベートな問題であるし、職場のデリケートな問題である。外部の人が対処できるでしょうか?

丸投げしてアウトソースするだけでは、解決には程遠い。形だけのレポートを受け取って、そのままになるだけ。そのうち担当者が替わる。そうではなく、真の意味での連携を構築することが必要。

11.メンタルヘルスの専門性は確保されているか

それは見極める必要がある。守秘義務等、法律上の規定遵守については分かり易い。しかしカウンセリングのレベルとなると、さまざまであり、見極めは簡単ではない。

12.外部機関と職場の連携を求めているのに、連携が欠ける場合も散見される。

これがこじれる原因。患者さんが一番迷惑する。

13.医療関係者がEAPを手掛けることに疑問

医療機関とのつながりをあまり前面に出すと、社員が相談する上での敷居が高くなり、「予防」という機能が損なわれるおそれがある傾向はある。
しかしまた、医療機関がバックアップしていなければ、専門性が維持できない。医療機関があまり前面に出ることなく、しかしきめ細かく連携することが望ましい。

14.EAPは「中立」か

会社員は同じ企業の社員、特に人事マンには悩みを打ち明けようとしない。社員は社内の相談室を利用しない。自分の悩みを会社側に知られたくないからだ。外部のEAP企業は守秘義務を法律的に義務付けられている。

15.日本版EAPは医療主導型か生産性向上型か

米国では生産性向上か第一義の傾向がある。メンタルヘルス産業は花盛りだ。日本で同じようにできるか、今後の動向を見る必要がある。事業主としての健康管理、危機管理が重視されることは間違いない。

まずEAPで対応、その中で医療が必要なケースをピックアップして、医療につなげる、と簡単には考えられるが、実際はそう簡単ではない。「そのケースで医療が必要か」この点を見極めるのがすでに高度に医学的な判断である。しかしだからといって、大部分を医療につなげてしまったのでは、効率も悪いし、敷居も高くなる。今後の課題である。われわれは、医療機関の敷居を低くすることで対応する。

16.法律の根拠は?

1999年からは労災の過労死自殺認定条件が大きく緩和された。その後、蓄積疲労の評価期間は発症前6ヶ月に緩和された。社員の過労死で訴られた電通は、最高裁で敗訴し、遺族に1億6800万円の賠償金を支払った。社員のストレスを放置するのは、企業とっては大きなリスクだと周知された。厚生労働省の指針(「事業場における労働者の健康づくりのための指針」)では、必要に応じて事業場外の専門機関によるケアを利用するのが望ましいとしていて、それを根拠に、EAPがサービスを提供している。

17.加古川労基署(神戸製鋼所)事件

精神疾患による自殺で労災を認める司法判断が下された初めてのケース。神戸製鋼加古川製鉄所に勤務していた同社社員(当時25歳)は、入社1年目の83年12月インド・ムンバイに出張。翌年1月、現地企業とトラブルが発生。その直後から元気がなく、心因性の精神障害が生じた。そして同月17日、ムンバイ市内のホテルの窓から飛び降り自殺をした。遺族は、84年に労災を申請。しかし加古川労働基準監督署はこれを却下。遺族側が提訴し、96年4月の神戸地裁の判決で、ようやく労災認定が下った。

18.川崎製鉄水島製作所事件

川崎製鉄所水島製鉄所の渡辺さん(当時41歳)は、91年1月、中間管理職である条鋼工程課係長に昇進した。その後約半年間、休日は2日しかないなど、長時間労働を強いられてきた。過労によるストレスで、うつ病の治療も受けていた。そして6月、同工場の本館8階屋上から飛び降り自殺をした。遺族は94年6月、倉敷労基署に総裁認定による遺族補償年金などの支給を申請したが、同労基署は97年7月、不支給を決定。その後、国の労働保険審査会に再審査を請求し、2000年3月、労災が認められた。

19.労働安全衛生法・安全配慮義務と労災問題・巨額の賠償

労働安全衛生法は、事業者が守るべき安全衛生の最低基準を定めたもので、職場の安全衛生の確保と労働者の健康の増進および快適な職場形成への努力義務を定めている。この法律に違反して、労働者が死傷した場合などでは、事業者は業務上過失致死傷罪に問われる。事業者は通常代表取締役であるが、大きな組織では責任を一人でカバーしきれないため、部長や課長などの現場の管理監督者に安全衛生管理を行う責任が課せられる。つまり、部下に万が一のことがあれば、経営者のみならず管理職も業務上過失致死傷罪が問われる場合もあるということになる。これは刑法上の責任であるが、これだけでなく民事上の損害賠償責任が問われることもある。仕事が原因で怪我や病気をした場合、労災保険の適用になるが、事業者が不法行為、つまり安全衛生管理違反をしていた場合には、民事上の損害賠償責任が問われる。労災保険の適用額が、この損害賠償責任をカバーしきれない場合、その分を現場の管理職が負担しなければならなくなる。長時間の残業を続けていたり、職場の人間関係に悩んでいた部下が、うつ病になり自殺してしまったというようなケースでは、1億円以上の損害賠償が通例となりつつある。

20.電通事件

電通事件は、過労による「うつ」の自殺で、企業に損害賠償責任を認める判決が初めて出されたケース。大嶋一郎さん(当時24歳)は、90年4月に大手広告代理店電通に入社。ラジオ局に配属され、企画、宣伝等の業務を担当。入社後半年もたたないうちから連日の深夜残業、徹夜の仕事を繰り返すようになった。91年3月ごろには家族が心配するほどに、心身が疲労。それでも仕事を減らすことはできず、次第にうつ病と見られる症状も現れた。そして8月27日、担当イベントが終了し、業務上の目標が一応達成されたことに伴って肩の荷が下りた心理状態になるとともに、再び従前と同様の長時間労働の日々が続くことをむなしく感じ、うつ病によるうつ状態が更に深まって、衝動的、突発的に自殺した。93年に、大嶋さんの両親が会社からの十分な説明がないとして、東京地裁に提訴。96年3月、一審の東京地裁は全面的に会社の責任を認め約1億2000万円の賠償を命令。97年9月、二審の東京高裁も会社の責任を認めたが、「義務感の強い大嶋一郎さんの性格も原因。両親にも責任がある」と賠償額を約8900万円に減額した。これを双方が上告し、2000年3月、最高裁が二審判決を破棄、審理を東京高裁に引き戻した。これは実質的に遺族側の全面勝訴となった。2000年6月、東京高裁の勧告に従って和解が成立。電通が遺族に支払った額は1億6850万円であった。この判決が重要なのは2点。1つは業務と過労自殺の間には因果関係があると裁判所がはじめて認めたこと。もう1つは、会社の安全配慮義務違反の責任が認められたということ。

21.オタフクソース・イシモト事件

広島地裁で争われたオタフクソース事件では、室温、湿度が高く、刺激臭も強い工場内での過密かつ長時間労働から自殺した社員の遺族に対して、2000年5月、1億1100万円の損害賠償の支払いを命ずる判決が下りた。本件判決のポイントは、自殺した社員がうつ病を罹患した後において精神神経科を受診しなかったことおよび自殺に至ったことについては、その社員の過失と認めるのは相当でないとして、被告らの過失相殺の主張を退けた点である。



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メンタルヘルス新事業の推進

新聞記事 (産経2007-10-9)
エリート社員ほど自分のこころの病を認めたくない、と紹介されている。
そのような人を早く見つけて早く治療して、本人のためにもなり、会社のためにもなるという、新ビジネスが拡がりつつある。
平成18年春の、労働安全衛生法の改正により、メンタルヘルスに力を入れる、つまり、お金をかける企業が増加している。
海外駐在員やIT企業の場合が紹介されている。

残業には管理職の承認が必要、社員全員に心理テストやカウンセリングを受けてもらうなど、対策が拡がっている。

メンタルヘルス導入の機運が高まるものの、専門家とどうコンタクトをとったらいいか、安心できるシステムはどこにあるのかなど、悩みは多い。

たとえば、
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メンタルヘルスマネジメントセミナー
IT業界に特化した『メンタルヘルスの新潮流』
~3時間でわかる最新のメンタルヘルスマネジメント~

■概要
近年、企業内でのメンタルヘルス問題が深刻化しています。中でもとりわけ、IT関連企業内でのメンタルヘルス問題は急増しており、SE・プログラマー・その他社内システム関連作業従事者への対策は急務です。
今回、『組織力アップの実現に向けて』をテーマに、IT業界における最新のメンタルヘルスマネジメントを皆様にお伝え致します。
講師は、それぞれメンタルヘルス・組織活性・モチベーションマネジメント・目標管理の分野で活躍している専門家を揃えて実施します。
(無料でご参加頂けます。)

■講師 株式会社××
     株式会社×× 代表取締役 ××
     有限会社×× 代表取締役 ××

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こんな感じで売り込んでいる。
この中の会社は、

中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認企業
というページで、
「心の病気を予防する法人向け総合メンタルヘルスサービスの事業化 」として紹介されている。

この法律に沿って申請すれば、補助や特例を受けることができる。

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しかし何事も同じで、もともとのモデルはアメリカにあり、都心部ではすでに有力数社による大企業囲い込みが進行しつつある。
そうしたEAP機構をバックアップするのが、当院であり、専門性を発揮していきたいと思っている。



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うつ病の今日的病型と病態解明の意義 松浪先生

うつ病の今日的病型と病態解明の意義
松浪克文先生 虎の門病院精神科
Bulletin of Depression and Anxiety Disorders Volume 5, Number 1, 2007

