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「発作」反復でシナプス減少

脳障害のメカニズム解明 てんかんでシナプス減少
記事:共同通信社 提供:共同通信社
【2007年11月8日】
 慢性脳疾患のてんかんの中でも、薬を服用しても発作が治まらない「難治性てんかん」の患者が記憶や学習に障害をきたす場合の脳のメカニズムを、東京都神経科学総合研究所(東京都府中市)や大阪大などのチームがラットなどで解明し7日、米科学誌ニューロン電子版に発表した。
 重度の患者に脳機能障害が起こるのを予防する薬剤の開発につながる可能性があるという。
 チームによると、てんかんの強いけいれん発作が繰り返し起きると、脳で情報がやりとりされる、神経細胞の接合部「シナプス」の数が減り、記憶障害などを引き起こす場合がある。
 チームは、発作が起きたときに、神経細胞内でタンパク質「アルカドリン」が大量に作られていることを発見。詳しく解析したところ、アルカドリンが、シナプス間を接着している神経細胞の表面のタンパク質を減らす働きをすることを突き止めた。
 難治性てんかんでは、アルカドリンが過剰になった結果、シナプス間の接着が切れてシナプスが消失、数が減るらしい。
 チームの山形要人(やまがた・かなと)・同研究所副参事研究員(神経薬理学)は「アルカドリンの働きにかかわる酵素を抑える物質が薬の候補になり得る」と話している。

*****
従来から、てんかん発作をくり返すタイプの場合、一部は、脳神経細胞そのものが失われ、剖検すると脳体積の減少が知られ、また、CT、MRIなどの所見で、萎縮に相当する所見があると知られている。一部の違法薬物後遺症でも、同様の萎縮所見が見られることが知られている。

CTを撮影したら、まるでアルツハイマーのように、脳が萎縮しているので、驚いたものだった。

今回の研究は、そのような肉眼的萎縮所見ではなく、シナプスの数が減ること、そしてその原因は、アルカドリンというたんぱく質がつくられ、これが多くなると、「アルカドリンが、シナプス間を接着している神経細胞の表面のタンパク質を減らす」「シナプス間の接着が切れてシナプスが消失する」と書いてある。
細かいところはとにかくとして、てんかん発作をくり返しているうちに、神経細胞同士の結合が切れて、孤立した細胞になるようだ。孤立すると、細胞は死に易くなる。結果として、萎縮の所見になるのだろう。アルドカリンを増やさなければいいというなら、何とかできるのだろうか。

うつ病で使う電気ショックのときも似たようなことが起こるのだから、アルドカリンが増えないような処置をしておけばいいわけだ。まあ、そんなに何度も行なうものでもないけれど。

先日、アンジオテンシンIIを除去する抗体を誘導する高血圧ワクチンという話題を読んだが、同じような手法は使えるのかもしれない。

そういえば、アンジオテンシンIIを除去する抗体は大変有用だと思うのだが、多すぎても少なすぎてもいけないわけで、そのあたりの調整はどうするのだろう?
結核菌を攻撃する抗体ならば、どんなにたくさんあってもいいようなものだが。
血圧コントロール系はアンジオテンシンIIが関係する系だけではないということで、アンジオテンシンIIが全部除去されてしまっても問題ないと言うのだろうか?そうなれば、ネガティブフィードバックで、ややこしいことになるはずだ。

*****
話を元に戻すと、「発作」によって、細胞が失われる、または、細胞の機能が失われる、または、細胞間の接合が失われる、または、レセプターが破壊される、そのような、一般化して言って、細胞に不可逆のダメージを与えるケースとして、てんかん発作と、違法薬物摂取があげられるのだが、大勢に支持されているわけではない説として、統合失調症の陽性症状が急性に発現している時期には、同じようなことが起こっているのではないかとの推定があり、また、躁状態の場合にも起こっているだろうとの推定があり、さらに、うつ状態の一部の場合にも、同じ事態が起こっているのではないかとの説がある。
これは、CTやMRIで確認している所見ではないので、細胞脱失については不確か、むしろネガティブなのだが、統合失調症でも、躁病、うつ病でも、くり返しているうちに、次第に精神機能として、ディフェクト状態となることは古くから知られているところだ。
この観察は、final common pathway という言葉でよく示されているのだが、精神病というものは、始まりはよく似た状態があり、統合失調症、そううつ病、うつ病、性格障害、その他、よく似ていて、たとえば不眠とか、不安とか、そんな症状から始まり、(わたしは initial common pathway と呼んでいるのだが)、次第に、各病気の特殊な病像をとり、しかし、時間が経った後に、最後にはfinal common pathway に至り、一言で言えば、defect 状態になるとする説がある。というか、あったというか、私はいまだにそんなことも考えているというか、そんなところだ。
単一精神病観(Einheit)の脆弱な一種といえるだろう。強力な単一精神病観は柴田先生などのもので、これは本物の少数有力説である。
何故単一かといえば、理由は様々であっても、細胞が機能停止するという点では同一であるということだ。電気系統の故障は様々であっても、われわれが知るのは、要するに、「テレビが映らない」ということだというのに似ている。
現在の精神薬理学を単純化すれば、(単純化しすぎていてほとんど嘘なのだが)、統合失調症はおもにドーパミン系のシナプス部分で障害が起こり、うつ病はセロトニン系で、不安はGABA系で、それぞれおもに障害が起こるといわれている。そうだととすれば、最初はそれぞれの系で小規模に障害が起こり、小規模であるゆえに、それを補償する回路も作働して、結局、不眠などの似たような症状が起こり、その後、極期に至れば、それぞれの系に特有の症状を呈し、最後には、細胞機能停止による、共通症状を呈するのだろうと推定できる。
従って、アルドカリン増加を抑制できれば、てんかんのみでなく、統合失調症急性期、そううつ病急性期にも、脳神経細胞を保護する薬剤として有用ではないかと予想する。もしそうであれば、統合失調症における、陰性症状に対する抑止対策になり得るだろう。ジャクソニスムの観点から、それは同時に、陽性症状の抑止につながるものと推定できるのである。そして、よく言われるように、陽性症状に先んじて、陰性症状が起こるものならば、アルドカリン増加抑制でもよいし、何か他のものでもよいから、細胞のダメージを予防することで、統合失調症の進行プロセスを抑制することができるだろうと考える。

私見では、統合失調症急性期に、低体温療法によって、脳神経細胞が蒙るダメージを抑制できるのではないかと予想している。しかし、低体温療法そのものにリスクがあり、もっと洗練された手法になってから、応用すべきである。



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病識と病感と無感覚と失認と離人症その周辺

1.病識
自分が病気であるという認識。

1-1.病識が失われる病気
たとえば統合失調症にみられる。
たとえば、隣の奥さんはCIAのスパイだと確信し、その確信を病気の結果だと思わない。

1-2.病識喪失のメカニズム
病気を認識する中枢が壊れる。しかし、自分の病気でないとすれば、隣の奥さんの言動は何なのかと考えて、妄想体系が構築される。

1-3.病識欠如のたとえ
自分を映す鏡の欠如。自分以外の全ては見えるのに、自分の姿は見えない。鏡が欠如している。
あるいは、ゆがんだ鏡を見ている。ゆがんだ像を解釈するために、自分が病気であるという解釈を捨て、外界を妄想的に解釈する。自分の生の感覚は訂正できないからである。

1-4.メタ視点
周囲を観測する視点を普通の視点とすれば、自分を反省的に見るメタ視点が欠如しているといえる。
感覚情報はその人にとって訂正不可能であり、訂正できるのは解釈であるから、結局、解釈が変更されて現実と乖離し妄想形成にいたる。

2.病感
病気であると認識はしないが、疲れている、普段と違う、という程度の感覚はある状態。ある種の内部感覚。

2-1.病感が失われる状態
ある種のうつ病。
「周囲の誰にも、最近疲れているようだし、無理をしないようにといわれる。しかし、自分では、疲れているとは感じないし、休養が必要とも思わない、仕事で成果が出ないのは確かだけれど、それは能力に比較して仕事が難しいからだ。」

2-2.病感欠如の結果
病感があれば、休養をとることができるのだが、病感が欠如しているため、どんなに疲れても、仕事を続ける。その結果、ますます疲れて能率は低下する。結果としてうつ病が悪化する。
病感は、サーモスタットのようなもので、ある種のネガティブ・フィードバック回路である。病感が発生した時点で、これ以上無理してはいけないと感じる。

2-2-1.病感欠如は離人症の部分症状と考えることもできる。

2-3.病感欠如の発見
周囲は容易に気付くし、インタビュー、心理テストで、発見できる。

3.無感覚・感覚欠如
知覚神経障害のため、温痛覚に障害があり、怪我をしても、やけどをしても、気がつかない。傷だらけになり、血まみれになる。

4.これはある種の失認
病識欠如、病感欠如、感覚欠如は、いずれも、自分または他人に被害をもたらす。他人ら被害をもたらしてもなお、自分の考えを訂正できない。これはある種の失認である。

5.疾病否認
これは脳の局所的損傷により生じる。自分には運動麻痺はないと言い張る。

6.家族による疾病否認
これは否認の防衛機制を用いるもの。臨床の場ではこれもなかなか難しい問題。

7.本人による疾病否認
脳梗塞などの局所的器質的疾患が原因でなくても、恐怖感や現実的利益のために、自分の疾病を否認することはよくある。ニコチン依存症の否認。アルコール症の否認。しかしメカニズムとしては否認なので分かり易い。了解可能である。3.のたとえで言えば、やけどするのは痛くていやだけど、それを承知で、やけどしているのである。現実的利益のために。だから了解可能である。



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高血圧ワクチン

アンジオテンシンIIを除去する抗体を誘導する高血圧ワクチンCYT006-AngQbに、早朝と昼間の血圧を下げる効果が確認された。

そうか!そういう手があったのか!
と、今頃になって驚いている。



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精神病とは何か

朝青龍とかいろんな有名人の精神疾患らしいものについて、
いろいろといわれたりして、
一体精神病とは何なのかと思う人もいるだろう。

1.そもそも病気とは何か。
生体の機能が異常を呈したとき、その機能の異常を説明する構造の異常が発見される。そのとき、疾患として確定する。

そんなに簡単なのかと言われそうだが、これが本流の医学である。
生体の正常機能を研究するのが生理学。
正常機能の裏付けとなる構造を研究するのが解剖学。
生体の機能異常を研究するのが一般の臨床医学。
そうした機能異常の裏付けとなる構造異常を研究するのが病理学。