新型うつ病のいくつかについて、松浪先生が紹介していますので、お勉強。

逃避型抑うつ: 20 歳代後半から40 歳代の,いわゆるエリートサラリーマンが,多くは職 場の配置転換などの発病状況の下に,制止症状主体の抑うつ状態を呈するもの。自責的では なく,責任を他へ転嫁し,希死念慮の訴えはない。入院すると制止症状が比較的短期間に軽 減し,他患との交流も円滑かつ活発となる。しかし復職が問題になると出社恐怖の状態が出 現する。広瀬は,この抑制主体の病像を「―冬眠というよりも―驚愕反応としての擬死反射 に通ずる要素が強い」,すなわち「ヒステリー性要素の混入がある」と論じている。
未熟型うつ病:保護的にかわいがられて育った末子が,基本的には協調性を保つ循環気質者 として育ちながらも,依存的,わがまま,自己中心的,顕示的な性質を加え,自分の望みが かなわない状況下で不満とともに不適応を繰り返し,内因性のうつ病の病像で発症する。病 相を反復すると,不安・焦燥,パニック発作,身体的愁訴が病像に加わり,強い自殺衝動が 出現することがある。他責的で,自己愛的傾向が認められる。病前性格にマニー型ほどの精 力性はないが,いわゆる双極スペクトラムに属する。

阿部隆明のいう未熟型うつ病についてですね。

職場結合性うつ病:加藤は,仕事量が増大しスピードを要求される現代において職業的負荷 と密接な関連をもって発症するうつ病の型に注目した。不眠・心身疲労,頭痛・肩こりなど の身体不調,いらいら,不安・焦燥などの症状で発症する。患者は仕事をこなそうとする姿 勢,こなさなければならない状況のなかで呻吟し,突然の自殺企図,パニック様発作,過換 気発作のために救急外来を経由して精神科を受診する。加藤は,「能力の限界を感じる」と いう言葉は「決定的な無能力の確信」にあたり,この型のうつ状態も実際は「内因性うつ病 」であるとしている。

身体で悩むのか、精神で悩むのか、違いがあります。

双極スペクトラム論:内海は,双極II 型障害を,双極I 型障害とも境界型PD とも異なる様 態として捉える視点を提出している。内海は昨今のこの概念の提唱者Akiskal とも論を異に し,双極II 型障害に代表される双極スペクトラムを,あらゆる意味で境界を越えていくエ ネルギーをもったものとして捉えているようである。疾患と性格,病理性と創造性,近縁病 態との境界を越境していく可能性をもつ,ある種の新たな人間様態の視点を開こうとしてい るようにみえる。

双極スペクトラム論は新しい展開を見せています。薬の使い方も、変えていこうと、アメリカでは提案されています。

現代型うつ病とは,表1に示すような特徴をもつ病型のことである。35 歳以下の比較的若 年のサラリーマンに多い制止主体の内因性うつ病である。組織への一体化を拒否し,固有の 領域を侵されることに忌避感をもって育ち,会社企業や組織の一員としてのアイデンティテ ィの形成に必要な律儀さや几帳面さを発揮しない姿勢で社会に参入する。したがって,会社 での公的生活よりも私的領域の趣味活動が生活の重要なペースメーカーになっている。多く はRemanenz 状況(能力に比して負荷が過大となるだけでなく,仕事をこなせば新たに負荷 を作り出してしまって負債が増大する状況)に突入するところで,比較的早期に受診する。 したがって,症状は不全型で,うつ病症状が十分に形成されていない,あるいは出そろって いない。軽症のうつ病であるが,心因性の発症ではなく,些細なミスや失敗が続くことに当 惑し,その不可解さ,違和感を抱いて「出社できない」「能率が低下しているんじゃないか と思う」と制止症状を述べる。
表1 現代型うつ病の特徴
① 比較的若年者
② 組織への一体化を拒絶しているために,罪責感の表明が少ない。むしろ当惑ないし困惑
③ 早期に受診 → 不全型発病
④ 症状が出そろわない:身体症状と制止が主景 
cf) 選択的制止(広瀬),SSD(SSD:subsyndromal symptomatic depression Judd ら)
⑤ 自己中心的(にみえる):対他配慮性が少ない
⑥ 趣味をもつ:cf) 逃避型(広瀬)
⑦ 職場恐怖症的心理 + 当惑感
⑧ Inkludenz を回避:几帳面,律儀ではない =Remanenz 恐怖:締め切りに弱い

Remanenzというのは、下に出てくる、Inkludenzとともに、ドイツの偉い先生の使っている言葉です。「負目性(Remanenz)」「封入性(Inkludenz)」などと翻訳、Tellenbach先生の原著を木村敏先生が翻訳しました。Remanenzは 精神医学以外の分野では残留という訳語が多いようです。

筆者が「従来型うつ病」と呼んだ旧来のうつ病と,この現代型うつ病との相違は,発症の仕 方において顕著である(表2)。従来型I 型うつ病は,わが国の経済が発展する時代の病型 で,几帳面で堅実に働くことがまさに適応的であった職場環境において,適応過剰を通して 発病する。患者は自分の几帳面さが発症の要因であったことを洞察できないことが多い。従 来型II 型うつ病は,安定成長時代に入って,成果主義やオフィスのOA 化などの状況の変化 が生じ,几帳面さが適応力を失って適応障害に陥り発症する。患者は発症を通じて,自分の 几帳面さが職能のなかに生かされなかった,むしろ適していなかったということを実感して いる。現代型うつ病は,几帳面さの不適応性,あるいは短期の適応の後に破綻する運命を見 据えて,職場状況の変化についていけないほどの職場論理との密着を避けようとしている。 つまり,Inkludenz を回避しようという態勢にある。しかし,職能と負荷の関係は,原理的に臨界点に達することが避けられないので,Remanenz 状況が到来するのは時間の問題で あることを知っており,密かに恐れているのである。現代型うつ病と従来型うつ病の比較を 表3 に示す。このような病態の差異を通じて筆者が導き出したのは反復性という強迫の時間 的局面の病理である。





図1はうつ病の診断の範囲が広がり、灰色部分のところを、いろいろな言い方でいろいろな人が描写しているという図です。


新型であるといいつつも、どれもやはり「うつ病」であるというのですから、
ずっと変わらずにあるうつ病の根本があるはずだと論じています。



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Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病へ

もう一つ、「職場結合性うつ病」について。こちらは加藤先生の論文です。
「Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病へ」Bulletin of Depression and Anxiety Disorders Volume 5, Number 1, 2007

労災の適用となるような職場の仕事の負荷によって生じる職場結合性うつ病は,IT 革命によって進行する高度資本主義を背景に大量出現をみている

残業限度について、80時間とか100時間とかいわれていますが、そういわれると今度は、残業をつけないようになるとのことでした。多い人では瞬間最大で200時間との話もあり、強制的ストップをお願いしています。

職場結合性うつ病では,病像として不安・焦燥感が前景にでるものが多いため,うつ病の診断がつきにくく,過換気発作を含むパニック(様)発作を起こして,総合病院を受診することがしばしばである。

そうですね、でも、治療は、SSRIで、うつ病にもパニック障害にも効くわけですから、便利です。

時には,不安・焦燥の頂点で自殺企図がなされてしまう。

はい、そうですね。

従来,成人のうつ病というと,制止(優位)型うつ病がモデルとされ,自殺(企図)の好発期として,うつ病の病態の極期に入る前の時期と回復期があげられていたわけだが,最近の勤労者の不安・焦燥(優位)型うつ病にあっては自殺の好発期は病態の極期にこそあるとみるべきである。

これが新型うつ病ですね。

この種のうつ病は,とりわけ初診時など,DSM によって操作診断をすると大うつ病性障害の基準を満たさないと判断され,不安障害,ないしパニック障害と診断されることが少なくない。 DSM では不安症状を呈する病態は不安性障害へ,そして制止関連症状を呈するものはうつ病性障害へ分類するという具合に,表出症状による単純な区分けがなされており,そのためDSMのうつ病と不安障害のカテゴリーは実際の臨床の現実にはそぐわない部分がある。

はい、そう思います。

プライマリーケアの現場では,不安症状とうつ病性症状をともに併せもつ事例が多いことを強調し,ICD では診断カテゴリーにあげられている混合性不安抑うつ障害(mixed anxiety depressive disorder)をDSMでも正式採用する必要性が述べられている。今日改めて,(少なくとも理念的には)抑うつ神経症,ないし不安神経症と内因性うつ病の区別は有用であると考える筆者としては,混合性不安抑うつ障害というとき,これら二つの病態レベルについて,つまり神経症と内因性うつ病のそれぞれについて混合性不安抑うつ障害が問題にされる必要があると考える。

フムフム。

うつ病と不安障害の歩み寄りは,不安障害とうつ病の病態が重なり,場合により移行するうつ病-不安(パニック)障害中間(移行)領域を想定するよう促す。筆者としては,混合性不安抑うつ障害のカテゴリーはこの中間領域を指し示したカテゴリーであるとポジティブに評価したい。抑うつ神経症が内因性病像を帯びて,こちらが優勢になり内因性うつ病に一時的に移行するなどといった現象も,うつ病-不安(パニック障害)障害中間(移行)領域を舞台にして生じていると理解できるだろう。





内因性うつ病を制止優位と不安・焦燥優位に分類するのは、伝統的です。
不安神経症、抑うつ神経症については、もう少し議論が必要かもしれません。

職場結合性うつ病に陥る人の人格特性について述べると,確かに一部にはきわめて几帳面,完全主義で,強い他者配慮性が際立つ,かつてドイツの精神病理学者Tellenbach が提唱したメランコリー親和型の典型例が認められることもあるが,多くはむしろ社会人としてのまっとうな勤勉さと社交性を備えた平均的な人格の持ち主である。なお,病相時の面接での患者の言葉からメランコリー親和型と判断される際,前うつ病状態が始まり,二次的に強迫性が前面に出てきて偽性のメランコリー親和型の振る舞いをする事例があることにも注意しなければならない。

「前うつ病状態が始まり,二次的に強迫性が前面に出てきて」という観察に私は賛成します。これを「偽性のメランコリー親和型」と呼ぶことには疑問があります。
「社会人としてのまっとうな勤勉さと社交性を備えた平均的な人格の持ち主」の場合、「二次的に強迫性が前面に出てきて」、メランコリー親和型の振る舞いをしたら、潜在的にメランコリー親和型だったのだと思うのですが。それ以外の何でしょうか?

発病の主たる要因は,会社,職場自体の「メランコリ-親和型化」であるというのが筆者の最近の論点である。つまり,今日,職場は勤労者に対し間違いを許さない厳密性と完全主義を徹底し,消費者,あるいは利用者(お客さん,患者さん)などに対し不都合やミスがないよう細やかな配慮を行き届かせる他者配慮性を前面にうち出す。そのため,勤労者は仕事課題において高い水準を要求される。それはある意味で職場の「過剰な正常規範」であり,医療に端的に示されるように,確かにそれ自体はたいへん正しく,善い行為規範を示し,正面から異を唱えることはなかなか難しいものの,普通の人が従うには心身の限界を超える危険を内蔵する。いうまでもなく,職場の「メランコリー親和型化」の背景には,生産性と(国際)競争力をできる限り上げようという企業の論理,および職場のミスや虚偽があれば最終的には訴訟にでも訴える構えをみせる消費者,ひいてはマスコミから注がれる厳しい視線の増加が控えている。

厳しいわけです。

1970 年代は,Tellenbach の発病状況論が盛んに導入され,この図式にぴったり合致するうつ病の事例が確かに多かった。ちょうど日本の会社が,家族的なまとまりをもちながら高度成長を続けている時代にあたる。そこでは,うつ病のなによりの病因は,患者の側のメランコリー親和型性格であり,彼らは際立った几帳面さ,完全主義,他者配慮により,自分に課された仕事を自分の強い信念に裏打ちされて,けっして手抜きをすることなく,全力を尽くしてやり遂げることを目指した。
つまり,前うつ病者は毎日の生活をうつ病が発生するのを促す方向で状況構成(situieren)する。それゆえ,うつ病の病因には,患者自身が自分で招いてしまって,出口のない袋小路に入りこむという自家撞着の側面が強い。そのため,この種のうつ病の患者に対して,「ほどほどにする」「いい加減がいい」などといった言葉の処方箋が適応となったのであった。ところが,現代の職場結合性うつ病患者に対しては,この種の言葉は見当はずれであることが多い。
グローバリゼーションの時代に入り,会社,職場が勤労者に先んじてメランコリー親和型規範を採用・徹底させているからであり,彼(彼女)らが「ほどほど」「いい加減」に仕事をするものなら直ちに解雇や降格という厳しい現実に直面しかねない。職場結合性うつ病の場合,発病過程の端緒において職場の側の「メランコリー親和型化規範」が大きな要因を果たすのであり,そのその意味で,この種のうつ病は,19 世紀中葉,イギリスに引き続くアメリカの産業革命下で出現した新種の病態としてBeard によって記述された神経衰弱(神経疲弊)の延長線上にあるとみることができる。
Beard のいう神経衰弱は,今日ならICD でいう,先に指摘した混合性不安抑うつ障害と診断される病態におおよそ対応するように思われる。それゆえ,社会要因,症状などの面からして,現代の職場結合性うつ病は第二の神経衰弱(神経疲弊)と位置づけることが可能である10)。Tellenbach の発病状況論があてはまるうつ病を「Tellenbach 型うつ病」と呼ぶなら,職場結合性うつ病はさしずめ「Beard 型うつ病」と呼べるだろう。もちろん,この対比はあくまで理念型なものであるが,わが国の職場関連性うつ病は,一定の勤勉さと社交性を備えた堅固な人格の持ち主の勤労者におけるうつ病に限っても,ここ30 年余りの時代のあいだに,Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病への重心移動をしているのではないだろうか。そして,Beard 型うつ病へのシフトにより,わが国のうつ病はアメリカ,イギリスにおける勤労者のうつ病に接近をみせた。
概して,グローバリゼーションの時代において,職場関連のうつ病はBeard 型うつ病に収斂する方向でグローバル化し,各国のあいだでの病態の違いが減少してきているように思われる。付け加えれば,Tellenbach 型うつ病では罪責,自責の主題がよく観察されたのだが,現代の職場におけるBeard 型うつ病ではこの種の症状は少なくなり,代わりに職場や上司に対する攻撃的感情,あるいは批判的態度,ひいては労災申請をするといった行動がみられているのである。

というわけだ。座布団3枚だ。勉強になりました。

加藤先生の文献
加藤 敏.現代日本における不安・焦燥型うつ病の増加.精神科2002; 1:
344-9.
加藤 敏.職場結合性うつ病の病態と治療.精神療法2006; 32: 284?92.
加藤 敏.現代日本におけるうつ病の自殺とその予防.精神神経学雑誌
2005; 107: 1069-77.
加藤 敏.現代の仕事,社会の問題はどのように精神障害に影響を与えてい
るか.精神科治療学2007; 22: 121?31.
加藤 敏.現代日本におけるパニック障害とうつ病―今日的な神経衰弱.精
神科治療学2004; 19: 955-61.



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職場結合性うつ病 加藤敏インタビューから

インタビュー記事から抜粋して、読んでみましょう。

従来のうつ病とは病像を異にする、20、30代の若い世代を中心にみられるうつ病病を「職場結合性うつ病」と捉え、発病の主な要因を職場自体のメランコリー親和型化にあると指摘する。

「現代の仕事、社会の問題はどのように精神障害に影響を与えているか」(加藤敏.精神科治療学 2007; 22:121-31)

職場自体がメランコリー親和型になったという指摘なんです。効率のよい組織になったとは思いますが、メランコリー親和型になったと言えるのでしょうか?

「几帳面で義理堅い」従来型のうつ病から、「自己中心的でわがまま」な現代型うつ病へと、職場のメンタルヘルスの話題が移っている。
こうしたタイプのうつ病は、非定型うつ病、気まぐれうつ病、逃避型うつ病、未熟型うつ病、職場結合性うつ病、双極スペクトラム論などさまざまに論じられている。

ここから加藤先生の職場結合性うつ病の話。

仕事が過重となり心身の疲弊の末にうつ病を発症する。職場の仕事に結合したうつ病という意味で、「職場結合性うつ病」と名付けた。
1960年代の高度経済成長期にも日本人の働き方は大きく変わった。しかし、このときには会社は終身雇用制・年功序列の賃金体系をとり、職場は正規社員で構成され、会社が「家族」としての一体感・まとまりをもっていた。
ところが現在は、会社の家族的な共同体意識が希薄となり、職場での個々人の孤立感が増している。以前は社員旅行が定期的にあり、なにかあったら職場で「支えあう」という面があった。いまは業績主義が支配的で失敗をすれば蹴落とされる、給料が下がるというリスクを負う。
ドイツの精神病理学者Tellenbachは、うつ病に親和的な性格として几帳面で他者配慮的、良心的な性格をメランコリー親和型と名付けた。それは1961年のこと。もともとはうつ病の病前性格とされたメランコリー親和型の行動特性を、会社・職場がとりこみ、勤労者に対し、間違いを許さない厳密性と完全主義を徹底し、顧客に対する良心性と仕事課題に高いレベルを要求する。これが現在の職場である。
競争が激しくなり、過重・長時間労働が課せられ、緊張状態が続き、心身の疲弊が蓄積し、その頂点でうつ病が発症する。この点で、職場が「メランコリー親和型化」していることに、わたしは注目している。患者の病前性格についていえば、職場の「メランコリー親和型化」により、この性格類型が稀釈されるような形で明確にメランコリー親和型とはいえないケースが増えている。

ということは、メランコリー親和型の個人はむしろ適応的な性格になっていて、発症しないということなのだろうか。
いや、そうではない。心身の疲弊が蓄積して発病するというのだから、やはりメランコリー親和型の人が発病しやすいようだ。
メランコリー親和型でない人も、メランコリー親和型のように仕事をすることが求められ、その結果、メランコリー親和型の人と同じようにうつになると解釈すれば話は通る。

要するに、性格がどうであれ、疲れ果てるまで働いてしまう、または、働かされる、だからうつ病になる。
自分から働いてしまうのがメランコリー親和型で、働かされるのが、それ以外ということか。
だったら、職場や上司のせいにするだろう、当然。

産業革命下の米国で内科医Beardが提唱した神経衰弱(神経疲弊)の延長線上にある。職場結合性うつ病は、いわば「Beard型うつ病」である。1980年代以降、英米圏でも労働時間が長くなり、仕事の厳密性、迅速性が求められる中で、このBeard型うつ病が増えてきている。


Beard型うつ病は神経衰弱(神経疲弊)をいっているだけで、原因類型には言及していない。
疲れ果ててうつ病になるというのは、とくに新しい論説ではない。

グローバル化した企業競争の下で、日本と英米圏で似たようなうつ病像を呈しているのではないか。国を越えた先端的企業での職場結合性うつ病、あるいはBeard型うつ病の増加は、企業活動や競争のグローバル化とパラレルな現象ではないか。「精神障害は社会の病理の鏡」という見方があるが、Beard型うつ病は現代社会のグローバル化の下での競争原理優位な社会の歪みをあらわしているといえるかもしれない。

国を越えた先端的企業では、職場自体がメランコリー親和型なんでしょうか?
メランコリー親和型職場は、競争主義的でしょうか?
メランコリー親和型の人は、家庭人としても尊敬できるいい人のような気がします。

競争主義と家族主義はどう関係するのでしょうか。
競争主義というのは、会社内部でも競争して、会社同士でも競争する。
家族主義は、会社内では家族のように融和し、会社同士は競争する。
ということでしょうか。いや、そうでもないのだろう。そんなことが焦点ではない。

「家族的」といっても、とても競争的な家族もあるわけで、むしろ、「教育的」といったほうがいいような気がしますが。競争もあるし、教育的な厳しい場面もあるけれど、最終的には各成員の幸福に責任を持ってくれるような会社というイメージ。仕事以外の付き合いもあり、家族親戚みたいな付き合いをする集団。

競争主義というのは、会社の存在理由は、収入のためと割り切り、それ以外の関わりに関心を持たない主義。でも、毎日一緒に仕事をしていて、家族類似の感情が湧き起こらないというのも、あり得ない話ではないか。