2.原因不明の病気がある。
機能異常として観察される症状や検査結果は確かにあるが、今のところ、それを裏付ける構造異常は解明されていない場合がある。これはいずれ科学が進歩すれば構造異常が解明されるだろうという見込みの上で、病気と呼んでいるだけである。たとえば、ベーチェット病。見込みの疾患単位。明確な構造異常が確定されない限り、本当の疾患単位とは呼べない。呼んでいるとしても、暫定的なものである。将来、解体されるかもしれない。

病気の原因として、伝統的に、先天性異常、感染症、外傷、感染症、腫瘍、炎症、などが分けられるが、現代では、もっと厳密に詳細に記述できるので、これらの用語・分類にこだわらない。DNAの異常なのか、たんぱく質の異常なのか、細胞表面のレセプターの異常なのか、外来物質によるものなのか、免疫システムの異常なのか、これらの中の二つあるいは三つの複合なのか、精密に記述したほうがよい。

3.構造異常にもレベルがある。
これはどのレベルで調べれば構造異常が分かるのか、違いがあるということだ。
骨折や虫歯なら、肉眼で分かる。
腎臓細胞異常や血管壁の粥状硬化や白血病は光学顕微鏡で分かる。
電子顕微鏡ではじめて診断確定する疾患もそのうちでてくるだろう。
さらに微細に、細胞の代謝異常の問題もあり、これは、いまだに構造を解明できていないが、模式図で、化学物質が分解されたり合成されたりしている様子が提示される。これは、状況証拠を積み重ねて、こうに違いないといっているわけだ。
もっと微細には、細胞内骨格の問題で、細胞内の物質運搬システムの異常が病気に関係していないかなどもある。これは神経細胞について研究されていて、アルツハイマーの場合にどうか、検討されていた。

従って、現在の構造研究手段で異常が見つからないからといって、異常がないとはいえない。
また、電気や磁気は、肉眼で見えない。可視化するには工夫が必要である。そのような、人間の五感では感覚しにくいタイプの構造異常があるのかも知れず、そのような可能性も含めると、ある状態を病気ではない、つまり構造異常がないと言い切るのも難しい。つねに留保がついてしまう。

構造異常というものも、実は決めがたいことがある。正常構造からの変異は常に多様に存在する。それがダーウィンの説であり、現実にそのとおりである。したがって、どこまでを正常とし、どこからを異常とするか、実は、恣意的である。

癌細胞と正常細胞の中間に無限の中間変異を観察することができる。しかし難しいことを言わなければ、青空は青いし、夕焼けは赤い。明白なことだ。

4.精神異常は存在するか
精神異常は存在するかといわれれば、確実に存在すると思う。昔、反精神医学という思想があり、鋭い指摘を含んだものであった。しかしながら、精神病院に二十年も勤めた医者の話を信用してもらいたい。精神の機能異常は確かに存在する。

5.どのような精神異常が存在するか
それはよく分かっていない。とりあえず、本人が苦しむか周囲が苦しむか、単純に言って、苦しい人がいるということだ。いろいろな分類があり、分類の歴史があり、分類の背景となった思想がある。どうすればいいのか、まだよく分かっていない。それは、上の論を援用すれば、構造異常の種類が分かっていないからだ。

6.構造異常はあるか
現在精神病といわれるものは、精神の機能の異常と考えられるが、大部分はその裏付けとなる構造の異常がわかっていない。
MRIで観察して、肉眼的に分かる程度の脳の異常を論じることもある。脳神経細胞の変性を観察して論じることができる。しかしそれでは構造異常を指摘できない病態のほうがずっと多い。
ということは、将来、疾患として認定されるかどうか、未定だということだ。

7.疾病単位が揺らぐ例
たとえば、同性愛。昔は病気といわれたものだが、現在は病気とは言われない。本当は、その裏付けてとして、構造異常があるかないかを論じるべきなのだが、そのような動きではなく、もっぱら政治的な動きで決定された。
たとえば、極端な例として、ある種の微分方程式を解けない人は、知能発達遅滞であるとか、100メートルを走って、12秒以上かかる人は、運動機能異常であるとか、「決める」ことだってできる。そんなことは、社会の側の多数決による決定であって、真実の機能異常というべきかどうか、疑わしい。ここで、疑わしいというのは、実は、微分方程式が解けないのは、ある種の構造異常があるからかもしれず、そのことを見込んで、人類の大部分を精神異常者と定義することも不可能ではない。まあ、誰も、そんなことはしない。
これは法律と似ていて、たとえば、姦通罪が時代により地域により、定義されるのと似ている。精神病の定義は、刑法の定義とは違い、構造異常を持つかどうかによるのだと、わたしは言いたい。
しかし、現状では、このくらい、不確定なものなのだ。

8.やはり、病気だというからには、構造異常の証拠を提出すべきだ。
したがって、わたしは、やはり、病気だというからには、構造異常の証拠を提出すべきだと思う。
それを前提として、暫定的に、長年の経験を生かして、ある種の状態を病気と認定しても、大きな間違いではないだろうと感じる。

9.ではうつ病とか気分変調症はどうか
それを言われると大変困る。
DSMという研究用の暫定診断基準や、ICDという保険統計用の暫定基準を、本物の診断基準と思っている人がいる。
そうではない。
現実に、ここまで、紹介してきたように、「うつ病」には、雑多な状態が混入している。うつ病と診断しても、治療は同じではない。
「気分変調症」には、双極性障害から、身体疾患によるもの、性格障害によるもの、反応性のものなど、いろいろと混入していると、Akiskal先生が言っているにもかかわらず、「神経症」を解体したい都合もあり、項目として立ててしまった。したがって、気分変調症と診断されても、治療は同じではない。
一方で、「PTSD」の扱いは特別である。これだけは原因を推定して、障害を診断している。
こうした現状はすべて、精神の機能異常の裏付けとなる構造異常が特定されて分類される日まで続くだろう。そして、その日は、遥かに遠い日だろう。

その遠い日、あなたは統合失調症ですという代わりに、××という指標が5.6ですというだろう。多分、単一ではないだろうが。血糖値がいくつ、血圧がいくつというように。高血圧という状態が先天的に孤立してあるのではなく、いろいろな血圧の状態がいろいろな事情で生じているに過ぎない。それを正確に記述すればいいだけなのである。どのような状態を高血圧と定義するかは、しばしば社会の要請による。

10.刑法とのかかわり
当然、ある。



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「ALWAYS 三丁目の夕陽」でテレビを分解した小説家

話によれば、日本映画「ALWAYS 三丁目の夕陽」にこんな場面があるとのことだ。

町工場を経営している一家のところに、待ちに待ったテレビがやってきた。
近所の人に集まってもらって、お披露目をした。
力道山の空手チョップで一同興奮しているとき、
突然が面が消えた。
困惑していると、近所に住む小説家が、
俺の任せろ、ねじ回しを持って来いと命じ、
分解してしまった。
結局直らず、電気屋を呼んだら、
「コンセントが外れただけですよ」と言った。

これって、見事に、精神科のいかさま療法のことじゃないですか、
と、一同納得した。

知ったかぶりで分解してしまって、あと責任も取らずに放り出すのが、
小説家だというのだから、全く実に正確な設定である。

皆さん、変に分解しないで、
来てくださいね。
コンセントが外れているだけかもしれませんから!



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乳児の先天性心疾患と妊娠中の母体の尿路感染症という意外すぎる関係

 乳児の先天性心疾患は、妊娠中の母体の尿路感染症と関連しているらしい。

全米先天異常予防研究(National Birth Defects Prevention Study)の分析による。
米アーカンソー州立大医学部(UAMS)の人が、米国心臓協会・学術集会のポスターセッションで発表した。

妊娠中の尿路感染症と先天性心疾患の関係を明らかにするため、全米先天異常予防研究の結果をもとに分析を行った。この研究には、非症候性先天性心疾患の乳児を持つ3690人の女性と先天性心疾患のない乳児を持つ女性4760人が登録されていた。

 分析では、妊娠前1カ月から妊娠第1三半期の間に、一度でも尿路感染症を発症したことがある母親に焦点を当て、感染しなかった母親と比較した。なお、易感染性である糖尿病の女性は除外し、また先天性心疾患は、治療が可能な肺静脈還流異常あるいは房室系中隔欠陥、右側あるいは左側心臓欠陥などのうち一つ以上の異常とした。

 先天性疾患群と非先天性疾患群を比べたところ、患者背景では、先天性疾患群の方で男児が多く、また妊娠性糖尿病の発症も多く、母親の年齢が高いという特徴があった。

 分析の結果、左心低形成症候群(HLHS)の乳児を持つ母親の場合で、尿路感染症の発症率は対照群の1.7倍と有意に高いことが分かった(p<0.01)。また、この先天性心疾患と尿路感染症との関連性は、他の交絡因子とは独立していた。

 この結果から、「妊娠前1カ月から妊娠第1三半期の間に一度でも尿路感染症を発症したことがある母親では、左心低形成症候群の乳児を持つリスクが高まる可能性がある」と結論した。その上で、妊娠における尿路感染症への対策を進めることが、先天性心疾患のリスクを下げることにつながるだろうと指摘した。

*****
良くぞ着目したものだ。
そして、メカニズムには一切言及せず、集会でポスターを貼っただけだ。
でも、すごい人数の症例を集めたものだ。集めさえすれば、あとは秘書か大学院生にやらせればいいのだから、楽なものだ。

非症候性先天性心疾患の乳児を持つ3690人の女性とか、先天性疾患群と非先天性疾患群を比べたところとか、意味というか背景がいまひとつよく分からないが。

左心低形成症候群(HLHS)の乳児を持つ母親の場合で、尿路感染症の発症率は対照群の1.7倍と有意に高い、しかも、妊娠前1カ月から妊娠第1三半期の間にと期間の指定もついている。

いかにもありそうな話である。妊娠第1三半期はいいとして、「妊娠前一ヶ月」に注目である。示唆に富む。

それと、尿路感染症がいけないのか、その治療に使った薬剤がいけないのか、両方なのか知りたいところだ。
これは、もう結果は出ていても、二回に分ければ、二本論文ができるので、わざわざ分けて発表するのだろう。だって、もう数字は出ているに決まっているから。あるいは製薬会社と交渉中か?