同僚がライバルか仲間かといってもそんなに簡単な区別はできない。

以下、すこし方向が違うお話。

糖尿病、高血圧などの患者さんが治療経過中に、うつ状態を呈することが意外に多い。うつ病の患者さんが生活習慣病を合併する率が高い。生活習慣病という言葉から、個人の生活に原因があるという印象を受けるが、わたしは生活習慣病のおおもとは勤労者の仕事過重にあり、そのストレス反応のために血圧、血糖値が上がる、生活習慣病、あるいはまたうつ病を発症するのではないかと考える。生活習慣病は職場結合性うつ病と同じく、「現代社会結合症候群」とみたほうが適切だと思う。

特に仕事もしていない人にも、糖尿病、高血圧、痛風、肥満、高脂血症、多いですね。むしろ食べもののせいかと思っていました。ストレス要因が問題なのは当然で、ストレスの中心は当然仕事ですから、仕事過重が生活習慣病発症にかかわっているというのは、その通りでしょう。

教室の研究でうつ病の患者さん(入院例)の中に消化性胃潰瘍の既往症をもっているケースが約8%あることを報告している。こうした、いわゆるcommon diseaseとうつ病には、生物学的なレベルでの内的な関連もあるのではないか。

ここはもう少し解説してほしいところ。

DSM-IV以降、うつ病概念が広くなりすぎ、曖昧になっている。また、不安症状は不安性障害に、制止関連症状はうつ病性障害へと表出症状により単純に区分けされるので、不安・焦燥が前面にでる職場結合性うつ病が不安性障害と単純に診断されてしまうという危険がある。DSMのうつ病性障害の診断基準は不安・焦燥については不十分である。

そうですね。うつ病概念が広くなりすぎ、曖昧になっていると確かに思います。
うつ、不運、焦燥の関連性、独立性については、検討が必要です。

わたしはうつ病は、「仕事の領域」のうつ病と「愛の領域」のうつ病に大別するとわかりやすいと思うのですが、仕事の領域とともに、愛の領域でのうつ病も増えていることを指摘したいと思います。たとえば、親や愛する人が亡くなるときに生じる悲哀の感情が遷延してうつ病となるケースです。その際、身体の痛みを訴えるケースも多くみられます。心の「悼み」が文字どおり身体の「痛み」に転化したと考えさせられるケースによく出会います。かつては人が亡くなれば喪に服すという時間がありました。ところがいまは、喪に服す、人の死を思いやるといった時間が割愛され、「喪の仕事」が疎んじられているように思います。愛の領域のうつ病、あるいはまた、疼痛性障害の増加は、失感情症的(アレクシチミック)な布置を色濃くもつ現代社会に関連して生じているのではないかと、強く感じています。

まあ、人間の生活は、仕事とプライベートとが主な場所ですから、仕事の領域と愛の領域ということになるでしょうけれど。
愛する人が亡くなったときの、悲哀の感情を、悲哀として充分に悲しめない。悲哀は失感情症的に疼痛症状に転化して、遷延する。
でも、現代社会は、失感情症的な布置を色濃くもつのでしょうか?

むしろ、深い悲しみはあるけれど、テレビ画面のように、せわしなく転換し、にぎやかに無意味である、そんな印象。



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職業とうつと自殺

よく使われるグラフ。
こんなにも一致するものかと、
みんなが驚く。
目盛りに細工をすれば、
もっと重ねられる。
 

*****
職場でのストレスを検出する質問紙。
本当は、血液検査でストレス測定ができたり、
心電図や皮膚抵抗計のようなもので客観的に測定できるように
するのが目標ですが、当面はこんなものです。
答えは1~4まであります


*****

どんな仕組みで職場のメンタルケアを考えようかという、その仕組み。
医療としては、産業医科大学が研究施設としてあり、
各地の労災病院が地域の中核になります。

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身体疾患とうつ病

身体疾患になったとき、
たとえ虫歯でも、うつ気分になりやすい。
ましてや、脳卒中など、命にかかわり、障害が残るような病気の場合には、うつ病になりやすい。
人生を深刻に振り返ったりするものだ。

一方、脳梗塞の場合には、脳の特定部分での梗塞が、うつ病の発症と関係があるのではないかと議論された時期がある。最近の動向については、よく分からない。
つまり、単に心理的な理由で落ち込んでいるのではなく、
脳の一部が障害された結果、「器質性のうつ病」になっているのではないかとの指摘である。

*****
心筋梗塞の後で、うつ病を併発すると、死亡率が高くなる。
これはひとつは、うつ病になって、生きる気力がなくなるということもあるが、
もうひとつには、セロトニンが怪しいといわれている。
血小板は血液の凝固に関係しているのだが、
セロトニンは血小板の中で大事な働きをしている。

そんなこともあって、心筋梗塞を起こした患者さんの場合でうつ病があったら、
ほかの抗うつ剤よりもSSRIがよいと言われる。
うつを治すと同時に、血小板のセロトニン系に効くらしい。


*****


この図にあるように、
うつ病で自律神経失調状態になるので、不整脈が起こりやすい、また、脱水が起こりやすいなどから、再度の梗塞が起こりやすくなる。
血小板機能の亢進にはセロトニンがからんでいるかどうか、よく分からない。



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職域のうつ発見に二質問法


たったこれだけで、
職場でのうつを発見できる。
頭いいな。

「よく」という言葉がいいですね。

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エニアグラム

私たちはあまり使いませんが、
エニアグラム無料診断というページがあります。
ふむふむ。

チェックボックスにチェックを入れてもらって、後で集計するのは、
<input type=checkbox value=1 name=ts8> というような書式のようで、
今度何か作ってみようと思う。



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境界性人格障害の心理教育

原田 誠一先生(原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所)の論文から。

境界性人格障害の心理教育
境界性人格障害(BPD)の心理教育。図「BPDの悪循環」を参照。



・中心となる基本テーマに、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
の三つがある。

・基本テーマから「落ち込み」「空しさ」などの感情が生まれ、対人関係の特徴(たとえば、傷つきやすさ)につながる。
・日常生活の「行き違い」などで「見捨てられた」などと極端に受け止めて、行動化を起こしてしまいがち。
・行動化が「周囲との軋轢」の増大、本人の「後悔」などをもたらし、不安・抑うつ症状や基本テーマが、いっそう悪化する。
・以上をふまえて「典型的なうつ病との違い」や「精神科での治療の内容や限界」を理解してもらう。
・本人の試行錯誤・自助努力で「行動化」を減らし、基本テーマを変えていくことが治療の本質であると伝える。

*****
中心葛藤課題といった感じの3つテーマを抽出、そこから症状を説明する。
必要なのは症状をかえることではなく、
「基本テーマを変えることだ」と目標設定する。
なるほど。

治療者も患者も多大のエネルギーを要する作業である。

*****
それにしても、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
こうして3つ並べてみると、程度の差はあっても、当てはまるという人も多いだろう。

悪循環にしても、程度の差はあっても、当てはまるなあと思う人も多いのではないか。

そういった意味では、病的というよりも、普遍的に存在している基本テーマであるし、普遍的に悪循環であるという気がする。
ただ、健康な人は、そのような心の側面を、場面に応じて、一時的に、軽度に、露出させる。病的な場合には、むしろ、そのような側面に、圧倒される。そのような違いがあるのだと思う。

「適度に、一時的に」、自信喪失し、傷つき、嘆き、行動化し、後悔もしようではないか。それが人生だ。



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日本版社会恐怖尺度(SPS-J) 日本版社会的相互作用不安尺度(SIAS-J)

日本版社会恐怖尺度(SPS-J)
 
自分の性格や自分についての事実を全く表していない           0
自分の性格や自分についての事実をやや表している             1
自分の性格や自分についての事実をまあまあ表している         2
自分の性格や自分についての事実をよく表している              3
自分の性格や自分についての事実を大変よく表している         4

1.人前でものを書く時、不安になる。
2.公衆便所を使う時自分を意識してしまう。
3.自分の声や自分の言う事を聞いている相手の事が突然気になる事がある。
4.道を歩いている時、人が自分の事を見ているような気がして落ち着かなくなる。
5.他人と一緒にいる時,赤面するのが怖い。
6.他の人達がすでに席に着いている部屋に入らなければならないとしたら自分を意識するだろう。
7.他人に見られている時、自分が震えてしまうのではないかと心配だ。
8.バスや車で他人と向かい合わせに座らなければならないとしたら緊張するだろう。
9.自分が気を失うか、具合が悪くなるか、病気になるのを他人が見るかもしれないと思うと平静ではいられない。
10.人の集っているところで何かを飲むのは私にとって難しいだろう。
11.他人が自分の行動を変だと思うのではないかと心配だ。
12.レストランなど知らない人達に見られるところで食事をするとしたら自分を意識してしまうだろう。
13.もし混んでいる食堂でお盆を持って物を運ばなければならないとしたら緊張するだろう。
14.人前で自制心を失うのではないかと心配だ。
15.自分か他人の目を引くような事をするかもしれないのではないかと心配だ。
16.エレベーターの中で人が私を見たら緊張する。
17.列に並んでいると自分が目立っているような気がする事がある.
18.他人の前で話をすると緊張する事がある。
19.他人の前で自分の頭が震えたり,うなづくように縦に揺れるのではないかと心配だ。
20.人が自分を見ているとわかると気まずい気がして緊張する。

*****
日本版社会的相互作用不安尺度(SIAS-J)
 
自分の性格や自分についての事実を全く表していない           0
自分の性格や自分についての事実をやや表している             1
自分の性格や自分についての事実をまあまあ表している         2
自分の性格や自分についての事実をよく表している              3
自分の性格や自分についての事実を大変よく表している         4

1.もし権威ある人(先生、上司など)と話さなければならないとしたら、神経質になる。
2.話をする時、相手の目を見て話すのは難しい。
3.自分の事や自分の気持ちを話さなければならないとしたら緊張する。
4.職場の同僚となかなか気楽に付き合えない。
5.もし道で知り合いに会ったらとても緊張する。
6.人と付き合うのは苦痛だ。
7.誰かと二人っきりになると緊張する。
8.パーティーなどで人に会うのは平気だ。
9.他人と話すのは難しい。
10.話題を探すのは簡単だと思う。
11.自分を表現する時ぎこちなく見えるのではないかと心配だ。
12.相手の意見に異議を唱えるのは難しいと思う。
13.魅力的な異性に話しかけるのは難しい。
14.社交の場で自分かなんと言っていいか,わからなくなるかもしれないと心配する事がある。
15.あまりよく知らない人達と一緒にいると落ち着かない。
16.話をしていると何か恥ずかしい事を言ってしまいそうな気がする。
17.集団でいると、自分が無視されるのではないかと心配することかある。
18.集団でいると緊張する。
19.自分が少しだけしか知らないひとに挨拶すべきかどうかよくわからない。



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双極性障害ミトコンドリア機能障害仮説

理化学研究所 加藤忠史先生の画期的な説

ミトコンドリア機能障害仮説は,双極性障害患者において,磁気共鳴スペクトロスコピーにより脳エネルギー代謝異常がみられること,ミトコンドリア病と気分障害の合併,双極性障害患者の死後脳でミトコンドリア遺伝子(mtDNA)欠失が増加していたことなどに基づいている(Kato T, et al. 2001)(図1)。この仮説では,mtDNA の変異や多型に基づくミトコンドリア機能障害により,細胞内Ca2+ シグナリングに変化を来たし,神経可塑性の障害を引き起こしていると考えられた。米国ではKonradi ら(2004)の双極性障害患者の死後脳におけるミトコンドリア関連遺伝子の発現低下の報告を契機としてこの仮説が認知され,ミトコンドリア病の治療薬としてFDA が承認したtriacetyluridineの双極性うつ病に対する臨床試験が行われている。


これが科学の本道だ。


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リチウムが効かない人

寺尾岳先生の論文 大分大学医学部精神神経医学教授
リチウムの不良な予防効果を予測する因子は,つぎの三つであった。
① 双極性障害による入院回数が多いこと
② うつ病エピソード(D)からすぐに躁病エピソード(M)へ移り,さらに間欠期(I)に落ち着くというD−M−I パターンをとること
③ 間欠期なく気分エピソードを繰り返す(continuous cycling, CC)パターンをとること
*****
M-D-Iパターンの場合にはリチウムがよく効く。だから、
M-D-IとD−M−Iは別のものなのかも、と思うわけだ。

リチウムが効くM-D-Iパターンは昔からある古典的な例であると思う。
D−M−I パターンのほうがイレギュラーな感じがする。

CCパターンも、多分、M-D-Iパターンとはメカニズムが違うのだろう。

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タモキシフェンと躁うつ病

乳癌の治療薬タモキシフェンが、躁状態の急速な改善に役立つと報告されているが、
その機序について。

以前の研究から急性そう病を治療する上においてプロテインキナーゼCの阻害が有効であることが示唆されていた。
リチウムとバルプロエートはともにプロテインキナーゼCを阻害することを示すエビデンスが得られている。これは間接的な効果であるといわれている。
現在のところ、血液脳関門を通過してこの酵素を比較的選択的に阻害し、ヒトに用いられている唯一の薬剤がタモキシフェンである。
イレッサなどもプロテインキナーゼに関係する。細胞増殖とか細胞死に関係しているでも、正確に、何を伝達制御しているのか、よく分からない。
たとえば、テレビが映らない場合でも、放送局が悪いのか、中継が悪いのか、テレビが悪いのか、いろいろと考えられる。

というわけで、治療開始後早くも5日でタモキシフェン服用者は対照群と比較してそう状態が有意に改善し、理論通りの結果というわけだ。

プロテインキナーゼCを直接標的にする、そう病の即効治療薬といわれれば、その通りだ。
大きな前進になるかもしれない。

どうして、プロテインキナーゼCを阻害することが躁状態の早急な改善に役立つのか。
プロテインキナーゼCは、がん、アルツハイマー、躁状態と関係があるとすれば、どのように関係しているのか。
ヒントがありそうでなさそうで、というところ。

がんと躁状態は、どちらも抑えがきかなくなるイメージ。アルツハイマーは、細胞を殺すメカニズムが押さえられなくなるイメージ。躁状態とアルツハイマーは神経細胞の話、一方は乳癌だ。これが神経細胞のがんならば、話は分かりやすいのだけれど。
プロテインキナーゼはアクセルで、タモキシフェンはブレーキになっているのか。

躁うつ病の患者さんでタモキシフェンを使った人もいたので、
追跡調査してみたいものだ。



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Sonalion 目次2007-11-01

EAP 従業員支援プログラム 概論
How to Be Optimistic 各社の翻..
How to Be Positive
not マインド(の)マップ but マインド・カ..
QIDS-SR 自己評価するうつ尺度の例
STAR*D ( Sequenced Treatm..
アトモキセチン
うつでの復職のむつかしさ
うつにつながりやすい考え方のクセ
うつ病で治療する場合の、復職までの実際の流れ 1-..
うつ病で治療する場合の、復職までの実際の流れ 2-..
うつ病で治療する場合の、復職までの実際の流れ 3-..
うつ病で治療する場合の、復職までの実際の流れ 4-..
うつ病で治療する場合の、復職までの実際の流れ 5-..
うつ病で治療する場合の、復職までの実際の流れ 6-..
うつ病のアパシーとパーキンソン病のアパシー
うつ病はどれだけ健康レベルを低下させるか
うつ病概念の拡張 子供のうつ病
うつ病患者復職準備度尺度
コーチング
サイトの脱構築
ストレス・マネージメント・レコーディング
ストレスと不眠
ストレス耐性度チェック
ダイビング講習でパニック
タフな人のセルフアサーション
ディスチミア(Dysthymia, 気分変調症)親..
テンプスタッフ、医師の開業支援・オリックスと組む
パキシルの妊娠初期服用
パワハラで自殺「労災」 上司発言でうつ病
ヒューマン・エラー 効率の壁 防衛省
メンタルタフネス
リンク
レコーディング 睡眠日誌の実例
レストレスレッグス症候群(restless leg..
寛解と回復の図
寛解と回復の図-2
感覚の能動性と離人症 超音波を発射できなくなったイ..
企業のメンタルケアをいかにサポートするか EAPと..
局所多汗症 朝日新聞15日
禁煙治療を始めよう!
携帯QRコード
国家公務員、「激務」や「いじめ」
三寒四温
仕事のストレス(Job strain)と急性冠動脈..
出生時に低体重→ストレスに弱い成人?
召使いに英雄なし
新橋心療内科ご案内と「うつ?」と思ったときのお話
人工妊娠中絶
睡眠薬服用時の睡眠時異常行動
整形外科と心療内科
前駆期・極期・回復期
総目次をつくってみた+改修
側坐核の脳深部刺激療法(DBS)
虫歯方式と骨折方式 自然治癒力
頻尿の薬
母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する?
慢性疲労症候群 新診断指針
名刺を作った
躁とうつについての再検討 



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側坐核の脳深部刺激療法(DBS)

Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry.Oct.
側坐核の脳深部刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)は重篤な不安障害と二次的な抑うつ状態の見られたアルコール依存症の寛解をもたらしたという報告。

DBSは、脳の深部に留置した電極からの電気刺激により、その部位の活動を抑えて、従来の外科治療で行われていた脳深部の破壊術と同様な効果を得るという治療法。

手術について

実際には図のように刺激電極を脳内の特定の場所(パーキンソン病では視床下核に、振戦では視床に、ジストニアでは淡蒼球に)に留置し、前胸部皮下に刺激発生装置を埋め込み、それらを皮下の連結ワイヤーでつないで脳内の刺激を行う。

この方法は電極をさしこむのだが、電子レンジの原理で、電磁波を利用する方法もできるだろうと思う。

昔、職員に話した。

将来は、空間内の一点をピンポイントで加熱できる電子レンジの精密版が各家庭に用意される。美容院の加熱器のような形をしているだろう。最近ちょっと調子悪いなと思ったとき、脳の中のどこの位置かを指定して、指定の時間加熱する。するとすっきりして、その日一日過ごせる。薬もいらなくなるかも。

まさかね、という反応だった。
でも、そうなってきたでしょう?

その時大切なのは、三次元空間の中の位置を正確に指定する方法である。
現在のコンピュータモニターは、平面用に作られているので、
三次元としての脳の内部の位置を指定して、
側坐核の部分をマウスでクリックする、なんていうのが実は難しい。

パーキンソン病で刺激を行う視床下核は、直径5mm程度というから、
電子レンジの精度ではまったくだめ。

放射線科では治療に際して、そのような空間指定をすでに日常的にテキパキやっているけれど、
慣れないと簡単ではない。
放射線科でも5mmはまだ無理。

位置決めは、ホログラムのようなものでバーチャルな立体を見せて、
実際に手で動かして位置を指定するような、そのようなものになるだろう。

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虫歯方式と骨折方式 自然治癒力

治療を二つに分けます。

(1)虫歯方式
虫歯になったところを削ってとってしまいます。
肺炎なら、細菌を殺します。
癌なら、手術で取り除きます。

(2)骨折方式
骨折したところをギブスで保護して、あとは自然治癒を待ちます。
風邪ひきのとき、抗生剤を使いません。免疫力を補助します。

心療内科・メンタルでの治療は、
当院としては、(2)の方式で、自然治癒力を引き出す方式です。
自然治癒力を妨げているものがあったら、それを取り除く。
自然治癒力が弱いようなら、それを補助する。
漢方薬とかビタミン剤とかはそんな感じだと納得していただけると思います。

また、睡眠導入剤も、薬で無理に眠らせるというものではありません。
多くは睡眠のきっかけを作るだけです。

抗うつ剤は、いろいろな働きがあるのですが、
結局、ゆっくり休んでいただいて、自然治癒力を引き出す、
そのような働きを主眼としてもいるのです。
セロトニンが増えればすべて解決するのなら、
話はもっと簡単なはずなのです。

虫歯のように原因を取り除けるなら、一番根本的で即効的な治療ですが、
精神的な事柄に関して、そのようなことができるはずもありません。

骨折したときに、「がんばって骨を早くくっつけよう」と思ったとして、
どうすればいいですか?
結局、骨がずれたりしないようにして、時間を待つしかありません。
そして、それで充分にいい治療なのです。

待つ時間はつらいものです。
ついつい、余計なことをしてしまいます。
そこを、ちょっとだけがまんして、待ってください。
骨折したとき、骨がくっつくのを待っているのだ、そうイメージして、待ってください。

そのうち治療が進歩すれば、
骨をくっつける瞬間接着剤ができるかもしれません。
うつになった脳神経細胞を瞬間的に治してしまう方法がみつかるかもしれません。

でも、それまでは、少なくとも、治療の妨げになることはしないで、
ゆっくり待つことです。
体の中で、一所懸命、治療が進んでいるのですから。
自然治癒力を引き出す、邪魔しない。そんな方針です。



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出生時に低体重→ストレスに弱い成人?