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ネガティブ・リスト

自分がどんなにつらい人生を生きているのか、
たまに確認してください。

*****
いつも忙しいので、肉体的に疲れる。
いつも明るい気持ちで行動できない。
いつも落ち着いていたいが、ちょっとしたことに動揺してしまう事がある。
いろいろな面で神経をすり減らしている。
しなければならない事がたまっているが、やりたくないと思うことがある。
たばこの香りは好きではない。
たばこは好きと言うわけではないが止められない。
つい悪い結果を考えてため息が出てしまう。
なぜか分からないが不安で困ることがある。
もう何年も病気したことが無い。
やりたい事も積極的にできない。
人と雑談がうまくできない。
愛している気持ちが伝わらない。
一度風邪をひいたりすると、なかなか回復しない。
横になるとすぐ眠たくなる。
何かをしていると他の事が気になってくる。
覚えたはずが50%も記憶していない。
休みがちなので、よく今の仕事が辞めたくなる。
決めたこともなかなか実行できない。
肩こりが気になる。
肩や首筋が痛く仕事にも気になる。
今の仕事が嫌いだ。
今よりもさらに頭の良い人間になりたい。
最近、憂うつな日が多くなった。
思った事、やりたい事などがあるのに億劫だ。
私の心はいつも不安定だ。
私の心は動揺している。
自分では良いと考えている事を、ほかの人に良くないと言われるとそう思ってしまう。
若いころの方が良かったと思う時がある。
集中して勉強、または仕事ができないので苦労する。
少しぐらい無理をしても、仕事をある程度終わらせてから帰宅する。
寝ても疲れが取れない。
寝付くのにいつも苦労している。
心が安定せず、暗い感じがして気がめいる。
心に余裕のない生活をしている。
人と話をしていると疲れて、楽しめない。
人にあまり好まれていないと思う。
人にはたいした事ではないのに、緊張してしまう事がある。
人より記憶するのが苦手だし、遅い。
人より健康なエネルギーが弱いほうだ。
人間関係にまいってしまって、肉体的にも疲れてきた。
人前で平常心を保てない。
人前で自分の考えをうまく伝えられる人がうらやましい。
太っていると思うが、つい多く食べてしまう。
長時間座ってする仕事をしているので、疲労がたまっている。
難関、難問が得意になりたい。
必ずうまくいくはずが、心の弱さにより失敗してしまう。
不安な面があっても注意して進んで行く勇気はない。
普段の生活でもドキドキすることがある。
勉強しなければと、思うと憂うつになる。
慢性的に疲労が溜まっている気がする。
無意識のうちに結構食べていることがある。
落ち込みから回復したい。
恋愛がにがてだ。


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精神分析と精神総合

精神分析は大好きで、小此木先生や狩野、岩崎、舘のセミナーなどに通ったものです。
しかしまた一方で、精神総合はもっと好きで、ケン・ウイルバーが好きです。

The Integral Vision: A Very Short Introduction to the Revolutionary Integral Approach to Life, God, the Universe, and Everything

A Theory of Everything: An Integral Vision for Business, Politics, Science and Spirituality

The Atman Project: A Transpersonal View of Human Development

The Yoga Tradition: Its History, Literature, Philosophy and Practice

The Eye of Spirit: An Integral Vision for a World Gone Slightly Mad  
 
No Boundary: Eastern and Western Approaches to Personal Growth

The Spectrum of Consciousness

翻訳もいろいろでていまして、おおむね読みやすいものです。

エデンから―超意識への道
アートマン・プロジェクト―精神発達のトランスパーソナル理論
意識のスペクトル
このあたりが古いもので、私が昔出会ったものです。

統合心理学への道―「知」の眼から「観想」の眼へ
万物の理論-ビジネス・政治・科学からスピリチュアリティまで

異色の作としては、

ワン・テイスト―ケン・ウィルバーの日記
グレース&グリット―愛と魂の軌跡
があります。

賛否はあると思いますし、読み方もさまざまだと思います。
表面的に読むならば、徹底的に批判されると思います。
あるいは、批評にも値しないと片づけられてお終いだと思います。
アカデミズムとはそういうものです。

しかし、学問のためにではなく、自分の生きる糧として、
深い真意を感じながら読めば、
ケン・ウイルバーはすばらしい到達点です。

このような人間と同時代を生きているということに感動します。
わたしはアカデミズムよりも、深く生きる時間を大切に思います。

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ネットにおける中傷による精神的被害への具体的対策

ブログに中傷、中3男子うつ病に──京都の市立中、同級の女子らから

2007/11/01配信
 京都市の市立中学校に10月上旬に転校してきた3年の男子生徒が、同級生の女子生徒ら3人から携帯電話に開設のブログに「キモイ(気持ち悪い)」などと中傷の書き込みをされ、学校を休んでいることが1日分かった。病院でうつ病と診断されたという。

 京都市教委によると、同級生の女子生徒ら3人は「死ね」「150万円要求する」といった書き込みもしていた。家族が10月22日に学校に連絡して発覚。3人は生徒の自宅を訪れ謝罪した。

 市教委は「ネットいじめの問題などを指導していきたい」としている。(共同)

*****
日本の法律では、不特定多数が見られる場での誹謗中傷は禁止されていて、
名誉毀損罪にあたります。
公開されていて、誰でも見られるホームページ上や掲示板で
誹謗中傷を書くことは禁止なのです。

しかし、どの程度までは良いのか、と思う人も多いでしょう。
これは、「本人が中傷だと受け止めたら中傷文」ということが原則です。

セクハラでも、パワハラでも、世間の常識というものが一方でありますが、
本人が苦痛を受けたということが大事なポイントです。

書いた人の言い訳は意味がないのです。
実際は、ある程度は許容されとなり、公益を考慮するわけですが、
原則は、書かれた当人が不愉快に思うような内容はいけないのです。
総理大臣の悪口をいうときにも、公益の程度が考慮されます。

たとえば、「それは中傷だから削除して下さい」と本人から苦情がきたとします。
書いた人は「真実だから消さない」と言ったとします。
その場合も、
書かれた本人が中傷と思えばそれは中傷文であり、書いた人の言い訳は無効です。
真実だろうが嘘だろうが、いかなる理由があろうとも無関係です。
真実だから書かなければならない理由があるのであれば、
それを立証しなければなりませんし、
それ以外の方法がないこととも立証しなければなりません。

裁判になれば、結果としては、賠償金を支払う判決がでます。
もし裁判を起こされたら、
賠償金以前に、裁判に当たって、弁護士への着手金を支払うだけでも、大きなダメージでしよう。

しかし、日本の個人は、裁判というものが身近ではなく、
めったに裁判手続きに訴えることはないので、
ネットや携帯での悪口やイジメが続きます。

本当のことだから犯罪ではないと言う人がいますが、法律はちがいます。
本当のことを世間に訴えたいなら、そのための正しい方法があるのです。

もし書かれた人が中傷文を気にして抑うつになり、自殺してしまったとしたら、
遺族は損害賠償を請求する権利があります。

掲示板で誹謗中傷が書かれ削除要請がきた場合、
サイトの運営者はすみやかに削除しなければなりません。
他人の悪口をおもしろがるひともいて、掲示板の人気のひとつでもあるようですが、
サイト運営者は速やかに対処することを義務付けられており、実際に、
速やかに対処しています。

ですから、泣き寝入りする必要はありません。

もしあなたが不愉快な思いをしていたら、
http://www.isplaw.jp/p_form.pdf

ここに書式がありますから、
これを埋めて、発送して下さい。
あるいは、この書類を持って、警察か法務局に行きましょう。

精神的被害に関してはカウンセラーに相談しましょう。
いじめっ子には、毅然とした態度で対処することです。
ひとりでくよくよするのは、もう終りにしましょう。

誹謗中傷だけではなく、自殺サイト、裏サイト、犯罪の温床となったサイトなど、
問題が噴出しているのですから、
行政としても、そろそろ根本的に対策を考える必要があるのではないでしょうか。

報道でも分かるように、書いた本人は匿名のつもりで行動していても、捜査すれば分かるようです。
ですから、諦めないで対処してください。
大人はみんな応援します。



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ダイエットしたい人のために

体重を記録して、それをWebで公開したらいいじゃないかというわけです。
ナイス!
「はかるだけダイエット」です。
http://hakatter.com/



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津田均「気分変調症」

精神科治療学2005年10月vol20 p.144-145
勉強になったので、メモしておく。

1.
DSMとICDで定義している気分変調症は、様々な病態が混合した診断カテゴリーである。
細分化した診断が必要。

2.感情病圏に属する気分変調章

 2-1 診断のてがかり 
感情病圏の抑うつの質的特徴に着目。思考、行動の推進力が生命的水準で弱まっている、外界の活気に同調することができず、逆にそれを負担に感じる。

 2-2 生命リズムの障害という、内因性の標識
季節変動、日内変動、抑うつが悪化したときの抵抗し難い多眠。

 2-3 非定型の特徴(Akiskal 2001)
若年発症、多眠、潜在的に双極性であり、その不全型。気分変調症が大うつ病エピソードをともなうとき、ダブルデプレッション。

 2-4 薬物治療
SSRI、三環系、スルピリド。ただし潜在していた双極性障害を顕在化させる危険がある。薬剤コンプライアンスは不良のこともある。
 
 2-5 精神療法
否定的認知傾向には認知療法。
他人の期待や社会規範に沿う代わりに自律性を放棄して依存するとき、対人関係療法。
若年患者には社会的役割が得られるよう援助する。

3.非感情病圏

 3-1 身体疾患にともなう二次的抑うつ
慢性疲労症候群は、患者の表出に特徴があり、鑑別を試みる。

 3-2 反応性抑うつ
心理的外傷。
素質と環境要因。
統合失調質の人の反応性抑うつが遷延することは多い。
不安神経症、対人恐怖、心気症がある場合、原疾患の治療。

4 パーソナリティ障害圏

 4-1 さまざまな類型
境界型人格障害
「ひきこもり」
受身-攻撃的態度

*****
「思考、行動の推進力が生命的水準で弱まっている」というあたりは、Vitale という議論。
外界の活気に同調することができず、逆にそれを負担に感じるというあたりはRemanenzの話。

ここまで分解されると、つまり、気分変調症解体論ですね。ひとまとめにしておく理由があまりないみたいです。

Akiskal先生の年来の主張を骨格にして、双極性部分に肉付けしているのですが、賛成です。



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現代社会における2人の寝室と性生活に関する調査結果

現代社会における2人の寝室と性生活に関する調査結果

■調査概要■
目的: 現代社会における日本人夫婦の寝室と性生活に関する実態を調査し、男女のコミュニケーションに関する考察を深めるため
対象: 全国の30-69歳の既婚男女(各年代103人、男性40-49歳のみ102人)
方法: インターネット調査
時期: 2006年6月9日〜6月12日


*****
パートナーとしてセックスは大切だけれど、
ストレスと忙しさで、後回しになる、
そんな実態のようです。

一人で食事するのをいちいち寂しいとか言ってられません。
聞かれれば、寂しいと答えます。
だからといって、どうすることもできません。

たとえばこんな感じだろう。



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うつの重症化と慢性化

 
一見すると、慢性化すれば重症化するように思えますが、
理屈の上からは、慢性化と重症化は別のものです。

むしろ、疾病は一般に、軽症のもののほうが慢性化して持続する傾向があるという一面もあります。
逆に、重症化を防ぐメカニズムがあるから、
致命的でない程度の症状が慢性化していると考えることもできるでしょう。
重症の場合は、生体の防御反応としても、人間の意識的治療としても、
何とか対処しようと努力するものです。
重症であれば、仕事をやめたり、生活を変えたり、
かなりの犠牲を払ってでも、治療しようとするかもしれません。
もちろん、慢性かつ重症ということは多いのですが。

上は一般論ですが、
うつ病の場合には、慢性化と重症化のあいだには関係があると思います。
一般に、うつ病は、器質性の変化を残さず、完全に元に戻るといわれています。
私見では、慢性化して反復しているあいだに、
脳神経細胞の変質が起こり、
これが重症化につながるのではないかと思います。

再発・再燃を反復しているあいだに、
脳神経細胞に、修復不可能なダメージを与えるのではないかと、
昔から言われているところです。



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うつのときゆっくり休むために 都心のホテルを

うつの時は休息が一番大切です
そしてストレスの原因から離れることです

会社から離れて休むことです。
だから、休職をお勧めします。

でも、家庭の主婦はどうすればいいでしようか?
また、自営業の人はどうすればいいでしようか?

最近、二例ほど、奥様がうつになって、
ひと組みは第一ホテルに、ひと組みは汐留のコンラッドホテルに、
夫婦で連泊し、薬剤を毎日調整しました。

まず家事から解放されます。
電話に元気そうに出る必要がありません。
訪問客もありません。
近所を歩いて誰かに会って、世間話をする必要もありません。

最初のうち毎日でも来ていただければ、治療には大変好都合なのです。
薬剤は最初のうちに副作用が出やすいので、対処がすばやくできます。
そして、状態に合わせて小刻みに薬剤を調整して、早めに標準量まで投与します。
カウンセリングも、一番つらい時期にできますから、好都合です。

ご年配の方は、銀座や日比谷にはいい思い出が多いらしく、
最近のつらいことを忘れられるようです。

第一ホテルや帝国ホテルはすこしクラシックにタイプですが、
汐留地域のホテル、また、丸の内の新しいホテルには、新しい楽しみがあります。

うつのときに夫婦でホテルに泊まるというのは、
誰にでもできることではありませんが、
日常のストレスから離れるという点では有効だと思います。

一日何もしないで泊まるということも、かなり休養になります。
どうしてホテルではぐっすり眠れるのか、よく分かりませんが、
気分転換にいいものです。

わたしはスパやリラクゼーション・スペースを使うより、
ひたすら眠りたい方ですが、
宿泊客には割引もあると思います。

何かの会員だったりすると
宿泊の割引があるようですが、
詳しくありません。
一休というサイトでも、割引で出ています。



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全般性不安障害チェックリスト

全般性不安障害 Pen State Worry Questionnaire PSWQ
 
*****
それぞれの項目があなたの性格や特徴をどの程度当てはまるかを数字で答えてください。
1 まったく当てはまらない

3 いくらか当てはまる

5 ぴったりあてはまる

*****
 1. もし,全部のことをするには時間が足りない場合でも,私は心配することはない。
 2. 心配に圧倒されている。
 3. 私は心配性ではない。
 4. 多くの状況で私は心配になる。
 5. 心配する必要がないと分かっていることでも,どうしても気になってしまう。
 6. 困難な状況では,私はとても心配になる。
 7. 私はいつも何かについて心配している。
 8. 心配事があっても,考えを切り替えるのは容易である。
 9. ひとつの仕事を終えるとすぐに,他のやらなくてはならないこと全部について心配しはじめてしまう。
 10. 何事についても心配することは決してない。
 11. 気がかりなことについて,これ以上何もできないとわかったら,それ以上そのことについて心配することはしない。
 12. 物心ついたころからずっと私は心配性である。
 13. ふと気がつくと,私は何かについて心配している。
 14. 一度心配をし始めると,とめられない。
 15. 私は一日中心配している。
 16. 私は,計画や仕事が全部終わるまでは安心できない。
  (1, 3, 8, 10, 11は逆転項目である。16項目の点数を合計する。)



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仮面高血圧

本当は高血圧で治療を要するのだけれど、
仮面をつけているので高血圧が分からない、
そんなネーミングです。

お医者さんが診察室で血圧を測定すると問題ないのに、
夜間や早朝に、危険な程度の高血圧になっています。

白衣高血圧は、診察室で緊張して、血圧が高くなるので、
ちょうど白衣高血圧の反対です。
ですから、仮面高血圧は、逆白衣高血圧とも言われます。

ヘビースモーカー、ハードワーカー、仕事を持つ多忙な主婦、ストレスを感じやすい人等の場合、診察の待ち時間にリラクゼーション効果があり、診察時の血圧が低くでると説明されています。

仮面うつ病は、本当はうつ病だけれど、頭痛がするだけとか、不眠があるだけとか、身体症状があるだけで、うつ病とは気付かない場合をいいます。Masked depression。身体症状が仮面です。

仮面高血圧では、診察室の正常血圧が仮面です。






 



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受動喫煙と副流煙



 

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最近のメンタル研修の一例

いろいろあります。
多分、無駄なものもたくさん。

*****
薬を使わなくても精神病が治療できて、
人間関係がよくて業績がよくて、
究極の経営クオリティカンパニーを創り、
最強のコミュニケーションができて、
子供といい関係にある、

そんな人が、誰でも参加の講演会で90分汗をかく?
考えにくい。

まあ、何もしなくてもネットで月収100万円という人が、
わざわざネットに広告を出してなにか宣伝している世の中だから、
驚きはしない。

ウルトラマンが、空の飛び方を教えるといって、講演会を開いたら、
行きますか?
ウルトラマンにはもっと大事な仕事がありそうだな。

*****
■医療ではなく公衆衛生としてのメンタルヘルス
料金:5,250円(税込)
対象:人事担当者・経営者・その他
内容:病理がなくても精神病と診断してしまう精神医療の実態 その他
   薬を使わない。カウンセリングによる精神病治療
   医学モデルではなく公衆衛生モデルとしてのメンタルヘルス

■究極の経営クオリティカンパニーを創る極意
料金:52,500円(税込・食事付)
対象:代表権をもつ法人経営者・決裁権のある法人役員・その他
内容:良好な人間関係のなかで好業績を残す方法
   険悪な人間関係や社内環境を作らない方法
   選択理論を用いたマネジメント

■最強のコミュニケーション術
料金:6,300円(税込)
対象:コミュニケーション能力を高めたい方
内容:身近な人と良好な関係を作るコミュニケーション方法
   より良い人間関係を築く法則
   コミュニケーションの質を高める方法

■親子コミュニケーション
料金:5,250円(税込)
対象:子供とより良い関係を築きたい方 
内容:子供との信頼関係を構築する方法
   どのような言葉を選ぶべきか
   どのような態度をとるべきか



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EAP Q&A 2007-11-3

EAP Q&A 2007-11-3

1.健康な社員は、創造性が豊かで、生産性も高い、だから、社員の健康を守る、という言葉は、正しい気もするが、病気になってしまった人にとっては、厳しすぎる言葉のように思える。

健康な社員だけが創造的で生産性が高いとは限らない。人間はそれほど単純ではなく、仕事もそれほど単純ではない。単純肉体作業は、健康な人がいいと簡単に言えるが、創造的で複雑で対人折衝もある仕事では、単純ではない。休職中にいいアイディアがひらめいたりもするものだし、休職中にパソコンに向かって、新しいデザインをプールした人もいる。しかしながら、こうした議論は、総合値や平均点で語るしかないわけで、平均的に言えば、やはり健康な人のほうが仕事ができる。だから、会社も社員も健康に配慮したほうがいい。

2.メンタルの病気になったとして、職場環境の問題と、個人の体質や考えたかの問題と、どう判定されるのか。

そこが問題。客観的に公平にを厳密に心がけている。
一つ考えたいのは、お金がどこから出ているかである。最終的には、お金を出している人の味方だと思っていいわけだ。お金を出している側は、気に入らなければ、契約先を変更する自由がある。
企業に甘いEAP機関と契約したほうが企業としては都合がいいと誰でも思う。
医療機関は企業との契約はないから、患者の立場で一貫できる。しかし、患者さんの復職後の処遇を考えると、企業とけんか腰というのは、よくない。

3.社員研修プログラムにはどんなものがあるか?

管理職向け
メンタルヘルス研修
ハラスメント防止研修
コミュニケーション研修
性格分析研修(リーダーシップスタイル研修)

一般社員向け
メンタルヘルス研修
ストレスマネジメント研修
EQ研修

その他
メールカウンセリング
セクハラ相談窓口の設置(メール対応)
ハラスメント相談窓口の設置(メール対応)

4.ストレス耐性を高める方法

「気持ちを切り替えよう」「前向きに考えよう」「ポジティブ思考」などが提案される。ストレスは「認知(考え方)」の問題であり、「認知」を変えればストレスは解消できる。しかし簡単ではない。認知を変えるのはこの先でいい。仕事の場面で行動を変える。具体的な行動を変えれば気持ちも変わる。考えはそのあとで自然に変わる。

5.各種サポート

メンタル相談というと、自己啓発的な、あるいは、支持的カウンセリング的なイメージがある。
しかしそればかりではない。
(1)問題を現実的に解決するサポート。借金をどうするか、たまった仕事をどうするか、現実を解決する。
(2)役立つ情報、道具を提供する。相談機関を紹介、詳しい人を紹介、本やサイトを紹介。
(3)慰め、励ましなど、本来の心理的サポート。

6.なぜメンタル強化?