Stress response in older adults linked to birth weight
J Clin Endocrinol Metab 2007.
以下、「」内は引用部分。

「成人後期に心理社会的ストレスを受けている時のコルチゾール濃度と出生時体重との間にはU字型の逆相関が見られる。」

という研究である。

「胎児期の状況が心血管疾患や抑うつ状態などの成人に多く見られるいくつかの障害に対する感受性に大きな影響を及ぼすことが徐々に明らかになってきた」とNational Public Health Institute(フィンランド ヘルシンキ)のDr. Eero Kajantieらは言うのであるが、本当か?

背景にあるのは、
「高コルチゾール症と低コルチゾール症が双方とも胎児期にプログラムされるのではないか」という仮説。
それが、調査の結果では、
「成人後期に心理社会的ストレスを受けている時のコルチゾール濃度と出生時体重との間にはU字型の逆相関が見られる。」というのだから、的中である。
つまり、出生時体重が普通くらいなら、成人したとき一番ストレスに強くなり、低体重でも高体重でも、ストレスに弱くなるということ。

出生時体重と、心理社会的ストレス因子(TSST:試験者用社会的ストレス検査)と唾液中のコルチゾール濃度、血漿コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の濃度が測定された。
体重と血漿ACTHとの間には一次関係が認められたのに対して、出生時体重と唾液中および血漿中のコルチゾールの間には二次関係が認められた。

視床下部下垂体副腎系(HPAA)はストレスに対する抵抗システムのひとつであると考えられている。胎児期に視床下部下垂体副腎系(HPAA)の形成に不全があると、成人後のコルチゾール値が低くなり、つまりストレスに弱く、結果として、外傷後ストレス、線維筋痛、慢性疲労症候群などの障害になりやすいと考えているようである。
成人後期としていて、つまり、中年になってからと論じているようで、なぜなのかはっきりしないが、若い頃は、性ホルモンが充分にあることが、視床下部下垂体副腎系(HPAA)の不全を補っているのかもしない。

さて、こうしてみてくると、まあ、ありそうな話ではある。ただ、おそらく、低体重は、胎児期における全体的な発育不全を予想させる指標であり、低体重であれば、身体の各システムに不全はあるかもしれないとの可能性を想定していいだろう。その中のひとつが、視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全であり、低体重と視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全の特異的な因果関係を示すものではないだろう。

一部は、何か別の原因があり、低体重と視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全が両方結果であるということになるだろう。
また一部は、視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全が原因となって、低体重が結果となった場合もあるだろう。

出生児高体重の場合も、中年期になって、視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全がありそうだという結果も、興味深い。これもいくつも解釈できると思う。
先天性に形成不全があるか、母胎の側に、視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全や血糖システムの不全があるか、あるいは胎児期に何か一時的なストレス要因があったか、など。

視床下部下垂体副腎系(HPAA)不全が胎児期に決定され、その後訂正されない可能性があるというのは、困ったことだが、このシステムを補助することなど、治療的な関与はできるかもしれない。

昔は、うつ病の診断に、視床下部下垂体副腎系(HPAA)の検査をする場合があると、ハリソン内科学に記載があったものだ。



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仕事のストレス(Job strain)と急性冠動脈心疾患再発イベントのリスク

まず記事の紹介。
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仕事のストレス(Job strain)と急性冠動脈心疾患再発イベントのリスク

画像

仕事のストレス(job strain)が、心筋梗塞の2次予防にも重要であることを示す前向き研究のエビデンスが発表された。 これまでにも、仕事のストレスは、冠動脈心疾患の初回発症のリスクを増加させることはすでに報告されているが、すでに一度心筋梗塞を発症した患者の再発のリスクを増加させるかどうかについてのエビデンスはなかった。

本研究は、急性心筋梗塞を初回発症後、仕事に復帰した972名(年齢35歳~59歳)において、その予後を1996年2月10日より2005年6月22日まで追跡した前向き研究である。 追跡研究開始前(平均的には仕事へ復帰後6週目)、および開始後2年目と6年目に聞き取り調査を実施し、仕事のストレスは、精神的職務要求度と自由裁量度により、次の4区分、すなわち、high strain(高要求度、低自由裁量度)、active (高要求度、高自由裁量度)、passive (低要求度、低自由裁量度)、およびlow strain(低要求度、高自由裁量度)、に分け評価した。 複合評価エンドポイント(致死的冠動脈心疾患(CHD)、非致死的心筋梗塞、および不安定狭心症)は206例に発生し、以下の結果が得られた。

1)仕事のストレスは、追跡調査開始から2.2年目以降の後期調査期間のCHD再発と関連している (ハザード比:2.20; 95%信頼区間:1.32-3.66)。
2)慢性的な仕事のストレスに曝されている患者と曝されていない患者のイベント発生率は100 人・年あたりそれぞれ6.18と2.18であった。 
3)通常の心血管リスク因子を含む26の関連因子で補正しても、慢性的な仕事のストレスはCHD再発の独立予測因子として残った(ハザード比:2.00; 95%信頼区間:1.08~3.72)。

本研究で使用されたKarasekのJob Strain Modelは、古くから仕事のストレスの評価指標として使用されている。本モデルでは、仕事のストレス度を、要求度と裁量権の2つの機軸で評価している。これまでの研究では、要求度が高く、裁量権が少ないHigh strain群で、冠動脈疾患の初回発症が増加していることが示されている。今回の研究の新規性は、一度、心筋梗塞を発症した患者の再発にも、仕事のストレスが影響を与えることを明確に示した点である。

また、仕事への復帰2.2年以降の再発に仕事のストレスが、心血管イベント再発のリスクとなっている。本研究対象者では、2次予防薬として、抗血小板療法を90%以上、β遮断薬を70%以上、スタチンを50%以上に投与されている。このような状況においても、さらに、仕事のストレスが2倍程度も再発リスクを増加させていることは、注目に値する。

今後、心筋梗塞後の2次予防には、抗血小板療法、β遮断薬、スタチン、左室機能低下例にはレニンアンジオテンシン系抑制薬を投与し、仕事のストレスにも気をつけるように指導するべきであろう。
(自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
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Job strain and risk of acute recurrent coronary heart disease events.

Unité de Recherché en Santé des Populations, Université Laval, Québec, Canada.

CONTEXT: There is evidence that job strain increases the risk of a first coronary heart disease (CHD) event. However, little is known about its association with the risk of recurrent CHD events after a first myocardial infarction (MI). OBJECTIVE: To determine whether job strain increases the risk of recurrent CHD events. DESIGN, SETTING, AND PATIENTS: Prospective cohort study of 972 men and women aged 35 to 59 years who returned to work after a first MI and were then followed up between February 10, 1996, and June 22, 2005. Patients were interviewed at baseline (on average, 6 weeks after their return to work), then after 2 and 6 years subsequently. Job strain, a combination of high psychological demands and low decision latitude, was evaluated in 4 quadrants: high strain (high demands and low latitude), active (high demands and high latitude), passive (low demands and low latitude), and low strain. A chronic job strain variable was constructed based on the first 2 interviews, and patients were divided into those exposed to high strain at both interviews and those unexposed to high strain at 1 or both interviews. The survival analyses were presented separately for 2 periods: before 2.2 years and at 2.2 years and beyond. MAIN OUTCOME MEASURE: The outcome was a composite of fatal CHD, nonfatal MI, and unstable angina. RESULTS: The outcome was documented in 206 patients. In the unadjusted analysis, chronic job strain was associated with recurrent CHD in the second period after 2.2 years of follow-up (hazard ratio [HR], 2.20; 95% CI, 1.32-3.66; respective event rates for patients exposed and unexposed to chronic job strain, 6.18 and 2.81 per 100 person-years). Chronic job strain remained an independent predictor of recurrent CHD in a multivariate model adjusted for 26 potentially confounding factors (HR, 2.00; 95% CI, 1.08-3.72). CONCLUSION: Chronic job strain after a first MI was associated with an increased risk of recurrent CHD.

PMID: 17925517 [PubMed - indexed for MEDLINE]



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仕事のストレスを job strain と表現している。
仕事のストレスは、精神的職務要求度と自由裁量度により、次の4区分、すなわち、
high strain(高要求度、低自由裁量度)、
active (高要求度、高自由裁量度)、
passive (低要求度、低自由裁量度)、
low strain(低要求度、高自由裁量度)、
以上の4群に分け評価した。
これがKarasekのJob Strain Modelで、精神科関係ではあまり使わない。
むしろ、身体疾患とストレスの関連を論じるときに用いられるようである。
high strain(高要求度、低自由裁量度)が一番よくないという、常識的な結論である。

うつ病からの復帰に際しては、
高自由裁量度では負担なので、むしろ、低自由裁量度、が望ましい。
そして、低要求度が望ましく、分類の中では、passive から開始するのがよい。

誤解を避けるために、
4群の下に、rehabilitation(軽作業、保護的低自由裁量度)を加えたらよいだろう。

high strain(高要求度、低自由裁量度)
active (高要求度、高自由裁量度)
passive (低要求度、低自由裁量度)
low strain(低要求度、高自由裁量度)
rehabilitation(軽作業、保護的低自由裁量度)

と分類して、仕事を準備しておいて、
下から順次、ステップアップしていけばよいと思う。



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企業のメンタルケアをいかにサポートするか EAPと医療 新橋心療内科型

企業のメンタルケアについて感心が高まっている。
うつ病対策を推進し、自殺を予防し、
企業にとって大切な熟練職員を大切に雇用しようという趣旨で、
法律が変わったことも関係している。

企業の総務・人事部門では
メンタルケアの仕組みを作りたいものの、
やはり専門的な仕事なので、外部業者の支援が必要となる。

その受け皿であるEAP会社は、医療機関と連携を強めて、
効果の高いEAP活動を展開しつつある。新橋心療内科はこのタイプ。……(1)
それに連動して、精神科医療の世界でも、
新しい局面が開けつつあると感じる。

また、精神科医療の側からも、EAP的なアプローチを始めている。
こちらは、EAP会社と医療機関がくっつくというものではなく、
医療機関が拡大する形で、EAP+医療 をセットで提供しようとしている。……(2)

つまり、(1)は企業の人事が拡大して、外部EAP会社となり、それが医院と結合するタイプ。
(2)は医院のデイケア部門などが拡大する形でEAP機能を持つようになり、企業の人事と結合するタイプ。

今のところ、こうした活動をしている医院は、外来とデイケアを運営しているところが多く、うつ専門病棟の運営まで一貫しているところはない。紹介しあう形ならばすでに形は出来上がっている。
会社員が利用するには都心部のEAP会社と医院が必要で、一方、入院病棟は、どちらかといえば、郊外に立地しているという事情がある。うつ病専門病棟はあるが、まだ採算ラインには届いていない。
また、医療機関から見ると、EAP活動は、保険診療以外の活動になるので、別組織にしつつ、活動は一体化しなければならない。その点で工夫が必要である。

二つの流れはいずれ収斂すると思うが、
当面は、特色生かしつつ、それぞれで活動すると思う。

新橋心療内科は、となりが第一ホテルなので、ホテルに宿泊しながらの、
うつの療養コースを考えている。
精神病院に入院するよりはいいし、
ホテルみたいな病院ですといって、田舎の病院に高いお金を払うくらいなら、
本当の都心のホテルに泊まって、ゆっくり療養してもらえばよいだろう。

ニューオータニとか帝国ホテルにはすでに他科の類似システムがあるのだが、
第一ホテルはまだこれからのようで、話を進めようと思っている。

地方の人も、旅行に行ってきますといって、しばらく銀座で休養できる。

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うつ病はどれだけ健康レベルを低下させるか

このような研究が、国家予算をどれだけうつ病研究に回せるか、根拠になるので、重要。
では、内容は?
以下、日経メディカル記事とLancet記事を比較して、以下に論評。

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うつ病はどれだけ健康レベルを低下させるか

WHOの大規模調査結果より

2007. 9. 27

 うつ病は他の身体疾患に比べても健康レベルの低下に大きな影響をもたらしていることが、世界保健機関WHO)の大規模調査で明らかになった。疾病負担を減らすためにも、うつ病対策が公衆衛生上取り組むべき課題の中で優先順位が高いことを示す結果だ。WHOのSaba Moussavi氏らの報告で、詳細はLancet誌2007年9月8日号に掲載された。

 うつ病の有病率は2~15%と報告されている。WHOの推計では、うつ病は2000年には総DALYs (障害調整余命年数)の4.4%を占め、疾病負担の第4位になっていた。非致死的な疾病負担においては、うつ病が占める割合はさらに大きく、総YLDs(障害共存年数)の約12%だった。さらに2020年までに、うつ病は疾病負担の第2位になると予想されている。
 
 著者らは、うつ病が単独で、また併存疾患となっている場合の健康全体に対する影響を明らかにするため、WHO世界保健調査(WHS)のデータを分析した。WHSは18歳以上の成人を対象に、健康状態、健康関連アウトカム、それらの決定要因について面接調査したものだ。対象は世界のすべての地域を網羅する60カ国の24万5404人。

 分析の結果、うつ病と、身体的な慢性疾患(狭心症関節炎喘息糖尿病)の有病率は、単独では糖尿病が最も低く2.0%、うつ病が3.2%。喘息3.3%、関節炎4.1%、狭心症が4.5%だった。慢性身体疾患とうつ病が併存する患者を調べたところ、喘息患者におけるうつ病併存率が最も高く18.1%だった。そのほか糖尿病患者の9.3%、関節炎患者の10.7%、狭心症患者の15.0%がうつ病だった。

 なお、対象者の7.1%は2つ以上の慢性身体疾患を抱えており、うち23%がうつ病もあった。このように、身体疾患がある患者のうつ病有病率は、身体疾患がない患者(うつ病単独は3.2%)より有意に高かった(P<0.0001)。

 質問に対する回答に基づいて0~100ポイントで示した健康スコアの平均は、疾患を持たない人々が90.6ポイントであるのに対し、喘息のみ80.3、狭心症のみ79.6、関節炎のみ79.3、糖尿病のみ78.9、うつ病のみ72.9となった。うつ病と関節炎が併存する患者では67.1、うつ病と狭心症では65.8、うつ病と喘息で65.4、うつ病と糖尿病は58.5。慢性身体疾患が2つ以上の場合には71.8、それらにうつ病が加わると56.1で、うつ病併存は健康状態を有意に低下させていた(P<0.0001)。この結果は、年齢、性別、社会人口学的特性、その他で調整しても維持された。

 回帰モデルを用いて、全体的な健康と個々の独立変数(病気、社会人口学的特性、経済状態、結婚状態など)の関係を調べた。健康状態が低いことと関係していたのは、女性、高齢、低学歴、低所得、失業など。病気の影響は、人口統計学特性に比べ大きく、特にうつ病は、単独でも併存でも健康状態の低下と強く関係していた(P<0.0001)。

 相関係数(このモデルでは相関係数が低いほど健康状態は低い)は、うつ病のみが-13.89、狭心症のみが-6.68、関節炎のみ-5.92、喘息のみ-6.54、糖尿病のみ-3.53。うつ病と狭心症が併存では-20.47、うつ病と関節炎で-16.77、うつ病と喘息-19.44、うつ病と糖尿病-23.43。身体疾患は複数あるがうつ病がない場合には-11.97で、そこにうつ病が併存すると-24.38となった。このように、うつ病の健康低下への影響は慢性身体疾患が及ぼす影響を上回った。

 プライマリケア医も、慢性疾患患者のうつ病有病率は高いこと、併存により健康状態が大きく低下することを念頭に置く必要がある。

 原題は「Depression worsens health more than angina, arthritis, asthma, and diabetes」、概要はこちらで閲覧できる。

大西 淳子=医学ジャーナリスト




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The Lancet
 2007; 370:851-858
DOI:10.1016/S0140-6736(07)61415-9

Articles

Depression, chronic diseases, and decrements in health: results from the World Health Surveys

Saba Moussavi MPH a,   Dr Somnath Chatterji MD email address a Corresponding Author Information,   Emese Verdes PhD a,   Ajay Tandon PhD b,   Vikram Patel PhD c   and   Bedirhan Ustun MD a

Full list of collaborators at end of the paper

Summary

Background

Depression is an important public-health problem, and one of the leading causes of disease burden worldwide. Depression is often comorbid with other chronic diseases and can worsen their associated health outcomes. Few studies have explored the effect of depression, alone or as a comorbidity, on overall health status.

Methods

The WHO World Health Survey (WHS) studied adults aged 18 years and older to obtain data for health, health-related outcomes, and their determinants. Prevalence of depression in respondents based on ICD-10 criteria was estimated. Prevalence values for four chronic physical diseases—angina, arthritis, asthma, and diabetes—were also estimated using algorithms derived via a Diagnostic Item Probability Study. Mean health scores were constructed using factor analysis and compared across different disease states and demographic variables. The relation of these disease states to mean health scores was determined through regression modelling.

Findings

Observations were available for 245 404 participants from 60 countries in all regions of the world. Overall, 1-year prevalence for ICD-10 depressive episode alone was 3·2% (95% CI 3·0–3·5); for angina 4·5% (4·3–4·8); for arthritis 4·1% (3·8–4·3); for asthma 3·3% (2·9–3·6); and for diabetes 2·0% (1·8–2·2). An average of between 9·3% and 23·0% of participants with one or more chronic physical disease had comorbid depression. This result was significantly higher than the likelihood of having depression in the absence of a chronic physical disease (p<0·0001). After adjustment for socioeconomic factors and health conditions, depression had the largest effect on worsening mean health scores compared with the other chronic conditions. Consistently across countries and different demographic characteristics, respondents with depression comorbid with one or more chronic diseases had the worst health scores of all the disease states.

Interpretation

Depression produces the greatest decrement in health compared with the chronic diseases angina, arthritis, asthma, and diabetes. The comorbid state of depression incrementally worsens health compared with depression alone, with any of the chronic diseases alone, and with any combination of chronic diseases without depression. These results indicate the urgency of addressing depression as a public-health priority to reduce disease burden and disability, and to improve the overall health of populations.