会社の環境を変えればいいと分かっていても、時間も費用もかかる。ストレス要因の改善よりも、メンタル能力=ストレス耐性のほうが早く対応できる。その人は、会社生活だけでなく、人生全般にわたり、ストレスに強くなる。その一方で、他社との競争に勝ち抜くためには、長期的な視野で会社風土を改善すべきだとの提言を続ける。

7.社内システムの変更は有効か

簡単ではない。軋轢もある。他の人が発症してしまうこともある。しかし長い目で見て有益なら、アドバイスする。

8.集中できないのはなぜか。

もちろん、うつ病で「やる気がないから」という場合がある。
性格として「根性が足りないから」という場合もある。
しかし、朝食を抜いているため、頭のスタミナとなるブドウ糖が脳に届いていないのかもしれない。
不眠で頭が働かないのかもしれない。
極端な冷え性かも知れない。
何か病気かもしれません。
家族の病気が気になっているかもしれません。
内容不明のサプリを使っているのかもしれない。

9.より生産性の高い組織

個人の自己啓発を求めているだけでは、社員のモラルは高まらない。会社として、職場環境を整備し、制度を進んで整えていくこと。できることはいくつもあるはずである。

10.社員のプライベートな問題であるし、職場のデリケートな問題である。外部の人が対処できるでしょうか?

丸投げしてアウトソースするだけでは、解決には程遠い。形だけのレポートを受け取って、そのままになるだけ。そのうち担当者が替わる。そうではなく、真の意味での連携を構築することが必要。

11.メンタルヘルスの専門性は確保されているか

それは見極める必要がある。守秘義務等、法律上の規定遵守については分かり易い。しかしカウンセリングのレベルとなると、さまざまであり、見極めは簡単ではない。

12.外部機関と職場の連携を求めているのに、連携が欠ける場合も散見される。

これがこじれる原因。患者さんが一番迷惑する。

13.医療関係者がEAPを手掛けることに疑問

医療機関とのつながりをあまり前面に出すと、社員が相談する上での敷居が高くなり、「予防」という機能が損なわれるおそれがある傾向はある。
しかしまた、医療機関がバックアップしていなければ、専門性が維持できない。医療機関があまり前面に出ることなく、しかしきめ細かく連携することが望ましい。

14.EAPは「中立」か

会社員は同じ企業の社員、特に人事マンには悩みを打ち明けようとしない。社員は社内の相談室を利用しない。自分の悩みを会社側に知られたくないからだ。外部のEAP企業は守秘義務を法律的に義務付けられている。

15.日本版EAPは医療主導型か生産性向上型か

米国では生産性向上か第一義の傾向がある。メンタルヘルス産業は花盛りだ。日本で同じようにできるか、今後の動向を見る必要がある。事業主としての健康管理、危機管理が重視されることは間違いない。

まずEAPで対応、その中で医療が必要なケースをピックアップして、医療につなげる、と簡単には考えられるが、実際はそう簡単ではない。「そのケースで医療が必要か」この点を見極めるのがすでに高度に医学的な判断である。しかしだからといって、大部分を医療につなげてしまったのでは、効率も悪いし、敷居も高くなる。今後の課題である。われわれは、医療機関の敷居を低くすることで対応する。

16.法律の根拠は?

1999年からは労災の過労死自殺認定条件が大きく緩和された。その後、蓄積疲労の評価期間は発症前6ヶ月に緩和された。社員の過労死で訴られた電通は、最高裁で敗訴し、遺族に1億6800万円の賠償金を支払った。社員のストレスを放置するのは、企業とっては大きなリスクだと周知された。厚生労働省の指針(「事業場における労働者の健康づくりのための指針」)では、必要に応じて事業場外の専門機関によるケアを利用するのが望ましいとしていて、それを根拠に、EAPがサービスを提供している。

17.加古川労基署(神戸製鋼所)事件

精神疾患による自殺で労災を認める司法判断が下された初めてのケース。神戸製鋼加古川製鉄所に勤務していた同社社員(当時25歳)は、入社1年目の83年12月インド・ムンバイに出張。翌年1月、現地企業とトラブルが発生。その直後から元気がなく、心因性の精神障害が生じた。そして同月17日、ムンバイ市内のホテルの窓から飛び降り自殺をした。遺族は、84年に労災を申請。しかし加古川労働基準監督署はこれを却下。遺族側が提訴し、96年4月の神戸地裁の判決で、ようやく労災認定が下った。

18.川崎製鉄水島製作所事件

川崎製鉄所水島製鉄所の渡辺さん(当時41歳)は、91年1月、中間管理職である条鋼工程課係長に昇進した。その後約半年間、休日は2日しかないなど、長時間労働を強いられてきた。過労によるストレスで、うつ病の治療も受けていた。そして6月、同工場の本館8階屋上から飛び降り自殺をした。遺族は94年6月、倉敷労基署に総裁認定による遺族補償年金などの支給を申請したが、同労基署は97年7月、不支給を決定。その後、国の労働保険審査会に再審査を請求し、2000年3月、労災が認められた。

19.労働安全衛生法・安全配慮義務と労災問題・巨額の賠償

労働安全衛生法は、事業者が守るべき安全衛生の最低基準を定めたもので、職場の安全衛生の確保と労働者の健康の増進および快適な職場形成への努力義務を定めている。この法律に違反して、労働者が死傷した場合などでは、事業者は業務上過失致死傷罪に問われる。事業者は通常代表取締役であるが、大きな組織では責任を一人でカバーしきれないため、部長や課長などの現場の管理監督者に安全衛生管理を行う責任が課せられる。つまり、部下に万が一のことがあれば、経営者のみならず管理職も業務上過失致死傷罪が問われる場合もあるということになる。これは刑法上の責任であるが、これだけでなく民事上の損害賠償責任が問われることもある。仕事が原因で怪我や病気をした場合、労災保険の適用になるが、事業者が不法行為、つまり安全衛生管理違反をしていた場合には、民事上の損害賠償責任が問われる。労災保険の適用額が、この損害賠償責任をカバーしきれない場合、その分を現場の管理職が負担しなければならなくなる。長時間の残業を続けていたり、職場の人間関係に悩んでいた部下が、うつ病になり自殺してしまったというようなケースでは、1億円以上の損害賠償が通例となりつつある。

20.電通事件

電通事件は、過労による「うつ」の自殺で、企業に損害賠償責任を認める判決が初めて出されたケース。大嶋一郎さん(当時24歳)は、90年4月に大手広告代理店電通に入社。ラジオ局に配属され、企画、宣伝等の業務を担当。入社後半年もたたないうちから連日の深夜残業、徹夜の仕事を繰り返すようになった。91年3月ごろには家族が心配するほどに、心身が疲労。それでも仕事を減らすことはできず、次第にうつ病と見られる症状も現れた。そして8月27日、担当イベントが終了し、業務上の目標が一応達成されたことに伴って肩の荷が下りた心理状態になるとともに、再び従前と同様の長時間労働の日々が続くことをむなしく感じ、うつ病によるうつ状態が更に深まって、衝動的、突発的に自殺した。93年に、大嶋さんの両親が会社からの十分な説明がないとして、東京地裁に提訴。96年3月、一審の東京地裁は全面的に会社の責任を認め約1億2000万円の賠償を命令。97年9月、二審の東京高裁も会社の責任を認めたが、「義務感の強い大嶋一郎さんの性格も原因。両親にも責任がある」と賠償額を約8900万円に減額した。これを双方が上告し、2000年3月、最高裁が二審判決を破棄、審理を東京高裁に引き戻した。これは実質的に遺族側の全面勝訴となった。2000年6月、東京高裁の勧告に従って和解が成立。電通が遺族に支払った額は1億6850万円であった。この判決が重要なのは2点。1つは業務と過労自殺の間には因果関係があると裁判所がはじめて認めたこと。もう1つは、会社の安全配慮義務違反の責任が認められたということ。

21.オタフクソース・イシモト事件

広島地裁で争われたオタフクソース事件では、室温、湿度が高く、刺激臭も強い工場内での過密かつ長時間労働から自殺した社員の遺族に対して、2000年5月、1億1100万円の損害賠償の支払いを命ずる判決が下りた。本件判決のポイントは、自殺した社員がうつ病を罹患した後において精神神経科を受診しなかったことおよび自殺に至ったことについては、その社員の過失と認めるのは相当でないとして、被告らの過失相殺の主張を退けた点である。



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メンタルヘルス新事業の推進

新聞記事 (産経2007-10-9)
エリート社員ほど自分のこころの病を認めたくない、と紹介されている。
そのような人を早く見つけて早く治療して、本人のためにもなり、会社のためにもなるという、新ビジネスが拡がりつつある。
平成18年春の、労働安全衛生法の改正により、メンタルヘルスに力を入れる、つまり、お金をかける企業が増加している。
海外駐在員やIT企業の場合が紹介されている。

残業には管理職の承認が必要、社員全員に心理テストやカウンセリングを受けてもらうなど、対策が拡がっている。

メンタルヘルス導入の機運が高まるものの、専門家とどうコンタクトをとったらいいか、安心できるシステムはどこにあるのかなど、悩みは多い。

たとえば、
*****
メンタルヘルスマネジメントセミナー
IT業界に特化した『メンタルヘルスの新潮流』
~3時間でわかる最新のメンタルヘルスマネジメント~

■概要
近年、企業内でのメンタルヘルス問題が深刻化しています。中でもとりわけ、IT関連企業内でのメンタルヘルス問題は急増しており、SE・プログラマー・その他社内システム関連作業従事者への対策は急務です。
今回、『組織力アップの実現に向けて』をテーマに、IT業界における最新のメンタルヘルスマネジメントを皆様にお伝え致します。
講師は、それぞれメンタルヘルス・組織活性・モチベーションマネジメント・目標管理の分野で活躍している専門家を揃えて実施します。
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■講師 株式会社××
     株式会社×× 代表取締役 ××
     有限会社×× 代表取締役 ××

*****
こんな感じで売り込んでいる。
この中の会社は、

中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認企業
というページで、
「心の病気を予防する法人向け総合メンタルヘルスサービスの事業化 」として紹介されている。

この法律に沿って申請すれば、補助や特例を受けることができる。

*****
しかし何事も同じで、もともとのモデルはアメリカにあり、都心部ではすでに有力数社による大企業囲い込みが進行しつつある。
そうしたEAP機構をバックアップするのが、当院であり、専門性を発揮していきたいと思っている。



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うつ病の今日的病型と病態解明の意義 松浪先生

うつ病の今日的病型と病態解明の意義
松浪克文先生 虎の門病院精神科
Bulletin of Depression and Anxiety Disorders Volume 5, Number 1, 2007

新型うつ病のいくつかについて、松浪先生が紹介していますので、お勉強。

逃避型抑うつ: 20 歳代後半から40 歳代の,いわゆるエリートサラリーマンが,多くは職 場の配置転換などの発病状況の下に,制止症状主体の抑うつ状態を呈するもの。自責的では なく,責任を他へ転嫁し,希死念慮の訴えはない。入院すると制止症状が比較的短期間に軽 減し,他患との交流も円滑かつ活発となる。しかし復職が問題になると出社恐怖の状態が出 現する。広瀬は,この抑制主体の病像を「―冬眠というよりも―驚愕反応としての擬死反射 に通ずる要素が強い」,すなわち「ヒステリー性要素の混入がある」と論じている。
未熟型うつ病:保護的にかわいがられて育った末子が,基本的には協調性を保つ循環気質者 として育ちながらも,依存的,わがまま,自己中心的,顕示的な性質を加え,自分の望みが かなわない状況下で不満とともに不適応を繰り返し,内因性のうつ病の病像で発症する。病 相を反復すると,不安・焦燥,パニック発作,身体的愁訴が病像に加わり,強い自殺衝動が 出現することがある。他責的で,自己愛的傾向が認められる。病前性格にマニー型ほどの精 力性はないが,いわゆる双極スペクトラムに属する。

阿部隆明のいう未熟型うつ病についてですね。

職場結合性うつ病:加藤は,仕事量が増大しスピードを要求される現代において職業的負荷 と密接な関連をもって発症するうつ病の型に注目した。不眠・心身疲労,頭痛・肩こりなど の身体不調,いらいら,不安・焦燥などの症状で発症する。患者は仕事をこなそうとする姿 勢,こなさなければならない状況のなかで呻吟し,突然の自殺企図,パニック様発作,過換 気発作のために救急外来を経由して精神科を受診する。加藤は,「能力の限界を感じる」と いう言葉は「決定的な無能力の確信」にあたり,この型のうつ状態も実際は「内因性うつ病 」であるとしている。

身体で悩むのか、精神で悩むのか、違いがあります。

双極スペクトラム論:内海は,双極II 型障害を,双極I 型障害とも境界型PD とも異なる様 態として捉える視点を提出している。内海は昨今のこの概念の提唱者Akiskal とも論を異に し,双極II 型障害に代表される双極スペクトラムを,あらゆる意味で境界を越えていくエ ネルギーをもったものとして捉えているようである。疾患と性格,病理性と創造性,近縁病 態との境界を越境していく可能性をもつ,ある種の新たな人間様態の視点を開こうとしてい るようにみえる。

双極スペクトラム論は新しい展開を見せています。薬の使い方も、変えていこうと、アメリカでは提案されています。

現代型うつ病とは,表1に示すような特徴をもつ病型のことである。35 歳以下の比較的若 年のサラリーマンに多い制止主体の内因性うつ病である。組織への一体化を拒否し,固有の 領域を侵されることに忌避感をもって育ち,会社企業や組織の一員としてのアイデンティテ ィの形成に必要な律儀さや几帳面さを発揮しない姿勢で社会に参入する。したがって,会社 での公的生活よりも私的領域の趣味活動が生活の重要なペースメーカーになっている。多く はRemanenz 状況(能力に比して負荷が過大となるだけでなく,仕事をこなせば新たに負荷 を作り出してしまって負債が増大する状況)に突入するところで,比較的早期に受診する。 したがって,症状は不全型で,うつ病症状が十分に形成されていない,あるいは出そろって いない。軽症のうつ病であるが,心因性の発症ではなく,些細なミスや失敗が続くことに当 惑し,その不可解さ,違和感を抱いて「出社できない」「能率が低下しているんじゃないか と思う」と制止症状を述べる。
表1 現代型うつ病の特徴
① 比較的若年者
② 組織への一体化を拒絶しているために,罪責感の表明が少ない。むしろ当惑ないし困惑
③ 早期に受診 → 不全型発病
④ 症状が出そろわない:身体症状と制止が主景 
cf) 選択的制止(広瀬),SSD(SSD:subsyndromal symptomatic depression Judd ら)
⑤ 自己中心的(にみえる):対他配慮性が少ない
⑥ 趣味をもつ:cf) 逃避型(広瀬)
⑦ 職場恐怖症的心理 + 当惑感
⑧ Inkludenz を回避:几帳面,律儀ではない =Remanenz 恐怖:締め切りに弱い

Remanenzというのは、下に出てくる、Inkludenzとともに、ドイツの偉い先生の使っている言葉です。「負目性(Remanenz)」「封入性(Inkludenz)」などと翻訳、Tellenbach先生の原著を木村敏先生が翻訳しました。Remanenzは 精神医学以外の分野では残留という訳語が多いようです。

筆者が「従来型うつ病」と呼んだ旧来のうつ病と,この現代型うつ病との相違は,発症の仕 方において顕著である(表2)。従来型I 型うつ病は,わが国の経済が発展する時代の病型 で,几帳面で堅実に働くことがまさに適応的であった職場環境において,適応過剰を通して 発病する。患者は自分の几帳面さが発症の要因であったことを洞察できないことが多い。従 来型II 型うつ病は,安定成長時代に入って,成果主義やオフィスのOA 化などの状況の変化 が生じ,几帳面さが適応力を失って適応障害に陥り発症する。患者は発症を通じて,自分の 几帳面さが職能のなかに生かされなかった,むしろ適していなかったということを実感して いる。現代型うつ病は,几帳面さの不適応性,あるいは短期の適応の後に破綻する運命を見 据えて,職場状況の変化についていけないほどの職場論理との密着を避けようとしている。 つまり,Inkludenz を回避しようという態勢にある。しかし,職能と負荷の関係は,原理的に臨界点に達することが避けられないので,Remanenz 状況が到来するのは時間の問題で あることを知っており,密かに恐れているのである。現代型うつ病と従来型うつ病の比較を 表3 に示す。このような病態の差異を通じて筆者が導き出したのは反復性という強迫の時間 的局面の病理である。





図1はうつ病の診断の範囲が広がり、灰色部分のところを、いろいろな言い方でいろいろな人が描写しているという図です。


新型であるといいつつも、どれもやはり「うつ病」であるというのですから、
ずっと変わらずにあるうつ病の根本があるはずだと論じています。



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Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病へ

もう一つ、「職場結合性うつ病」について。こちらは加藤先生の論文です。
「Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病へ」Bulletin of Depression and Anxiety Disorders Volume 5, Number 1, 2007

労災の適用となるような職場の仕事の負荷によって生じる職場結合性うつ病は,IT 革命によって進行する高度資本主義を背景に大量出現をみている

残業限度について、80時間とか100時間とかいわれていますが、そういわれると今度は、残業をつけないようになるとのことでした。多い人では瞬間最大で200時間との話もあり、強制的ストップをお願いしています。

職場結合性うつ病では,病像として不安・焦燥感が前景にでるものが多いため,うつ病の診断がつきにくく,過換気発作を含むパニック(様)発作を起こして,総合病院を受診することがしばしばである。

そうですね、でも、治療は、SSRIで、うつ病にもパニック障害にも効くわけですから、便利です。

時には,不安・焦燥の頂点で自殺企図がなされてしまう。

はい、そうですね。

従来,成人のうつ病というと,制止(優位)型うつ病がモデルとされ,自殺(企図)の好発期として,うつ病の病態の極期に入る前の時期と回復期があげられていたわけだが,最近の勤労者の不安・焦燥(優位)型うつ病にあっては自殺の好発期は病態の極期にこそあるとみるべきである。

これが新型うつ病ですね。

この種のうつ病は,とりわけ初診時など,DSM によって操作診断をすると大うつ病性障害の基準を満たさないと判断され,不安障害,ないしパニック障害と診断されることが少なくない。 DSM では不安症状を呈する病態は不安性障害へ,そして制止関連症状を呈するものはうつ病性障害へ分類するという具合に,表出症状による単純な区分けがなされており,そのためDSMのうつ病と不安障害のカテゴリーは実際の臨床の現実にはそぐわない部分がある。

はい、そう思います。

プライマリーケアの現場では,不安症状とうつ病性症状をともに併せもつ事例が多いことを強調し,ICD では診断カテゴリーにあげられている混合性不安抑うつ障害(mixed anxiety depressive disorder)をDSMでも正式採用する必要性が述べられている。今日改めて,(少なくとも理念的には)抑うつ神経症,ないし不安神経症と内因性うつ病の区別は有用であると考える筆者としては,混合性不安抑うつ障害というとき,これら二つの病態レベルについて,つまり神経症と内因性うつ病のそれぞれについて混合性不安抑うつ障害が問題にされる必要があると考える。

フムフム。

うつ病と不安障害の歩み寄りは,不安障害とうつ病の病態が重なり,場合により移行するうつ病-不安(パニック)障害中間(移行)領域を想定するよう促す。筆者としては,混合性不安抑うつ障害のカテゴリーはこの中間領域を指し示したカテゴリーであるとポジティブに評価したい。抑うつ神経症が内因性病像を帯びて,こちらが優勢になり内因性うつ病に一時的に移行するなどといった現象も,うつ病-不安(パニック障害)障害中間(移行)領域を舞台にして生じていると理解できるだろう。





内因性うつ病を制止優位と不安・焦燥優位に分類するのは、伝統的です。
不安神経症、抑うつ神経症については、もう少し議論が必要かもしれません。

職場結合性うつ病に陥る人の人格特性について述べると,確かに一部にはきわめて几帳面,完全主義で,強い他者配慮性が際立つ,かつてドイツの精神病理学者Tellenbach が提唱したメランコリー親和型の典型例が認められることもあるが,多くはむしろ社会人としてのまっとうな勤勉さと社交性を備えた平均的な人格の持ち主である。なお,病相時の面接での患者の言葉からメランコリー親和型と判断される際,前うつ病状態が始まり,二次的に強迫性が前面に出てきて偽性のメランコリー親和型の振る舞いをする事例があることにも注意しなければならない。

「前うつ病状態が始まり,二次的に強迫性が前面に出てきて」という観察に私は賛成します。これを「偽性のメランコリー親和型」と呼ぶことには疑問があります。
「社会人としてのまっとうな勤勉さと社交性を備えた平均的な人格の持ち主」の場合、「二次的に強迫性が前面に出てきて」、メランコリー親和型の振る舞いをしたら、潜在的にメランコリー親和型だったのだと思うのですが。それ以外の何でしょうか?