Affiliations

a. Department of Measurement and Health Information Systems, World Health Organization, Geneva, Switzerland
b. Economics and Research Department, Asian Development Bank, Manila, Philippines
c. London School of Hygiene and Tropical Medicine, London, UK

*****
2020年までに、うつ病は疾病負担の第2位になると予想されている、という点は、最近あちらこちらで強調されていて、予算を振り分ける動機にもなっているようだ。

疾病負担というのは、Burden of Disease のこと。世界疾病負担(Global Burden of Disease:GBD)研究はWHOの得意芸である。
主に、疾病がどれだけ経済に影響しているかという観点で見たもの。病気になってどれだけ損をするか、予防すればどれだけ得をするということだ。

うつ病が経済に与える影響は実は大きい。
働き盛り、社会の中枢を支える人材、熟練労働者、組織のリーダー、几帳面、責任感強い、人望がある、組織・集団を大切にする、こんな人たちがうつ病になりやすいのだから、当然、社会の損失は大きいわけだ。

経済的損失だけではいけないだろうということで、最近では、QOLの観点からも数字が提出されている。各人の生活の質を合計したものが、社会の質のようなものになるだろうというのだ。

その観点からも、うつ病は大きな問題になる。うつ病であるということにより、QOLが低下するからだ。

統計で計算しやすいのは、寿命とか、そんなものだったけれど、疾病負担とか、生活の質とか、そうした観点が大切になってくる。

論文の中では、
decrements in health
associated health outcomes
overall health status
health, health-related outcomes
Mean health scores
the overall health of populations
などという言葉が並び、

訳出文の中では、
健康レベルの低下
健康状態、健康関連アウトカム
質問に対する回答に基づいて0~100ポイントで示した健康スコア
などが並んでいる。

Mean health scores were constructed using factor analysis 
とのことで、この内容が健康レベルということらしい。でも、内容についてはよく分からない。

*****
このあたりは重要で、最近、抗うつ剤の効果を比較検討する研究は、
(1)どんな患者群に対して、つまり、診断をどのように細分化するか、が問題。
(2)改善度を測定するとして、何を測定するのか、が問題。
ということになっている。

改善度については、
普通はHAM-Dなどを用いるが、もっと他の試みもあり、
主観的評価と客観的評価のどちらが重要なのか、どう組み合わせるのか、
治療脱落度を調べなければ、意味がないのではないかとか、
うつの症状を比較するだけではなく、QOL評価の方がいいだろうとか、
評価尺度の問題がいろいろと議論されている。
そのような流れでいうと、健康レベルとは何のことなのかということになるだろう。
健康スコアの定義によって、うつ病の重要度も変わってしまう。


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母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する?

以下、前半は日経メディカルからの引用です。

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母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する
安原こどもクリニック(大阪府寝屋川市)院長 

 注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子供を持つ母親は、喫煙率が高い傾向にあることが明らかになった。母親の喫煙と児のADHDの関連性について、海外では報告はあったが、わが国では初めて。調査を行った安原こどもクリニック(大阪府寝屋川市)院長の安原昭博氏に調査の結果と経緯について聞いた。

安原こどもクリニックの安原昭博氏
 私は2006年1月に、ADHD、自閉症、広汎性発達障害をはじめとする小児神経科の専門的なクリニックを開業し、診察に当たっています。勤務医時代も含めると、これまでに600人以上のADHDの子供たちを診察してきました。

 ADHDの原因については、これまでに遺伝、妊娠中の飲酒、喫煙、鉛の摂取などが指摘されています。中でも喫煙については、私自身、ADHDの児の母親や父親に喫煙者が多いという印象を持っていましたので、以前から注目していました。

 そんなとき、縁あって子供の禁煙外来(卒煙外来)についての勉強会に参加し、当時、静岡県立こども病院にいらした加治正行先生(現在は静岡市保健福祉子ども局保健衛生部参与)とお話をする機会がありました。そのとき先生に「海外には、妊娠中の喫煙と子供のADHD発症に関する論文があるのに、日本には一つもない。一度調査をしてみてほしい」と要請され、調査を行うことになったのです。

妊娠判明後の禁煙では間に合わない
 昨年12月に少数で予備調査を行ったのですが、その時の喫煙率は66%と非常に高い結果になりました。その後、改めて今年1~3月に当院に来院したADHDの児を持つ母親167人(平均年齢39.1歳)を対象に調査したところ、喫煙率は46.7%でした。中でも、出産時の年齢が20~24歳の母親だけで見ると、喫煙率は87.5%とさらに高率でした。2002年に実施された第1回21世紀出生児縦断調査(厚生労働省)によると、一般の母親の喫煙率は17.4%で、喫煙率が高いとされる若年齢の母親でも34.7%と報告されていますから、ADHD児を持つ母親の喫煙率の高さは際立っています。

 一方、妊娠時点で見ると、ADHDの児を持つ母親167人のうち58人(34.7%)が喫煙をしていましたが、そのうち約半数に当たる26人は、妊娠が分かった時点(平均妊娠2.5カ月)で禁煙していたことも分かりました。また、父親についての喫煙率も調べましたが、ADHDの児を持つ父親では70.1%、厚労省の調査で一般の父親は63.2%で、大きな差はありませんでした。

 今回は、自施設での少数の調査ですし、厳密にADHDの発症リスクを算出したわけではありませんが、少なくとも、ADHD児の母親の喫煙率が高いことは明らかになったと考えています。ぜひ日本でも全国的な調査を行って、母親の喫煙(特に妊娠中の喫煙)とADHD児出生の関連性を調べ、母親が喫煙することのリスクを把握するべきだと思います。

 また今回の調査では、妊娠後の禁煙は平均2.5カ月後に行われていましたが、大脳は妊娠3カ月くらいまでに形成されますから、妊娠初期の喫煙とADHDの発症に因果関係があるとすれば、このタイミングでの禁煙では間に合いません。「妊娠したらタバコをやめる」ではなく、「妊娠適齢期の女性はタバコは吸わない」が、あるべき姿ということになります。

 これは私の印象ですが、最近ADHDの子供が増えているように思います。その原因の一端は、若年女性の喫煙率の上昇にある、というのが私の考えです。そして、日本では少年少女が簡単にタバコを買えてしまったり、いまだに国がタバコの宣伝を許しているといったことが、大きな問題だと考えています。

 今回のような調査は、既にADHD児を持つ母親にとっては酷かもしれません。もちろん、そうした母親を責めることが目的ではありませんが、ADHDを発症した子供の治療法はいまだ確立されていないのが現状です。だからこそ、調査を行って喫煙とADHD児発生の関係を明らかにし、そうしたデータに基づいて、若年女性に強く禁煙を勧めなくてはならないと私は思うのです。

*****引用終わり
たしかに、私の印象でも、ADHDの子供は増えているように思います。
母親の喫煙と関係があるかといわれれば、統計的な実証はできないものの、何となく、そのような傾向があるのかもしれないとは思います。
ですから、上の文章は、そういった漠然とした印象を肯定してくれているわけです。

しかし、科学的論証としては、
「母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する」ではなく、
「母親の喫煙と子供のADHD発症は、相関がある」という命題になると思います。

「母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する」という命題を主張するならば、具体的なメカニズムの解明が必要です。
たとえばの話ですが、
「母親がテレビを一日3時間以上見ることが、本当の原因で、
母親が喫煙することもその結果であり、
子供のADHD発症もその結果である」というメカニズムを想定しても、
母親の喫煙と子供のADHD発症についてデータをとれば、同じ結果が出るのです。

それができない段階では、メカニズムを抜きにして、
「母親の喫煙と子供のADHD発症は、相関がある」という命題を検証する作業になります。
だとすれば、喫煙は別の原因の結果かもしれないのです。

極端に言えば、
「母親の喫煙は子供のADHD発症に影響する」という命題を逆転させて、
「子供のADHD発症は母親の喫煙に影響する」という命題を立ててもいいはずです。
メカニズムとしては、
ADHDである子供は、胎内で特別な物質を分泌し、
その結果、母親はタバコを吸いたくなる、と考えてもいいわけです。

実際は、それは極端すぎるというもので、
タバコの成分のなかで、たとえばニコチンは、身体の細血管を収縮させるので、子宮へ血液を送る血管も、また、胎児の血管も、収縮させて、……という因果関係は当然推定されるわけで、まあ、胎児にいろいろな影響が出そうだということは漠然と推定できるところではあります。

しかし、実際の科学的思考としては留保が必要だということになります。



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タフな人のセルフアサーション

タフな人の一面は、自分を主張できることである。

アメリカ流のセルフ・アサーションはたとえばこんな感じ。
出典不明。

堂々と自己主張するための15の実践法
1. お伺いを立てる代わりに、言い渡せ
2. 相手の目をまっすぐに見て話せ
3. 背すじをシャキッと伸ばし、どっしりとした声で
4. 「あのー」「えー」はもう口にするな
5. 「私は便利屋ではない」と自分に言い聞かせよ
6. タバコの煙がいやならいやとはっきり言って
7. ドキドキ、イライラするならむしろ怒れ
8. 「あなたの上司と話がしたい」と言ってみよ
9. 人生の勝ち負けをときには"ゲーム"のような感覚で見よ
10. 「できると思います」を「できます」に言い換えよ
11. 「生身の自分」をさらけ出すのをためらうな
12. 不当な請求は断固ことわれ
13. 納品の遅いセールスマンは相手にするな
14. 欠陥商品、不快なサービスには一円も払うな
15. むやみに"他人"を自分の上にまつり上げることはやめよ

他人との比較に泣き寝入りしない実践テクニック
1. 「他人と私は何の関係もない」と告げる
2. 「あなたは私が他人のようになるべきだと思っているのか」と問いただす
3. 「無視」という返事をする
4. こちらも"比較のお返し"をする
5. 自分は相手の手口をお見通しであるとアピールする
6. いつまでもズルズルつづけず話を打ち切る
7. 「この人と会って何の得があるか」と自問する
8. とりあえず、その場は相手の顔を立ててやる
9. 「太陽と北風」の心理を活用する
10. 微笑みを忘れず、驚いて注意を促す
11. 自分がソンをしないよう、"演技"する
12. 自分も"他人との比較"グセがついていないかをチェックする
13. 何か「お手本」にすがって生きるのはやめる
14. 肩の力を抜いて、気をラクにする

自分を犠牲にしない「スタンス」の取りかた
1. "どうでもいいこと"は大目に見る
2. 不快なことにいちいち過剰反応しない
3. 「違い」に目くじらを立てるのではなく、"共通項"を大切にする
4. 不毛な論争ほどエネルギーを浪費する
5. "上手なウソ"が人間の幅を広げる

"精神的殺人"を許さない戦術
1. いつもみんなに理解される必要はない
2. "雑音"にはラジオのスイッチを切る要領で
3. 相手に「相手の行動」を説明させてみる

*****
いかがでしょうか?

私の感覚では、やはり、ちょっと違う。

仕事が本当にできて、静かに黙々と、本業に励み、回りに評価される。
それが本道だ。
それ以外は考えなくても、自動的にうまく行くように思う。

こんな感じのリストをたまに見直して、自己チェックしてみるのは、とてもいいと思う。
でも、日頃研究すべきは、やはり、仕事の中身そのものだ。



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