発病の主たる要因は,会社,職場自体の「メランコリ-親和型化」であるというのが筆者の最近の論点である。つまり,今日,職場は勤労者に対し間違いを許さない厳密性と完全主義を徹底し,消費者,あるいは利用者(お客さん,患者さん)などに対し不都合やミスがないよう細やかな配慮を行き届かせる他者配慮性を前面にうち出す。そのため,勤労者は仕事課題において高い水準を要求される。それはある意味で職場の「過剰な正常規範」であり,医療に端的に示されるように,確かにそれ自体はたいへん正しく,善い行為規範を示し,正面から異を唱えることはなかなか難しいものの,普通の人が従うには心身の限界を超える危険を内蔵する。いうまでもなく,職場の「メランコリー親和型化」の背景には,生産性と(国際)競争力をできる限り上げようという企業の論理,および職場のミスや虚偽があれば最終的には訴訟にでも訴える構えをみせる消費者,ひいてはマスコミから注がれる厳しい視線の増加が控えている。

厳しいわけです。

1970 年代は,Tellenbach の発病状況論が盛んに導入され,この図式にぴったり合致するうつ病の事例が確かに多かった。ちょうど日本の会社が,家族的なまとまりをもちながら高度成長を続けている時代にあたる。そこでは,うつ病のなによりの病因は,患者の側のメランコリー親和型性格であり,彼らは際立った几帳面さ,完全主義,他者配慮により,自分に課された仕事を自分の強い信念に裏打ちされて,けっして手抜きをすることなく,全力を尽くしてやり遂げることを目指した。
つまり,前うつ病者は毎日の生活をうつ病が発生するのを促す方向で状況構成(situieren)する。それゆえ,うつ病の病因には,患者自身が自分で招いてしまって,出口のない袋小路に入りこむという自家撞着の側面が強い。そのため,この種のうつ病の患者に対して,「ほどほどにする」「いい加減がいい」などといった言葉の処方箋が適応となったのであった。ところが,現代の職場結合性うつ病患者に対しては,この種の言葉は見当はずれであることが多い。
グローバリゼーションの時代に入り,会社,職場が勤労者に先んじてメランコリー親和型規範を採用・徹底させているからであり,彼(彼女)らが「ほどほど」「いい加減」に仕事をするものなら直ちに解雇や降格という厳しい現実に直面しかねない。職場結合性うつ病の場合,発病過程の端緒において職場の側の「メランコリー親和型化規範」が大きな要因を果たすのであり,そのその意味で,この種のうつ病は,19 世紀中葉,イギリスに引き続くアメリカの産業革命下で出現した新種の病態としてBeard によって記述された神経衰弱(神経疲弊)の延長線上にあるとみることができる。
Beard のいう神経衰弱は,今日ならICD でいう,先に指摘した混合性不安抑うつ障害と診断される病態におおよそ対応するように思われる。それゆえ,社会要因,症状などの面からして,現代の職場結合性うつ病は第二の神経衰弱(神経疲弊)と位置づけることが可能である10)。Tellenbach の発病状況論があてはまるうつ病を「Tellenbach 型うつ病」と呼ぶなら,職場結合性うつ病はさしずめ「Beard 型うつ病」と呼べるだろう。もちろん,この対比はあくまで理念型なものであるが,わが国の職場関連性うつ病は,一定の勤勉さと社交性を備えた堅固な人格の持ち主の勤労者におけるうつ病に限っても,ここ30 年余りの時代のあいだに,Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病への重心移動をしているのではないだろうか。そして,Beard 型うつ病へのシフトにより,わが国のうつ病はアメリカ,イギリスにおける勤労者のうつ病に接近をみせた。
概して,グローバリゼーションの時代において,職場関連のうつ病はBeard 型うつ病に収斂する方向でグローバル化し,各国のあいだでの病態の違いが減少してきているように思われる。付け加えれば,Tellenbach 型うつ病では罪責,自責の主題がよく観察されたのだが,現代の職場におけるBeard 型うつ病ではこの種の症状は少なくなり,代わりに職場や上司に対する攻撃的感情,あるいは批判的態度,ひいては労災申請をするといった行動がみられているのである。

というわけだ。座布団3枚だ。勉強になりました。

加藤先生の文献
加藤 敏.現代日本における不安・焦燥型うつ病の増加.精神科2002; 1:
344-9.
加藤 敏.職場結合性うつ病の病態と治療.精神療法2006; 32: 284?92.
加藤 敏.現代日本におけるうつ病の自殺とその予防.精神神経学雑誌
2005; 107: 1069-77.
加藤 敏.現代の仕事,社会の問題はどのように精神障害に影響を与えてい
るか.精神科治療学2007; 22: 121?31.
加藤 敏.現代日本におけるパニック障害とうつ病―今日的な神経衰弱.精
神科治療学2004; 19: 955-61.



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職場結合性うつ病 加藤敏インタビューから

インタビュー記事から抜粋して、読んでみましょう。

従来のうつ病とは病像を異にする、20、30代の若い世代を中心にみられるうつ病病を「職場結合性うつ病」と捉え、発病の主な要因を職場自体のメランコリー親和型化にあると指摘する。

「現代の仕事、社会の問題はどのように精神障害に影響を与えているか」(加藤敏.精神科治療学 2007; 22:121-31)

職場自体がメランコリー親和型になったという指摘なんです。効率のよい組織になったとは思いますが、メランコリー親和型になったと言えるのでしょうか?

「几帳面で義理堅い」従来型のうつ病から、「自己中心的でわがまま」な現代型うつ病へと、職場のメンタルヘルスの話題が移っている。
こうしたタイプのうつ病は、非定型うつ病、気まぐれうつ病、逃避型うつ病、未熟型うつ病、職場結合性うつ病、双極スペクトラム論などさまざまに論じられている。

ここから加藤先生の職場結合性うつ病の話。

仕事が過重となり心身の疲弊の末にうつ病を発症する。職場の仕事に結合したうつ病という意味で、「職場結合性うつ病」と名付けた。
1960年代の高度経済成長期にも日本人の働き方は大きく変わった。しかし、このときには会社は終身雇用制・年功序列の賃金体系をとり、職場は正規社員で構成され、会社が「家族」としての一体感・まとまりをもっていた。
ところが現在は、会社の家族的な共同体意識が希薄となり、職場での個々人の孤立感が増している。以前は社員旅行が定期的にあり、なにかあったら職場で「支えあう」という面があった。いまは業績主義が支配的で失敗をすれば蹴落とされる、給料が下がるというリスクを負う。
ドイツの精神病理学者Tellenbachは、うつ病に親和的な性格として几帳面で他者配慮的、良心的な性格をメランコリー親和型と名付けた。それは1961年のこと。もともとはうつ病の病前性格とされたメランコリー親和型の行動特性を、会社・職場がとりこみ、勤労者に対し、間違いを許さない厳密性と完全主義を徹底し、顧客に対する良心性と仕事課題に高いレベルを要求する。これが現在の職場である。
競争が激しくなり、過重・長時間労働が課せられ、緊張状態が続き、心身の疲弊が蓄積し、その頂点でうつ病が発症する。この点で、職場が「メランコリー親和型化」していることに、わたしは注目している。患者の病前性格についていえば、職場の「メランコリー親和型化」により、この性格類型が稀釈されるような形で明確にメランコリー親和型とはいえないケースが増えている。

ということは、メランコリー親和型の個人はむしろ適応的な性格になっていて、発症しないということなのだろうか。
いや、そうではない。心身の疲弊が蓄積して発病するというのだから、やはりメランコリー親和型の人が発病しやすいようだ。
メランコリー親和型でない人も、メランコリー親和型のように仕事をすることが求められ、その結果、メランコリー親和型の人と同じようにうつになると解釈すれば話は通る。

要するに、性格がどうであれ、疲れ果てるまで働いてしまう、または、働かされる、だからうつ病になる。
自分から働いてしまうのがメランコリー親和型で、働かされるのが、それ以外ということか。
だったら、職場や上司のせいにするだろう、当然。

産業革命下の米国で内科医Beardが提唱した神経衰弱(神経疲弊)の延長線上にある。職場結合性うつ病は、いわば「Beard型うつ病」である。1980年代以降、英米圏でも労働時間が長くなり、仕事の厳密性、迅速性が求められる中で、このBeard型うつ病が増えてきている。


Beard型うつ病は神経衰弱(神経疲弊)をいっているだけで、原因類型には言及していない。
疲れ果ててうつ病になるというのは、とくに新しい論説ではない。

グローバル化した企業競争の下で、日本と英米圏で似たようなうつ病像を呈しているのではないか。国を越えた先端的企業での職場結合性うつ病、あるいはBeard型うつ病の増加は、企業活動や競争のグローバル化とパラレルな現象ではないか。「精神障害は社会の病理の鏡」という見方があるが、Beard型うつ病は現代社会のグローバル化の下での競争原理優位な社会の歪みをあらわしているといえるかもしれない。

国を越えた先端的企業では、職場自体がメランコリー親和型なんでしょうか?
メランコリー親和型職場は、競争主義的でしょうか?
メランコリー親和型の人は、家庭人としても尊敬できるいい人のような気がします。

競争主義と家族主義はどう関係するのでしょうか。
競争主義というのは、会社内部でも競争して、会社同士でも競争する。
家族主義は、会社内では家族のように融和し、会社同士は競争する。
ということでしょうか。いや、そうでもないのだろう。そんなことが焦点ではない。

「家族的」といっても、とても競争的な家族もあるわけで、むしろ、「教育的」といったほうがいいような気がしますが。競争もあるし、教育的な厳しい場面もあるけれど、最終的には各成員の幸福に責任を持ってくれるような会社というイメージ。仕事以外の付き合いもあり、家族親戚みたいな付き合いをする集団。

競争主義というのは、会社の存在理由は、収入のためと割り切り、それ以外の関わりに関心を持たない主義。でも、毎日一緒に仕事をしていて、家族類似の感情が湧き起こらないというのも、あり得ない話ではないか。

同僚がライバルか仲間かといってもそんなに簡単な区別はできない。

以下、すこし方向が違うお話。

糖尿病、高血圧などの患者さんが治療経過中に、うつ状態を呈することが意外に多い。うつ病の患者さんが生活習慣病を合併する率が高い。生活習慣病という言葉から、個人の生活に原因があるという印象を受けるが、わたしは生活習慣病のおおもとは勤労者の仕事過重にあり、そのストレス反応のために血圧、血糖値が上がる、生活習慣病、あるいはまたうつ病を発症するのではないかと考える。生活習慣病は職場結合性うつ病と同じく、「現代社会結合症候群」とみたほうが適切だと思う。

特に仕事もしていない人にも、糖尿病、高血圧、痛風、肥満、高脂血症、多いですね。むしろ食べもののせいかと思っていました。ストレス要因が問題なのは当然で、ストレスの中心は当然仕事ですから、仕事過重が生活習慣病発症にかかわっているというのは、その通りでしょう。

教室の研究でうつ病の患者さん(入院例)の中に消化性胃潰瘍の既往症をもっているケースが約8%あることを報告している。こうした、いわゆるcommon diseaseとうつ病には、生物学的なレベルでの内的な関連もあるのではないか。

ここはもう少し解説してほしいところ。

DSM-IV以降、うつ病概念が広くなりすぎ、曖昧になっている。また、不安症状は不安性障害に、制止関連症状はうつ病性障害へと表出症状により単純に区分けされるので、不安・焦燥が前面にでる職場結合性うつ病が不安性障害と単純に診断されてしまうという危険がある。DSMのうつ病性障害の診断基準は不安・焦燥については不十分である。

そうですね。うつ病概念が広くなりすぎ、曖昧になっていると確かに思います。
うつ、不運、焦燥の関連性、独立性については、検討が必要です。

わたしはうつ病は、「仕事の領域」のうつ病と「愛の領域」のうつ病に大別するとわかりやすいと思うのですが、仕事の領域とともに、愛の領域でのうつ病も増えていることを指摘したいと思います。たとえば、親や愛する人が亡くなるときに生じる悲哀の感情が遷延してうつ病となるケースです。その際、身体の痛みを訴えるケースも多くみられます。心の「悼み」が文字どおり身体の「痛み」に転化したと考えさせられるケースによく出会います。かつては人が亡くなれば喪に服すという時間がありました。ところがいまは、喪に服す、人の死を思いやるといった時間が割愛され、「喪の仕事」が疎んじられているように思います。愛の領域のうつ病、あるいはまた、疼痛性障害の増加は、失感情症的(アレクシチミック)な布置を色濃くもつ現代社会に関連して生じているのではないかと、強く感じています。

まあ、人間の生活は、仕事とプライベートとが主な場所ですから、仕事の領域と愛の領域ということになるでしょうけれど。
愛する人が亡くなったときの、悲哀の感情を、悲哀として充分に悲しめない。悲哀は失感情症的に疼痛症状に転化して、遷延する。
でも、現代社会は、失感情症的な布置を色濃くもつのでしょうか?

むしろ、深い悲しみはあるけれど、テレビ画面のように、せわしなく転換し、にぎやかに無意味である、そんな印象。



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職業とうつと自殺

よく使われるグラフ。
こんなにも一致するものかと、
みんなが驚く。
目盛りに細工をすれば、
もっと重ねられる。
 

*****
職場でのストレスを検出する質問紙。
本当は、血液検査でストレス測定ができたり、
心電図や皮膚抵抗計のようなもので客観的に測定できるように
するのが目標ですが、当面はこんなものです。
答えは1~4まであります


*****

どんな仕組みで職場のメンタルケアを考えようかという、その仕組み。
医療としては、産業医科大学が研究施設としてあり、
各地の労災病院が地域の中核になります。

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身体疾患とうつ病

身体疾患になったとき、
たとえ虫歯でも、うつ気分になりやすい。
ましてや、脳卒中など、命にかかわり、障害が残るような病気の場合には、うつ病になりやすい。
人生を深刻に振り返ったりするものだ。

一方、脳梗塞の場合には、脳の特定部分での梗塞が、うつ病の発症と関係があるのではないかと議論された時期がある。最近の動向については、よく分からない。
つまり、単に心理的な理由で落ち込んでいるのではなく、
脳の一部が障害された結果、「器質性のうつ病」になっているのではないかとの指摘である。

*****
心筋梗塞の後で、うつ病を併発すると、死亡率が高くなる。
これはひとつは、うつ病になって、生きる気力がなくなるということもあるが、
もうひとつには、セロトニンが怪しいといわれている。
血小板は血液の凝固に関係しているのだが、
セロトニンは血小板の中で大事な働きをしている。

そんなこともあって、心筋梗塞を起こした患者さんの場合でうつ病があったら、
ほかの抗うつ剤よりもSSRIがよいと言われる。
うつを治すと同時に、血小板のセロトニン系に効くらしい。


*****


この図にあるように、
うつ病で自律神経失調状態になるので、不整脈が起こりやすい、また、脱水が起こりやすいなどから、再度の梗塞が起こりやすくなる。
血小板機能の亢進にはセロトニンがからんでいるかどうか、よく分からない。



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職域のうつ発見に二質問法


たったこれだけで、
職場でのうつを発見できる。
頭いいな。

「よく」という言葉がいいですね。

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エニアグラム

私たちはあまり使いませんが、
エニアグラム無料診断というページがあります。
ふむふむ。

チェックボックスにチェックを入れてもらって、後で集計するのは、
<input type=checkbox value=1 name=ts8> というような書式のようで、
今度何か作ってみようと思う。



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境界性人格障害の心理教育

原田 誠一先生(原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所)の論文から。

境界性人格障害の心理教育
境界性人格障害(BPD)の心理教育。図「BPDの悪循環」を参照。



・中心となる基本テーマに、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
の三つがある。

・基本テーマから「落ち込み」「空しさ」などの感情が生まれ、対人関係の特徴(たとえば、傷つきやすさ)につながる。
・日常生活の「行き違い」などで「見捨てられた」などと極端に受け止めて、行動化を起こしてしまいがち。
・行動化が「周囲との軋轢」の増大、本人の「後悔」などをもたらし、不安・抑うつ症状や基本テーマが、いっそう悪化する。
・以上をふまえて「典型的なうつ病との違い」や「精神科での治療の内容や限界」を理解してもらう。
・本人の試行錯誤・自助努力で「行動化」を減らし、基本テーマを変えていくことが治療の本質であると伝える。

*****
中心葛藤課題といった感じの3つテーマを抽出、そこから症状を説明する。
必要なのは症状をかえることではなく、
「基本テーマを変えることだ」と目標設定する。
なるほど。

治療者も患者も多大のエネルギーを要する作業である。

*****
それにしても、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
こうして3つ並べてみると、程度の差はあっても、当てはまるという人も多いだろう。

悪循環にしても、程度の差はあっても、当てはまるなあと思う人も多いのではないか。

そういった意味では、病的というよりも、普遍的に存在している基本テーマであるし、普遍的に悪循環であるという気がする。
ただ、健康な人は、そのような心の側面を、場面に応じて、一時的に、軽度に、露出させる。病的な場合には、むしろ、そのような側面に、圧倒される。そのような違いがあるのだと思う。

「適度に、一時的に」、自信喪失し、傷つき、嘆き、行動化し、後悔もしようではないか。それが人生だ。



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日本版社会恐怖尺度(SPS-J) 日本版社会的相互作用不安尺度(SIAS-J)

日本版社会恐怖尺度(SPS-J)
 
自分の性格や自分についての事実を全く表していない           0
自分の性格や自分についての事実をやや表している             1
自分の性格や自分についての事実をまあまあ表している         2
自分の性格や自分についての事実をよく表している              3
自分の性格や自分についての事実を大変よく表している         4

1.人前でものを書く時、不安になる。
2.公衆便所を使う時自分を意識してしまう。
3.自分の声や自分の言う事を聞いている相手の事が突然気になる事がある。
4.道を歩いている時、人が自分の事を見ているような気がして落ち着かなくなる。
5.他人と一緒にいる時,赤面するのが怖い。
6.他の人達がすでに席に着いている部屋に入らなければならないとしたら自分を意識するだろう。
7.他人に見られている時、自分が震えてしまうのではないかと心配だ。
8.バスや車で他人と向かい合わせに座らなければならないとしたら緊張するだろう。
9.自分が気を失うか、具合が悪くなるか、病気になるのを他人が見るかもしれないと思うと平静ではいられない。
10.人の集っているところで何かを飲むのは私にとって難しいだろう。
11.他人が自分の行動を変だと思うのではないかと心配だ。
12.レストランなど知らない人達に見られるところで食事をするとしたら自分を意識してしまうだろう。
13.もし混んでいる食堂でお盆を持って物を運ばなければならないとしたら緊張するだろう。
14.人前で自制心を失うのではないかと心配だ。
15.自分か他人の目を引くような事をするかもしれないのではないかと心配だ。
16.エレベーターの中で人が私を見たら緊張する。
17.列に並んでいると自分が目立っているような気がする事がある.
18.他人の前で話をすると緊張する事がある。
19.他人の前で自分の頭が震えたり,うなづくように縦に揺れるのではないかと心配だ。
20.人が自分を見ているとわかると気まずい気がして緊張する。

*****
日本版社会的相互作用不安尺度(SIAS-J)
 
自分の性格や自分についての事実を全く表していない           0
自分の性格や自分についての事実をやや表している             1
自分の性格や自分についての事実をまあまあ表している         2
自分の性格や自分についての事実をよく表している              3
自分の性格や自分についての事実を大変よく表している         4

1.もし権威ある人(先生、上司など)と話さなければならないとしたら、神経質になる。
2.話をする時、相手の目を見て話すのは難しい。
3.自分の事や自分の気持ちを話さなければならないとしたら緊張する。
4.職場の同僚となかなか気楽に付き合えない。
5.もし道で知り合いに会ったらとても緊張する。
6.人と付き合うのは苦痛だ。
7.誰かと二人っきりになると緊張する。
8.パーティーなどで人に会うのは平気だ。
9.他人と話すのは難しい。
10.話題を探すのは簡単だと思う。
11.自分を表現する時ぎこちなく見えるのではないかと心配だ。
12.相手の意見に異議を唱えるのは難しいと思う。
13.魅力的な異性に話しかけるのは難しい。
14.社交の場で自分かなんと言っていいか,わからなくなるかもしれないと心配する事がある。
15.あまりよく知らない人達と一緒にいると落ち着かない。
16.話をしていると何か恥ずかしい事を言ってしまいそうな気がする。
17.集団でいると、自分が無視されるのではないかと心配することかある。
18.集団でいると緊張する。
19.自分が少しだけしか知らないひとに挨拶すべきかどうかよくわからない。



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双極性障害ミトコンドリア機能障害仮説

理化学研究所 加藤忠史先生の画期的な説

ミトコンドリア機能障害仮説は,双極性障害患者において,磁気共鳴スペクトロスコピーにより脳エネルギー代謝異常がみられること,ミトコンドリア病と気分障害の合併,双極性障害患者の死後脳でミトコンドリア遺伝子(mtDNA)欠失が増加していたことなどに基づいている(Kato T, et al. 2001)(図1)。この仮説では,mtDNA の変異や多型に基づくミトコンドリア機能障害により,細胞内Ca2+ シグナリングに変化を来たし,神経可塑性の障害を引き起こしていると考えられた。米国ではKonradi ら(2004)の双極性障害患者の死後脳におけるミトコンドリア関連遺伝子の発現低下の報告を契機としてこの仮説が認知され,ミトコンドリア病の治療薬としてFDA が承認したtriacetyluridineの双極性うつ病に対する臨床試験が行われている。


これが科学の本道だ。


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